衆院・予算委員会第五分科会
○江田分科員 第五分科会環境庁関係最後の質問でございますので、ひとつ長官、よろしくお願いいたします。
実は私、つい先ほどまで我々の大先輩である加藤シヅエ先生、永年表彰も受けられて額も上がっておられる先生ですが、九十五歳を祝う会というのに出ておりまして、楽しいひとときを過ごしてここへ入るのがちょっとおくれて冷や冷やさせたかと思いますけれども、よろしくお願いしたいと思います。加藤シヅエ先生、九十五歳いまだかくしゃく、どうも地球環境の方が先に参ってしまうのではないか、そんな心配をいたしましてというのも変な話ですが、きょうはひとつ、それぞれの地元問題もさることながら、ぐっと大きく地球環境問題について伺ってみたいと思います。
私は、この二月の上旬に実はワシントンで開かれましたGLOBEという会議に出席をしてまいりました。GLOBEというのは、地球環境国際議員連盟、こう言っておりますが、グローバル。レジスレーターズ・オーガナイゼーション・フォー・ア・バランスト・エンバイロンメント、衆議院の同僚議員の小杉隆さん、前環境庁長官愛知和男さん、参議院の方から堂本暁子さん、広中和歌子さんたちと御一緒だったのですが、そこでの議論について二月二十六日に商工委員会でガットと環境問題、それからシベリアでの森林伐採、こんなことについて質問しました。きょうはひとつこの機会にGLOBEで議論になったその他のことについて若干質問をいたします。
このGLOBEの主たる目的は、これはもう有名なことし六月の地球サミットヘの提言を決議をすることでございました。そこで、まず長官に、このブラジルでの地球サミットに臨まれる長官のあるいは日本国政府の基本的な態度あるいは御決意を簡単にで結構ですからお伺いしておきます。
○中村国務大臣 もう江田先輩よく御存じのことでありますから簡潔にお答えさせていただきますが、この地球サミット、やはり地球の限界とかいわゆる開発の限界を迎えた地球の中で、人類の生存の基盤である地球環境を保全するために、具体的な方策について国際的合意を得ようということを目的とする極めて重要な画期的な会議だと思います。よくもこういう難しい会議が今まで何回もプレップコムを続けてやってきたということだと思います。
ここで討議されます温暖化の問題にいたしましても、いわゆるフロンガスのオゾン層の破壊のことでも、熱帯雨林の減少でも極めて重要なことであります。しかしながら、会議が近づけば近づくほど、総論賛成、各論反対とは申しませんけれども、いろいろな意見が出てきてなかなか大変だ。そして、この中で地球憲章をつくり、そしてまた行動計画、アジェンダ21をつくり、地球の環境を保全するためにはどうしようかという枠組みの中でもって実際に資金も集め、技術移転を発展途上国にして対策を講じていこうという大変な画期的なことであろうと思います。
でありますから、確かに大変難しいのですが、我が国といたしましては、政府を挙げて具体的な問題を掲げて、例えば地球憲章についてはもう提言をいたしておりますし、森林憲章についても提言をいたしております用地球温暖化というか、いわゆる気候変動枠組み条約と申しておりますけれども、そこには具体的に我が国で持っております十九省庁集まってやりました温暖化防止計画という行動計画というのをもって、二〇〇〇年までに一九九〇年の排出レベルでCO2の発生量を抑えよう。あらゆる具体的なものをもって今やっているのでございますが、大変難しい局面がある。資金の面もしかりであります。しかしながら、これだけやってきた会議、これだけ大きな会議が、今度成功しなかったらまたいつ開かれるのかなということに思いをいたしましたときに、どうしても成功させなければいけない。それの成功に向かって精いっぱいの努力をしていかなければいけない。特に環境問題というのは、日本が激しい公害を経験し克服してきた中で、国際的に協力し貢献するべき一つの大きな柱だと思っておりますので、精いっぱいの協力、努力をして貢献をしていきたいと思っております。
○江田分科員 心強い決意をお伺いをいたしました。今地球環境大変重要なところへ来ておるので、日本は経験もあるし、あるいは世界に対する責任も発言力も大きな国にもなっているわけで、最大限の努力をしていただきたいと思います。
この気候変動枠組み条約、生物学的多様性条約、森林についての合意文書、地球憲章、アジェンダ21、いろいろ難間山積だと思います。その中で、特にこの地球環境問題の財源、モーリス・ストロング事務局長は千二百五十億ドルでしたか、大変な金が要るというようなことも言われたりしておりまして、そういう財源問題について四月中旬には東京で竹下元総理がホストになって地球環境賢人会議が開かれるという。これは日本も単にホストだというだけでなくて、やはり重要な役割を果たさなければならぬ、提案もしていかなければならぬということだと思うのですが、この財源問題の議論の流れと見通し、これもひとつコンパクトにお教えください。
○八木橋政府委員 先生御指摘の国際的に必要な資金の確保は、地球環境保全のための最重要課題の一つでございます。地球サミットの準備会合は、これまで三回開催されまして、現在四回目の準備会合をニューヨークで開催している最中でございまして、この問題も議論されているところでございます。
今までの経緯を申し上げますと、第一回及び第二回の準備会合では、先進国、途上国が将来の地球環境資金のあるべき姿について総論的な議論を行ったわけでございます。さらに第三回会合につきましては、事務局から資金源のオプションにつきまして、例えばODAの拡充案、それから自然保護債務スワップなどの債務免除の案、さらには環境税といったようなアイデアが提案されたわけでございますが、資金の管理の仕方についても同時に議論が行われておりますが、何というのですか、資金の性格をニュー・アンド・アディショナル、またニューをつけないとか、資金の性格が補償的な性格を有する、いや、そうじゃなしに国際協力的な性格のものだとか、そういう基本論をめぐってなかなか議論が進まず、資金問題の基本的な枠組みについての検討はそれほど進まなかったというのが実情でございます。
そこで、現在行われている第四回準備会合におきましては、先ほど先生から御指摘になりましたUNCEDの事務局による必要な資金量についての試算等も示されたわけでございまして、ここで引き続きこの資金問題の基本的な枠組みを中心とした検討が行われるものと私どもは期待しているわけでございます。今後第四回の準備会合やさらにまた先生御指摘の四月に東京で地球サミット事務局の主催で開かれます地球環境賢人会議を通しまして、この六月サミットに向けて、この問題に関する検討がさらに進むというぐあいに承知しておりまして、私どもはこういった会議に真剣に取り組んでまいるということで今従事しているところでございます。
○江田分科員 地球環境賢人会議ですが、これはUNCEDの全体の議論の中に位置づけられた会議で、そして準備会議の結果出てくる提案について、この地球環境会議でさらにそれを具体化させるためのいろいろな議論をするということなのだろうと思います。そして、その結論がUNCEDに出されていくということだろうと思いますが、竹下さんがホストですから知恵を絞らなければならぬ。私どもは野党の立場ではございますが、やはり小さな頭を一生懸命絞って、いろいろな提案が、ああでもないこうでもないとできるかなと考えているのですが、GLOBEでもフィナンシャルメカニズムというセッションでさまざまな議論や提案が行われました。環境税構想についても積極的な議論もありました。
そこで、きょうはいろいろな方法の一つとして、今ちょっと言われました環境スワップ、デット・フォー・ネーチャー・スワップ、自然保護スワップともいいますが、これをひとつ取り上げてみたいと思います。いろいろなものの中の一つで、この財源問題に果たす役割はべらぼうに大きいというわけじゃないかもしれませんが、しかし小さなものでもたくさん寄せ集めて財源をつくっていかなければいかぬということで、小さいからといって意味がないということにはならないと私は思っているのです。
実は昨年の三月ごろ、環境問題の国際的NGOの一つであるコンサーベーション・インターナショナルという組織のスティーブ・ルービンという人が日本に参りまして、この環境スワップのキャンペーンをされました。私もお会いをして話を聞いて関心を持ったのですが、彼の来日などがきっかけになって我が国でも取り組みが始まった。経団連は最近積極的、環境庁も研究会をつくられた。ひとつ環境庁のデット・フォー・ネーチャー・スワップに対する評価と取り組み方について、これも毎度申しわけありませんが、簡単で結構ですので、お教えください。
○加藤説明員 先生御指摘の債務と自然環境保護とをスワップするというのは、私どもにとりましても非常に貴重な自然環境保全の一つの方法だと考えておりまして、昨年の六月、私ども環境庁内にスワップに関する研究会を設けておりましたが、その報告を取りまとめまして、それをもとに環境庁といたしましても、この問題に積極的に取り組んでいきたいというふうに思っておるわけでございます。
幸い、これを取りまとめたこの時期に、昨年の七月でございますけれども、日本の都市銀行の一つである銀行がアメリカのWWFと一緒になりまして百万ドル相当のスワップの契約を結ぶということがございまして、我が国のスワップ第一号を実施しておるわけでございます。そのほかに、今先生もお触れになりましたように、経団連あるいは他の都市銀行なども極めて積極的にこの問題に取り組んでおりまして、私どもとしても、こういう取り組みを支援をしながら、さらにこのスワップに関連いたしますいろいろな問題点なども深めていきたいと思っておるところでございます。
○江田分科員 今銀行名をお挙げにならなかったのですが、何か配慮がおありなのか、東京銀行ですよね。心強いことだと思うので、ひとつ大いに奨励をしていただければと思います。
現在までに実施をされたデット・フォー・ネーチャー・スワップのリストを見ますと、例えばスウェーデン政府、オランダ政府、こういう政府がコスタリカに対してスワップを行っている事例がある。これはODA資金から拠出されているということですが、日本のODA予算からも支出を考えてもよいのではないか。これはどういう具体的な仕組みになるかはいろいろあろうかと思いますが、具体的なプロジェクトについて日本のNGOやあるいは海外のNGOに日本のODAから支出をされるという、そういう事例もいろいろあって、一九九〇年のヒューストン・サミットの経済宣言では、「我々は、債務・環境スワップが環境を守る上で有用な役割を果たし得ると認識する。」こう書かれているので、日本のODA予算の活用、外務省、いかがですか。
○小島説明員 お答え申し上げます。
昨年十二月にOECDの開発・環境合同の閣僚会議がございまして、その場におきましてポリシーステートメントというものが採択になったわけでございます。そのポリシーステートメントにおきましても、債務・環境スワップの方法というのは、今後の地球環境問題解決のための資金メカニズムの一つとして有効なものという位置づけがなされておるわけでございまして、私どもそういうものとしてとらえておるわけでございます。私どもも関心を持っておりまして、アメリカ等のNGOといろいろな話を聞く機会を持っておるわけでございます。他方、今のODAのスキームということを申し上げますと、私どものODAのスキームの中では、例えば日本のNGOに直接支援をするというスキームもございます。それからまた当然相手国政府にODAを供与するというスキームもあるわけでございますけれども、いずれも基本といたしますのは、やはり具体的な事業がございまして、それに対してNGOの場合には補助を与える、あるいはODAの場合には資金、技術を供与する、そういう仕組みになっておりまして、今の既存のメカニズムで考えますと、なかなか難しい面があるというのが正直なところでございます。
ただし、途上国が例えば環境基金のもとで特定の事業をやるといった場合に、そういった事業についてODAで、既存のメカニズムで、例えば無償資金協力をやるとか、あるいは技術協力をするとか、そういうやり方は私どもは検討可能だと思います。特に、環境基金の場合には、当然現地国の内価と申しますか、現地国通貨でございますから、やはり外貨で買わなければならない機材とか、そういうものが必要になってくるわけでございまして、そういう部分におきましてODAを使って、いわばパラレルといいましょうか、途上国と一緒になって、二国間のODAを使って協力ができる、そういうことができるのではないかということを私どもは考えております。何分新しい制度でもございますので、私どもとしても少し制度自体を勉強させていただきたいと思っております。
○江田分科員 今の御説明、お答え、実は二つの点が入っておりまして、私の質問があるいは悪かったのかもしれませんが、分けて質問するつもりだったんです。一つは、日本のODA予算を活用して債務国の債務を買い取るという、そちらにODAが使えないか。これを例えば国際的NGOなんかに出すとか、日本のNGOでやるとか、それからそのNGOが途上国でいろんなプロジェクトと関係を持って、これを実施していくというようなことになるのでしょうが、もう一つは、途上国がスワップによって義務を負うといいますか、施行することになる環境保護のさまざまなプロジェクトに対してODA予算を出していく。それがスワップによって生まれたプロジェクトに対してODA、予算を出していくということができるのかどうか、ちょっとかなり複雑ですが、これは別の問題ですよね。その二つの問題を実は伺おうと、――二番目の問題についてもお答えをいただいてしまったわけですが、いろんなやり方がある。
私はもう一つ、今デット・フォー・ネーチャー・スワップは民間の金融機関が持っている債権のみを対象と考えているということですが、これも国その他公的な機関の持っておる債権についても活用していいのではないだろうか。それをやると、まじめに払っている国と怠けている国との間での不公平が起きてくるとかいろんな難しい問題もあると思いますが、そこに一つ、例えばUNEPなどの国際機関に入っていただいて、そしてそこでの調整で、いろんな公的機関の債権についてもスワップの対象にするということも考えられるかな。とにかく賢人会議でいろいろ考えていただかなきゃならぬわけで、こちらもない知恵を絞って考えているんで、当たるも八卦かどうかわかりませんが、ぜひそういうことも考えていただきたい。これは大蔵省関係のことかもしれませんので、ちょっときょうここで質問ということにはいたしませんが、先ほどの日本のODA資金を途上国のプロジェクトに、スワップでやることになったプロジェクトに対して出していくということについては、それは十分そうしたことは検討に値するということでございます。
さきのGLOBEの会議で、私はそのやり方、日本のODAと債務国とそれから債権を買い取るNGO、そういうものとの間に三角関係、トライアングルができるわけで、環境スワップ・トライアングル、そういう提案をいたしまして、これは今後研究していくということがGLOBEのアクション・ジェンダで採択をされておりました。ぜひひとつ積極的に検討していただきたい。スワップというのがインフレの心配があるのだというようなこともあって、そんなこととの関連でもこういう方法があるいは意味があるかなという気がしております。外務省の方からもお答えいただきましたが、今の環境スワップ・トライアングルについて環境庁はいかがですか。
○加藤説明員 先ほども申し上げましたように、環境スワップといいますのは一つの非常に有効な方法だということでございますが、最初に行われてからまだ五年程度しかたっていないいわば新しい制度でございます。したがって、まだまだいろいろなことが考えられますし、いろいろな工夫もし得るというふうに思っております。
私どもといたしましては、今先生が御提案になった象につきましても、その有効性といったようなことにつきまして十分に検討してまいりたいというふうに思っております。
○江田分科員 外務省にもう一つ伺っておきたいと思います。
昨年四月に当時の海部内閣総理大臣がいわゆるODA四原則というものを表明された。これは援助対象国の軍事支出、武器の製造、輸出、市場経済と人権、民主主義などの状況、そういうものを考慮してODAを実施していく、そういう原則ですが、私はこれは画期的な意思表示だったと高く評価をしているわけです。
ところが一つ残念なのは、このODAの原則の中に環境保全という原則が入っていない。私は軍事支出、武器の製造、輸出、市場経済とか人権、民主主義、そして五つ目に環境原則というものを入れてODA五原則にするべきだと思います。今ODAについていろいろと批判が出ておりまして、それはODAというものがいけないというのじゃなくて、ODAはいい、いいと言われるけれども、実は、こういう醜い面、こういう悲しい面、いろいろあるのですよ。それをひとつ注意してほしいということなのですが、そうした中に、ODAで開発をする、しかしその開発が環境を害するということになっている事例があるじゃないかということも言われているわけで、ぜひ環境原則も含めていただきたいと思いますが、いかがですか。
○中村国務大臣 ODAに環境原則を含めるということでありますが、この間、実はODAの関係閣僚会議が開かれまして、そこでもすべてのODAに持続可能な開発という理念を織り込まなければいけないということを私の方から発言をさせていただきました。そして二つあると思うのですね。一つは、すべてのODAにそうした理念を入れていくということと、環境をその目的とするODAと二つあるわけですね。そこで、非常に難しい問題があるのですが、今までのODAのやり方というのは、主に要求ベース、頼まれてやるということが多かった。人道的なことだとか、自助努力をあれするとか、いろいろなことがありますけれども、こういう時代になって、UNCEDで発展途上国にやっていただかなければならないことはこういうことだということを決めて、枠組みをつくってやっていこうということになると、それでは済まなくなると思うのです。ところが先生おわかりのように、例えば脱硝装置をつけてくださいと言ったところが、そんなお金くれるなら橋つくってくださいと言う方がいるかもしれない。わかりませんよ、これは想像で申し上げるのですけれども。そういう中でやっていかなければいけないのですから、きのう実はGEFの事務局長とずっと話をしていたのですが、私と意見は同じでして、やはりUNEPなりなんなりの組織を強化して、きちっと発展途上国にやっていただきたいのはこういうことだ、そこをIDAでこうやって、GEFでどうやって、ODAでどうやるということをきちっと決めていかなければならないなということを話し合っていたわけでありまして、そういった枠組みをつくった中で日本はどうあるべきかということを考えていかなければいけない、そんなことを考えております。
○小島説明員 御指摘のとおり、援助、ODAを実施するに当たりまして、環境に与える影響というものを十分配慮するというのは非常に重要なことでございまして、私どもといたしましては、昨年発表しました四指針といいますか四原則、これと同様に重要な我が国の経済協力の基本方針というふうに考えております。この点については、□シドン・サミットでもあるいはアルシュ・サミットでも、この考え方に基づいて日本の考え方を申し述べたところでございまして、今後はガイドライン等さらに拡充いたしまして、この方針を十分に貫いていくということをやっていきたいと思っております。
○江田分科員 大変心強いお返事をいただきましてありがたいと思います。要請ベースだったということはそのとおりなのですが、しかし、今世界も新しい秩序に入ってきて、例えば四原則つくったのも、日本としては、戦争のないあるいは人権や民主主義が守られるそういう世界をつくりたい、そういう世界になっていきたいという一種のメッセージ、青写真に基づいて日本としての努力をしていくのだということのあらわれだと思いますので、そうしますと、環境問題はUNCEDで議論されるように、それぞれの主権国家が勝手なことをやっていいという時代はもう過ぎているわけですから、これは内政干渉とかいろいろあるだろうけれども、そこは息長く、粘り強く話し合いをしながら、みんなの了解、国際的コンセンサスをつくりながら、そうした環境原則というものもODAの中にぜひ含めていただきたいと思います。
最後に、環境アセスメント法について伺いたいのですが、ただいま申し上げたように、これも皆さん当然おわかりのことなのですが、地球環境を守っていくというのは、いや、自分のところは主権国家だから主権の行使に関する限り何をやっても勝手だというわけにいかない世界共通の課題だと思います。そして地球的規模の環境問題に関する懇談会、これはどこでおつくりになったのかちょっと後でお教えいただきたいと思いますが、環境庁長官が諮問する懇談会ですか、この中で、「個人、団体及び国家の一般的原則」というので、「国境を越える環境影響に対する責務」これは第一章の第四というところ、ここには「国境を越えて影響を及ぼすおそれのある活動の企画に際して、事前に、環境アセスメントを実施するとともに、速やかに関係国に情報を提供しなければならない。」日本がこういうことをすべきだということを建議されている、「国際的なルール化に努める必要がある。」こういうことも書いているわけですが、私は、そうだ、そのとおりだ、しかし同時に、国境を越える環境的影響を与えるようなプロジェクトについては環境アセスメントをやらなければいけない。
国内だって同じことだと思うのですね。環境アセスメント法、そういう環境に影響を与えるおそれのあるような大きなプロジェクドを実施するときには、必ず環境アセスメントをやりましょう。まずそれは原則ですよということを国内の場合にもやるべきだと思います。最近、橋本龍太郎前大蔵大臣を中心にして環境基本問題懇談会、これは自民党の中ですか、できたりして、そういうところでもいろいろな議論が行われているようで大変心強いことでございます。そして環境アセスメント法というのは、政府の中でもこれまでいろいろ議論になって、その都度、どうも残念ながら挫折をしてきた経過がありますが、ぜひ中村環境庁長官のもとで環境アセスメント法制定に向けての努力をお願いしたいと思うのですが、最後に長官にその決意を伺います。
○中村国務大臣 アセスメント法については、私は深い思いがございます。と申しますのは、今委員御指摘でしたけれども、政府の中で論議をされたと申されましたが、実は国会に提出をされました。それが廃案になったときの私は環境委員会の自民党の責任者であります。廃案になったその状況をよく知っております。当時は、簡単に言えば環境アセスメントをやることについての御理解がなかなか得られなかった、いろいろな御懸念が出てきた。これは自民党ばかりではありません。野党の一部の方からも御懸念があった。そこで理解が得られないままに審議未了、廃案ということになりました。でありますから、その後これを閣議決定のアセスメントということでやりまして、いろいろ地方自治体の方もそれなりの条例を設けられたり、いろいろやってまいりました。でありますから、私どもは、このアセスソントということがやはり国の中に定着するということ、そして円滑に実施されるということに力を注いできたわけでありまして、今やそのアセスメントというのは当然のこととして行われるようになってきた、御理解が得られてきた時代だと思います。
そこで、やはりこういったものの法制化というのはやらなきゃいけない問題だと思いますが、当時と状況が変わったのは、地球化時代の環境問題でありますから、サミットで地球憲章もつくられることになっております。何人も地球にいる人間は環境を守る義務があるんだというところから発しなきゃいけない。そこで国境を越えることもいろいろ出てこようと思いますし、それに対応して日本でもやはり環境基本法みたいなものをつくらなければいけない。そうした中に公害防止だとかアセスメントだとかいろいろなものがついていくという法体系を考えなければいけない。そういうことを今各種の諮問機関にも諮問しておりますし、私どもも勉強しておりますし、そうした法体系の全体を見直す中で、地球化時代の環境に対応できるような、そうした法制について努力をしてまいりたいと思っております。
○江田分科員 終わります。どうもありがとうでざいました。