1993/10/05

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衆院・予算委員会

○小澤(潔)委員 総理以下全大臣、御苦労さまでございます。
 私は、総理を拝見、拝聴させていただきまして、総理が初めて初陣を飾った参議院議員の選挙のときを思い出しております。走馬灯のごとくよみがえってまいりますが、あのとき、もう二十二、三年たちますか、私が都議会議員時代でありました。JRの立川、国立駅頭等々で、横綱の玉の海関も参ったことも記憶をいたしております。

 こういったわけで、その後知事になられ、そしてまた知事をやめられ、都知事選に出馬をするうわさも承っておりましたが、あれは出馬しなくて賢明であったと思います。そしてまた地方選に出られ、日本新党を名のり、現在の金的を射とめたのですから、立派であろうと思います。私も、お互いさま政治に志しておりますので、時には日本国を憂え、そしてまた愛し、世界平和をともに唱える者として、これからもお互いに頑張ってまいりたいと思います。

 そして、きのうも橋本政調会長が申し上げておりましたが、責任ある野党として、正しいものに対しては徹底的に、全面的に支持、御支援をしたいと思いますし、批判するものについても徹底的に批判をしてまいりたいと思っておりますので、よろしく御理解をいただきたいと思います。

 時間がありませんので、簡潔に申し上げて簡潔に答弁をいただき、本日は我が国の原子力政策に関する問題、特にプルトニウムについて質問をしてまいりたいと思います。

 私は、プルトニウム利用を中心として、我が国の原子力政策について総理並びに関係大臣に質問をいたしたいと思いますが、我が国の原子力利用は、既に原子力発電が総発電電力量の約三割を担っており、我が国の基軸エネルギーとして確立されていることは御案内のとおりであります。

 この原子力利用については、他の発電方式と比較をいたしまして、経済性にすぐれていることは言うまでもなく、供給の安定性にもすぐれております。また、既に四十六基にも達している我が国の原子力発電所は、極めて安定した運転実績を示しておるのが現状であります。この原子力発電を今後とも安定的に続けていくということは、エネルギー政策の極めて重要な課題であると思います。

 このための重要課題の一つがプルトニウム利用であります。ウランも輸入に頼っておる我が国にとっては、プルトニウムは国内で新たに生み出されるまさに準国産エネルギーとも言えるものであろうと思います。さらに、高速増殖炉によりましてこれを効率的に生成していくことで、現在約七十年程度とされておるウラン資源を一千年以上活用することが可能となるとも言われております。

 新エネルギーの開発もいろいろ言われており、その努力も必要かと思いますが、今の原子力発電に匹敵すべき経済性あるいは供給量を確保することは原理的に見でなかなか容易ではないこと、これは多くの専門家の指摘するところであります。

 このような現状において、プルトニウム利用はエネルギー資源に乏しい我が国といたしましては極めて現実的な政策であり、プルトニウムの利用の推進を図ることがこれまでの原子力政策の基本であると私は認識をいたしております。

 ところで、このプルトニウム利用については、国際的にさまざまな議論があることも事実であり、私も、昨年の十一月にブラジルで開催をされました環境と開発に関する列国議会同盟会議において、我が国のあかつき丸によるプルトニウム輸送に対する諸外国の懸念について、我が国の考え方を説明する機会を得たところであります。

 また、先般、かねてから注目をされておりました核不拡散政策を米国クリントン大統領は発表いたしましたが、その中で、西ヨーロッパ諸国と我が国の原子力計画におけるプルトニウム利用を従来どおり認めるとの方針が明らかにされたところであります。これは我が国のプルトニウム利用にとって歓迎すべき方向であり、このような時期に従来の政策を我が国としても維持することは極めて重要であろうと思います。

 さて、来年の四月には、将来のプルトニウム利用の本命である高速増殖炉の原型炉である「もんじゅ」が臨界を迎えようとしておりますが、私は、本年三月、福井県の現地を視察し、つぶさに見てまいりました。世界の最先端の技術開発に携わっている現場の士気の高さを感じたところであります。

 このような状況の中で、我が国がプルトニウム利用に今後どのように取り組むかということについては、内外の注目を集めているところであります。このようなことから、プルトニウムの利用の基本的な考え方について、総理並びに科学技術庁長官の答弁をお願いをいたします。簡潔にお願いをいたします。

○細川内閣総理大臣 原子力の長期安定的な供給を確保していくために核燃料サイクルを推進をしていくということは、おっしゃるように大変必要なことではないかと、私はそう思っております。ただ、安全性ということには十分留意をしていかなければなりませんでしょうし、また、そこに国民的な合意というものが必要であることは論をまたないところである、そう思っております。

○江田国務大臣 原子力発電についてはもう通暁をしておられる先生の今のお話、おおむねそのようなことだと思っております。

 エネルギー政策としてどういう政策を選択をするかというのは、これは産業や経済のあり方とか、あるいは生活の選択とか、あるいは資源や環境についての見方、あるいは二十一世紀の展望とか、いろんなものを総合的に勘案してなされるべきものであろうと思いますが、今回の政権交代というのはそういうことがテーマになって起きているわけじゃないんで、そこで私ども連立八党派は、国の基本重要政策についてはこれまでのものを継承するというそういう合意でスタートしているわけでございまして、エネルギー政策についても基本重要政策であることは言うまでもない。その中で電力というのが重要な役割を占めておる、その電力の中で原子力発電が重要な位置を占めておる、これも言うまでもないことであります。

 原子力発電については、これは原子力発電、我が国で成功してことしでちょうど三十年目ということになるようでありますが、昭和三十年に原子力基本法ができまして、これ、超党派で議員立法でできているんですね。で、初めての原子力委員会に有沢広巳先生も入ってスタートをしておりまして、もうそのスタートの当初から原子力委員会の原子力開発利用長期計画、最初はちょっと名前あるいは位置づけは違ったようでありますが、その中でプルトニウムというものは取り上げられているわけです。核燃料サイクルという考え方が取り上げられて今日に至っているわけでございますから、もちろん国民の中でこのプルトニウムに対して大変懸念もありますし、まだ確かに技術的にもいろいろ難しい問題もありますが、安全第一でこのプルトニウムというものを扱っていきたい。

 プルトニウムをこの燃料に用いることによって、ウランをさらにプルトニウムに転換して増殖をしていくという考え方、これも技術的にいろいろ越えなきゃならぬ難点がありますけれども、しかし、日本のような資源小国としては、やはり世界のためにも取り組むべき将来のオプションじゃないかと思っておりまして、頑張っていきたいと思います。


○若林委員 私は、実は異常気象、とりわけ冷害に伴う災害対策と、これからの農業、農政の問題を中心に御質問をさせていただくつもりでございます。

 しかし、今、小澤委員がやや心残りのようでございました。私も、かつて当院科学技術委員会で自民党理事を務めながらこの原子力問題にもかかわった経験がございます。そんな立場から、小澤委員の気持ちを外しながら、一、二確認をさせていただきたいと思います。

 原子力利用につきまして従来から賛成でない、あるいは非常に批判的な社会党の皆さん方を取り込んだ内閣ができるということで大変心配をしておりましたけれども、さきの特別国会の本会議におきます同僚町村議員の質問に対して、江田科学技術庁長官からかなり明確な御答弁をいただきましたし、ただいまも総理からも原子力の平和的なエネルギー利用について大変積極的な評価をいただいておりまして、ほっとしているところであります。

 社会党の皆さん方も、原子力発電については基本的には御理解をいただいておりますし、プルトニウム利用につきましても、その安全確保ということに慎重な姿勢を示しながらも、基本的に反対だということではなさそうでございますので、ややほっとしているところでございます。この安全確保というのは当然のことでありますし、さらには、このことが非平和的利用に供されるようなことは万々あってはならないという意味で、厳格な管現下においてこのプルトニウム利用を推進しなければならないと思います。

 しかし、いずれにしてもこの核燃料につきましては、これを効率的、効果的にエネルギー源として利用していくというそういう視点に立たなければ、我が国の長期的なエネルギーの安定確保はできないわけでございます。そういう意味ではこの核燃料のリサイクル、廃棄物処理ということは大変大切なことになります。

 そういう観点から、実はこの高レベル放射性廃棄物の処理問題ということにつきまして心配をしている一人でございます。大変に高レベルの放射性廃棄物は処理が面倒であります。非常に深い地層の中に処分を行うということを基本にしているわけでありますが、まだまだその有効な地層処分技術を確立するに至っていないということもございまして、どうしてもこういう研究開発は早急に進めていかなければならない。

 こういう観点から、政府は、動力炉・核燃料開発事業団の事業として北海道の幌延町に貯蔵工学センターを設けたいということでこの調査をさせてもらいたい、こんな希望を持っております。当然、国も予算措置を講じてこの貯蔵工学センター、研究施設の設置を進めているところでございます。原子力の開発利用に関しては大変重要なプログラムだと思います。

 そこで、江田長官にこの貯蔵工学センター計画の現状とこれからの進め方について一言お伺いしておきたいと思います。

○江田国務大臣 御質問のとおり、高レベル放射性廃棄物の処理というのは、これは原子力発電に取り組む以上どうしても避けて通れない、しかも非常に難しい課題でございます。トイレなきマンションなどと言われたりするわけですね。しかし、何とかこの処理問題を解決をしなきゃいけない。

 そこで、いろいろな方法があるようなんですけれども、宇宙の端の方に飛ばしてしまうとか海の底の方に沈めるとかいろいろあるようなんですが、我が国では原子力委員会の基本方針で原子力開発利用長期計画というものがありまして、その中で、そういう宇宙に飛ばすとかいう方法ではなくて、ガラス固化によって安定な形態として、三十年から五十年、これをまず貯蔵して冷やす、その後に地下数百メートルの深い地層に処分をするという、いわゆる地層処分をするという方針を示しているわけでございます。

 そこで、紀元二〇〇〇年を目安に実施主体をつくってやっていこう、今、貯蔵がこれから始まろうかという、あるいはちょっと始まったかというあたりのところでございますが、貯蔵工学センターという御質問のセンターは、そういう研究をやる施設ということでとりあえず計画をさしていただいているわけですが、北海道の幌延町にそれをつくりたいという願いを持っておりますが、しかし、いずれにしても原子力にかかわることですので、北海道及び地元の理解と協力がなければこれはできるものではないというので、今鋭意いろいろな話し合いを進めておる。

 あくまで研究センターでございますが、どうしても、そうしますと、ついに最終処理もそこへ来るんではないかというそういう御心配からなかなか理解を得られていないというのが現状のところでございますが、なお粘り強く話し合いをしていきたいし、同時に、その最終処分場については、これは幌延町というものが別に前提になっているわけじゃありません。六ケ所村も前提になっているわけじゃありません。どこも前提になっているわけではなくて、まだ白紙ですので、これからいよいよこの大難問題に取り組んでいかなければいけないというところでございます。



1993/10/05

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