1993/10/28

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衆院・政治改革に関する特別委員会

○武部委員 今度は、各党党首の立場にある各閣僚の皆さんにお尋ねしますが、中選挙区制をなぜ否定されたのか、そして小選挙区制導入の目指すところは何かということについて、それぞれお考えをお示しください。

○山花国務大臣 ただいま、中選挙区制を廃して小選挙区制を選択した理由はいかん、こう御質問いただきましたが、小選挙区比例代表併用制を選択した理由、こういうように受けとめるべきだと思っております。

 中選挙区制の問題につきましては、以前野党は、政治改革のテーマにつき、もちろん選挙制度だけではなく、政治倫理の問題、政治資金規正法の見直しの問題、そして腐敗防止のための諸施策の問題、そこで同時に選挙制度の問題も考える中で、中選挙区制のもとにおける定数是正を主張しておったことについては、御指摘のとおりでございます。そうしたかなり長い議論の経過を踏まえまして、全体、どれ一つというわけにはいかないというのが与野党の議論の一つの決着ではなかったか、こう承知しております。

 政治改革を一体として取り組んでいかなければならない、その場合には、腐敗防止とか政治資金の問題だけではなく、選挙制度についても取り組んでいかなければならない。こうした考え方の中で、海部内閣当時の政治改革のテーマについて、結局廃案となったということの後、かなりまた長い間与野党の協議が続いてまいりましたけれども、全体一体として改革していこう、こういう観点から、野党側も、社会党を含めて歩み寄ったところでございます。そうした中で併用制という提案をしてきた経過がございます。

 併用制ということにつきましては、小選挙区と比例代表との流れの中で、自民党側は小選挙区からスタートする、我々の方は比例代表からスタートする、こういうことの中で、一つ一つ歩み寄った中で、結論的には、国民の審判を重んじて最終的な態度を決定した、こういう経過でございます。

○羽田国務大臣 中選挙区制、この中で私ども、やはり政治の信頼を取り戻そうということのためにいろいろな改革をやったことは、もう御案内のとおりであります。

 しかし、そういうことをやってまいりましたけれども、なかなか、複数が選ばれるという制度というものはどうにも機能できないというような中で、やはり小選挙区というものを取り入れよう、そして国民の意思といいますかそういった多数の意見というものも反映できるような並立制も導入しようということで、まずやはり選挙制度をひとつ変えてみようという中から、私どもは、小選挙区、やはり政策と政策を本当にぶつけ合えるもの、あるいはいろいろな活動なんかにしても、個人がお金を集めて個人が後援会を組織するのではなくて、やはり政党が前面に出る、そういう中で、費用の面でもあるいは責任ある政治という面でも、私どもはこの小選挙区というのを導入する。そして、多くの意見も拾い上げましょう、反映しましょう、そういう中で比例も並立をしたということであります。

○大内国務大臣 結論的に申し上げますと、もちろん単純小選挙区ではなくて比例を加味した小選挙区制であることは御案内のとおりでございますが、それを導入することによりまして、民意の集約の比率を高めまして、それによって政権の安定度を向上させる。

 それは、前段の御質問にございました、政治改革の目的は何かということと関連いたしまして、やはり時の政権というのは、次々に起こってくる政治諸課題、政策諸課題を迅速かつ的確に処理しなければならない、そのためにはやはり相当な政権の安定度というものを図ることが必要になる、そういう意味から小選挙区制を導入する意味があった、こういうふうに考えております。

○武村国務大臣 中選挙区制という家が大分疲れてきた、雨漏りがするし、風が入るし、壁が壊れてきた。まあ、これはまだ改築していこうという議論もありますが、思い切って新しい選挙制度の家に建てかえようじゃないか、こんな感じで私は受けとめております。簡単に申し上げると、個人中心の政治や選挙の実態を反省して、やはり政策や政党中心のシステムに変えていこうということではないかと思っております。

○江田国務大臣 社会民主連合というのは小さな政党ですが、私が代表を務めておりますので、党の考え方をお答えいたします。

 制度というものは、どの制度もそれぞれ長所、短所があると思うのですね。ですから、中選挙区制度がもう制度として頭から悪い、そういうことはないと思うのですが、ただ、どんな制度でも、やはり長くすっと続けておりますと、そこにいろいろあかがたまってくる、どうにもうまく機能しなくなるということがある。

 中選挙区制度のもとでこれまでやってきて、利権の構造ができ上がったとかあるいは政権交代が起きないとか、まあ今回起きたわけですが、そういうようなことで、この中選挙区制度は、一言で言って制度疲労という言い方が当たっているかと思うのですが、そろそろ変えなければならぬところへ来た。この間の大変な政治の腐敗の中で、国民がもう政治家全部総取っかえしろというぐらいにまで政治に対して怒りをぶつけてきているわけです。ところが総取っかえといってもそうはいかないので、それならば国会議員をつくっている制度自体を変えてしまって、総取っかえの気分でひとつ新しいスタートをすべきじゃないか、そういう意味で選挙制度を変えてみようということを思い立った。

 どういう変え方がいいかですが、これはやはり合意ができるものでなきゃいけないんで、私どもは併用制がいいという主張をしたことがありますが、しかし今回この並立制で連立与党の合意ができて政府案が出されたわけですから、野党の皆さんもひとつぜひ御理解いただいてこの案で選挙制度の改正をやりたいと思っているところでございます。

1993/10/28

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