1994/01/05 |
○川橋幸子君 正解でございます。 この数字は先ごろ公表されました総理府の婦人問題担当室が事務局になっております「女性の現状と施策」という本でございます。いわゆる通称女性白書と言われるものでございます。ここの発行元は婦人問題担当大臣であり、かつ官房長官を兼ねられていらっしゃる武村官房長官でいらっしゃいます。 そこで、女性の政治への参加、今、日本はそういう意味では非常にパーセンテージが低いわけでございます。具体的に二・七%と山花大臣からお答えいただきました数字が国際的に見ましてどの程度の水準かを、ちょっとくどいようですが、御説明させていただきますと、百四十六カ国中の百二十八位でございます。下から数えた方が早い、そうしたランキングにあるわけでございます。 こういう本も、婦人問題担当大臣でいらっしゃる武村長官は御存じじゃないかと思います。「月刊婦人展望」という月刊誌でございます。発行元は市川房枝記念会。クリーンな政治、お金のかからない政治を目指して生涯をそこにかげられました市川房枝さんを記念いたしまして、女性たちが今も脈々と発行しておる「月刊婦人展望」でございます。 この中の分析にこの二・七%に関係する部分の記述がございます。これは、市川記念会独自の記述というよりも、列国議会同盟、IPUと申しますけれども、列国議会同盟が収集いたしました各国のデータをそろえて、その中で紹介されている言葉でございます。例えば、「女性議員に対する偏見がまだ根強いので、政党は小選挙区に女性候補を擁立したがらない」、あるいは「政治システムの中で女性の進出を阻んでいるのは選挙制度ではなく政党である」、こういうコメント、客観的な記述でございます。 そう思いますと、私自身も、やはり今回の小選挙区導入に当たって女性たちの懸念というものはかなり当たる、該当性の高いような懸念ではないかと思うわけでございます。 ついては、我が国におきましても各政党が女性に立候補の機会を確保できるように、そういう配慮をしていただけないものか、お並びの各党を代表する方々に順次お答えいただきたいと思いますが、まず初めに、政府の立場とさきがけの党首のお立場、両方を二重大格で武村官房長官からトップバッターでお答えいただきたいと思います。 ○国務大臣(武村正義君) 中国には、天の半分は女性が支えているという言葉があるようでございます。我が日本の国会は、今、山花大臣からお答えがありましたように、二・数%、衆参入れて六・数%という大変低いシェアにとどまっております。 選挙が大変過酷でありますし、政治の世界が国民の一般常識から見ますと何か特異な世界のように映っているのが原因の一つかもしれません。今日までの政治であれば、多くの女性の皆さんがその世界に入っていくことを忌避されるのがむしろある種常識的であり健全であったというふうにも言えるのかもしれませんが、そういう政治ではいけないということで、こうして政治改革法案の審議をいただいているところでございます。 我が国の政治を大きく変えることによって、女性の皆さんが大きく国会に進出いただけるように目指していかなければいけないと思っております。女性の皆さんがどんどん数がふえてくれば、問われております国会運営ももう少し国民にわかりやすい常識的な姿に変わっていくのではないかというふうに思っております。 ○川橋幸子君 さきがけの方針を。 ○国務大臣(武村正義君) さきがけとしましても、まだ出発したばかりのほやほやの小さな政党でございますが、次の選挙ではぜひたくさんの女性候補を立てたいと思っておりますので、ぜひまた、立場は違いましても御紹介その他お願いをいたしたいと思うのであります。 ○国務大臣(羽田孜君) やっぱり世の中というのが質の高い生活、こういうものを求めるようになってきたということ、また多様な価値、これを求めるようになってきたという時代じゃなかろうかと思います。 そういうときに、民間では管理ですとかあるいは開発、また広報、そしてトラック会社みたいな現場、それから建設現場、こういったところにもどんどん女性が進出していること、それから今度のボランティア活動でも、UNTACなんかでも、実は危険な場所に私たちは行きたいと言った女性の方がたくさんおられたそうで、明石さんがびっくりしたことがあります。 私はそんなことを感じたものですから、数年前から、かつて自民党にいたころでございますけれども、衆議院には一人もおりませんでしたものですから私ども実は候補者を立てたのでありますけれども、残念ですけれども落選してしまったということでありました。そして、前回のときは数人に当たったんですけれども、何しろ十三日間しかなかったということのために一人しか立てられず、しかもその方は落選してしまったということであります。そして現在私どものところに何人かの方の申し出があるということでありまして、そういった皆さん方が本当に戦えるかどうかということを見ております。 過去の選挙の場合によれば、先ほど政党とかあるいは制度というものじゃないというお話があったわけですけれども、ただ、私どもこうやって見ておりますと、今までの選挙というのはやっぱり衆議院の場合には個人だったですね。例えば自民党みたいな大きな政党になりますと、党に頼るというよりは個人のその地方における力というものが割合と大きく幅をきかせておったと思います。 今度選挙制度が変わりますと、党としてやっぱり多様な時代に女性がどうしても必要だということが明確になってくる。そういう中で、これから私どもとしても積極的に有能な女性を探すことが必要であろう、よその国の場合には首相も議長も女性という国がたくさんあることを我々は知らなきゃいけないというふうに思っております。 ○国務大臣(山花貞夫君) 委員長の経験者としての立場で、承知しているところをお話しさせていただきます。 社会党の場合には、もちろん政治だけではなくすべての社会の分野に女性の進出を、そして決定への参加ということについてはかなり努力を尽くしてきていると思っています。さっき衆議院は二・七%ということでしたが、参議院におきましても全体一五%、そのうち社会党の女性議員が十八名で二五%を占めているということが比率を上げているんじゃなかろうかと思いますし、党の決定機関につきましても、委員長経験者、副委員長経験者等々についてはこれまで一番最初に実現をしてきた、こういうように承知をしております。 また、これからの選挙に臨んでは、選挙の形がどうあれ、そうした意味において従来の方針を継承し、従来からの党の方針であった女性と市民と労働者、勤労者をもって三本柱で党をつくる、そうした方向の中で、とりわけ女性候補の発掘につきましては財政的な特別措置についても従来から継続して行ってきているところでありまして、これから開かれる大会でもそのことは承継されるものと承知をしているところでございます。 ○国務大臣(石田幸四郎君) お答えを申し上げます。 先ほど来もう既にお話が出ておるわけでございますけれども、女性の立場から国政に参加をするのは当然のことでございますし、最近の傾向を見ておりましても、もう地方議会を初めとして女性の進出は少しずつ拡大をされているというふうに承知をいたしておるところでございます。 私ども、衆議院の方には二人というような状況でございまして、今回選挙制度がもし変わるといたしまして、女性の候補を擁立するというのはまだ必ずしもそう楽観を許さない。やはりこれも地域の代表というような性格がありますので、その地域の中で活躍している女性、そういった方々に出ていただくよう努力をしなきゃならないと思っております。 ただ、公明党全体としましては、今約三千三百二十四名の議員がおるのでございますが、ここのところ徐々にふえておりまして、二百四十九名の女性の地方議員ということになっております。これは七%ぐらいでございます。最近の傾向を見ましても三人の地方議員候補の中で一人は女性というような傾向になっておりますので、そういう全体の傾向を育てながら国会にもどんどん出ていただくようにいたしてまいりたいと存じております。 ○国務大臣(大内啓伍君) お答えいたします。 党の委員長といたしましては、いつも苦労するのが衆参の選挙での女性の候補者の擁立という問題でございます。その女性の御本人自身に相当の集票能力があるか、あるいはない場合には組織力によってカバーできるか、また御主人等の同意が得られるか、いろいろな問題がございまして、実は私どもの場合は、衆議院におきましては十九名中一名、つまり五%弱というところでございます。 しかし、今、結婚されている女性の五割以上が社会的に進出しているということを一つ考えますと、また他方、国際的に見ましてイギリスの場合は九・二%、アメリカの場合は一〇・八%、ドイツの場合は二〇・五%がそれぞれ下院に女性の議員が進出しておられまして、フィンランドの場合は三九%ということを考えますと、先ほど御指摘いただきました二・七%というものは余りにも低いわけでございます。 女性あっての男性、女性あっての社会ということを考えますときに、女性がもっと国会に進出されればこのような事態もあるいは解消されるのではないかと思っているのでございまして、そうした困難はございますけれども、何とかして女性が国会に数多く進出するように私どもとして努力したいと思っております。今度の小選挙区制の場合は新人とか女性にとっては実は非常に難しい選挙制度になるかもしれないだけに、私どもとしては、自覚をいたしまして意識的に女性候補の擁立のために努力をさせていただきたいと思っている次第でございます。 ○国務大臣(江田五月君) 女性の社会参加の必要性というのは、これはもう皆さんお話もございましたし、川橋委員からもお話がございましたとおりで、私も全く同感でございます。 これまでの追いつき追い越せ型の日本の社会をそろそろ大きく変えていかなきゃならぬ。今までは一歩家から外へ出るともう百人の敵がいるというので、そこは男でなきゃやっていけない。男は外でもうくたくたになって、家へ帰ったら家庭のことは女性任せ。そうじゃなくて、やはり社会も女性が参加をしていく、家庭も男性も参加をする、こういうことに変わっていかなきゃいけないわけで、そういう社会や経済のあり方を大きく変えようと思うと、政治の場にも女性が大きく参加をしてきていただかなきゃならぬことは当然だと思うんですね。 今、提案をしております政治改革法案が通りましたら女性はかえって出にくくなるんじゃないかというそんな心配をお持ちの方もおられるようで、この間私も福島瑞穂さんとちょっとトークをやる機会がありまして随分やっつけられたんですが、しかし、私はこれは逆じゃないのかなという気がしております。 今までの中選挙区制度で本当に女性が出やすかったかというと、実はそうじゃないですね。 今までの中選挙区制度というのはどうかというと、例えば旧与党、自民党の場合ですと、地域にずっと根を張った利権構造が各種行政規制と結びついてでき上がっていて、具体的な形としてはこれが後援会組織になっている、それがいろんな企業その他のいわゆる生産者サイドの人間の活動と結びついている、そこの上の方へ上る人間が候補者になってくるという構造ですから、ですからこういうものをそのままにしておいて中選挙区制度の中で女性が出てくるというのは非常に難しい。消費者、生活者を軽視する、そういう選挙の仕組みになっている。 旧野党の方で見ましても、支持の仕組みが組織という形で構造化して、その組織のいろんな役職を担った者でなければなかなか出られないということになって、これはやはり女性が非常になりにくいということになっております。 そういう選挙の仕組みででき上がっている政党ですから、どうしても政党というのは通りやすい候補を擁立してくるということで女性がなかなか出にくい、金も非常にかかると。そこで、そういう選挙の仕組み自体を変えて、もっといろんな人がどんどん出られる、そういう仕組みにしていこうということであると私は思います。 ただ、新しい選挙の仕組みにしたらすぐに女性が出やすくなるか、すぐに生活者が出やすくなるか、これはそう簡単にいかないんで、やはり私は、選挙の構造を変えることによって選挙文化も変えていく、あるいは政党も変えていく、こういうことが必要だろうと思います。 私たち社会民主連合は小さな政党で、女性の登用を努力しましたが、実際難しいです。例えばおととしの参議院の選挙でも比例代表九人中三名を女性にしてみたんですが、一人も通らなかったということもございました。これから政党が大きく変わって再編成で新しい選挙の仕組みにふさわしい新しい政党ができていくと思いますが、その中では必ず女性を登用する、そういう仕組みを政党の中につくり上げていきたい。例えばアファーマティブアクションなんというのが私はこれから必要なことだと思っております。女性の味方に徹して頑張っていきたいと思います。 ○国務大臣(細川護煕君) 今度の選挙制度、御提案しておりますこの政治改革法案でございますが、この法案が成立をしたならば女性が出にくくなるのではないかということでございますが、政党本位、政策本位の選挙を実現していこうということでございますから、かえって今までよりも女性の進出ができるようになるのではないか、また、できるように各党それぞれに努力をしていくことができるのではないかというふうに私は思っております。また、できるようにしていかなければならないと思っております。 今までは、今各大臣からお話がございましたように、個人本位の利益誘導型のどろどろした選挙が行われてまいりましたために、女性の方々が政治に対して忌避感、嫌悪感を持たれて、特に衆議院の選挙などには御免こうむりたいというお気持ちが強かったのではないかと思いますが、今度の選挙制度の改正によって、先ほども申し上げましたように、政策本位、政党本位ということになっていけばその点は随分変わってくるのではないかというのが私の感じでございます。 私ども日本新党におきましては、さきの参議院の選挙のときからクオータ制というものを導入いたしまして、どちらかの性の一方が二〇%を切ってはならないということで、党の役員あるいは党の中の委員会等の構成はそのようになっております。また、二〇〇〇年を目標にそれを四〇%にしようということを目指しているわけでございまして、それなりに努力をいたしておりますが、参議院の選挙のときには候補者もその二〇%という目標に達することができたのですが、衆議院の選挙に際しましてはなかなか候補者として名のり出ていただける方が少なくて、先ほどもちょっと申し上げましたように、今のこの政治の世界に飛び込んでいくのはどうも気が進まないと、やっぱりそう思っていらっしゃる方が多いということを改めて感じた次第でございます。女性の政治への参加が今後進んでまいりますように、制度の面からもできる限りの政府としての努力をしてまいりたいと思っております。 |
1994/01/05 |