1996/02/28 |
○江田委員 予算委員会に、何度もこの席に立ちまして、どうもしつこいと思われるかもしれませんが、私の方もいささか同じテーマの繰り返しで大変ですが、しかし、余計なことを言う人もおるようですが、なおしつこくいろいろなことをただしていきたいと思います。 住専処理の関係のことにまた絞らせていただきたいんですが、冷静になって、静かに考えてみまして、一体本当のところどこが問題なのかということをじっと考えてきまして、私は、民事紛争というものの処理の方法は大きく分ければ二つあるんだ。 一つは、民事の紛争ですから、私人間のことですから、農林中金の角道さんの日経に載っている言い方で言えば、「住宅金融専門会社問題は本来、当事者間で解決すべきだが、合意に達することができず、国民の皆様に大変ご迷惑をかけた」、こういう書き出しからいっているわけで、当事者間のことですから、当事者が互譲の精神で、債権債務関係それぞれ譲り合って合意をして、それで、取れるものは取る、取れないものはあきらめる、ぎりぎりの譲歩をしていく、こういうことで解決するというのは一つの方法なんですね。これをまあ私的整理と言っていいかもしれません。これは交通事故で損害賠償請求をするというような場合にもありますし、あるいは会社が破綻状態に陥った、そういうときの整理の方法でも私的整理というのはある。当然これはあるわけですね。 もう一つは、そういうことができない、当事者間の合意で譲り合ってということができない、そこで、既存の法律によって用意されたいろいろな紛争処理の方法がある。紛争解決の方法がある。一番の基本は訴訟ですね。訴訟だけじゃありません、ほかにもいろいろな用意された方法がある。これにのっとって処理をしていく、解決をしていく。 これはもう無理やり解決、最後は強制執行で、それでも取れる場合もあるし、取れない場合もあるし、取れなければ取れないで、最後は判決というものが単なる紙切れになってしまうということもあるわけですけれども、そこでとにかく解決をしてしまう。法的処理ということになろうかと思うんですね。この法的処理の場合も、もちろん債権者、債務者一人ずつという場合もあるし、大勢の当事者がかかわっている場合もある。 私は、民事の紛争というのは、基本的には、関係者の中のことだから私的自治というものは一番大切にされるべきことで、まあ昔、裁判官をやっていたときにも、なるべく和解で解決した方がいい。判決をとって強制執行までいって、執行の中でいろいろ異議が出てきたりしていくとこれは大変ですし、どっちみち判決での解決というのは最後の納得ということにはなりませんし、恨みつらみを買う場合もあるし、合意の方がいい。しかし、それができないときには、それは法的にということはあると思うんです。 今回の政府のお出しの住専処理のこの方法は、これは基本的には私的整理ではありませんか。関係する皆さんがお互いにぎりぎりの互譲の精神で合意をつくってそれで解決をするという、基本的には私的整理だと思いますが、大蔵大臣、その認識はいかがですか。 ○西村政府委員 国家の全体の考え方といたしましては、江田委員御指摘のような考え方で取り組んだと考えております。 ○江田委員 大臣、それでもちろんよろしいですよね。局長の答えていることだから大臣がいいと言うのも変ですが、もちろん大臣の意を体して局長が今答えられたということで、同じ認識でよろしいですか。 ○久保国務大臣 よろしいと思います。 ○江田委員 そこで、やはり問題はそこなのじゃないかなと。 つまり、住専にかかわる、住専という一つの、何というのですか、紛争というのですか問題というのですか、この問題にかかわって債権債務をいろいろと持っている皆さんが、その中で話し合いをして、ぎりぎりの互譲の精神の合意をつくって、そして解決をする。それをいろいろ、例えば預金者の保護のことではこうするとか、あるいは系統の組織がいろいろ困難に逢着する、それを何とか助けるとか、それはいいのですけれども、国はその住専問題に債権債務を持ってかかわっていないんですよね。 ところが、まあ五十億は別としましょう、六千八百億、国は、その債権回収がどうしてもできないところは損失として甘んじて受けとめる、そういう当事者の合意の中に六千八百五十億円を穴埋めとしてつぎ込むというのですね。なぜ一体、国がそういう私的整理の中で負担というものを負わなければいけないのか。いかがですか。 ○久保国務大臣 今あなたが言われるように、そういう民間の当事者間の債権債務の問題であることはそのとおりだと思います。 ただ、その民間の債権債務の関係で起こっております、住専に象徴的にあらわれて、そして長い経緯を持っておりますこの住専問題の不良債権の処理ということに、政府がかかわらなければこの問題は日本の金融問題に大変深刻な影響を及ぼすということが明確な場合、これに政府がかかわることはやむを得ないことだと思っております。 〔三野委員長代理退席、委員長着席〕 ○江田委員 いや、そのあたりなんですよね。 住専のこの紛争が下手をすると金融不安を引き起こしてしまう、あるいは上手に処理しないとと言いたければそう言ってもいいのですけれども、いずれにしても処理をしないと金融不安を起こしてしまうと。さて、本当に金融不安を起こすようなことになるのかな、これも実は私は疑問に思っているのですけれども、そこは水かけ論になるかもしれません、見解の違いになるかもしれません。 しかし、金融不安ということになるとして、ではその金融不安になる状況を除去するためにいろいろなかかわり方をすればいいじゃないですか。例えば、預金保険機構、貯金保険機構に対する手当てで信用については心配ない、そういう宣言を例えば大蔵大臣がきっちりなさるとか、いやいや、それはそんな預金保険機構などという大きなことじゃないので、信用不安というのはせいぜい農林系のことですよと。まああってもせいぜいそのくらいなことかという気もしますが、それならそういう農林系の金融機関の再編とか改革のために国がちゃんと支援をする、そういうことをすればいいので、なぜ関係する債権債務を負っている当事者の互譲の話し合いの解決の中に国が六千八百億円穴埋めをする当事者として入らなければいけないのかというのは、今の大蔵大臣の説明でも私はわからないのですが、もう一度答えてみてください。 ○久保国務大臣 きょう午前中に、あなたの党の方の御質問の中に、新進党の「住専問題に関する基本方針」についてどう思うかという御質問がございました。 私もこの基本方針を読ませていただきましたが、今、江田さんがおっしゃるようなお立場から、国家行政組織法三条による行政委員会としての日本版RTCを設立して、この問題の処理に公的な関与をするということが述べられておりますね。そのことにおいては、やはりこの問題のもたらす我が国の経済や金融に関する影響というものを非常に重視されての御判断ではないかなと私は思っております。 ○江田委員 私どもの案をお読みいただいて大変ありがたいと思っておりますが、正確な御理解をいただくにはいろいろな説明も必要なのではないかと思いますけれども、私たちは、この住専の問題は私的整理でやる筋のものではないと、国が入ってですよ。当事者だけで私的整理でできるならいいのですけれども、そうではなくて、それができないというのだったら、国がこの債務を負担して私的整理の中に入る、それはやはり筋が違うじゃないか。当事者の単なる互譲と合意だけで国が入らずにちゃんとやれないというのなら、それは法的処理で、つまり普通の民間の私人間の紛争の場合と同じことで法的処理でやるべきではないか。 だから、国は六千八百五十億円のこの予算は削除をして、そういうものは使わずに、それがこの私たちの対案、「平成八年度予算案に計上している六千八百五十億円の住専関係予算を削除する。」というところです。国はそういう私人間の債権債務関係の整理のときの穴埋めの資金を出すようなことはしない、そういうことです。 そして次に、そうやる以上は、今までの政府のスキーム、つまり国が持ち出して穴埋めで解決をするというやり方ではなくて、「住専問題の解決については、市場原理に基づく自己責任の大原則により国民に開かれた状況の中で行う。」こう言っているわけで、だから、今の政府の案ではなくて、ちゃんと既存の用意されている法的処理のシステムの中で行う。 だけれども、その既存の法的処理のシステムについては、これは政府の方も何か、住専以外のいろいろな今後起こってくる金融機関の破綻状態を乗り越えていくための方策として、これから法案を、どこまで用意されているのか知りませんが、用意されているわけでしょう。三法案用意されているわけですね。 そういう中で、例えば金融機関の破綻の解決のためには、あれは国にでしょうか、会社更生の申し立て権も与えるとか、そういうようなこともおやりになっているわけですから、そういうことはそれはいいでしょう。そこへ金を使うというのは、当事者間の債権債務の整理に国がお金を持ち出して穴埋めするという話ではないわけですからね。 ですから私たちはそこで、三項目めで、「国家行政組織法第三条による行政委員会として不良債権処理公社(日本版RTC)」、これを設立をする。 これは何をやるのか。皆さんのように住専からここへ債権を移して、いわば取り立て屋さんになって取り立てに行くのではないのです。そうではなくて、これはちゃんと既存のシステムの中で、金融機関等の破産あるいは更生手続の申し立て権をそこの機関に付与する。それで、既存のシステムの中でやるのだけれども、この日本版RTCが管財人の役割を果たしますよと、管財人の機能を付与する。さらにもっと言えば、いろいろな民事、刑事の責任追及がありますから、刑事訴追権を付与する。そうやって、「民事・刑事上の責任追及及び債権回収に全力を上げる環境を整備する。」 全然違うのですよ、これは考え方が。どこが違うか、もし十分おわかりにならなかったら、わからないと言ってくれればまた説明しますけれども。 ○久保国務大臣 あなたのお父さんは、私の政治の上での師匠でございました。今、あなたの御発言を聞きながら、あの一乗寺でお別れしたときのことを思い出して、もしお父さんならそういうことを言われたかなと私は思うのでございます。 それで、私が言っているのは、民のことは民に任せよ、こうおっしゃるから、RTCをつくってやらなければならぬ非常に重大な問題だということにおいては、やはりこの住専問題をこのまま放置できない、これは公的関与によってこの問題は早期に処理しなければ大変なことになるぞという認識においては、同じ認識にお立ちになっているから、ここに日本版RTCをつくれということを提案されているのじゃありませんかということを私は伺っておるのであります。 ○江田委員 どうも父のことまでお話しになられますと、ついつい追及の矛先が鈍って、これはまことに申しわけないことなんですが、しかし、やはりこれはそういう話ではなくて、きっちり論理の問題として考えていきたいと思うのです。 私たちは、住専問題は問題じゃないなどと思っているのじゃないのです。それは今、バブル崩壊で日本の金融システムも確かに大きな壁に突き当たってきているし、世界からの目ももちろんありますし、それはちゃんとした解決をしなければならぬ、早期に。それは同じ思いなので、そういう意味で皆さんを何かかたきと思っているわけでもないし、何でもないのです、そこは。一緒に今のこの日本なり国民なりが抱えている事態について苦労している、そういう思いは、それは大臣、ひとつ共有しておきたいと思うのです。 それでも私は、さっきちょっと、民事の紛争というのはお互い当事者が互譲で、和解で解決するのがそれは一番いいのだと、私的整理。互譲の、和解のと言うと言葉はいいのですが、悪い言葉で言えばそれは談合なのですよ。 さて、今、国はその談合のスキームの中に入るのがいいのか。それとも、そうじゃなくて、当事者間でちゃんと完全な合意までできないのなら、これは透明な、だれにでも説明がきっちりつく、そして権利義務関係もはっきりする申し立てというものがあり、それに対して判断もちゃんとやる、そういう法的処理でやる以外にないので、民事の紛争というものが存在をしていることというのは、これは社会的なロスなんです。それはそうなんです。ですから、民事の紛争を解決するということは社会的な営みなんです。公益性のある営みなんです。だから裁判所はあるのです。 まあ、民事訴訟法の何か哲学というのも昔々習ったので、あれは何であるかというのはなかなかややこしい議論なんですが、だけれども私はそう理解しているので、民事の紛争が存在することは社会的なロスで、それを解決することは社会的な利益だから国が裁判の制度を用意しているのです。今そういうものがあるのです。それは訴訟の手続もあり、強制執行もあり、あるいは倒産関係のいろいろな法律もあるし、そういうところで、どうにもならない紛争でも無理やりにでも処理するというシステムはちゃんとできているのですね。 そのシステムを使うことは、これは社会的に意味あることだし、公的利益にかなうことだし、そこで、こういう住専というような問題の解決に当たって、法的処理をスムーズに行うために国がこういう日本版RTCというものを設立して、そこにいろいろな権限を付与しよう、こう言っているわけですから、基本の考えが違うのですね。法律の筋をちゃんと通していくのか、それとも談合で事を進めるのか。 ちなみに、私たちの案をさらにもうちょっと、あと三項目ありますので説明しておきますと、四項目めは、これは今までの議論で、この住専の経営破綻に至った経過の中でだれが責任があるんだ。大体、母体行というのが自分の子会社として住専をつくったのじゃないか。経営にも大いに、大いにといいますか完全に関与したのじゃないか。そして、あるときには、いや、農林系さん、ちょっとここで引き揚げないでくださいなどということを、まあこれは大蔵省かもしれませんが、やって、今日まで来た。 だから、「母体行は住専の経営破綻に至った経緯に鑑み、最大限の責任を果たすべきである。」これが私たちの議論だし、今多くの皆さんがそうおっしゃっていることだろうと思いますけれども、銀行の場合には、一つの銀行が、ある場所では母体行、ある場所では一般行、こうなっていますから、この母体行と言うときには、これは一般行も程度の差はあれそこに含んでおるわけですけれどもね。 五つ目に、農林系の金融機関がいろいろ困難に逢着する、それで農林系の皆さんが今非常に心配をしておられる。それは、農協のリストラ、改編、こういうものもこれからやっていただかなければならぬところにはあります。しかし、それはそれとして、ぶっつぶれてしまっては困りますので、「農林系統の金融機関の再建・改革については、国が別途全面的に支援する。」これは何か。農林系が債権に何か穴があいだがらそれを補てんするという、そういう趣旨ではなくて、もっと農林系がちゃんと立ち直っていくために、国は側面からの全面的な支援をすると。 そして最後に、金融不安ということも言われます、本当にどこまでかという。私は、大蔵省が、あるいは国が先頭に立って、やれ金融不安だ、金融不安だと不安をあおるようなことは厳に慎むべきことだと思います。 さはさりながら、この心配もあるかもしれませんので、アメリカがやった、幾らでしたか、二十兆円まず積んで、不安はないとやって、そしてその金融不安、取りつけ騒ぎなどを乗り越えていくということが、前車のわだちを踏まないといいますか、前の人の経験があるわけですから、「国民の預貯金については、国が全てを保証する。」と、預金保険機構、貯金保険機構に対する支援、こういう私どもの案というものをきのうお出しをいたしました。天下に問いました。 これはもちろん、まだまだ基本方針ですから、細かなところ、例えば今の日本版RTCの組織の骨格はどういうものであるのか、こんなことはこれから詰めていかなければいけませんが、大きな方向として今示した。 どうなんですかね、それでもなお国費を投ずるということで、RTCをつくるというのも、六千八百五十億円をこの穴埋めに使うというのも、基本は同じ思想だというふうにお感じになりますか。 ○久保国務大臣 いや、それは違うんですよ。私が同じだと言っているのは、結局、公的関与をやってもこの問題を早く解決しなければ重大なことになるぞという認識ではやっと一緒になったなと、私はこれで言っているのです、あの文書を見ながら。 しかし、違う点は……(発言する者あり)私が申し上げているのは、今までは、民のことは民に任せて法的処理でやれ、こういうことをずっとおっしゃられておりましたが、この「住専問題に関する基本方針」では「日本版RTCを設立して、」と。その内容はわかりませんけれども、そういうお考えになっていることは、そこまでは大体考え方が近づいてきたなということを私は申し上げたのであります。 しかし、このことは実際には、当事者間において合意がなければなかなか難しいことじゃありませんか。今、談合という言葉を言われておりますが、私は、談合ではなく、これは当事者が速やかな解決のために協議に応じて合意を得ようとしているものだと思っているのであります。 そして、この中には、「住専問題に関する基本方針」の一つの項目として「農林系統の金融機関の再建・改革については、国が別途全面的に支援する。」と書かれているのであります。これは「住専問題に関する基本方針」ですよ。だから、そのことを明確に私どもは読ませていただきますと、結局、破産処理によって、現在農協系統金融機関が負担を合意している金額を超える大きな金額になってくる場合には、非常に困難な状況が生まれるだろうということは、これは政府の側からも説明を申し上げているわけでありますが、その場合には「別途」、どういう別途かわかりませんけれども、「全面的に支援する。」となっているのであります。 そうすると、これは国費を投ずるという意味を含んでいるのか、全面的支援というのはどういう内容で、どのような基準で行われようとしているのか、私たちはぜひ教えていただきたいのであります。 それから、「母体行は住専の経営破綻に至った経緯に鑑み、最大限の責任を果たすべきである。」ということについては、私どもも同じような立場で御答弁を申し上げてまいりました。問題は、この「責任を果たす」ということに、負担金をさらに増額するというのであれば、どのような方法でその負担金を母体行に負担させることができるかということについて言及していただければ、大変私どもとしては参考になる意見であるな、こういうふうに思ったのであります。 また、最後に、「国民の預貯金については、国が全てを保証する。」ということをここへ記述されておりますけれども、すべてを保証する手段、それから「全て」とは元利か元本か、その辺のところもぜひ明らかにしていただければいいのではないかと私は思うのであります。(発言する者あり) ○上原委員長 お静かに願います。 ○江田委員 国会が単に追及と逃げの場ではなくて、こうやってやりとりの場になるというのは、それはそれでいいことだと思います。 しかし、今回私どもの案は、これは逃げで言うわけじゃありませんが、基本方針ですから、それは確かに細かなところまでと言われるとまだ詰まっていないところはあります、それは確かに、率直に言って。ですが……(発言する者あり)いや、そんなことはないんです、詰まるんです、ちゃんと。ですが、今は予算の審議ですから予算の審議の範囲で言っているんで、また法案の審議がこれからありますから、法案の審議のときにきっちりとしたものを出していきたいと思います。 今大臣は、民のことは民に任せて法的処理でと私たちが言っていると。これは私は、やはりねじれがあると思うのですね。むしろ政府の方が、私的整理で、民のことは民に任せて、民の合意で、しかしそこに国が公的に当事者として債務の穴埋めに六千八百五十億円を持っていくという。 私どもの方は、民のことを民に任せ切ると言っているんじゃないんだよ。法的処理で透明な、公正な、もうちゃんと法定された手続で解決すると言っているわけですから、民のことは民だけでやれと言っているんじゃない。紛争の解決は公的な意味があるわけだから、ちゃんと公的に、あるいは法的に関与をしていくと言っているんで、談合じゃないとおっしゃいますが、まあ私は談合だと思うんですね。 やはり今、例えば菅厚生大臣がせっかくああいう、もう官僚の土俵の上ででき上がったものに対してそれではだめだといって、国民の怒りを背景に大きな改革をしようとしているわけですから、私は、今本当にこの住専問題に対する国民の怒りを改革のエネルギー源にして、そして、申しわけないけれども、大蔵省がっくり上げた談合システムでなくて、もっと透明な、国民に説明できる方法で、政治家が決断して日本のこういうシステムを変える。過去五十年続いてきた、あるいは明治維新以来かもしれません、続いてきた日本のこの日本的なシステムを、もっともっと国際的に通用する、国民にもわかるシステムに変えていくという、本当にそういうチャンスなんだと、そう思っているんですが、これはまあ議論ですから。 さてそこで、次の質問に移りますが、私は、この予算委員会、これまで二回、ずっと一貫して民事、刑事の責任の追及ということを聞いてまいりました。 まあ刑事の責任については、これは追及にそんなに障害があるわけじゃありません。時効の壁というのはありますので、今一九九六年の二月の終わりですから、そうしますと、例えば背任とか特別背任とかというのは時効五年ですから、五年前というと一九九一年の二月ですから、今や日々刻々、刑事については時効で免れている人たちがいると思うと、これはもういても立ってもいられないんです。 しかし、この間もちょっと申し上げましたが、これは刑事の時効、公訴の時効、起訴する時効、これを延ばすというのは、憲法問題がやはりあります。やむを得ないというところがあると思います。我々はできることしかできませんからね。しかし、刑事についてはそれはやれる。 しかし、民事の責任追及というのはなかなか難しいところがある。債権の回収は、これはいろいろな手だてを使って知恵比べでやれば回収できてくる。しかし、この住専問題は、単に債権の回収だけじゃなくて、これも今まで言っていますから簡単にしますが、回収という範疇を超えた、損害賠償を求めるということが必要なんだろう。この住専の取締役とか監査役とかが、ちゃんと住専という会社に対する義務を果たしていない。ある人は何も見ずに判を押しているかもしらぬ。 いや、おもしろいケースがありまして、だれでしたか、国会議員の人ですが、どこかの会社の役員になっていて役員報酬をもらっていて、これは住専の借り手でしたかね。それで、何でそんな借り手の会社の役員になって役員報酬をもらっているんだと言われたら、いやいや、自分は単に形式上そうなっているだけで、経営には全くタッチしていなかったから自分は無関係だと、そういう弁解をしている。 いや、国会議員でなくたって同じですよ。そういう弁解は通らないんですよ。役員というのはそんな甘っちょろいものじゃないんですね。役員というのは会社に対してきっちり、あるいは結局は株主に対してちゃんと義務を果たしていく責任がある。その責任を果たしていなかったら、そのことによって会社に生じた損害は賠償しなければいかぬ。第三者にも損害が生じたら、その分まで賠償しなければいかぬ。しかも、それは関係する役員は全部、連帯責任だ。取締役会の議事録に名前を連ねておったら、それはもう賛成したものとみなされますよというような、そういう規定まで全部整備されて、今や固有名詞の時代ですから、取締役だれそれがどういう損害賠償の責任があるということが問われる時代なんですね。 これは行政だって同じですよ。業務局長のだれそれに責任があるのかないのかということが厳しく問われる、そういう時代に今なっているのですよね。自分の任期が過ぎればそれで大過なく過ぎましてという時代じゃなくなってきているわけです、今は。固有名詞の責任の時代が来ているのです。 そうすると、それは住専にもいるだろうし、例えば母体行の役員が紹介融資をする、どうもこの案件は母体行では到底無理だから、住専の方へ持っていってやらそうというので持ってきて、そして住専の方で適当な判断で、担保余力などちゃんと判断もせずに融資を実行する、それによって損害が生ずる、そんなケースがいっぱいある。母体行、銀行ですよね、その銀行の役員にそういう損害賠償責任が生じたら、そういう仕事はこれは銀行の仕事としてやっている。銀行の仕事としてやっていれば、当然これは銀行も使用者として損害賠償の責任を負う、しかもそれは連帯債務になる。同じことは借り手の方にもありますよね。 ですから、そういう損害賠償請求権というのはいっぱいある。もうくどくど言いません、今まで言ったことですからね。そこを私ははっきり認識しておかなければならぬ。だから、大蔵省や銀行から住専に天下りで来て、いいかげんなことをやって住専をつぶして、そして退職金をもらって逃げて、豪邸に住み高級車に乗って、その連中は、単に恥を知るだけじゃだめだ、やはり損害を賠償しなければいけない。 紹介融資で幾らでしたっけ、一兆何千億。ちょっと紹介融資、どのくらいあったですかね。 ○西村政府委員 私どもが行いました立入調査によりますと、七社の事業向け貸付金のうち母体金融機関の紹介分は、債権ごとの集計によれば約八千九百二十二億円、債務者ごとの集計によりますと約一兆七千二百八十七億円でございます。 ○江田委員 いずれにしても、かなりの金額です。そのうちのどれだけ取締役の個人責任が生ずる、賠償責任が生ずるものがあるか、これはわかりませんけれども、かなりあるのだろうということは、まだ想像ですけれども、言えるのじゃないだろうか。 住専に対する銀行、大蔵省からの天下りの役員の皆さんが百二十何人かというのでしたかね、これも数字はあるのでしょう。 ○西村政府委員 住専に対する大蔵省の……(江田委員「大蔵省と銀行」と呼ぶ)大蔵省が十三名でございますが、銀行はもっとたくさん、百名を超える方がおられると思います。 ○江田委員 そうなんですよね。大蔵省が十三名、銀行が百名を超える。そういう天下りの皆さんがおられる。こういう皆さんについて、これはやはりきちんと責任を追及しなければならぬ。 大蔵大臣は、そういうお気持ちでおられると思いますし、そういう発言もされましたが、地の果てまででも追いかけていくという言い方、これは再度確認ですが、もう一度ちょっとお話しください。 ○久保国務大臣 繰り返し申し上げておりますように、六千八百五十億円の財政支出はあらゆる、特に住専や母体行などの責任を免責したりあるいは債務者の債務を軽減するというような意図は全くございません。むしろ、協議に基づいて住専処理機構を預金保険機構と一体のものとしてつくり上げることによって強力に債権の回収と責任の究明に当たるということでございますから、今、江田さんが言われましたような気持ちでやりたいと思っております。 なお、江田さんは法律の御専門家でございますから、いろいろとお知恵もおかりしたいと思っておりますけれども、私は、損害賠償の請求権というのは、特定されたものはそのまま譲渡されてまいりますけれども、将来、損害賠償請求権を請求すべき事犯が明らかとなったものについては、これを訴追できるという条件で住専からの債権の譲渡を受けておかなければいけないのではないか、このように思っております。 ○江田委員 大臣のおっしゃる意味を正確に理解しようと今努力をしているところなので、法律用語というのはなかなかややこしいので、私もよくわからない。訴追できる条件で譲り受ける、将来訴追できる条件で譲り受ける、もう一遍ちょっとそこのところを。 ○久保国務大臣 今、結局、損害賠償請求権がすべて特定できない場合がありますですね。その場合には、おとといですか、銀行局長が包括的と申し上げました。そういう形で、損害賠償請求権というのは今特定されていなくても、そのことが明らかになればこれは請求しますよ、こういうことで移譲を受ける。こういうような立場で、損害賠償請求もそれから債権の回収も全力を挙げなければいけないということを申したのでございます。 ○江田委員 普通は訴追というのは刑事のことになりますから、なかなか難しいのですが、刑事事件で起訴されるものだけ損害賠償を請求することになるというのじゃ、これは全然足りませんからね。刑事事件は故意が必要なので、民事事件はそんなことはないので、債務不履行、忠実義務違反というようなこともありますし、過失だっていいわけですから、そこはひとつ私も誤解をしてはいけないと思ってあえて聞いたのです。大臣に法律家の用語できっちり答えろとは言いませんので、ただ、大臣のお気持ちを正確に表現していただければそれで結構だと思うのです。 けさの新聞では、政府も個人責任を、民法上、商法上の損害賠償請求の形で行う方針を固めた、こういう報道があります。これは、今のことを新聞が報道していると考えていいですか。まあ、これは新聞に聞くというわけにもいかない。 ○西村政府委員 私どもといたしましては、先ほど大臣がお答えになりましたように、住専処理機構は、住専が一定の時期に、例えば譲渡時期に保有する損害賠償請求権を包括的に譲り受けることによりまして民事責任の追及に万全を期したいということで、あらゆる努力を尽くしてまいりたいと考えております。 ○江田委員 久保大臣の御決意は揺るぎないものであると思います。 なお、やはり損害賠償の請求は住専処理機構、住専処理会社が行うものであって、政府が行うものではありませんが、政府としてはその決意を持ってやっていただくということで、関係するのは、農水大臣も農林系の金融機関の監督者でございますから、やはりそういうお気持ちで、これは直接の当事者にはならないわけですが、内閣の一員として久保大蔵大臣と同じ決意で取り組むということであるかどうか、伺わせてください。 ○大原国務大臣 直接の私の守備範囲ではないかもしれませんけれども、我々は、母体行の責任ということを強く言ってきたわけでございます。しかも、一兆三千億しかない内部留保の中から半分近くを、五千三百億を供出するわけでございますので、私は、中途半端な追及では困りますよと。やはり母体行というのはお母さんですから、どんなどら息子でもしっかり責任を持ってもらいたいというのが我々の気持ちでございます。 ○江田委員 法務大臣は、これはやはり法律的な面からそういう知恵を大いに絞っていただかなければならぬと思いますが、同じような決意でおられるかどうか。 ○長尾国務大臣 先生が言われました損害賠償請求権の問題、私どもも協力をいたしまして、目的を達するように努力をさせていただきたいと思っております。 ○江田委員 さてそこで、決意はわかりました、ひとつ途中でくじけないように頑張っていただきたいと思うのですが、決意があれば追及できるとは限らないので、やはりその決意を実行するためのまず仕組みが要りますよね。それからもう一つは、決意があるのだからいいとはいうものの、決意といっても言葉ですから、本当の本当の燃えるようなやる気というものが必要ですよね。 仕組みの点でちょっと聞いておきたいのですが、今の債権譲渡、もういろいろ前から議論していますから当然かと思いますが、早手回しにお答えになるのですけれども、包括的にある時点で住専が持っている損害賠償請求権というものを住専処理機関に債権譲渡をする。私もこれはいろいろ考えて、まあなかなか難しい理屈なのですが、ただ一つ聞いておきたいのは、銀行局長、言い方が変わったのじゃないのですかね。 債権譲渡については、私が二月九日に伺ったときには、「賠償の相手や不法行為の事実がある程度特定されていれば足りる、」と。逆に言えば賠償の相手方や、賠償の相手方というのは当然賠償する当事者、賠償を請求する相手方や不法行為の事実がある程度特定されていなければならぬというそういう趣旨、二月九日にはそういう答弁をされましたね。これはイエスかノーの答えですからね。 ○西村政府委員 私が二月九日に答弁申し上げましたのは、住専の損害賠償請求権は、貸付債権その他財産の一部として、他の資産とともに一括して住専処理機構に譲渡し得るという理解のもとに、当該損害賠償請求権は、譲渡の時点において賠償の金額や具体的内容が特定されている必要はなく、賠償の相手や不法行為の事実がある程度特定されていれば足りる、とお答えしたと記憶しております。 ○江田委員 それを三回言われまして、三回目には「もう一度読みますと、」と文書を読んで言われたのですね。これは、「賠償の相手や不法行為の事実がある程度特定されていれば足りる、」というのは、「足りる、」というのは特定されていなくてもよろしいということまで含む日本語の表現だとあなたは理解されますか。 ○西村政府委員 委員の御質問が、どの程度特定するのかという御質問でございましたので、必ずしも一つ一つ特定されている必要はなく、一括して住専処理機構に譲渡し得るというふうに理解をしておりますし、ある程度特定されていれば足りるので、すべて一つ一つということはないと理解をしておりますというような気持ちで答弁を申し上げたつもりでございます。 ○江田委員 いや、変わったら変わったでいいのです。別にそれは意見が変わることだってありますから、変わったら変わったでいいのですが、そこはやはり変わったならなぜ変わったのか、その変わった後の見解はどうなのかということをたださせていただければいいのですが、二月九日には「賠償の相手や不法行為の事実がある程度特定」と。今度ついおとといは、ある住専がある特定の日にちに、日が特定されて、ある特定の日にどれだけ持っておるかと。 その中身は、それは一切合財、包括的、網羅的という言葉まで言われて、とにかく自分のところの役員であろうが、母体行の役員であろうが、母体行そのものであろうが、借り手の役員であろうが、借り手そのものであろうが何でもいい、世の中全部だれに対してだって、どんな事実であろうが、住専がその時点で持っている損害賠償は、まるで魔法のつえをぱっと振るかのごとく、単なるこのわずかな数行の言葉で住専処理機構にぱっと移る、そういう趣旨のお答えをされましたよね。それも、されたかされないか。 ○西村政府委員 二月二十六日の当委員会において御質問がございました。具体的な契約の記載方法について御質問がございましたので、私は、「特定できるものについてはできるだけ特定して記載するとともに、」できないものはという意味でございますが、その他住専が何年何月何日現在保有する損害賠償請求権を譲渡すると記載する旨、具体的にお答えを申し上げたと記憶しております。 ○江田委員 一々細かく細かく詰めるのは私も嫌なんですけれども、局長、やはり多少親切に答えてほしいのです。 では、おととい答えたときのものは、具体的に相手方とかある程度の事実とか特定できるもののその他、何月何日に住専が持っている損害賠償債権という言い方をした場合は、二月九日の基準でいえば、それは賠償の相手方や不法行為の事実がある程度特定されていないわけですから、それは債権譲渡できていないけれども、書いてあるだけだというのか、それとも二月九日の基準にもかかわらず、その部分も債権譲渡できているという判断なのか、そこはどうなんですか。 ○西村政府委員 私の御説明が適切でなければおわびを申し上げますが、私ども、関係者の間でこの問題について詰めましての認識といたしましては、先ほど申し上げましたように、特定できるものについてはできるだけ特定して記載することが望ましい、特定できないものにつきましても、先ほど申し上げましたような記載をすれば包括的に譲渡ができるであろう、そういう理解をしておるわけでございます。 したがいまして、九日に答弁申し上げました「ある程度特定」ということを非常に厳密にある程度特定されていなければいけないと言っておったのが、もっと広く解釈できるような表現になっておるではないかという御指摘でございましたら、あるいはそのように私の御説明が足りなかったかもしれません。 ○江田委員 説明が足りないという言い方でもそれはいいのかもしれぬけれども、本当はそこはやはり変わったんだとは思いますよ。しかも、今の言い方も微妙ですね。何と言われましたかね、何か、されるかもしれないとか、であろうとか、理解しておるとかなんか。しかし、あなた方が理解するんじゃなくて最終的には裁判所が理解するのですから、裁判所の理解はどうなるのかというのは、ちょっとこれはだれに聞いていいか、裁判所の理解ですから難しいですが。 法制局長官、長官は二月九日のときには、これは、債権譲渡ということになると、債権の譲り渡し者と譲り受け人の間の合意が要る。その旨の債務者に対する譲渡の通知が要る。これは対抗要件ですがね、その人に対する。「したがいまして、」と言うんですよ。 債権譲渡、損害賠償債権の譲渡のためには、だれが債務者であるかということは当然ある程度確定していなければいけませんので、その程度のことは判明しておらなければそもそも不法行為債務の譲渡ということはあり得ないわけです。そう答えられましたよね。 ○大森(政)政府委員 前回の答弁におきまして、今委員が読み上げられたような言葉で御答弁申し上げたことは間違いございません。なお、付言をお許しいただきますれば、若干そのとき私の頭の中で考えていたことを付加説明させていただきたいと思います。 委員重々御承知のとおり、債権譲渡のためには当事者間の債権譲渡の合意と、その旨の第三者への、債務者への通知という対抗要件が要る。 そこで、前回私が申し上げましたのは、債権譲渡が完全な効力を生ずるためには一体どういう要件が必要かということに焦点を置きまして、そのためには債権譲渡の通知が要る。債権譲渡の通知をするためには、もちろん債務者がだれかということは、これはある程度の確定が必要です。その上で、加害行為の概要など他の債権と識別することができる程度の特定をした上、その事項を示して通知しなければ完全な債権譲渡の効力が生じないということを申し上げたつもりでございます。そのような趣旨で御理解いただきたいと思います。 ○江田委員 いろいろ言われますのが、後でああいう趣旨だ、こういう趣旨だといろいろ言われて、その都度こちらの理解も変えなければならぬというのはなかなか大変ですので、ひとつそこは本当に責任を持ってきっちり答えてほしいのです。 完全な債権譲渡、不完全な債権譲渡、この区別もちょっとややこしいので、私は、そんなことを言うよりは、当事者間ではこういう意味の契約が成立している、あるいは第三者に対してはまだこういうことが必要だ、あるいは当事者間でもまだいろいろなことが確定していない段階では、後々そういう債権があることがはっきりしたときにその債権を譲渡しなければならぬという、あるいは譲渡を受ける権利があるというそういう契約関係にその債権譲渡契約を結んだ当事者間は立っておって、そして後に今度そういうものが明らかになったらまたそのときにちゃんと個別に譲渡するという方がよっぽどすっきりすると思いますよ。 そうでないと、だって、何月何日ということで包括的に、網羅的に全部債権譲渡をやりましたら、そこから先まだわけのわからぬ、だれが義務者なのか、どういう不法行為で賠償することになるのかなんだとか決まっていない債権について、例えば善良な管理者の注意義務はだれがそのとき負うのかとか、あるいはそれが取れなくなったときにだれが危険負担を負うのかというのは、どういうことになります、これは。これはちょっと試しに答えてみてください。 ○西村政府委員 ちょっと試しにというのは私、そういう自信はないのでございますけれども、お答えになりますかどうか。 私どもは、先ほど申し上げましたように、住専処理機構が、住専が一定の時期に保有する損害賠償請求権を包括的に譲り受けるというような方法によりまして、民事責任の追及に万全を期し得るような、そういう努力をしてまいりたいと思います。 そのような方法として具体的にどのようなやり方が一番適切であるか、私どもなりに今詳細を詰めておりまして、現段階での私どもなりの考え方というのはございますけれども、御示唆がございましたらまたお伺いいたしまして、そのようなことをも反映させてまいりたいと存じます。 ○江田委員 いや、それはもちろんいろいろ私も知恵を絞りますけれども、皆さんは政府で、そちらにおられる、それを支える与党で、我々は野党ですから、ちょっとそうまで言われても困るのですが、やはり本当にやる気でやってほしいんですよ、これは。今の仕組みではなかなかやれないんじゃないかと本当に心配しているのです。 それは、住専が自分の役員に対して、あるいは自分のかつて役員だった人に対して損害賠償を請求するということなんでしょう。それが、ある日ぱっともう全部この住専処理機構に移っちゃったというんでしょう。それから一体住専はどうやってそんなものを一々掘り出すのですか。住専処理機構は、受けたときに何が入っているか、中がわからぬですよね、これは。どの役員にどういう損害賠償請求権があるのかわからずに受けているのだ。(発言する者あり)玉手箱、あけてみたって何もない。そんなものは請求できないという心配が非常に強いから、しかし大蔵大臣のさっきの決意は何とか実現してほしいから私は言っているのですよ。 じゃ、例えば今住専がいろいろ持っています。帳簿があります。稟議書もあります。いろいろな関係の書類があるでしょう。伝票もあるでしょう。そういうものは今どうなっているのですか。これは証拠保全か何かされるのですか。あるいは、今もう大蔵省が持っているのですか。どうなっているのですか。 ○西村政府委員 現段階におきましては、住専はまだ普通の民間の会社として存続しておるわけでございますので、それは現段階においてはそのままでございます。もとより、これだけ熱心な議論が続いているわけでございますから、住専の関係者あるいは母体行の関係者にいたしましてもそういう点で遺憾のないように努力をしておるとは思いますが、法律的には住専という民間会社が従来どおりそういう資料を保管しておる、こういうことでございます。 ○江田委員 私は、これは証拠保全か何かすべき事案だと思いますよ。稟議書なんかどこかへ行っちゃうんじゃないですか。それはちゃんと保管していると思いますけれどもとおっしゃるけれども、国民は、それはエイズのときでもああいうことですから、やはり信用していないですよ、そんなに、幾ら皆さん胸を張られても。 債権譲渡のときにそういう帳簿書類、伝票、稟議書、全部これは住専処理機構に移されますか。 ○西村政府委員 現段階におきましても、住専の経営者に対しましては、現在の経営者として誠実にそういう書類の保管あるいは債権の保全というものを図ってくれということを私どもなりに現在の状況の中で依頼をしておりますし、またそれに誠実にこたえてもくれていると信じておりますが、なおこの処理案をお許しいただきまして実行をする段階になりましたら、御指摘のように書類等を一日も早く移しかえるというふうに私どもも考えております。 ○江田委員 本当に書類等をちゃんと移しかえるのかどうか。移しかえたものは私たちにも見せていただけるのですかね。 まあ、などなど言っておりましたら時間が来まして、これは本当に山ほど問題があるのです。そして、私たちの対案ですと、その山ほどの問題がちゃんと解決つくんです。それが大切なところなんです。きっちり責任の追及もできるし、ちゃんと透明な説明のつく配分もできるのです。そのことがやれる方法があるのに、なぜそれをとらないかということを、最後に私は憤りを持ってここでお訴えをしておきたいと思います。 終わります。 |
1996/02/28 |