民主党 参議院議員 江田五月著 国会議員わかる政治への提言 ホーム目次
第1章 国会議員の実像−資金と特権

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議員一人当たりの国民の負担

 国会議員が国庫から支給を受ける金銭の代表的なものは、「歳費」だ。

 憲法第四十九条に「両議院の議員は、法律の定めるところにより、国庫から相当額の歳費を受ける」とあり、これを受けて「国会法」と「国会議員の歳費、旅費及び手当等に関する法律」が細目を定めている。

 「歳費」という耳慣れぬ用語が使われているが、支給日は毎月十日なのだから実態は月給だ。帝国議会開設当時が年俸制だったので、その名残が、名称に残っているのだ。

 金額は国会法第三十五条に「一般職の国家公務員の最高の給料額より少なくない歳費」と定められており、各省の事務次官と同額。昭和五十九年十二月現在、月額938,000円が支給されている。その他期末手当として、三月、六月、十二月の三度、合計4,419,250円が支給される。

 以上が、国会議員の課税所得のすべてだ。しかし、国会議員が受け取るのはこれだけではない。

 非課税の「文書通信交通費」が、月額65万円支給される。これは「電話代、郵傾代など国会議員本来の政治活動の実費弁償」という建前である。

 さらに、国会議員個人に支給されるものではないが、その議員が所属する政党に対して支給される「立法事務費」があって、所属議員一名につき60万円支給される。では政党に所属しない無所属議員は、「立法事務費」を受け取れないのだろうか。ちゃんと受け取る方法がある。「立法事務費」の受け皿となる政治団体を結成しさえすればよい。

 また、議員を補佐する秘書に対し、国庫から二名分の給料が支給される。第一秘書は月額335,720円、第二秘書は239,800円の給料で、いずれも国家公務員一般職に準じて、期末手当や通勤、住宅、勤勉手当が支給される。

 さらに、議員の引退後のために、国庫から五十パーセントの補助を受ける「国会議員互助年金制度」もある。

 さらに現物供与として、国会議事堂の真裏の議員会館に、二室あわせて三十九・五平方メートルの事務室が無償で割り当てられる。都内一等地にある議員宿舎が、東京周辺居住以外の議員には、格安の家賃で割り当てられる。国鉄及び私鉄の無料パスもある。

 そのうえ、憲法第五十条に定められた「不逮捕特権」まである。国会の会期中に議員を逮捕するのには、院の許諾が必要というものである。

 このような国会議員の厚遇に対して、「行政改革はまず国会から始めよ」という批判の声が上がっている。国民にとって国会議員とは何だろうか。今の状態からすれば、当然の批判と思う。

 だがしかし、という点も、実は重要だ。「議員特権」に対する私の弁解は後に述べる。


第1章 国会議員の実像−資金と特権

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