2003年9月18日 『次の内閣』 | >>PDFファイル | 戻る/民主党文書目次 |
民主党政権公約/マニフェスト(第1次集約) >>マニフェスト完全版
※今後も精査・推敲が続けられ、修正等がありうる。
民主党 『次の内閣』
参考文書:民主党政策集―私たちのめざす社会
「民主党政権公約/マニフェスト」(第1次草案) 目 次
I メッセージ ⇒代表が完成時に起草
II 総論 ⇒「選対企画」によって完成時に起草
III マニフェスト−民主党は約束します。
一 失業のない、つよい経済を再生します。
1 景気を回復させ、「仕事」と「雇用」を生み出します。
2 「お金を貸せる銀行」をつくります。
3 税金の使い道を徹底的に見直し、財源を確保します。
4 「経済再生5ヵ年プラン」と「財政再建プラン」を策定します。
二 税金の無駄遣いをやめ、公正で透明性のある政治を実現します。
1 税金の使い道を大胆に変えます。
(1) 公共事業の無駄を止め、生活・環境重視に転換します。
(2) 道路公団を廃止し、高速道路を原則無料化します。(仮)
2 官僚の天下りを禁止し、公務員人件費を縮減します。
3 政治家の不正を根絶し、議員定数を削減します。
(1) 企業・団体献金を全面公開します。
(2) 衆議院の議員定数を80議席削減します。
三 「自立力」をもった、活力に輝く地域を創造します。
1 「分権革命」―地域の問題は自分たちで決められる社会を築きます。
(1) 18兆円の補助金を廃止し、地方が責任と自覚をもって使えるお金に変えます。
(2) 中央省庁の権限限定と自治確立、住民の行政参加権を明確にします。
2 中小企業予算7倍増、政府系融資の個人保証撤廃を実現します。
3 1兆円の農業関連補助金を改革し、無駄のない直接支援・直接支払制度をつくります。
4 6割のNPOに税制でも支援します。
5 「緑あふれる地域」 を次世代に引き継ぎます。
(1) 10年間で1000万haの森林を再生―「緑のダム」を育みます。
(2) 新エネルギー予算を倍増、5年間で低公害車10万台普及をめざします。
四 子どもや高齢者、女性が安心して暮らせる社会をつくります。
1 子どもたちを健やかに育成します。
(1) 一人ひとりに目が行き届き、親の不安が解消される教育を実現します。
(2) 幼保一元化やNPO支援で保育を拡充し、学童保育も2万カ所に増やします。
(3) 無利子奨学金の貸与額を50%引き上げます。
(4) 成人年齢を18歳に引き下げ、選挙権も18歳以上とします。
2 誰もが安心して働ける社会をつくります。
(1) 誰もが仕事に就き、労働が正当に評価されるルールを確立します。
(2) パート均等待遇の実現、育児・介護休業制度の拡充をすすめます。
(3) 能力開発と月10万円の手当支給で失業・廃業からの再出発と暮らしを応援します。
3 「老後の安心生活」世界一をめざします。
(1) 若者からも信頼される安心の年金制度をつくります。(仮)
(2) 地域介護の拠点として、グループホームを1万カ所増設します。
4 一人ひとりの人権が尊重される社会を実現します。
(1) 差別の解消をめざす法律を制定します。
(2) 盗聴法、住基ネット法、個人情報保護法を見直します。
(3) テレビの字幕化を推進します。
(4) 外国籍の人も希望により住民票に記載します。
五 国民の命と健康を守るつよい社会を実現します。
1 健やかさを保つ生活へと改善します。
(1) 早期発見・治療で安心の医療を実現します。診療報酬改定プロセスの透明化をすすめます。
(2) 350ヶ所の小児救急センターを整備し、小学生卒業までの医療負担を1割に軽減します。
(3) カルテ開示・医療費明細書発行の義務化を実現します。
(4) 「食」の安全を一元的に厳しくチェックします。
(5)
安全を最優先し、原子力行政の監視を強めます。
2 犯罪に厳しく対処し、安全な地域を取り戻します。
(1) 警察官の3万人増員により、落ち込んだ検挙率を回復させます。
(2) 仮釈放のない「終身刑」を創設し、凶悪犯罪の罰則を強化します。
(3) ドメスティック・バイオレンス(DV)防止法を強化します。
3 信頼できる外交、国民を守れる安全保障を築きます。
(1) 自立的な外交と国連機能強化をすすめます。
(2)
拉致事件の解決など北朝鮮問題に正面から取り組みます。
(3) イラク問題 =調整中
(4)
犯罪対策の強化など「日米地位協定」の改定に着手します。
(5) 大使等の民間登用率を2割に向上させます。
(6) 地球環境保全に向けた基本法を制定し、環境外交を展開します。
(7) 国民を守ることができる防衛力整備への転換を図ります。
I メッセージ ―完成の段階で、代表が起草―
II 総論 ―完成の段階で「選対企画」によって起草―
III マニフェスト−民主党は約束します。
民主党政権は、菅直人総理が強い意志をもって掲げる約束、そして、「民主党政権公約」の実現を国民のみなさんに約束します。
この約束は、民主党政権第一期の期間が終了するときに、その達成度が明確に示され、国民のみなさんが公約の達成状況を評価、査定できるものです。
マニフェストは第一期政権4年間の最低公約であり、「強い日本」、「経済の再生」の突破口です。中には、与党だけで決めてはいけないものもあります。民主党政権は責任ある提案を行い、国会の議論を活性化させ、与野党の活発な議論の中から合意を導き出したいと考えています。
民主党は、有権者から負託された政権において、全議員が一致して、約束を誠実に実行します。
一 失業のない、つよい経済を再生します。
小泉内閣の経済無策による深刻なデフレ不況によって、国民の仕事や資産が日々奪われている状況を、これ以上放置することはできません。「強い経済」の再生は、国民一人ひとりが安心して暮らすための最低条件であり、他のあらゆる施策を実現するための前提条件です。
民主党は、最優先の課題として、「強い経済」の再生に取り組み、景気の回復と雇用の安定に全力をあげます。
1 景気を回復させ、「仕事」と「雇用」を生み出します。
強い経済を再生させて景気回復・雇用拡大を実現するためには、民間需要を掘り起こし、内需を拡大することが必要です。現在および将来に対する不安の解消と、眠っている需要に対応した新しい仕事・産業の掘り起こしによって、経済再生への着実な一歩を踏み出します。
(1) 失業率を4%台前半以下に引き下げます。
現在5%台半ばの失業率を、任期中に4%台前半以下に引き下げることをめざし、中小企業対策や分権による地域経済対策、「緑のダム」をはじめ公共事業の転換、福祉・環境部門の産業育成、良質な住環境の整備、NPO育成などによって、新たな就業機会を拡大し、雇用を増やします。また、民間の創意工夫を生かした職業再教育の充実を図ります。
(2) 高齢者の暮らし、子育てなどの不安解消で、需要と消費を掘り起こします。
年金・介護や子育て・教育、医療など現在と将来の不安解消を図ることで、消費を喚起します。特に、高齢者が暮らしやすい社会を創るための産業や、子育てのしやすい社会を創造するための産業を育成することで、「安心」を醸成しつつ、あらたな「仕事」をつくります。
(3) ローン利子控除制度創設など、生活重視の経済に転換します。
緊急対策として、住宅や自動車に関するローン利子控除制度を平成16年度に創設することをはじめ、高速道路無料化による物流コスト軽減、余暇時間を有効活用できるための基盤整備、環境保全型産業の育成などを通じて、眠っている需要を目覚めさせ、生活重視の経済、「経済のソフト化」をすすめます。
(4) 事業規制原則撤廃をすすめ、企業努力と起業意欲を増進させます。
民間の活力と創造力を引き出し、新た需要を掘り起こすために、民間事業活動に関する規制の撤廃、公正競争の環境確保などをすすめます。そのため、事業規制原則撤廃の基本方針などを定めた法律案を平成17年中に国会提出し、その成立をめざします。
(5) 競争力強化・技術力強化に向けて、知的財産権立国づくりをすすめます。
国際的競争力の強化、科学技術振興をはかる戦略に立って、知的財産権強化に取り組みます。「知的財産基本法」をさらに具体化し、知的財産紛争処理能力の強化、知的財産権に関する専門家の育成、地域をはじめとする産学の連携強化、研究開発予算の配分見直し、研究者の意欲向上につながる環境の改善、TLO(技術移転機関)の充実、模倣品問題や特許権侵害対策の強化をすすめます。
2 「お金を貸せる銀行」をつくります。
政権獲得後速やかに民主党「金融再生ファイナルプラン」の実施に着手し、2年以内をめどに信用創造と金融仲介機能を回復させます。
(1) 中小企業金融を、大企業向けの貸付と明確に区別して取り扱います。中小企業向け金融検査マニュアルを大企業向けとは別につくり、貸し渋り、貸しはがしを解消させます。また、政府系金融機関融資における個人保証を5年間で撤廃します。
(2) 金融機関の地域への寄与度や中小企業に対する融資条件などについて情報公開させる「地域金融円滑化法案」を、平成16年度中に国会提出します。
(3) 大企業に対する貸付については、厳格な金融検査を通じて不良債権の実態を明らかにします。バブル経済に対する大企業・銀行経営者及び行政の責任を明らかにしつつ、必要があれば公的資金を大胆に投入して、銀行の貸し出し余力を回復させます。
3 税金の使い道を徹底的に見直し、財源を確保します。
デフレ不況の下では、税収増加も歳出全体の大幅な縮小も著しく困難です。財政の健全化をすすめるうえでも、経済再生が最優先の課題です。しかし、現状において効果を度外視した財政の放漫運営を行うことは、将来世代に過大な負担を押し付けるだけでなく、将来不安の拡大や長期金利の急騰を招くなど財政に対する不信を増大させ、結果として経済再生を妨げることになります。
税金に巣食う「お化け」を徹底的に退治し、当面、予算の使いみちを大胆に転換することで、財政規律を維持しながら、経済再生をすすめます。
平成16年度には、国直轄公共事業の1割削減で3000億円、補助金の一部一括化に伴う事務経費削減等で2000億円、特殊法人等向け支出の1割4000億円など、約1兆4000億円程度を捻出し、政権公約実現の財源とします。
平成17年度は、国の直轄公共事業の2割削減で6000億円、補助金の一括交付化の範囲拡大に伴う一括化対象補助金の5%削減で7000億円、特殊法人等むけの支出の2割削減で8000億円などにより、約2兆5000億円程度を捻出し、政権公約実現の財源とします。
4 「経済再生5ヵ年プラン」と「財政再建プラン」を策定します。
政権獲得後、ただちに緊急対策を講じると同時に、経済再生に向けたより総合的な対策のための準備をすすめます。まず各省庁が国民に隠している経済・金融・財政の最も肝心な部分の情報を新政権として把握し、情報公開します。その上で、こうした経済・金融・財政の膿と無駄の一掃と、民間需要を中心とした強い経済を創ることを内容とする「経済再生5カ年プラン」を、平成16年度中に作成します。
経済再生を軌道に乗せつつ、後世代に過大なツケを残さず、持続可能な財政を創るために、平成17年夏(平成18年度予算編成開始)までに、10年〜15年をめどとして実質的な借金増をストップさせることをめざした「財政再建プラン」を策定します。
二 税金の無駄遣いをやめ、公正で透明性のある政治を実現します。
日本を弱めているのは、税金を無駄遣いしている「お化け」のような癒着の構造です。政治家や官僚の利権、そして政官業癒着を徹底して排除します。少しの税金も無駄にせず、権力や癒着に隠れた不正を根絶し、生活の目線から政治と行政の抜本改革をすすめます。
1 税金の使い道を大胆に変えます。
(1) 公共事業の無駄を止め、生活・環境重視に転換します。
国直轄の大型事業を、平成18年度予算案までに、3割、9000億円を目標に削減します。平成16年度予算から、無駄遣いの象徴である川辺川ダム事業(熊本県・総事業費2650億円)や吉野川可動堰計画(徳島県・総事業費1040億円)など、大規模な直轄公共事業の建設や計画をストップし、真に地域振興となる事業に振り替えます。
さらに、徳山ダム(岐阜県)をはじめ他の個別事業についても精査し、凍結、中止、見直し等に分類して、できるものからただちに着手します。
工事が相当すすんでいる諫早干拓事業(2490億円中2250億円が執行済)、工事が終了した長良川河口堰などについても、住民・自治体の意見を聞きながら今後のあり方を見直します。
事業量を減らすのではなく、電子入札の導入促進などを含めた入札改革で談合を防止し、より少ない経費で、より多くの事業を可能にします。
(2) 道路公団を廃止し、高速道路を原則無料化します。
地域でも高速道路を使いやすくし、物流コストの引き下げ、生活の利便向上をめざしてフリーウェイとするとともに、さまざまな「族お化け」がはびこっている道路を「つくる、利用する、管理する」それぞれの面において、地域と国民の手に取り戻します。
(1) 道路公団廃止と高速道路原則無料化 (仮)
高速道路は、3年以内に、一部大都市を除き無料とします。これに伴い、日本道路公団、本州四国連絡橋公団は廃止します。日本道路公団、本州四国連絡橋公団の債務は、現在の道路予算の中から償還します。
(首都高速、阪神高速については、その運営のあり方、渋滞・環境対策等と利用者負担等のあり方を含めて、具体的方策を決定します。)
(2) 道路特定財源・自動車税軽減・環境税創設
自動車にかかる税金が、道路建設を優先するために高く設定されてきたことを踏まえて、道路特定財源を一般財源化するとともに、税金を大幅に引き下げます。平成17年度中に、道路特定財源の廃止法案と、自動車重量税半減・自動車取得税廃止の税制改革法案を国会提出して、その成立をめざします。
同時に、環境保全の観点から、二酸化炭素の発生源に、環境負荷の程度に応じて炭素含有量1トンあたり3000円程度の税金をかける「環境税」を創設します。
2 官僚の天下りを禁止し、公務員人件費を縮減します。
官僚の天下りを禁止します。民間企業への再就職しか対象になっていない規制を、平成17年度中をめどに、特殊法人などの政府関係法人等にまで拡大します。
また、政権任期中に、国際労働機関(ILO)勧告にもとづいて、一般の公務員に労働基本権を保障する一方、人事院機能の見直しや公正な人事評価システムの確立などをすすめ、国民に開かれた公務員制度とします。同時に、局長以上のポストの民間等からの登用など政治のリーダーシップ確立と政策責任の明確化を実現します。
分権の推進や中央省庁の機能・役割の見直しにより、国家公務員の省庁間異動や定数削減、高級官僚の手当等の見直しなどを順次すすめ、公務員人件費を4年以内に1割以上縮減し、分権の進捗等によりさらに縮減を図ります。
3 政治家の不正を根絶し、議員定数を削減します。
(1) 企業・団体献金を全面公開します。
「口利き政治」「利権政治」の根絶をめざし、政治腐敗防止法案を平成16年の国会に提出し、その成立を図ります。
(1) 政治家の「あっせん利得処罰法」の処罰対象を、議員等の親族や首長の秘書にまで拡大します。
(2) 公共事業受注企業からの政治献金を全面禁止します。
(3) 企業・団体献金の公開基準を、現行の年間5万円を超えるものの公開から、全面公開へ広げていくとともに、収支報告等をインターネット上でも公開することを義務付けます。
(2) 衆議院の議員定数を80議席削減します。
逮捕拘留中の国会議員について、歳費等の支払いを凍結し、有罪判決が確定した場合にはこれを支払わないことを内容とする国会法の改正案を提出し、成立を期します。
衆議院小選挙区の一票の格差是正をめざすとともに、衆議院比例議席定数を80議席削減する法案を国会に提出します。平成16年中に法案を提出した上で、与党として各党会派に呼びかけ、国民監視のもとでの議論による合意を図り、実施に移します。
三 「自立力」をもった 活力に輝く地域を創造します。
地域が自立性をもつことで、住民一人ひとりの活力から「強い地域」が生まれます。民主党は、自治と地域の経済力を培い、道州制も展望した「分権革命」を推進します。
1 「分権革命」-地域の問題は自分たちで決める社会を築きます。
(1) 国の補助金18兆円を廃止し、地方が責任と自覚をもって使えるお金に変えます。
使いみちが不必要に制限されている総額約20兆円におよぶ国の補助金のうち、約18兆円分を廃止し、地方自治体ごとの責任と自覚によって使途を決められる「一括交付金」にします。
廃止する約18兆円の補助金のうち、約5.5兆円分を所得税から地方住民税に税源移譲し、約12兆円を一括交付金とする案を軸に、全国の改革派知事・市町村長とも協力して、税財源移譲をすすめます。
政権獲得後、予算措置でできる部分から個別補助金の廃止=一括交付金化を開始します。さらに、平成17年夏までに関係法律の改正をすすめ、平成18年度には、補助金の廃止を約18兆円にまで拡大します。
なお、国から地方への財源移譲に当たっては、住民による行政に対する評価や監視態勢の整備を行うとともに、国が率先して実施する入札改革などの談合防止策や、行財政改革による行政経費の節減を、地方自治体にも求めていきます。
(2) 中央省庁の権限限定と自治確立、住民の行政参加権限を明確にします。
任期中に、中央省庁の権限を限定して、地方自治体との間の権限配分を明確にすることなどを内容とする地方自治確立に関する法律案、また、施策の決定に住民が参加し意思を反映するために最も重要な「情報公開」「住民の直接参加」を強化するための「住民自治推進基本法案(仮称)」や「住民投票法案」を国会提出し、その成立をめざします。
2 中小企業予算7倍増、政府系融資の個人保証撤廃を実現します。
地場産業と商店街に元気を取り戻すため、中小企業むけの助成や商店街の活性化のための予算(平成15年度予算で約900億円)を7倍増にする年次計画をつくり、まず平成16年度予算では倍増させます。
また、金融再生ファイナルプランに加えて、個人保証を余儀なくされている中小企業金融の誤った常識を転換させるため、政府系金融機関(国民公庫、中小公庫、商工中金)が行う貸付は、5年間で原則として個人保証をなくします。
3 1兆円の農業関連予算を改革し、無駄のない直接支援・直接支払制度をつくります。
食料の安定と食の安全確保のため食料自給率の向上を図るとともに、緑豊かな国土の保全など、農業の多面的な機能を再評価し、国民的合意にもとづく「環境と食の業」としての農業の確立をめざして、食料の安定生産・安定供給を担う農業経営体を対象に、平成18年度スタートをめざして直接支援・直接支払制度を導入します。
不透明な部分が極めて多い農林土木公共事業の削減、複雑な生産奨励などの個別補助金の洗い直しを行い、その関連予算約1兆円の中から新しい制度の財源を捻出します。
4 6割のNPOに税制でも支援します。
特定非営利活動法人(NPO)を、地域のサービス等の供給の担い手、雇用の受け皿として育成・支援します。
任期中に、全国1万2000余のNPOのうち、僅か15法人(2003年8月現在)しか認定されてない税制優遇の認定要件を、その6割が認定を受けられるように大幅に緩和します。また、少額寄付をしやすくするため、個人がNPO法人に行う寄付の所得税控除を1万円以下の寄付でも認めます。
5 「緑あふれる地域」を次世代に引き継ぎます。
(1) 10年間で1000万haの森林を再生―「緑のダム」を育みます。
森林に本来の保水力を取り戻すことによる水害防止効果や、森林による二酸化炭素を固定し地球温暖化を防ぐ効果に着目し、環境破壊型公共事業から、環境・緑を守る持続可能な公共事業(=緑のダム事業)へと転換し、10万人の雇用増につなげます。
間伐などの森林整備を公共事業化することにより、10年間で1000万haの森林を再生することをめざし、政権獲得後ただちに年次計画を策定して、初年度に約1000億円、4年後には2500億円の予算を国直轄の公共事業の振替で捻出します。また、この計画に付随して、美しい河川をとりもどし、人々の憩いの場、多くの生物が生息する場とするために河川の自然再生事業を積極的にすすめます。
(2) 新エネルギー予算を倍増、低公害車普及・拡大をすすめます。
風力、太陽、バイオマス、波力・海洋エネルギー等の再生可能エネルギーや、燃料電池等を中心とした未来型エネルギーの開発普及のため、新エネルギー関連の予算を計画的に増額し、現行の年間1500億円から政権任期中に3000億円へと倍増させます。
また、電気自動車、燃料電池自動車をはじめとした環境にやさしい乗物に対する助成を強化します。すでに普及しつつある電気自動車に対する集中的助成、今後本格的実用化が見込まれる燃料電池車への支援を中心にして、低公害車の普及・拡大をすすめます。必要な予算は、エネルギー関係予算全体の中での振替および環境対策予算などを充てます。
四 子どもや高齢者、女性が安心して暮らせる社会をつくります。
子どもたちを健やかに育み、確かな営みが築かれ、人生を通じて人が優先、尊重される社会こそが、本当につよい社会です。一人ひとりがしなやかでたくましく生きられるための基盤整備をすすめます。
1 子どもたちを健やかに育成します。
(1) 一人ひとりに目が行き届き、親の不安が解消される教育を実現します。
一人ひとりの子どもにきめ細かく目が行き届くようにするため、民主党政権4年間において、少なくとも小学校3年生以下のクラスについて、すべて30人以下とします。平成16年度から毎年約800億円ずつ予算を増額し、同時に、必要教員数については配置実態などの精査をすすめるとともに、必要な法律改正もすすめます。
学校内・地域での犯罪・災害から子ども達を守る対策をすすめるとともに、「学校五日制」や学力低下問題などに関する親の不安解消、学習指導内容を含む自治体の教育権限の充実、保護者や地域住民の学校運営への参画の推進、学校評価制度等の導入促進などについて、平成17年度中に「教育改革基本計画」を策定し、平成18年度から「平成の教育改革」を順次、実施に移します。
(2) 幼保一元化やNPO支援で保育を拡充し、学童保育も2万箇所に増やします。
約3万人といわれる保育所入所を待つ待機児童の解消をめざし、厚生労働省=保育所と文部科学省=幼稚園という縦割りによる分離を是正し、幼稚園と保育園の「幼保一元化」を推進します。また、NPOなどが行っている駅前保育・保育ママなど地域の多様な資源の積極活用を含め、平成16年度から待機児童解消に向けた具体策を実行に移します。
現在、約1万3000箇所で行われている学童保育を4年間で2万カ所に増やし、指導員も4万人から6万人へと増員します。さらに、父母の就業実態に併せた保育時間の延長などを含め、待機児解消に向けて、少なくとも初年度約300億円の予算を確保します。
(3) 無利子奨学金の貸与額を50%引き上げます。
長期の不況によって親の経済状況が悪化し、途中退学を余儀なくされる高校生、専門学校生、大学生が増えていることを踏まえ、緊急措置として、平成16年度から3年間、無利子奨学金の貸与額を、例えば自宅外私大生で現行6万3000円を9万4500円にするなど、希望者について50%引き上げます。また、就学継続が困難な生徒に対する授業料の減免措置を行う高校への財政支援を拡充します。
この政策を実施するために必要な予算は、約600億円程度となりますが、文部科学部門の予算の精査及び政府予算全体の冗費削減で捻出します。
(4) 成人年齢を18歳に引き下げ、選挙権も18歳以上とします。
若い世代に、社会の一員としての責任感を醸成し、積極的な社会参加を保障するため、成人年齢を18歳とし、選挙権年齢も18歳から付与します。次の総選挙から選挙権を付与できるよう法改正案を国会提出し、その成立をめざします。
2 誰もが安心して働ける社会をつくります。
(1) 誰もが仕事に就き、労働が正当に評価されるルールを確立します。
現在5%台半ばの失業率を4%台前半以下に引き下げることをめざし、就業機会の拡大を図るとともに、ワークシェアリングや男女共同参画の推進、不払い残業の解消などに取り組み、失業の新規発生を食い止め、就労者を増やします。
経済の変化に即した労働者の権利擁護、さまざまな面での官民格差の是正、国際的ルールの確立などを推進します。
(2) パート均等待遇の実現、育児・介護休業制度の拡充をすすめます。
平成16年度中に、正社員とパート社員などとの間の合理的な理由のない格差を是正し、均等な待遇を実現するパート労働法改正案を国会提出し、短時間労働であることを理由として、賃金その他の労働条件について正規社員等と差別することを禁止します。
また、実質的に1年以上の雇用契約を結んでいる有期雇用労働者であれば、育児・介護休業がとれるようにします。育児・介護休業制度全体についても、子どもが生まれてから小学校に入学するまでの間、月単位で2回まで分割して取得できるようにするなどの改善をすすめます。
(3) 能力開発と月10万円の手当支給で、失業・廃業からの再出発と暮らしを応援します。
雇用保険会計の安定を図るとともに、失業給付期間が終わっても就職できない人や、自営業を廃業した人などを対象として、能力開発訓練を拡充し、最大2年間、月額10万円の手当を支給する法案を国会提出するとともに、平成16年度途中から適用できるよう予算を用意します(平年度約2500億円を見込みます)。
また、倒産やリストラで失業した人が安心して医療を受けられるよう、医療保険料を1年間軽減します。この措置に必要な国費は年間25億円です。
3 「老後の安心生活」世界一をめざします。
(1) 若者からも信頼される安心の年金制度をつくります(仮)。
現行の年金法では、平成16年度から基礎年金に対する国庫負担(税金投入)を、「3分の1」から「2分の1」に引き上げることになっています。このためには、平成16年度から一挙に2兆7000億円の予算が必要となり、現政権が垂れ流しをつづけてきた財政実態では困難です。民主党政権は、平成16年度から徹底した予算改革を行い、それによって生み出される財源を段階的に基礎年金に充て、5年間で国庫負担率を2分の1に引き上げます。
また、民主党政権は、将来にわたって持続可能な年金制度として、国民すべてに適用される新たな「二階建」の年金制度を再構築することをめざします。
すべての人を対象に、税を財源とする「一階」としての「国民基礎年金(仮称)」を設け、老後の最低限の年金を保障します。これに加えて、すべての人を対象に、所得をもととした拠出額を財源とする「二階」としての「所得比例年金(仮称)」を設けます。
民主党の提案を政府案としてより詳細に提示した上で、超党派による国民的議論の中で年金の将来像を政権任期内に確定させることをめざします(シミュレーションに基づきさらに具体化)。
(2) 地域介護の拠点として、グループホームを1万カ所増設します。
待機要介護問題の解消をめざし、平成16年度から年間約850億円の予算を確保し、4年間で、地域の身近な介護拠点―グループホームを1万ヶ所、約10万人分増設するとともに、ヘルパーなど必要な人員を養成します。
併せて、地域の実情と自治体の創意により、都心における介護付住宅の整備やバリアフリーのまちづくりなどを推進します。
(この政策には、実際に地域で介護問題に日々取り組んでいる、地方自治体議員さんからの提案が含まれています)
4 一人ひとりの人権が尊重される社会を実現します。
(1) 差別の解消をめざす法律を制定します。
社会にまだまだ残っているさまざまな差別を解消するため、平成17年度末までに、法務省から独立した人権委員会の設置などを盛り込んだ「人権擁護法」、すべての障害者に「完全参加と平等」を保障し、具体的な差別の禁止を規定する「障害者差別禁止法」、年齢を理由とした就職差別を禁止する「年齢差別禁止法」 など、差別解消のための法律の制定をめざします。
(2) 盗聴法、住基ネット法、個人情報保護法を見直します。
政権獲得後直ちに、盗聴法の運用を凍結し、2年以内に抜本改正の法律案を国会に提出します。また、住民基本台帳法の住基ネット条項と個人情報保護法についても、直ちに見直しに着手し、平成17年度中に抜本改正のための法律案を国会に提出します。
(3) テレビの字幕化を推進します。
聴覚に障害がある方々もテレビ放送を楽しみ、情報を確保できるようにするため、平成19年までに、技術的に可能なすべてのテレビ番組の字幕化を実現します。字幕化を行う放送事業者や製造業者に対しては、事業支援措置として年間約100億円の助成を行います。
(4) 外国籍の人も希望により住民票に記載します。
現在、外国籍の人は、日本国籍の人と結婚して一緒に暮らしていても、住民票には名前すら記載されないため、さまざまなトラブルが生じています。そこで、本人が希望した場合には外国籍の人も住民票記載を行うよう、住民基本台帳法を改正します。
(上記二つの政策は、民主党がインターネットを通じて政策を募集した際、聴覚に障害をもつ方、国内に居住する外国籍の方から提案いただいた政策です)
五 国民の命と健康を守る つよい社会を実現します。
社会全体の安全性が低下し、私たちの身の周りが危険に囲まれています。生命と健康が尊ばれ、国内外でモラルが行き届く社会を再建して、国民の命と健康を守ります。
1 健やかさを保つ生活へと改善します。
(1) 早期発見・治療で安心の医療を実現します。診療報酬改定プロセスの透明化をすすめます。
受診抑制を解消し、早期発見、早期治療を促進するためにも、平成18年の診療報酬改定時点で、健保本人の医療費自己負担は2割に引き戻すとともに、医療制度改革、高齢者医療制度改革を進めます。
また、診療報酬改訂時には、薬、医療材料、医科点数、歯科点数、訪問看護等についてのデータや価格データの公表を行うとともに、パブリックコメントに付すこととします。また、診療報酬改訂作業を行う中央社会保険医療協議会の委員構成を診療側、支払側、公益側それぞれ同数とし、その議事録を公開します。これらの改革は平成17年度から順次、すすめます。
(2) 350カ所の小児救急センターを整備し、小学生卒業までの医療負担を1割に軽減します。
小児救急医療体制を整備し、政権取得後3年以内に、全国で350カ所以上の小児救急センター病院を指定して、いざという時の受け入れ体制を確立します。
また、小児医療に関する診療報酬の適正化を図る一方、健康保険における小児医療の患者負担を、3歳未満については2割から1割へ、3歳から小学校卒業年次までは3割から1割負担へと軽減するため、平成17年度までに改正案を国会に提出します。必要な国の予算は約450億円と見込まれます。国費については冗費の振替で行い、健保については財政状況に配慮します。
(3) カルテ開示・医療費明細書発行の義務化を実現します。
患者と医師の信頼関係と協力をさらに良好なものとするため、患者に対するカルテの開示と医療費明細書の発行を義務付ける法律案を、16年度中に国会に提出します。
(4) 「食」の安全を一元的に厳しくチェックします。
輸入食品検査や食品流通規制、食品表示制度などを一元的に扱い、食品の安全規制を強化するため、平成19年度までに、農水省と厚労省に分かれている「食品リスク管理」業務を内閣府設置の「食品安全委員会」に一本化して、公正取引委員会並みの権限を付与し、消費者代表の委員選任など抜本的な強化をすめます。予算は平成19年度において約200億円を必要としますが、厚生労働・農水両省の予算を振替ます。
(5) 安全を最優先し、原子力行政の監視を強めます。
原子力に関する行政機関を推進と規制に明確に分離し、安全を最優先させます。原子力の安全規制機関を経済産業省から切り離して、内閣府に独立した行政機関を新たに設置し、強力かつ一元的なチェック体制を築きます。
平成17年に国会に法案を提出し、18年度よりの施行をめざします。
2 犯罪に厳しく対処し、安全な地域を取り戻します。
(1) 警察官の3万人増員により、落ち込んだ検挙率を回復させます。
5年間で48%に落ち込んだ凶悪犯罪の検挙率を5年前の水準である84%に回復させることを目標とし、4年間で地方警察官を3万人以上増員して、「地域・刑事・生活安全」警察機能の拡充、防犯パトロール体制の強化と「空交番」解消をすすめます。平成16年から4年間、毎年6000〜7000人を増員し、毎年約400億円ずつ、4年後には1600億円の予算を確保します。
また、市民の声を警察行政に反映させます。平成17年通常国会に警察法改正案を提出し、都道府県公安委員会に、独自の事務局を持った市民・有識者等のオンブズパーソンからなる「苦情処理委員会」の設置をめざします。
(2) 仮釈放のない「終身刑」を創設し、凶悪犯罪の罰則を強化します。
罰則が軽すぎると批判のある凶悪犯罪について罰則を強化し、仮釈放のない「重無期刑」の創設を図るとともに、刑罰全体の見直しをすすめ、政権獲得後3年以内の刑法改正をめざします。
(3) ドメスティック・バイオレンス(DV)防止法を強化します。
平成16年中に、「配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律」(通称:DV防止法)の改正案を国会提出し、保護命令対象を元配偶者・子ども・親族などに広げます。脅迫行為や電話による接触の禁止、退去命令や接近禁止命令の期限延長など、保護命令制度の改善を図るとともに、警察改革による相談体制等の強化をすすめます。
自立支援体制の強化とともに民間シェルターに対する事業支援を増額することとし、年間約25億円の予算を平成16年度から確保します。
3 信頼できる外交、国民を守れる安全保障を築きます。
(1) 自立的な外交と国連機能強化をすすめます。
受け身の外交姿勢を改め、日本を、明確な外交意思をもつ国に変えます。
日米同盟を本当の意味で進化させるために、「協力すべきは行う、言うべきは言う」ことを対米関係の基本姿勢とし、日米関係を成熟した同盟に強化します。
アジア地域における相互協力と信頼醸成をすすめ、FTA(自由貿易協定)の締結促進など経済協調の推進、地域的安全保障、そして環境や教育、犯罪対策などを含めて、アジアの一員としての連携と協力を強化します。
国連の人道支援、環境対策、教育や人権、そして平和維持、紛争予防活動などに対して積極的な貢献をすすめながら、国連改革に積極的に取り組み、国際政治における国連の機能強化をめざします。
(2) 拉致事件の解決など北朝鮮問題に正面から取り組みます。
拉致事件の解決は、日本の主権、人道上の見地から早急な解決が重要です。被害者家族のすみやかな帰国、事件の全容解明を北朝鮮に強く迫るとともに、国連をはじめ国際世論に広く働きかけます。また、脱北者問題に積極的に取り組むとともに、不審船等による覚醒剤事件の取締りなど海上警備体制の強化を図ります。
核・大量破壊兵器の問題は、地域の安全にとって重大であり、6者協議の国際的取り組みを評価し、将来この地域での信頼醸成機構に発展させることを展望するとともに、さらに国連を加えた取り組みを充実させます。
(3) イラク問題 = 調整中
(4) 犯罪対策の強化など「日米地位協定」の改定に着手します。
わが国の外交安全保障の基軸である日米同盟を健全に運営するため、凶悪犯罪容疑者について起訴前に日本の司法当局に引渡しを認める原則や、米軍施設への日本法令の適用原則、環境保全条項などを盛り込むことをめざし、日米地位協定の改定に着手し、3年を目途に結論を出すことを目標にします。なお、協定改定の交渉中も、アジア情勢等を踏まえつつ、在日米軍基地の整理・縮小を追求します。
(5) 大使等の民間登用率を2割に向上させます。
「日本の顔」として柔軟かつ効果的な外交を展開するため、大使等(特命全権公使を含む)の任用を、学者、NGO関係者、首長や政治家経験者などに広げ、日本人の顔の見える活力ある外交を推進します。大使等の民間人登用を、現在の6%から当面20%を目標とし、政権獲得後の4年間で達成します。
(6) 地球環境保全に向けた基本法を制定し、環境外交を展開します。
人類と自然との共生の理念にもとづいて、日本が世界に貢献する戦略的外交課題として、地球環境保全活動をすすめます。平成17年度末までに、「地球全体の環境保全」という理念を明確にし、地球環境保全に向けた基本法案を国会提出し、その成立をめざします。
(7) 国民を守ることができる防衛力整備への転換を図ります。
平成17年中に新しい防衛構想を策定して、ミサイルの脅威やテロなど多様な危機に柔軟に対応できるようにします。
新しい防衛構想では、(1)陸上自衛隊の削減、(2)テロなどに対処する特殊部隊導入強化、(3)予備自衛官の拡充、(4)機甲師団の廃止、戦車、火砲の20%縮減、(5)陸海空3自衛隊の統合運用強化、(6)軍事技術のハイテク化・IT化、(7)ミサイル防衛力の向上―などを5年以内に実現することをめざします。
また、弾道ミサイル防衛については、その必要性を踏まえ、費用対効果など総合的観点から検討を進めます。
これらに必要な予算は約5000億円となりますが、従来の防衛予算の中での振替で対応します。
2003年9月18日 | 戻る/民主党文書目次 |