1998/01/07 | 戻る/ホーム/民主党文書目次 |
当面する政策課題についての合意
われわれ統一会派は、通常国会開会にあたり、当面する課題について以下の通り合意する。なお、ここに述べる以外の重要課題についても引き続き協議を行うこととする。
- 財政再建は中期的な政策目標として重要であるが、短期的には景気対策・経済再建を優先する。このため、(1)3兆円の所得税・住民税の恒久減税、(2)法人税率引き下げ、有価証券取引税・取引所税の廃止、土地・住宅等の政策減税を実施することにより、合計6兆円規模の減税を大胆に実現する。
- 経済的規制の撤廃と大胆な予算配分により新たな分野での民間設備投資の活発化を図る。また、貸し渋り対策として政府系中小企業金融機関等による十分な資金供給を行う。
- 金融システム安定化のために、(1)金融機関経営者等や行政の責任追及、及び(2)情報開示の徹底を前提とし、金融機関の破綻処理に伴う預金者保護に限定して公的資金を導入する。公的資金は金融機関自身の救済には使わないこととし、金融機関の優先株や劣後債等の公的な引受は行わない。
- 強力な権限を持つ公的債権回収機関(日本版RTC)の設立や、財政・金融の完全分離を含む厳正な金融市場監督体制の確立を図る。
- 金融機関の保有する不良債権の実態を開示するとともに、土地税制の緩和、土地担保債権の証券化等により土地の流動化を促進し、不良債権の処理を進める。
- すみやかに「緊急金融対策プロジェクト・チーム」(仮称)を設置し、必要な立法化作業を進める。
- 政府の行政改革案のような単なる数合わせにとどまるものではなく、国と地方及び民間との役割分担を明確にし、国の仕事・権限を減少させ、効率的な政府を実現する。
- 公共事業については、硬直したシェア配分の見直し、高コスト構造の是正、事後評価システムの創設によって抜本的改革を図る。
- 情報公開法については、従来の野党3党提出法案の成立を期す。
- 国の歳出削減は、一律削減方式ではなく、既得権益の思い切った見直し、国家公務員数の計画的削減など歳出構造の改革により実現する。建設公債・赤字公債の区分を改め、公債発行の総額管理方式を採用する。
- 国と地方の財源配分を抜本的に見直し、地方の自主財源として客観的基準に基づく包括交付金制度を創設する。
- 前記の景気対策の減税財源及び預金者保護等のための必要財源については、その緊急性に鑑み、財政構造改革の特例として国債の発行を容認する。ただし、その償還財源については、期限を明示して歳出削減によって生み出すこととし、将来世代にツケを残さない。
- 国民の政治への信頼を取り戻すため、政治改革、国会改革に取り組む。特に、国会答弁における政府委員制度の廃止と副大臣制度の導入、議院証言法の改正などを実現する。
- 国民の政治不信の元凶である政官業癒着の徹底究明を行う。とくに、泉井疑惑、政治家への利益供与疑惑、大蔵官僚による一連の疑惑を国会の場において徹底的に追及・解明する。
- 日米安全保障条約をわが国の安全保障体制の基軸として積極的に評価する。ただし、(1)沖縄米軍基地の整理・縮小・移転について引き続き努力するとともに、(2)中長期的観点から国際情勢の変化に対応した米軍基地のあり方等について検討する。
- 日本の安全に重大な影響を及ぼす事態が発生した場合には、憲法の枠内で米軍への協力を行なうことは当然である。この際、周辺事態の認定や対米協力行動について国会による個別承認などの手続を法制化する。
- 国連の平和維持活動には、憲法の枠内で積極的に参加し、国際社会における責任を果たす。
- 法律に基づくシビリアンコントロールの原則に則った有事・危機への明確な対応体制を確立する。
- 21世紀の少子高齢社会において、効率的かつナショナル・ミニマムを十分にみたす社会保障制度の確立をめざす。
- とくに当面する医療制度改革や公的年金制度改革については、十分な情報公開と世代間負担の公平化の視点を重視する。
- 地球温暖化やオゾン層破壊など地球環境問題の解決をめざし、大量生産・大量消費・大量廃棄の社会から資源循環型社会への転換のための施策や技術移転などの国際協力を積極的に推進する。
- エネルギーの安定供給のため、化石燃料の安定的な確保を行うとともに、原子力発電のさらなる安全性向上による活用、新エネルギーの積極的開発・普及を図り、エネルギーのベストミックスをめざす。また、産業・運輸・民生の各部門における積極的な省エネ推進策を講じる。
- 産業・企業の構造変化に伴う雇用・就業形態の多様化に対応し、適切な雇用安定・勤労者保護の充実を図る。
- 雇用調整助成金の弾力的活用や職業能力開発訓練の充実など雇用対策を強化する。
- 継続審議となっているNPO法案については、過去の経緯を踏まえ、各党の判断を尊重する。また、税制問題等を含む市民活動促進のためのさらなる制度の整備について検討をはじめる。
- 阪神・淡路大震災被災者支援法案等、その他の継続法案については、過去の経緯を踏まえ、それぞれ別途協議することとする。
>>統一会派結成宣言
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