2003年2月4日(火) 戻るホーム記者会見目次

菅 直人代表/定例記者会見要旨


小泉総理の答弁はタジタジ

【代表】いよいよ施政方針演説に対する代表質問が昨日、今日、明日とおこなわれています。昨日の代表質問では、岡田幹事長そして伊藤副代表ともに持ち味が出せたと思いますが、とくに岡田幹事長は再質問、再々質問と小泉総理に対して迫ったわけですが、総理のほうがタジタジで逃げ惑っていたという感じがいたしました。

今日の各党党首の質問に対しても、非常に原稿の棒読みで迫力のない無気力な答弁が続いているという感じがしました。そういう意味で総理もそろそろ限界なのかな、あのような本会議での答弁ぶりでは限界を本人が感じているのではないかと思えます。

予算委員会では民主党予算案で政府案と対峙

【代表】参議院の質疑を終えて通常であれば予算委員会の場に移るわけですが、まだ最終的な日程はどうなったのか報告はありませんが、6日におこなわれるという可能性もあるということなので、いま6日にある場合を想定して私も準備に入っているところです。

今回の場合、民主党版平成15年度予算というものが明日中には民主党として正式に決まると政調会長から聞いております。つまりいまの政府が出した平成15年度予算案に対して、規模では同じですが中身が大幅に違うものを党の正式な考え方をまとめています。それをもって総理に15年度の政府案が国民にとっていいのか、それとも民主党の予算案のほうが国民にとっていいのか、どちらが国民にとっていいのかという基本的なスタンスで臨みたいと思っています。

韓国をもっと知り、ノ・ムヒョン次期大統領としっかりした信頼関係をつくりたい

【代表】韓国訪問が今日の常任幹事会で正式に了解をいただきました。正式には9日昼にソウルに入って、10日にノ・ムヒョン次期大統領にお会いするということが決まっています。私自身は土曜日に山口県に行く用事がありますので、福岡に出て船でプサンに出て、9日の朝プサンからソウルに汽車で行こうという日程を組んでいます。

やはり私も何度か韓国には行っていますが、ソウルしか知らないのでできればもう少しお隣の国を知ってみたいと思って、多少の時間をとって朝鮮の歴史を読んでいます。行くまでにはノ・ムヒョンさんについて書かれたものも少し読みたいと思っていますし、ノ・ムヒョンさんはもともとプサンに近い慶州南道の出身とも聞いていますし、もともとハンナラ党の強い地域でありますがあえてプサンから立候補したという経緯も聞いています。

大きい意味では歴史的なことで、直接的にはノ・ムヒョンさんのいわば生まれ故郷の近くということも含めて、少しせっかくの機会ですから飛行機で行くとどのくらいの距離感があるかわかりませんが、船で行ったら少しは分かるんじゃないかと思っております。

この日曜日、琵琶湖のほとりにありますBSCヨットスクールに行って、ヨットの初級の講習を受けてまいりました。実はその1週間ほど前に、わが党の川端さんや山元さんからノ・ムヒョンさんが20年前に日本に来たときに訪れたヨットスクールで、そこの井上さんとノ・ムヒョンさんと交流があるとお聞きして、お会いいたしました。

その時にすすめられまして、昔からヨットには興味があったのですがなかなかチャンスがなかったものですから、思い立って土曜日の夜に現地に入って日曜日1日、講習を受けてまいりました。

答弁をコントロールしているのは役人で、その結果税金が無駄に使われている

【代表】予算委員会の問題でまだ詳しい事情を聞いていませんが、質問とりのいろいろな様子を何か副大臣会議の指示で各省庁が調査をしているということで若干議論になっていると聞いています。詳細には聞いていないのでコメントをしにくいのですが、もともと予算委員会などで質疑をする場合、ひとつは当然ながら大臣なり副大臣がみずからの責任で答弁をする。みずから必要なことについては判断しているとすれば、それはいいわけです。

いまの状態もそうですが、一般にギリギリになると前の夜までかかるとかいろいろ言われますが、私自身の経験からしても今回の場合も、未だに6日にあるかどうかわからないという状況の中で、いくらなんでも4日の今日、こんな質問をしますという通告をするわけにはいかないわけです。つまりまだ6日にあるかどうか決まっていないので、今夜決まってもいくつかの準備がありますからギリギリ明日の夕方になってしまうというのが普通です。

もしそれをきちんとしようと思えばまさに与党が提案したそうですが、きちんと決まってから2日前までに質問通告をするようにというのであれば、少なくとも決まった段階から2日以上先から始めてくれなければ、当然ながら明日から始めますというときに、それでも2日前に質問通告をしろと言っても、まさにタイムマシーンでもない限り無理です。そういう意味で私はきちんとした形で役人に過剰な負担をかけないやり方というのが望ましいと思いますが、それをやるのであればまさにきちんとした委員会運営を与党自身がやる必要があるのではないか。

実はもうちょっと言うと、官僚の皆さんが徹夜をするときにいろいろなことを言われ、大変だという言い方もあるのですが、私も厚生大臣を経験した際に実感したのですが、本当は逆なんです。個人個人の官僚の皆さんからすれば大変なのですが、逆にいえば100%官僚の答弁を読んでくれる大臣がそろっているのです。

ですから答弁を書きたくないのではなくて、本当は役所が答弁を書きたいということです。ですから本当は政府委員を外すことを役所が本来喜ぶべきなのに、是非政府参考人を出してくれとか質問とりにきて、是非質問を詳しく聞いてくれとか言うのです。それはいわゆる表で言われているのとは逆で、すべての質問に対してすべて大臣の答えることをコントロールしたい。コントロールするためにあらかじめ質問を知って、答弁書をつくってそこからはみ出さない答弁をするように大臣をコントロールしたいためにある意味で普通のやり方になっているのです。

これは予算の作り方がボトムアップであるとか、あらゆることに共通していて結局は内閣が物事を判断する必要がない、大臣が物事を判断しない、事務次官以下が判断をして大臣に言わせる。その仕組みのためにこういうことが起きているわけで、何か野党がイジワルをして役人を夜中まで、あるいは土曜・日曜をつぶさせてタクシーで帰らせ、タクシー代やホテル代がいくらかかるなどと言っているのは、本質からすると私の実感では逆だということを申し上げておきたいと思います。


<質疑応答>

ノ・ムヒョン次期大統領との会談での抱負

【記者】訪韓して、ノ・ムヒョン次期大統領とお会いして、テーマとしてどういう話をしようと思っているのか、これを伝えたい、言いたいということをお聞かせください。

【代表】しっかりしたことは予算委員会が終わってから考えたいと思っていますが、第一の目的はノ・ムヒョン次期大統領と初めてお会いするわけですから、ある意味での知り合いになるというか、ノ・ムヒョンさんはどういう人なのか、場合によっては日本の民主党代表の菅というのはこういう人間だということをお互いが知り合って、良好な人間関係ができればいいなと思っています。

ヨットスクールも偶然もあったのですが、実はそこで20年前のビデオも見せていただきました。ちょうどノ・ムヒョンさんと私は同じ歳ですから、そういう意味でも共通のヨットスクールの校長の話を聞いたりということも、共通の話題も持っていけるのかなという思いもあることも事実です。

最大の目的はいい人間関係をつくりたい。それ以上はいろいろ北朝鮮の問題とか、今日の質疑にも出ていますが太陽政策ですね。私の予算委員会での質疑のときも、総理はそれを支持していると言われていましたが、ノ・ムヒョンさんの北朝鮮に対する考え方というものも聞ければいいなと思っています。

国会答弁を無視した大臣をそのままにしておくのは、本気で改革をやる気がない証拠

【記者】今日閣議後の会見で、国土交通大臣が道路公団分割化について消極的な発言をし、反対に総理は積極的な姿勢のようだが、その閣内の温度差についてどう思うか?

【代表】象徴的ですよね。常に道路公団だけではありませんが、猪瀬さんたちの案に対して総理は積極的に尊重するとか言いながら、その直後の多くの記者に対しては扇大臣の答えは『国土交通省は関係ない』みたいなことを平気で言っているわけです。

今回の問題も岡田幹事長の質問の中で、いわゆる民営化推進委員会の意見書にある分割というものについて具体的に聞いた再質問があったわけですが、それに対してそのことも含めてやるんだという趣旨のことも言っていました。

また、それに矛盾することを国土交通大臣が言っているというのはまさに象徴ですよね。同時にいえば岡田幹事長の質問に対して、反対する党よりも協力してくれる党の言うことを聞いてやるのは当たり前ではないかと言ったが、私も率直なところあの言葉を聞いてびっくりしました。

かつては自民党を壊してでも改革をするんだと言っていた人が、自民党と一緒になって自民党が協力してくれるんだから、自民党とやるということをわざわざ大きな声で言うとは思わなかったし、それと今度の扇さんの言葉もいわば、役所なんて民営化も反対、公団をなくして全部無料化すればいいなんていう議論が、このことは私も代表選挙のとき、少し検討課題として取り入れたのですが、全部反対ですから結局は小泉さんの国会答弁を無視した大臣をそのままにしておくというのは、結局は本気でやる気がないという証拠だと思います。

小沢党首の代表質問について

【記者】今日の小沢自由党党首の代表質問についての感想と、野党結集について民主党を名指ししたこについてどのように受け止めているか?

【代表】今日は小沢党首が代表質問をされるということで、代議士会でも石井副代表から自由党の質問には激励の拍手や言葉、その反対のときはヤジを飛ばすことも含めて臨もうということであり、私も記憶のなかでも小沢党首が本会議場で質問をしたのが前回いつだったかというのを覚えていないくらい前のことですから、大変注目をしてお聞きしました。

さすがだなという思いがしました。10年前の自民党を離党した段階で主張されてきたことを軸にして、こういう形で日本の改革をやりたいということで、もちろん一つ一つの政策課題で必ずしも100%一致するかしないかというのは別ですが、基本的な深い考え方をもって日本の改革を目指そうという姿勢と、経済政策も含めて大筋わが党が主張していることと共通のところが多いと思っています。

それだけに政権交代ということを本気で小沢党首が考えておられて、そのためには野党の協力、とくにわが民主党が野党第一党ですから民主党との協力というか一緒になってやろうということについては、この間個別にそういう話は時々していますが、改めて本会議の場でいわば提案をされたということで、大変重いあるいは前向きな提案だと思っています。

石井委員会などでいろいろなことをやっていますが、私自身も小沢党首のそういった思いを改めて強く感じて、重く受け止めていきたいと思っています。

熊谷保守新党代表の代表質問について

【記者】今日の代表質問で、石井副代表が変節という言葉を使っていましたが、保守新党の熊谷党首の代表質問をどのようにお聞きになりましたか?

【代表】あまりコメントしたくないというコメントです。

公務員制度改革委員会の天下り抑制の動き

【記者】自民党野中氏が委員長をやっている公務員制度改革委員会について、今月1日くらいに天下りを集中的に抑制するという話をしていたが、これは代表の持論とも一緒だと思うが、そういった一連の与党内の動きについてどのように評価するか?

【代表】公務員制度の問題についてはいろいろな側面があり、扱いを間違うと大変おかしなことになり兼ねない。扱いをきちんとした方向に進めば、一定の大きな意味での前進になる可能性もあると思っています。

とくにILOからの勧告といいますか、日本の公務員労働者の労働権というものがきわめて制約をされていることについて、きちっと指摘があるわけですが、それをきちんと受け止めることができるのかどうか人事院という制度が逆にそれがないことを担保する制度だったわけですが、逆に人事院をなくしたときにもしそういう労働基本権というものが認められていない中で、各役所が従来と違った形で直接的な人事権というものを持つとすれば非常に一方的な権限になってしまうということで、そういう意味では大きな課題だと思っています。

その中で天下りの問題というのは、ある意味で日本の政治行政、政財官といいましょうか、きわめて癒着の根っこのところにある問題で制度問題に絡むと同時に、ある意味で日本の政治体質の根源のひとつ、政治腐敗といいますか、最近わが党でも税金の使い方が捻じ曲げられる原因になるきわめて大きな要素と受け止めています。

いま野中さんがどういうポジションにつくか、どういうふうに思うかといわれてもすぐに歓迎するとも、困ったとも言うほどの中身は分かりません。野中さんがどういう考えで臨もうとしているのか、よく承知していません。ただこの問題は非常にいろいろな側面できわめて重要な課題だということは、私も認識していてもう少し私自身もこの問題について現状をもう少し深く把握してみたいと思います。

編集/民主党役員室


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