2003年2月18日(火) | 戻る/ホーム/記者会見目次 |
菅 直人代表/定例記者会見要旨
韓国の地下鉄火災の発生についてのお見舞い
【代表】いま入ってきたニュースの中で、韓国のテグ市の地下鉄で火災が発生して大変大勢の方が亡くなっておられると聞いております。先日韓国にうかがったときに、私もプサンからソウルまで汽車で行きましたので途中テグの駅も通ったわけですが、それだけにそうしたニュースを聞きまして、まだ最終的な被害の状況はわかりませんが心からお見舞いを申し上げたいと思っております。
イラクに対する政府の姿勢は二枚舌
【代表】イラクに関する14日の国連の報告等があったわけですが、それに対して政府の姿勢というのは相変わらず二枚舌というか、つまりわが国の国会での川口大臣や私に対する小泉総理の答弁では、相変わらずまだ様子を見るといったようなことを言いながら、一方では武力行使をいわば積極的に容認してほしいという決議案が出されたときには、賛成してほしいという外交活動を活発に展開する。今日も橋本元総理がメキシコ大統領に対して、小泉総理の親書を手渡しておられるようですが、これなどもODAを提供している国々に対してアメリカのお先棒を担ぐ国としての活動をしている。
少なくとも国民に対してきちっと説明をする中で行動するということが必要で、国民への説明と違った形でまさに二枚舌で行動するということは、民主主義の下における内閣の行動としては決して認めることができないと思っております。
総理は反イラク攻撃デモといいましょうか、いわゆる世界中でイラクに対する攻撃について反対ないし懸念を示すデモについて、誤ったメッセージを送らないように注意しなければならないという趣旨のことを発言しております。
また先日のNHKの日曜討論では、与党公明党の冬柴幹事長は『戦争反対を言うことは利敵行為だ』こういう言葉を使われたと私は記憶しております。ニュアンスはそれぞれ若干の差はありますが、とくに冬柴公明党幹事長のこの発言だけはきちっとただしておかなければならない。公明党の考え方なのかどうなのか。
つまり公明党という政党は、イラクに関する戦争反対という発言は利敵行為という見方をするのか。もちろん政策的にいろいろな立場があることは当然であります。しかし利敵行為という言い方は、いわば太平洋戦争の最中に何か言うと、いわゆる戦争に反対するような人間は非国民だという、そういう言葉にも似て、一切議論の余地のない形で相手を非難している言葉です。そういう意味で、公明党はそういう立場に立つのかということをきちっとたださなければならないと思っております。
総理の発言はもうちょっと幅がありますが、少なくとも世界中でイラクの戦争を懸念するいろいろな活動に対して、一方的な見方をするというというのは、私はどういうものであろうかと。意見の差はあっても、そういう意見がきちんと世界中に、しかもある意味ではヨーロッパを含めて世論調査などでも多数の国民がそういう心配をもっている。あるいは日本にあってもそうであると考えたときに、そういう国民世論に何か抑えこもうとする権力的な臭いを感じるところであります。
竹中大臣の発言の責任追及
【代表】竹中経済担当大臣のいわゆるETF購入問題をめぐるとんでもない発言が議論となっています。おもに国対委員長あるいは、国対の中での議論を通してこれから場合によればよりはっきりさせ、更には担当大臣としての資質そのものが問われるということになってくる可能性もあります。ここは国対委員長の判断を尊重しながら、必要に応じて竹中大臣の責任などについてはしっかりと追及していきたいと考えております。
全国行脚は膝をつき合わせた形でおこないたい
私自身はこの国会が始まって3度小泉総理と直接対決をおこない、来週さらに予算委員会が継続されている予定なので、当初からの約束である全国行脚を具体的にスタートさせたいと考えております。もちろんすでに全国走り回っているわけですが、あらためて新人候補を中心に全国の、必ずしも大きな町ではない、それこそ膝をつき合わせての話し合いといった形を順次とっていきたい。
今週末には米沢あるいはその近くで、新人候補の近藤洋介さんの地元に出かける予定がだいたい決まったようであります。そこを皮切りに順次全国遊説を始めたいと考えているところです。
<質疑応答>
都知事選における今後の民主党の対応
【記者】都知事選ですが、昨日の都連の幹事会では候補者擁立について慎重な意見が出ていたが、あらためて代表の考えと石原知事に対する評価をお聞かせください。
【代表】まず手続き的な面で言いますと、本部の岡田幹事長の下に4者による協議会というのか調整の場をつくる。名称まではまだ聞いておりませんが、そういう運びになっております。4者というのは本部からは赤松選対委員長と、北橋幹事長代理、私が聞いているのは、都連・都議会からは都連会長の海江田会長、都議会からは都議会幹事長の田中良都議の4人によるいわゆる連絡調整といいましょうか。もっと積極的な言葉でいえば都知事候補対策委員会とでも言うのでしょうか、そういうものが近々スタートする段取りになっております。
私が当初韓国で皆さん方の質問に答えて申し上げたことと、いまの私の考え方はまったく変わっていません。つまりは現時点でもそうですが、最終的に石原現知事が再出馬するという表明はありませんが、一般的にいえば石原現知事は出られる。それに自民党や公明党は形はともかくとして応援なり、言わばそれにすり寄っていく姿勢を示されている。
その中で民主党がどうするか、個々の政策ではたとえば外形標準課税の実施など必ずしもうまくいかなかったものを含めても、ある意味で課税自主権を確立しようとか、あるいは都庁の給与の抑制等など評価できる部分もあるわけですが、だからといって全体の政治姿勢を含めてわが党までもが自民党や公明党と一緒にすり寄っていくということにはならないだろう。
政策的にも政治姿勢からしても、わが党と共通の立場に立てるような人に是非出てもらいたいし、あるいはそういう努力をすべきではないかという立場に立ってその時も申し上げたつもりでありますし、いまもその考えは変わっておりません。
生命保険の予定利率の破綻前の引き下げについて
【記者】生命保険の予定利率の破綻前の引き下げということがいま問題になっていますが、これについての代表の考えは?
【代表】この問題もまだ私も党内の議論をきちんと聞いておりません。かなり技術的なところもありますので、ちょっとあとで言い直すようなことはしたくないので個人の感想めいた話をすべきテーマではないと思うので、一度必要ならば状況を聞きながら申し上げたい。今日はちょっと控えさせていただきます。
定期借家法成立前後の不動産政治連盟から国会議員に対する寄付の報道について
【記者】全国不動産政治連盟と傘下の東京不動産政治連盟の2団体が定期借家法の成立前後に与野党10名の議員に寄付をしていたという報道があったが、これについての代表のお考えをお聞かせください。また寄付を受けたリストの中に民主党所属の議員の名前が載っていたが、それについて今後党として事情を聞いたりする予定はあるのか?
【代表】定期借家権、かつては定期借地権というのもありましたが、そういう政策課題についてはいろいろ議論が当時あったと私も承知しております。私はどちらかといえば定期借家権や定期借地権というのはもともと推進派というか、いわゆる賃貸住宅を拡大し、質を上げていくには政策課題としては良い方向だと考えていたわけですが、一方では人権的な立場から昔から借りているところをある条件のもとで出なければならなくなるのではないか。
実はそういう中身ではなかったのですが、一定期間の約束で出なければならないケースなどがあらたに認められるということで議論があったことは覚えています。
政策課題としていろいろな立場に立つということは当然ですが、その政策課題をどうこうするためにそれに対して寄付をしたり受け取ったりということは、今回のケースがそうなのかどうかわかりませんけれど、それがどのように処理されたかによっては政治的な問題なのか法律的な問題なのか、そういうことになることになる可能性は一般論としてはあります。
ただ今回のケースについて報道では読んでいますが、具体的にそれ以上の情報は持っておりません。もし何かをやらなければならないときには、一般的には幹事長なり幹事長部局で担当してもらうことになるでしょうが、現時点ではまだその話はしておりません。
国会審議は野党ペースで進んでいる
【記者】国対関連で、集中審議がいくつか決まっていたり、公聴会の日程が決まったりということで与党のペースというような印象を受けるが、この点について代表のご見解は?
【代表】今国会は冒頭から、何か与党や政府のほうがこちらが審議拒否の『き』の字も言わないのに一方的に拒否だ拒否だと言ってみたり、あるいは会期延長と言ってみたりどちらかといえば政府与党側のほうが何かドタバタしているというか、過剰な反応をしていたということは皆さんもご承知のとおりです。
それに対してわが党はしっかり時間をとって中身のある議論をしようということで、議論をするためにもっと時間をとれとか、あるいは与党が当初言っていた質問をしてから本会議なり予算委員会なりが開かれる間にしっかりと準備をする時間をそれぞれ持つようにとか、そういう姿勢で臨んできたところです。
私は個々の細かいところは別として、大きい流れとしてはわが党が主張し考えた方向で大筋その方向で進んできたのではないか。つまりはわが党が十分な議論をしようということに対して、十二分とは言えないけれどもほぼわが党の要求に大筋沿った形で審議が進められ、結果として民主党の各議員がしっかりした質疑をするのに対して、政府側のほうが逃げ惑っているというのが現状だと思っています。
今後の日程について、与党側あるいは政府側は常のことですが中身で勝てないものだから、あとはとにかく採決に早く持ち込もうとするわけですが、さらに私が聞いているところでは4つの課題について集中審議をするということを要求し、それが大筋受け入れられる方向になったということで公聴会も合意をしたと聞いております。
また審議時間や審議日程についても、昨年に比べて少なくとも見合う、ないしはそれ以上の審議時間を確保するという方向で進んでいると聞いております。与党がどういう段取りを考えているかそれは与党の自由ですが、野党民主党の立場からしてしっかりとした議論をするという意味では、野田国対委員長は初めての国対委員長でありますけれども、しっかりしたひとつの輪づくりを他の議運委員長や予算委員会や議運の筆頭理事などと一緒になって、力を合わせてしっかりやってもらっている。それなりのいい意味での結果が出てくると見ています。
編集/民主党役員室
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