2003年2月25日(火) 戻るホーム記者会見目次

菅 直人代表/定例記者会見要旨


韓国のノ・ムヒョン大統領の就任をお祝い申し上げたい

【代表】今日はノ・ムヒョン大統領が就任されるセレモニーがソウルでおこなわれ、報道を通して見ております。わが党からは鳩山前代表にお祝いにかけつけていただきました。私もこの会見の場を通してお祝いを申し上げたいと思います。

ノ・ムヒョンさんはキム・デジュン大統領のいわゆる太陽政策をさらに発展させたいという趣旨のことを言われたようであります。まだ小泉総理との会談の中身は私には伝わっておりませんが、これからの北朝鮮の問題にどう対応していくのか、韓国、日本、アメリカその三国のしっかりした統一的な提案が望ましいのではないかと申し上げておりますが、そのことについて注目していきたいと思っております。

北朝鮮のミサイル発射問題での政府の対応は、説明責任を欠いている

【代表】そういう最中に北朝鮮が対艦ミサイルを発射した。射程の短いミサイルであるので、いわゆる弾道ミサイルのような意味合いではないとの見方であります。

それにしても昨日発射されているわけで、政府がいつの段階でそれを把握したのか、昨日把握していたとしたら、なぜ一日それを伏せていたのか。どうも外交全体においてもそうですが、こういった安全保障の問題でも、情報を把握できていなかったのか、把握できていてそれを隠したのか。いずれにしても、非常に国民に対して説明責任を欠いたやり方だと申し上げておかなければなりません。

今回の北朝鮮の意図はどこにあるかもちろん定かではありませんが、いずれにしてもこの時期にこうしたミサイルを発射するということは、やはり緊張感を高めるという瀬戸際外交の一つの行動として、きちっと抗議をするべきではないかと思います。

米英等提出の新決議案より独仏露の主張の方がより望ましい

【代表】イラク情勢に関しては米英が新しい決議案を出し、独仏露が自分たちの考えをまとめた覚書を安保理事国に提出したという報道が入っています。内容を見る限り、独仏露の提案はある意味では理にかなっているというか、更なる査察によって大量破壊兵器を最終的になくす努力を続けようということであります。

それに対して米英の新決議というのは、やや決議の中身そのものが、最終的に武力行使という言葉はないのですが、武力行使を認めるという意味合いで解釈させようとしているような中身になっていまして、現時点でそうした米英の決議案というものは、私は『まだそういう時期ではないんだ、どちらかといえば独仏露の覚書の主張の方がより望ましい。』このように考えます。

日銀新総裁人事は、小泉政権が財務省政権であることを表している

【代表】昨日は日銀新総裁が内定しました。もちろん国会の同意人事でありますから、国会の同意が得られなければ決まらないので決定というわけではありません。

この人事を私なりに見ていると、やはり小泉政権というのは大蔵省政権だなと。最近の言葉でいえば財務省政権だなということを改めて強く感じました。今日出された報道を私なりに分析してみますと、まず副総裁を決めていく。つまりは財務省事務次官であった武藤さんが、まだ事務次官であるときに副総裁をやってくれと、そこから人事が始まっている。たぶん総裁人事については、総理は一時期民間人を考えた節があったようですが、最終的には大蔵省と日銀がいわば手を握って、結局もともと本命だった日銀出身の福井さんになった。

最初に大蔵省事務次官を副総裁にすることを決めて、そのあといろいろな大蔵省の一つの考え方も影響した形で決まってきた。こういう経緯を見ると、結局小泉政権というのは財務省政権だ。またその支えがなくては何一つ動かせない、そういう政権だということを私は天下に明らかにした人事だと思っています。

福井さん本人については、私は個人的な付き合いはあまりありませんが、それなりの見識をお持ちだと理解していますけれども、やはりきちっと国会で参考人として出てきていただいて、かつて副総裁をやられた方なのですから、考え方や日銀を辞められた経緯についてもきちっと国会の中で説明を願う必要がある。

なにか与党側はそういう参考人招致をさせない、あるいはまさに国会審議を邪魔しようとしているわけですから、これだけ日銀総裁の人事がある意味では、インフレターゲット論という政策論と相まって大変議論の大きな要素になっていることを考えれば、国民の前でそれぞれの見識、それぞれの考え方、つまりは福井さんの考え方を聞くのは総裁になれば参考人として呼ぶわけですが、逆に就任してから呼ぶ人をなぜ就任する前に呼ぶことができないのか、この点は強く参考人の招致を求めていきたい。
邪魔をすることは本来与党の筋からしてあり得ないことだし、またそうすべきではないということを申し上げておきたいと思います。

野党四党で予算の組替要求を提出、野党全体としての対案提示に大きな意味

【代表】また今日のこの記者会見と同じころ、野党四党で予算の組替案を提出いたしております。この組替案に与党なり政府が応じないときには、国会での何らかの手続きを踏んで組替動議といった決議案だろうと報告を受けております。

野党四党は予算という一つの基本的な課題で、同一歩調をとれるというのは先の国会でもそうでしたが、一時期野党間もガタガタした時期もありましたが、改めて今国会で野党共闘がしっかりとうまくいっていることの証拠でもありますし、またいまの小泉政権の予算に対する野党四党全体としての対案を提示したという意味でも大きな意味があると思っております。

<質疑応答>

自由党との協議機関設置について

【記者】自由党・社民党を含めて協議機関を設けて、今週金曜日に第一回の会合がおこなわれるようだが、合流することによっての障害は?

【代表】社民党もやるんですか?私も細かい日程までは知りません。幹事長からは最終的にはどの段階かは分かりませんが、わが方の自由党に対する提案について、近々といいましょうか、合意ができそうだという話は聞いております。合意ができれば当然話し合いに入っていくことになります。

役員会、さらには常幹、両院懇談会の場でも説明した上で、党内の合意になっているわけですから、そのこと自体で何か障害があるとは思っていません。

北朝鮮のミサイル発射に対する抗議の根拠

【記者】先ほどミサイルの発射に関連して、代表は何らかの抗議をすべきではないかとの趣旨のことをおっしゃったが、抗議の根拠とたとえばどのような抗議の方法があると思いますか?

【代表】通常こういう場合に国際法上の手続きがあるか詳細には知りませんが、例えばそれが領海の外であるか、船舶の航行ということも当然あり得るわけですから、そういうことについての何らかの警報などが出ていたのかどうか、そういったことにもよりますが、例えばそういうことがないとすれば、一つの根拠になると思います。

またピョンヤン宣言の読み方もありますが、少なくとも通常それが演習であったとしてもあらかじめ演習をしますとか、それが特に公海上であれば、今申し上げたようなこと、つまりは通知義務等もたぶん決まっていると思いますから、そういうことを考えれば、そういうものがない形で発射されているとすれば当然抗議をすべきだし、抗議というところまではいくかどうかは別としても、日朝間での一つの信頼情勢をつくりあげていくには、こういう問題についてはあらかじめ通知が欲しいということを言っても、決しておかしくないのではないかと思います。

北朝鮮のミサイル発射は信頼醸成を図ろうとしている精神に反している

【記者】ミサイル発射に関連して、政府は日朝ピョンヤン宣言に違反はしていないという見解を示しているが、それについてはどのように思いますか?

【代表】既に野田国対委員長がその点について記者会見で見解を述べているわけで、私もピョンヤン宣言というものは特に核開発というものを北朝鮮が自ら認めた時点で、明らかに内容的にはそれに反する行動だったということは、国会の場でも申し上げました。

そういう点ではピョンヤン宣言そのものが、現在有効な形で守られている状況にはないわけで、国対委員長が言ったように、事実上反故になっているという認識は私も同様です。

今回のミサイル問題が、これに抵触するか、しないかというあまり技術的なことは私自身どういう表現だったのか今手元にありませんし、分かりませんが、少なくとも両国は信頼醸成を図っていこうとする精神に対して、通知もなく発射したことはその精神に反しているのではないかと思います。

川口外相の言う「国際協調」は論理的に理解不能、ごまかしだ

【記者】今日午前中の閣議後の会見で川口大臣が、米英が提出した決議案について、日米韓の国際協調の立場から支持するという発言をしましたが、その発言についてどのように思われますか?

【代表】表現そのものを私も確認はしていませんが、この間も国際協調という言葉がよく出ます。国際協調というのは、川口さんにとってはアメリカと国際とが同じ言葉なのか違うのか、きちっとしてもらわなければならない。一般に言えば国際的には意見が分かれている。とくにヨーロッパにおいても意見が分かれていますし、場合によってはアジアにおいても主要な国の間でも意見がアメリカとは違った意見がかなりあるわけです。

そういう点で国際協調だから支持するというのはまったく論理的に理解不能だ。一貫して総理も外務大臣も国民にきちっとした説明をしない。もしアメリカとの協調が重要だから支持するのだというのであれば、そう言えばいいのであって、それを国際協調という言い方で、なんといいましょうか、言葉でごまかすというのが一番私は国民外交、つまりは国民をベースにした外交にとってマイナスだ。

私昨年にある論文を書きましたが、その中で密約外交というのを特に取り上げて言いましたが、日本の戦後外交は一貫して本当のことは国民に知らせないで、外務省だけが知っていればいいのだという姿勢でやってきたその延長上に、相変わらず言葉遣いまでが、今なおそのままの形で続いていると言わざるを得ません。

編集/民主党役員室


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