2003年3月11日(火) | 戻る/ホーム/記者会見目次 |
菅 直人代表/定例記者会見要旨
新たな執行部になっての3ヶ月間で反転攻勢に向かって体制を組めた
【代表】今日は午後一番で、わが党の宣伝カーが新たにペンキを塗り替えて、幹事長と一緒にリニューアルされた宣伝カーの最初の遊説をおこないました。
12月10日に代表に選ばれ、正式には13日に新たな執行部が生まれて、ちょうど3ヶ月が経過したわけですが、岡田幹事長とのコンビで若い執行部を中堅・ベテランの皆さんが非常に支えてくださって、ここまで何とかこの3ヶ月間は反転攻勢という形に向かって体制が組めたのかなと思っております。これからが正念場だと考えております。
株価が8000円を割り込んだのは、小泉政権の経済政策の無策が原因
【代表】その中で大変ショッキングなニュースは、株価が8000円を大きく割り込んだ。いま今日の終値を聞きましたら、7862円43銭。一挙に7800円台まで落ち込んだということであります。
これは街頭の遊説でも申し上げましたが、端的に言えば小泉政権が続く限りは売りだというのがマーケットの基本的な傾向でありまして、それに加えていまのイラク情勢、北朝鮮情勢などの不安要因が上乗せされた形できている。そういった意味で、小泉さんが大きな声で何か言えば言うほどマーケットは白けて一層下がっていく。ついには8,000円を割るなんていうのは、本当に想像し難いくらいのことでありますが、そこまで来たということであります。
いろいろ株価対策ということも言われております。個々にアイディアが出せばいろいろ言われるわけですが、基本的には株価自体を短期的に引き上げようというやり方、昨年は信用売買の規制などでやったり、PKOの発動をしたりとそういう姑息なやり方はやったとしてもそういう点での本当の効果はないだろう。
政策的に言えばきちっと雇用拡大、内需拡大につながるような税金の使い方をやらなければならないということであり、またそれをするには小泉政権ではできない。あえていえば最も即効性のある株価対策は小泉退陣だと言わざるを得ない、このように思っております。
イラク情勢:新たな決議なしの武力行使には反対、強化した査察を継続すべき
【代表】イラク情勢で、国連安保理の決議の採決が今日の深夜と言われていたのが、若干ズレ込むかもしれないという情勢であります。いずれにしても修正案が通る可能性はほぼない。9カ国になるならないという問題もありますし、フランス・ロシアの拒否権の行使ということもほぼ間違いない情勢でもありますので、いずれにしても国連の新たな決議は得られないというか、新たな決議が成立しない可能性が次第に高くなってきております。
民主党の立場は明確でありまして、新たな決議のない武力行使には反対だ。もちろんそのことが決してフセイン政権を支持するなんてことを言っているわけではなくて、更なる強化した査察を継続すべきだ。数ヶ月単位というふうに委員長が言っていますが、その程度の長さでの更なる査察をおこなった上で、平和裏に大量破壊兵器の廃棄が進むことがもっとも望ましいということであり、その上で更なる問題が起きる可能性がありますが、現時点ではそういう姿勢をとるべきだと考えています。
しかし小泉総理は、新たな決議なしの武力行使に対しても、はっきりは言わないのでわかりませんが、どうも賛成の意向をほぼ固めたと見るのが適切だろうと思います。
ただ国連の事務総長ですら、国連決議のない形でアメリカの自衛権発動という理屈もなかなか成り立たないわけですから、イラクからいまアメリカが攻撃されているという論証はできにくいわけですから、そうすると個別的自衛権の発動でもない。ある意味での先制攻撃ということになりますと、国連憲章に反する行動ということになる。
そのことを示唆しているようであります。
そういった意味では、国連憲章に反するアメリカの武力行使に日本が賛成ということを小泉総理が言うのであれば、そのことについてきちっとした説明が求められる。
我々はもちろんいま申し上げたように、そういう武力行使は反対ですし、政府に対しても反対するようにあらゆる形で働きかけを継続したいと思っております。
大島大臣疑惑など、政治の信頼を揺るがす問題にはけじめをつけさせるべき
同時に今日は政治とカネの問題をめぐる参議院の集中審議がおこなわれました。最終的には大島農水大臣に対する質疑のなかでとくに新たな疑惑も指摘され、それを含むこの間の大島大臣の答弁が不十分だった。とくに衆議院における問題の中では、いわゆる法制局を個人の政治とカネの問題のいわば言い訳に使ったという問題も強く指摘されていますから、衆議院議長は結果責任だということで何らかの処置が法制局に対して必要だと言っているなかで、小泉総理は主犯ともいえる大島大臣に対してお咎めなしということで済むのかどうか。
こういったことを含めて、しっかりした返答を聞きたい。その返答がない中での質疑はこれ以上応じられないということで、参議院の質疑が現在中断していると聞いております。そういった意味でまだまだ残念ながら、坂井議員の逮捕さらには総理の実弟の口利き疑惑などなどこちらから望んだわけではありませんが、相変わらず政治と金をめぐる不祥事が次々に浮上してきておりますが、経済政策、外交政策に対してもしっかり議論をこれからもしていきますが、こういう政治そのものの信頼を揺るがす問題についてもきっちりと一つ一つけじめをつけさせていかなければならないと考えております。
<質疑応答>
参議院の審議拒否について
【記者】参議院の審議拒否についておうかがいします。いまイラク情勢が緊迫している中、また株価下落などで、ある意味リスクが大きいように思うが、それについてどのように見ているのか?
【代表】参議院の国対やあるいは全体の国対がどういう表現を使っているのか知りませんが、私の理解ではしっかりした答弁というか考え方が出されていない。ですからきちんとした審議をおこなっていないのは、政府側だという認識の中で、きちっとした答弁を求めているという認識であります。
あえて言えば審議が不十分なのは政府側だという認識の中で、いまのような状況になっているという状況です。いろいろ課題がありますから、それぞれ当然一般的にいえば議論をしなければならない場面が必要なのですが、とくにイラク情勢でいえば万が一にも例えば決議のないままでの武力行使などが始まった場合に、それについての政府見解がどういう形で出されるのか、場合によっては国会などで進めていかなければいけないのか、そこは問題の推移によって必要に応じて迅速に対応するというのが当然だろう。
しかしいろいろな問題があるから、それを考えて十分な答弁がないものをずるずる認めていく形になることも問題です。そのことは決して私たちとしては矛盾した行動ではないと思っています。
【記者】いまの問題で、政府側の答弁が不十分であるのは前からで、それでも審議の中で問題を明らかにするというやり方だったと思うが、なぜいまここにいたって審議拒否なのか、唐突のような気がしますが、それについて改めてお聞かせください。
【代表】唐突というよりも衆議院、参議院があるわけですから、衆議院からとくに通常国会の予算委員会ではかなり議論があり、一部問題点が残り、参議院ではさらにその部分を詰めてもまだ解明されない。
とくに大島議員の問題は本来なら今週中に衆議院でも参考人招致をするといったことも衆議院サイドの問題でありますが、やや不透明になっている。そういうことを考えますと、やはりある意味では衆議院の議論を踏まえた更なる参議院の議論でさえ、いわば十分でない答弁が得られないという中で限界点を超えたというふうに一方では言えるのではないでしょうか。
それと、ここは表現が非常に微妙ですが、よく人質にとると言う言葉がありますが、予算そのものを人質にとってうんぬんという言い方を与党の皆さんはよく言いますが、衆議院で予算が通過しておりますので、もちろん参議院でもきちっと議論して一定の時期に採決することは当然あり得るわけです。しかし参議院の場合には自然成立という制度もありますので、そういうことを併せて考えた中で言えば、決して何か人質をとって何かするということでやっているのではなくて、衆議院以来積み上がった議論に対して、このまま行けば何も結論を出さないまま衆参の予算委員会全部が終わってしまう。そういう中で参議院の自主的な判断も含めて、ここはそれを認めることはできないという認識のもとに、参議院の判断を主にしてその判断を重んじた中で全体としてこういう行動をとった、そういう状況です。
【記者】審議そのものをあきらめてしまうと、追及の機会自体を失うと思いますが、少し矛盾すると思いませんか?
【代表】率直に申し上げて今朝役員会がありましたが、戦術レベルのところは幹事長や選対委員長にある程度おまかせしていますから、どうやればどういう質疑がどうできてというところについては、それぞれの担当にお聞きしていただきたいのですが、全体として申し上げたのはいま言ったことです。
つまりそちらに問題があるわけです。つまりこのままズルズル十分な答弁もないままいってしまうのも、結果的に質疑はやっているが答弁はないということですから。私は率直にいって総理の答弁も最後のところだけテレビで見ていましたが、実弟の会社の領収書について聞かれても全然別の話を大きな声で言っているだけでまったく答えていない。
衆議院のときもそうでした。長妻議員が質問したときも最後はそういう言い方で、今回も参議院の桜井議員のときもそうでした。時間の間さえ怒鳴っていればそれで済むのかという話ですから、更に質疑をするということは中身のある質疑をすることであって、単に一方的に関係ないことを怒鳴ってそれで時間が終わればいいというのは質疑に値しないわけですから、そういうことがずっと衆議院以来積み上がっている。
とくに参議院の国対を中心にしたギリギリの判断を、野田国対委員長を含めて岡田幹事長のもとで最終判断をしながら動いているので、本質的に矛盾するとは思っていません。より内容ある質疑を進めるためということです。
【記者】今国会初めてだと思いますが、そういう判断に立って野党側が審議を拒否するという形式になったわけですが、株価が8000円割れをしている中でこういう国会の戦闘手法というのは代表としては評価できるのでしょうか?
【代表】ちょっと質問の意味が必ずしもよく分からないのですが、株価の問題はさきほど申し上げたように、なぜ株価が下がっているのか、それが基本的には1年10ヶ月の小泉政権の経済政策が失敗している。それに加えてイラクの問題などの不安定要因が重なった結果だろうと申し上げたわけです。それじゃいけませんか?
【記者】そういう状態のなかで審議拒否をすることに対して逡巡はないのですか?
【代表】意味がよく分からないのですが、別に株価が下がったのはわが党が審議拒否したからという意味ではないんですよね?どういう意味なのかちょっと分からない。
ですからさきほどから言っているように、質疑については内容のある質疑をきちっとやるためには、ある場面で押したり引いたりしなければならない。基本的には内容ある質疑をするための一つの判断だと私は理解しています。
【記者】内容ある質疑というのは、要は何を政府側が答弁すればよいということなのでしょうか。大島大臣について辞めろということでしょうか?
【代表】少なくとも国民の皆さんにきちっと説明ができる答弁をすべきだし、それができないというのであればそれなりの何らかの責任をとってもらうということは当然のこと。
【記者】政府側に立てば答弁はしていると理解していると思いますが、野党がそれを受け入れられなければそれは辞めろということを示唆しているということですか?いままでの答弁が認められないということであれば、その先のところがはっきり分からないのですが。
【代表】それは私が、全部国対の一つ一つのケースについて、こうだからこうしろと言っているわけではありませんので、別に逃げるわけでは全然ありませんが、役割分担という意味でそういう役割をしているんで、たとえば大島大臣の今日出た問題でもちょうど同じ日に2回ずつ研修会をやって、200万円ずつ手に入ったというのはちゃんと説明されたのか、ということなんです。政府側が説明したなんて言ったって、国民が見たって誰が見たって納得できる説明にはなっていないわけでから。
それは皆さん方が見たってそうだと思います。その客観的なものをちゃんと見た上で聞いてもらわなければ、あなた方が今の答弁が十分だということで、答弁が十分なのに審議拒否するのはおかしいというのはそれもひとつの見解ですが、答弁そのものがおかしいというのであれば、また行き詰まっているというのであれば、それに対しては何らかの責任を取るのなら取る、説明ができるのならできるのどちらかになるでしょうね。そこを参議院の皆さんも考えてやっているのではないでしょうか。
【記者】いまの質問と本質的には同じことかもしれませんが、角度を変えてお聞きします。衆議院では大島問題で参考人招致を民主党が要求している。つまり大島問題を解明すべきだというスタンスだと思いますが、参議院が要求しているのは大島氏は辞めるべきだという二つのメッセージが民主党から出ているわけですが、どちらなんでしょうか?
【代表】何度も言って恐縮ですが、日々の国会運営すべてを私が指揮をしているわけではありません。私個人から言えば大島氏がこれまでやってきたことは、とっくの昔に責任をとって辞めるようなことをやってきたと思っていますよ。
ただそれをきちんと国民の前に明らかにしていっているわけですから、国民がそういうことに対して理解してもらわなければいけないわけです。そういう意味で衆議院の段階では衆議院法制局の問題、参議院では新たな疑惑などいろいろ積み上げているわけです。
ですからその積み上げた結果に対して、きちんとした答えができるのであればいいのですが、できないときにはどうするのですか、ということになればその責任をとってもらうということにつながってくる。そのあたりはある種の戦術レベルの話ですから、そんな二つのメッセージが出ているとは思わない。答弁できないときはできないときでそうするのか、ちゃんと本人なり総理なりが判断すべきじゃないかということを申し上げているわけです。
三重県知事選における鳩山前代表の行動について
【記者】三重県知事選に対して鳩山前代表が水谷候補応援ということで、地元で混乱が出ているようですがこれについて代表はどのようにご覧になっているでしょうか。
【代表】幹事長のほうに鳩山前代表ご自身からも釈明があったと聞いております。私には出席の前にそういう報道があったあとに一度お電話があり、『造反とかそういうものではないので迷惑はかけないようにしたい』と言われて、岡田幹事長や県連会長の中川さんとも話をしているからということだったので安心していたのですが、結果的に水谷氏と同席されたということを聞いて私もちょっとびっくりしました。なおその扱いについては、幹事長が直接鳩山前代表と話をされておりますので、それ以上のことはないと報告は聞いております。それ以上のことがなければいいなと思っています。
【記者】ある意味では幹事長は当事者で、ある種こういった問題は代表を含めて執行部が毅然とした態度をとることが予測されるのですが、この点には関してはいかがでしょうか。
【代表】鳩山さんもつい先だってまで代表としていろいろご苦労いただいてきたわけですし、その党内の決定をお互い守り合うということは、前代表ご自身も代表時代から言っておられたことですので、そこはよくそういうことを含めてもっとも理解されていている方だと、そういう意味で信頼しています。
日米同盟の重要性は前提にしつつも、ブッシュ大統領には言うべきことは言うべき
【記者】ヨーロッパのマスコミは、イギリスのブレア政権が今回のイラク問題で危機にあると報じていますが、代表はイギリスのほか、どの国が今回の問題で政権が危機的状況にあると思いますか?またもし今、代表が総理になったら、ブッシュ大統領に対してどのようなことを伝えたいと思いますか?
【代表】アメリカやイタリアの状況については、私も報道を通じてしか分かりませんが、とくにイギリスのブレア首相の場合は、労働党内のかなりのいわゆる新たな決議なしの武力行使には反対である、場合によっては閣僚などを辞める、などの動きもあって、大変ある意味でブレア首相からすれば厳しい状況にあることは認識しています。
イタリアはもともとが右派的政権です。ですからそれぞれの政権が危ないかどうかというのは、私には状況は多少分かりますがそこまでは把握はできません。
小泉政権の場合にこのことが政権にどう影響するか、私は国民からすれば二重の意味があると思います。ひとつはこれまで小泉さんがきちっと説明をしてこなかった、いわゆるごまかしてきた、その中で最終的に、例えばアメリカの任務条件に追従するような決定を下すとすれば、ごまかしてきたことが一つと、そういうアメリカを支持することに対しての反発が二つだと思っています。
それが政権にどの程度影響を与えるかというのは、私はどちらかといえば小泉政権に与える影響はその問題もあるけれども、より大きな影響は経済の失政にあると思っています。
現在総理になったらブッシュ大統領にどう言うかという話ですが、なかなかあまり仮定の問題に答えると逆になかなか難しい質問ですが、私は日米同盟というのはやはり重要な同盟関係であることを前提にしながらも、やはりギリギリ言うべきことは言うべきだろう。
国連というもののひとつの機能を尊重していく、あるいは大事にしていくということについてはギリギリのことは言うべきだと思う。当然新たな決議がないままでの行動は慎むようにということを言うだろうと思います。
鳩山前代表の三重県知事選における行動について
【記者】鳩山さんのことについて、今日の幹事長との会談でも民主党推薦の野呂さんは応援できないと改めて明確にしましたが、そのことについての感想とそれに対しての処分は何もないのかということをお聞きします。
【代表】党の推薦、今回は知事選ですが、推薦というのは政党としてひとつの姿勢を示すということですから、党としてはひとつの姿勢が明確に出ているわけです。それに個々の議員がどれだけ積極的にかかわるかというのは、それぞれの事情がある場合も当然あります。
あまり機械的なことは言えませんが、推薦をしているということはそれ以外の人の応援はしないということが前提になっていると思います。
編集/民主党役員室
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