2003年5月13日(火) | 戻る/ホーム/記者会見目次 |
菅 直人代表/定例記者会見要旨
緊急事態法制は、議論をきちっと積み上げていくというわが党の良い面が出た
【代表】緊急事態法制あるいは有事法制の、与野党間と言いますか、与党と民主党の協議がかなり大詰めを迎えております。細かい情勢は、あるいは皆さんの方が、この30分とか1時間というレベルで言えば詳しいのかもしれませんが、今日午前中の両院議員による政策懇談会、さらには次の内閣で、私と幹事長と政調会長と担当大臣前原さんの方に一任をいただきまして、さらに前原さんは筆頭理事でもありますが、久間さんとの間で、どこまでまだ続いているのか分かりませんが、さらなる協議をしながら、それを踏まえて最終的に与野党の幹事長会談に臨むと、そういう段取りをとるというふうに私も理解しております。
その中で、いくつかさらなるわが党の案により近い形にしていく修正の協議がおこなわれていると理解しております。
最終的には与野党幹事長会談の中で、最終的な判断、ないしはそれにほぼ近いものが出されるだろうと思っておりますが、それは一応5時というふうに聞いておりますが、その会談が一つの大きな山になってくると理解しております。
これまでのところ、わが党の良い面が出たのではないかと、多少時間や手間がかかりますけれども、全員が参加してきちんと提案をし、きちんと議論を積み上げた中でここまで来た。もちろん最終的な形がまだ固まっておりませんので、さらにそういうしっかりした取り組みの中で、きちっとした結論を得ていきたいと思っております。
首相命令による生保の解約停止を経済対策と言うほど、政府は追い詰められている
【代表】今日はこれ以外のことは何を言っても皆さんの耳には入らないと思いますが、今日も朝の会議あるいは次の内閣でも申し上げましたが、実は有事は安全保障上の有事ばかりではなくて、経済上の有事がまさにいま続いていると思っております。
しかし残念ながら、それに対しての小泉政権からのしっかりした対応は、何一つ出てきてはいません。とくに最近もいろいろな経済対策なるものが自民党から個別個別、あるいはポロポロと出てきているのですが、あまりにも筋が悪いのでちょっとびっくりしますね。
たとえば生保の予定利率の引き下げの問題で、解約を首相が命令して中止をさせる、停止をさせるというのが出ていて、私はもしかしたらこれは北朝鮮の新聞じゃないかとびっくりいたしました。契約の自由とか売買の自由、あえて言えば憲法29条に財産権の自由というのがあるわけですが、当然一定の契約上で契約したものはルールが変わったときに気に入らなければ、解約をする自由というのは当然あるわけで、それを日本の総理大臣が解約を停止できるなんていうそんなことがあるのだろうか。それを経済対策と言っていること自体が、何か考えられないことでありますが、逆に言えばそこまで政府が追い詰められていると思うところであります。
郵貯による株の買い上げと言うが、郵貯は片山大臣のポケットマネーではない
【代表】また同時に片山総務大臣が、郵貯で株を買い上げるということについて、少し話をしております。それも公社化したことによっていわば国家管理から外れると言いながら、まさに担当大臣である片山総務大臣がそういうことを言う。何か自分のポケットマネーと勘違いしているのではないか。私はあまり郵便預金があったかどうか分かりませんが、私のお袋は確か郵便預金をしていたと思いますが、お袋がそれを引き出してそれで株を買うかどうかはお袋の自由ですが、片山さんがなんで郵便預金を株に使うとか使わないとか言えるのか。こういうところにも本当に、今の日本の経済に対する、これが小泉政権の対策だとすれば、まったく言葉がないという以上のことを言えません。
徳島県知事選は税金を無駄遣いしようとする構造との戦いで、負けられない選挙だ
【代表】週末に長崎の諫早に出かけてまいりました。現地を視察すると同時に、シンポジウムということで、長野の田中康夫知事とずっとご一緒いたしました。田中知事とは前々からいろいろと意見交換などをしておりますが、今回改めてご一緒して、やはり補助金によって税金がまったく国民とは関係のないところに使われているということを、それぞれの立場で改めて強く感じたところであります。
現在、徳島県知事選がおこなわれておりますが、これにも田中知事も応援をいただき、私も行っておりますが、ある意味ではこの選挙もそうした補助金をたくさん持ってきて無駄な公共事業の使おうとする勢力が、それをやらせないとする今の大田前知事といいますか、を辞めさせた上で新たな霞ヶ関官僚を推し立てている。
いわば税金を無駄遣いする構造を再構築しようとしているわけで、大変な激戦になっているようですが、この選挙は負けられない。本来なら今週私ももう一度応援に入りたいと思っているのですが、まだ有事の問題が続いておりますので日程が組めないでいるのですけれども、そのことを含めてしっかりと取り組んでいきたいと思います。
<質疑応答>
予定利率の引き下げには、徹底した情報開示、経営責任の表明が、少なくとも前提となる
【記者】生保の引き下げについてだが、その点に関してご意見はよく分かったが、長期金利の低下という外的な要因で生保がにっちもさっちもいかない厳しい状況なのも確かだが、方向性についてどのようにお考えでしょうか。
【代表】政府の予定利率の引き下げという問題については、少なくとも二つの前提が必要だろうと思っています。一つは徹底した情報開示であります。平均寿命だとかいろいろな計算も、年金で言えば、逆に言えばだんだん子供が少なくなって年齢層が高くなることで、悪くなるということを言えば、普通の常識で言えば生命保険の計算からすれば、その部分だけで言えばたぶんより有利な方向に働いているわけでありまして、それと資金運用がうまくいっていないという面の、プラスとマイナスのものをどういう状態にあるのかというのを、徹底的に情報開示をするということが、一つの前提になると思っております。
三利源と言うのだそうですね、そういう運用の利益とそういう死亡率の差といろいろな費用の差といったようなこと、すべて、この三利源を公開するということが必要だと思います。
もう一つはやはり、経営責任という問題、もちろん大きなマクロ的な経済の変動でもありますけれども、だからといって民間企業である以上は、約束したものがぱっとできない場合に、何らかの責任をきちっと表明するのが当然のことであって、そのことも必要だと思っています。
そういうきちんとしたケジメをつけた中で、やはり生命保険という一つの国民にとっては大変重要な、ある意味での保険機能でありますから、それを維持するためにそういうものの中で国民的な理解を得ての予定利率の引き下げというのは、必要であれば、それは認めざるを得ないだろうと思っております。
安全保障に関する問題は、当然ながら党利党略を排し、国民的観点で議論すべき
【記者】有事法制の修正協議について、幹事長会談を前に見通しといいますか、感触というものと、これまでの修正協議を通じて与党側が修正に前向きかどうか、野党側の姿勢についてお聞かせください。
【代表】すべてはやはり終わってみなければ、終わる前にいろいろ申し上げてみても、最終の正式の場でどういうものが出てきて、どういう結果になるかというものを待たなければなりません。
一般論で言えば、こういうまさに生命・財産・安全にかかわる大変重要な法案でありますが、当然ですが、国民的な観点に立って私たちも法案を出しているつもりですし、与党の皆さんもそういう姿勢でこの協議に臨んでいただいてきたと、あるいはいただくことが必要だと思ってまいりました。
現在のところ、そういう形で進みつつあるのではないかと思っておりますが、プロセスの中では私は、いろいろな意見があったということも皆さんの報道で知っておりますが、最終的にはいま申し上げたような、まさに安全保障とかこういった問題は、国民の安全に関する問題は当然ながら我々も含めてですが、党利党略というものを排して国民的な観点で議論していく。
それによって合意できることが望ましいと思っております。そうなることを期待と言いましょうか、そうなるために全力を更に挙げていこうと思っております。
安全保障の問題を、野党第一党のわが党は、現実に即した形で議論してきた
【記者】仮に有事法制で与野党で合意が整った場合、党議拘束をかけることになると思いますが、その場合造反者が出た場合の処分を過去の先例に習うのか、それとももっと厳しい処分で臨むことをお考えでしょうか。
【代表】皆さん方の仕事柄そのような質問が出るのでしょうが、そういうことは、まったく造反が出る出ないということは、少なくとも現時点では考えていません。
【記者】民主党は今回、法律の制定に向けて動いているという見方ができると思うのですが、与党と野党第一党が法案に対して同じ方向で協議していることについてのお考えをお聞かせください。
【代表】それもやや1日早い質問のような気もしますが、もともと欧米の与党・野党、それぞれ交代しているわけですが、イギリスなども見ても、もちろんその時々の党首や党の姿勢によっては対立することもありますが、外交についてはかなり共通のものを持った中で政権交代を繰り返してきた歴史があります。
逆に言えば西側と言われる国の中では、わが国がややそういうヨーロッパ欧米の国に比べると、安全保障で非常に鋭く対立しているという意味では、逆にやや珍しいと言いますか、逆に日本の方が特異な国であったという感じがいたします。
更に言えば、日本の安全保障というのは、実態の議論というよりもやはり非常に観念的な形で、双方が議論をしていたという感じがいたします。現実は外務省中心に国民にはあまり知らせない、私流に言えば密約外交的なことが外交であり、安全保障であったわけでありまして、いわば事実に基づかない建前の中での双方の議論が多かったと思います。
そういう点では現在わが党が、野党第一党でありますけれども、必ずしも今回の法案ということに限らず、一つの現実にというか、事実に根ざした形で議論をするという姿勢で臨んでまいりましたので、そういう点ではかつてのような観念的な議論から、現実あるいは事実に即した議論になってきて、そのことが先ほど申し上げたように、国民的な観点に立ったときに、共通する見方が当然相当程度あることは当然でありまして、もちろん違う見方があることも当然でありますから、その中で一つのできる範囲が、他党のそういった例よりは広がってきたと、一般的には言えるのではないでしょうか。
ただ今回の問題がどうなるかという話はまだ分かりませんので、必要だったらまた明日にでも聞いて下さい。
残された会期では、経済問題に重点を置いた議論がおこなわれるべきだ
【記者】国会も残り1ヶ月ほどですが、現時点で内閣不信任案の提出などはどうお考えでしょうか。
【代表】私も何度も小泉総理とこの5ヶ月間、予算委員会、党首討論で議論しておりますが、2年前に総理が約束したこと、あるいはこの2年間の各段階で約束したことの多くは経済に関することです。例えば30兆の問題も、ペイオフの問題も、いわゆるいろいろな道路の問題も、郵政の問題も、ほとんど問題は経済に関するいろいろな公約を総理がしてこられたわけですが、結果的に2年を超えた今日、私が知る限り先日の私の質問で言えば、地球環境の保護のために役所の車を省エネ型というのでしょうか、それに替えたということ以外、経済に関する何一つですね、約束は守らない、あるいは効果があったことはなかったというのが私の見方です。
そういう点では、こういう政府が続いている限り、小泉政権が続いている限り、日本の経済の立て直りということはまったく期待できない、不可能だと思っております。
そういう点で、小泉政権を倒して、それに代わる民主党中心の政権をつくりたいという気持ちは、もちろんますます強くなっております。
ただ国会の運営の中で、これからどういう形で最終盤の国会を進めていくか、あるいはいまご質問のあった不信任案という問題は、まだとにかくこの大きな山が残っておりますので、切り替えるのはもう24時間ぐらい早いのかなと。もし質問がありましたら、明日にでも聞いていただければ、もうちょっとスイッチを切り替えますから、話ができると思います。
ただいずれにしても冒頭申し上げましたように、こういう安全保障上の有事問題と同時に、経済における有事というものを、やはり残された会期の中でしっかりと議論をして、その上で改めて小泉政権のやっていることが国民にとってどういう意味をもつのか、この政権がそのまま継続していいのかどうか、それを聞くことは十分にあり得ることだと思っております。
ですから残された会期の中で、少なくとも経済問題にかなり重点を置いた議論がおこなわれるべきだと、当面はそのところまでは申し上げられると思います。
編集/民主党役員室
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