2003年5月20日(火) 戻るホーム記者会見目次

菅 直人代表/定例記者会見要旨

○村上元労相への実刑判決:政治と金の問題でしっかりした対応を求めたい
「経済失政とは思っていない」という小泉総理の答弁には呆れ返るしかない
自民党は、少なくとも「りそな」からの長期の資金借り入れは、きちんと返却すべき
上告断念を契機に、川辺川ダムの計画自体を断念するよう強く迫っていきたい
自由党との合流問題は、きちっとした手続きでもう少し議論をするのがいい
内閣不信任案:経済有事に手を打てない小泉政権に対し、議論の中で判断したい

村上元労相への実刑判決:政治と金の問題でしっかりした対応を求めたい

【代表】村上正邦元労働大臣に対する判決が出まして、実刑判決ということで司法が大変厳しい判決を下しました。この国会でも、かなり政治と金の問題でいろいろ大島農水大臣の問題とか、あるいは佐賀の代議士の問題など、いろいろあったわけですが、結局のところ小泉政権は何一つこれらの問題について対応しようとしていない。政治と金のあり方についての政治資金の改正法を自民党も出すと言っていながら、もう国会終盤になっても何もやろうとしておりません。

そういった意味では今度の判決は、そういう小泉総理に対するいわば判決でもあると、このように思っております。わが党はすでに政治資金規正法の改正案を出しておりますので、それを与党も賛同して成長させていきたいというか、与党が賛成すれば成立ができると考えておりまして、この問題についてさらに努力をしたいと思っております。

また松浪議員の政倫審も近くおこなわれますが、これらの問題も含めて政治と金の問題についてしっかりとした対応を厳しく与党・政府に対しても求めていきたいと思っております。

「経済失政とは思っていない」という小泉総理の答弁には呆れ返るしかない

【代表】週末に、「りそな」に対するいわゆる4%条項というか、自己資本率がそれを割りそうだということで、公的資金の導入が決まったということであります。

総理は今日の国会の答弁でも、経済失政とは思っていない、という答弁をされております。本当にこの人のものの見方というのはどういうことなのか。もちろん、「りそな」自身の経営責任が問われることは当然ですけれども、こういう結果になった大きな背景は、デフレが止まらない、更には株価の低迷が止まらない、ある意味では銀行も小泉経済失政の被害者という側面もありまして、そういう点で、銀行がどうなろうとも自分には責任はないんだという小泉総理のこの答弁には、呆れ返るしかないというのが率直なところです。

一部与党の中では、あるいは政府なのかもしれませんが、予防的な資本注入ということを検討したいということが言われております。

実はわが党がすでに出しております、金融再生ファイナルプランの中にその考えが含まれておりまして、わが党の場合は経営責任という問題をきちっと問う形になっていますが、そういう点ではわが党の考え方をもっと早くからきちっとやっていれば、まさにこれほどの形になる前に対応できたのではないかと思っております。

自民党は、少なくとも「りそな」からの長期の資金借り入れは、きちんと返却すべき

自由民主党は93年に、確か100億円の新たな借り入れを大手銀行から起こしていて、2001年の終わりの政治資金報告書を見ても、48億円の借り入れが銀行から残っています。「りそな」の前身である大和銀行からも48億の中の6億円を借りているわけでして、一般の人が普通の仕事の上で借りているというのは逆に言えば、場合によっては維持されなければなりませんが、自民党が自分の建物、あれは土地は国有地ですから、建物を担保に選挙資金を借りてまだ全額を返していないということを考えると、まずは自民党自身がこの問題を取り組むにあたって、少なくとも「りそな」に関して、長期に借りているこの資金についてきちんと返却すべきではないか。

そこから始めなければ、いくらそれとこれとは関係ないと表明しても、それは信用されないと思います。現時点でどのくらいの借財が残っているのか、公開されたデータでは2001年のデータしかありませんが、この問題もきちっと国民の前に明らかにすることをこの場でも要求しておきたいと思います。

上告断念を契機に、川辺川ダムの計画自体を断念するよう強く迫っていきたい

【代表】川辺川ダムに関連して、いわゆる農業関係の利水事業についても、合意というか承諾というものが実は正規の手続きでおこなわれていなかった、3分の2の同意がなかった、ということが福岡高裁の判決で認められて、原告勝訴となったことはご承知のとおりです。

上告の断念を、私も小泉総理に即日申し入れたわけですが、上告は断念する方向だと聞いております。ただ川辺川ダム自体については、いまなお計画をそのまま進めようと国土交通省がしているようですけれども、もともと利水が大きな目的の一つとして考えられた複合目的ダムでありますから、その利水についての根拠が失われた。

手続き的にはその前の経過に戻るんだとかいろいろ言っていますが、私も現地を何度も出かけて見ておりますけれども、いまある灌漑用水で十分だというのが現地の農民の、現地の声でありまして、そういう点では利水そのものがダムからの利水は必要ないわけでありますから、いわば目的の一つが大きくなくなったということですから、防災についても堤防のかさ上げで十分対応できるというデータが出ております。

更にダムをつくることによって、逆に一挙に開放したときに水量が上がったために、かつてない洪水の被害が大きくなった。こういうこともたぶん、ダムについて言われておりまして、そういうことから考えますと、これを契機に川辺川ダムの計画それ自体を断念するように、更に強く迫っていきたいと思っております。

<質疑応答>

自由党との合流問題は、きちっとした手続きでもう少し議論をするのがいい

【記者】合流問題で恐縮ですが、自由党との合流問題についてはゴタゴタイメージがどうもメディアのほうも受け取っているようで、党の中では党内有事であるというような指摘も、我々耳にするのですが、そういう中で代表のイニシアティブというものをどういうふうに考えていらっしゃるか、事態打開のために何らかの考えというものをお示しになることが必要かなと思うのですが、それについてどのようにお考えでしょうか。

【代表】いろいろ最近は有事という言葉が出てきて、家庭内有事なんていう言葉も国対で出ていますが、私はこの合流問題、まったく党の有事とは思っていません。もともとご承知のとおり、鳩山代表が三選された後の中で、やや唐突にこの問題が出てきました。

私が幹事長の時代から、選挙協力についてはいろいろ話し合っておりましたけれども、合流問題が出てきたのは、その鳩山代表が三選された後のことであることは、皆さんご承知のとおりであります。

やや唐突だったものですから、そのことがいろいろな波紋を呼んで、そして新たな執行部になりまして、そのことをきちんとして手続きにのっとって対応してきているわけです。とくに幹事長が中心になって171名ですか、わが党のほぼ全国会議員からのヒアリングというか、意見聴取もおこなってきた中で、今日も後ほど常任幹事会を開きますが、そういう手続きにのっとって議論をいたしております。そういう点でそれは、こういった問題が一任手続きにふさわしいかどうかは別として、何らかの段階で、そういう判断をしろということになれば、それは判断する用意は十分ありますけれども、ただ法案の場合とは性格がやや違いますので、いま申し上げたように、元々がやや唐突に出てきたこの案件について、きちっとした手続きで議論を進めていく。

そういうふうに思っておりますから、わが党としてこの問題が、何か手続き上、問題があるとはまったく思っておりません。一つの流れの方向性が決まってくればそういう方向でいきますし、どうしてもいついつまでに執行部で決めてくれと皆さんがおっしゃるなら、それはその時点で考えますけれども、いままだもう少し議論をすることがいいのではないかと思っていますので、そういう議論をいましばらくは続けていきたいと思っています。

合流前提の統一会派という幹事長提案について、議論することは了解している

【記者】先日小沢党首が、自由党の藤井幹事長と民主党の岡田幹事長との会談を受けて、合流の意志がないと判断せざるを得ない、選挙協力も白紙に戻す可能性もある、という発言をされたのですが、代表が考えを示される時期のメドについてお聞かせ下さい。

【代表】私に対しては、直接には小沢党首からは、意見の伝達もお話もありません。
ですから、記者会見での言いぶりというのは報道では見ましたけれども、あまり私は報道に基づいてあれこれ、とくにこういう微妙な問題を言うのは好ましくないんじゃないかと。どうしても必要なときはきちんとお会いして、意見交換をしてその中で判断をすればいいことだと思っております。

現時点では、幹事長がその後、藤井幹事長との話をしたと聞いておりますので、その報告を今日の常任幹事会でも受けながら、その報告を踏まえた中での議論を続けていけばいいと思っております。

いつという問題は、これもいろいろ各党それぞれの事情もありますから、そう結論を延ばすために延ばしているのではなくて、わが党の中の議論が収斂するところまで来ていないという状況ですから、いつまでということをこの場で皆さんに申し上げる段階にはないと思っています。

【記者】それに関連して、岡田幹事長からは、合流を前提にした統一会派ということをおっしゃっていますけれども、それは幹事長個人の考えなのか、それとも菅代表も同じ考えなのでしょうか。

【代表】幹事長がそういう提案を常任幹事会なり、あるいは役員会の席でもそうでしたが、自分の考え方として出したいと事前に相談があって、それは一つの考え方としていいのではないかと私は申し上げました。

ですから、一つの交渉担当にあたっている、あるいは党内のとりまとめの担当にあたっている幹事長としての一つの考え方ですが、私はその考え方が、そういう場で議論されることについては了解しています。

【記者】とすると代表ご自身は、統一会派というやり方については、当然前向きな考え方を持っていらっしゃるのでしょうか。

【代表】どういう意味かちょっとわかりませんが、幹事長がそういう提案をすることについては了解をしているわけですから、それが全体の意見ということになることは望ましいと思っています。私が皆さんに反論しても仕方がないんですけれども、この問題、率直に申し上げて有事法制の議論を取りまとめた段階で、今から経済有事について議論をしていかなきゃならない問題です。

かつて98年当時、金融再生法・金融健全化法を当時の野党三党、民主党と自由党と公明党が提案をしました。金融再生法は与党も含めて丸呑みで成立をしましたが、残念ながら厳しい内容の金融健全化法は、もともとは野党三党で提案していたのですけれども、最終的には公明党と当時の自由党が自民党の案にのって、緩やかなものになったことが、今日の状況を招いた原因の一つだと私は見ております。

ですから、金融の問題に対してもきちっとした議論をしなきゃいけないときですから、そういうことを含めて、ちゃんと政策的な話もある段階でなくてはいけない。ですから統一会派ということがもし方向性で決まってくれば、今度それに向けての政策的な調整ということになるわけで、どうも皆さん方はなにか結論を先に先に言われますけれども、わが党はきちんとした手続きと段取りを踏んで物事を決めていく党ですから、まだいまの段階で状況がどうだということを、聞かれれば申し上げますが、それを飛び越えてなにか結論を出すというのは、わが党のやり方としてはそういうやり方にはなっておりません。

生保の予定利率引き下げは、前提なしに認めるということではまったくない

【記者】経済有事について、政府の方では、生保の予定利率を引き下げるという保険業法改正法案を支持するというお話もありますが、そのことについてどう思われますか。

【代表】先週の定例会見のときに、この問題について私から発言しました。あるいはそのことが与党内の議論を加速したのかなという感じもいたします。率直に申し上げて、保険に入っている立場、消費者といいますか、加入者の立場からすれば、約束を守れというのが当然のことだと思います。

ただそれが守れるのかといったときに、それも先ほどの銀行と同じで、これだけのデフレとこれだけの株安という経済失政の中で、ある意味では保険会社も一部被害者というところもあるわけです。しかし一方では死亡率が低下するとか、他の要因で財政と言いましょうか、経営内容が必ずしも悪くないところもあるというふうに見られております。

ですからまずは、きちんとそういう情報を開示する。先だっても大塚君から聞きましたが、三つの要素があるんだそうですね。死亡率の問題と、費用の問題と、資産の問題というか資金運用の問題と、その三つのプラスマイナスを合算したところで将来の展望が出るわけですが、政府案の中にも相当程度そういう運用のマイナスを、補って余りあるぐらいのプラスの二つのところから出ているところもあるように聞いております。我々が調べたわけではありませんが・・・。

ですから、まずそういったことをきちんと公開すること。そしてもし引き下げということになれば、それは経営責任を明確にすること。その上での考え方とし、先だってのこの場での一つの考え方として、検討に値するのではないかと申し上げたところです。

前提抜きに引き下げを認めるということではまったくありません。

内閣不信任案:経済有事に手を打てない小泉政権に対し、議論の中で判断したい

【記者】内閣不信任案の取り扱いについてお聞かせ下さい。

【代表】この国会は、来月の18日が一応会期末ということになっています。この国会の冒頭から、私は小泉総理の公約をまさに一向に実行できない、大したことないという発言もありましたが、そのことも含めて、その都度現在の小泉政権が望ましい政権ではないということを国民の前で明らかにしてまいりました。

とくに今回の経済有事についても、結局いま申し上げたように、原因のすべてを小泉さんのせいにするつもりはありませんが、少なくともこの2年間の間でより厳しくなった。デフレや株の低迷という原因を自らつくっておきながら、何ら有効な対策が打てないいまの政権に対して、まずは残された国会の会期は短いですけれども、徹底的に国民の前でその事実関係を明らかにすることが、まず第一だと思っております。

その上で国民の皆さんの世論と言いますか、そういうものが、いまの政権をそのまま認めるということでいいというのか、いやいや一日も早く倒してもらいたい、という声が高まってくるなら、そういう動向も見守りながら、最終的にどういう行動を国会内でとるか、それについてはもう少しその今のような議論をしっかりやった中で判断していきたいと思っています。

【記者】大変心苦しいのですが、仮定の質問で恐縮なのですが、仮に将来合流したという仮定に基づくならば、新党で直ちに代表選なり、そういったもの人事についてやるというふうに、代表自身どうお考えなのか、そこのところをお聞かせ下さい。

【代表】岡田幹事長が、党内外に一つの選択肢として示した中には、合流と衆議院だけの合流と統一会派と選挙協力だけという、四つの選択肢がありました。その第一の合流の場合も、基本的にはわが党が残る形で合流するということが含まれた提案になっております。

ですから、その四つの提案の中には、いまの質問された中身は入っておりません。つまりわが党が残った形の合流、そういう意味ではわが党のルールはそのまま継続されることですから、例えば、私のいまの代表の任期は鳩山前代表の残された期間、来年の9月まで、というのがルールですからそうなるだろうと。選択肢には今のような質問の中身は入っていないと私はそう認識しております。

編集/民主党役員室


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