2003年6月3日(火) | 戻る/ホーム/記者会見目次 |
菅 直人代表/定例記者会見要旨
○代表になり約半年が経過、この6月は次の半年に向かってのスタート ○半年の間にほぼ間違いなくある総選挙に向け、民主党も選挙態勢に入りたい ○「こんな国」にしたのは誰なのか、総理の無責任発言は相変わらずだ ○りそな問題で金融庁がかけた圧力について、仙谷議員が更に追及する ○民主党としてイラクに調査団を派遣、イラクに何が必要か、しっかり見てきて欲しい ○日本政府は、スー・チー女史の即時釈放を求める姿勢を明確にすべき |
代表になり約半年が経過、この6月は次の半年に向かってのスタート
【代表】6月に入ってから初めての記者会見です。昨年の12月に改めて代表になりまして、約半年が経過しました。この半年間で、多少混乱していた民主党を立て直すことができ、また反転攻勢に転じるという目標も、それぞれの皆さんに頑張っていただいて、全員野球でだいたいそういう態勢が組めるようになりました。
また一つの大きな課題としてあった有事法制、更には自由党との問題についても、一応の統一した行動をとることができました。そういう意味ではいよいよこれから、次の半年に向かってのスタートがこの6月だと思っています。
半年の間にほぼ間違いなくある総選挙に向け、民主党も選挙態勢に入りたい
【代表】総理はエビアン・サミットの訪問の中で、来年の衆参ダブル選挙はないということを、かなりはっきりと断言されたという報道が入っております。逆に言えば、衆参ダブル選挙はないということは、今年の秋から暮れにかけての選挙、私が常日頃言っております、10月解散、11月投票という日程が、多少1ヶ月程度前後することはあっても、ほぼ確定したと思っております。
そういった意味で、これから半年の間にほぼ間違いなくある次の衆議院選挙に向けて、全力を私自身も挙げていきたいし、民主党自体もそれに向かって選挙態勢に入りたいと考えております。
「こんな国」にしたのは誰なのか、総理の無責任発言は相変わらずだ
【代表】いくつかニュースが入っていますが、総理のエビアンでの発言のもう一つは、ムーディーズの格付けが下がったことに対して、「こんな国になっているから構造改革が必要だ」という発言があったと伝わっています。いったいこんな国にしたのは誰なのか、という責任感のない、相変わらずの発言でありまして、総理には外国に行って日本の状況を説明するときに、自分の責任ということをどこかに置き忘れているということを、改めて指摘しておきたいと思います。
りそな問題で金融庁がかけた圧力について、仙谷議員が更に追及する
【代表】私の先日の予算委員会の発言、あるいはその後の発言もありまして、りそなの中で、いわゆる金融庁が監査内容、あるいはりそなの決算内容について、何とか破綻ではない形に持っていったのではないかという指摘、つまりは本来は債務超過のものを、債務超過ではない形に圧力をかけたのではないか、という疑問を指摘しました。
実は財務金融委員会で、仙谷さんが改めてこの問題を取り上げる予定になっています。というのは、私などの予算委員会の発言に対していろいろと情報が寄せられておりまして、かなり信憑性の高い情報も来ております。
そういう情報の中で、やはり私たちの指摘は正しいというか、竹中さんが調査した中身が、実は違っているという指摘も、情報提供として届けられています。こういった問題について、明日の午後1時と聞いていますけれども、仙谷議員がそうした情報も入れながら、更にきちっとした事実関係を明らかにするよう、迫っていく予定になっております。
民主党としてイラクに調査団を派遣、イラクに何が必要か、しっかり見てきて欲しい
【代表】イラクに対する調査団を今日夕刻出すことになりました。すでにメンバーの1人は日曜日に首藤さんが先行する形でイラクに出かけておりますけれども、末松代議士と若林参議院議員の合わせて3名がイラクに出かけてまいります。
とにかくしっかりといろいろな状況を目で見、耳で聞いてどんな状況にあるのか、何がイラクの皆さんにとって必要なのか、あるいは必要でないのか、そういうことをしっかり見てきて欲しい、聞いてきて欲しいとお願いをしております。
これまでも適宜ですね、そうしたところに送っております。かつてはある時期に石井一代議士が行かれたり、その後に慌てて政府が副大臣を送ったりした開戦前の時期もありましたけれども、今回についてもわが党としては、しっかりと現場を見て聞いて、そしてその中から今後の問題について考えていく、判断していく、という姿勢でいきたいと思っております。
日本政府は、スー・チー女史の即時釈放を求める姿勢を明確にすべき
【代表】ニュースでアウン・サン・スー・チー女史が再度、軍政府に拘束されたというニュースも入っております。このミャンマーの情勢、本当に長い、アウン・サン・スー・チー氏を中心として民主化運動に対して、だいぶ緩和されたと聞いていましたけれども、再度そうした拘束ということになっています。きちっと日本政府としては、即事釈放を求めるという姿勢を明確にすべきだと、私たち民主党としてはそういう姿勢で機会を見つけて発言し、この場もそうですが行動したいと思います。
盧武鉉大統領との会談では、北朝鮮の新たな展開も含め意見交換したい
【代表】盧武鉉大統領が訪日されます。今週土曜日の夕方にはわが党とも、単独という言い方が正しいかどうか分かりませんが、わが党との間での会談を持つことになっています。私も、盧武鉉大統領の就任直前にソウルでお会いいたしまして、それ以来でありますけれども、お会いできればその中で、北朝鮮の新たなその後の展開も含めて、意見交換をしたいと思っております。
とくに日韓の良好な関係をつくっていく。麻生自民党政調会長がまたややもすれば、わざわざ韓国の皆さんを不快に思わせるような発言をしておりますけれども、そういうことを相変わらず繰り返している今の自民党関係者では、本当にいい日韓関係がつくれるのか。敢えてそのことにも疑問を現在感じておりますけれども、戦後世代の中で日韓関係をまさに未来に向かってしっかりしたものにしていかなくてはならない。
盧武鉉大統領との会談を、私も楽しみにしております。
<質疑応答>
イラクの復興支援に、機械的に一切携わらないという立場はとらない
【記者】仮定の話になってしまうのですが、イラク復興支援に関連して代表に二点お聞きしたいのですけれども、イラク現地では物資輸送や治安維持のニーズが高いと言われているのですが、これらについて日本はどの程度の貢献が可能とお考えなのかというのが一点。もう一点は、民主党はイラク戦争開戦に反対しましたが、反対した以上復興支援にも慎重になるべきだという意見について、どのようにお考えでしょうか。
【代表】第一点については先ほど申し上げたように、まさにそういうことも含めて、現在のイラクの現状をしっかりと調査してもらいたいということで調査団を派遣したわけですから、いま私が何が必要であるとか、必要ではないとか、そう言うことはふさわしくない。わざわざ調査団を派遣する意味も、まさにそういうことを含めてしっかり見てきて欲しいということでありますから、この時点ではそれ以上のことを申し上げるのはふさわしくないと思っています。
イラクに対する武力行使に対して、わが党が反対したことに対して、そのことと、このイラクの復興支援にどう関わるかという問題は、まったく無関係とは言いません。しかし一応激しい戦闘状態は終息をしているわけですから、そういった意味では復興という新しい局面で人道的な立場も含めて、何が出来るかということを考える、そういう余地は相当程度あろう、ただ一切関係がないとはもちろん言いません。
イギリスのように戦闘にも参加した国は、まさに共同で占領政策をとっていますけれども、わが国はたとえば共同で占領政策をとろうとすれば、そのこと自体いろいろ問題がありますけれども、そのことを抜きにしても、戦争に反対した国が占領政策だけに参加するということには、少なくとも参加について賛成することにはならないという意味では関連しますけれども、しかしだからといって機械的にすべて一切復興支援に対しては、携わるべきではないという立場はとりません。
制裁解除によって、国連中心の復興支援に一足飛びになったとは言えない
【記者】民主党の中でイラク戦争に反対する時に、国連の枠組みに立ち帰れと文言を使っていました。先日のイラクへの経済制裁の解除についての国連決議というのは、代表の目から見てそれは国連の枠組みに立ち帰ったものだと思えるのかどうかということをお聞かせ下さい。
【代表】国連がある部分で関与を再開したというか、し始めたという言い方は可能だと思います。ただ国連の決議といっても、いろいろな関与の仕方があるわけですから、現在その決議そのものの中で米英を中心とした占領軍のイニシアティブを認めた決議になっていますから、国連が関与し始めたといっても、いわゆる国連が中心になった復興支援ということに一足飛びになったと言えるかという質問だとすれば、そこまではいっていないと見ています。
全国民に責任を持つ以上、最低限の備えをするというのが民主党の考え方
【記者】有事法制の件でお伺いしたいのですが、今日昼過ぎに民主党本部の前で、有事法制に反対する市民団体及びNGO団体が抗議活動をしました。いわゆる反戦のNGOとですとか、市民団体など、比較的民主党の支持層のコアの部分に重なる部分があるかと思います。そういうところに対して、今後どのように説得していくのか。ちなみ彼らのシュプレヒコールの中では、政権を欲しがって変節したのではないか、市川房枝が泣いている、といったことを言っていましたがそのことについては?
【代表】もちろん皆さんはご承知だと思いますが、民主党ができた直後の基本的な政策の段階から、いわゆる緊急事態法制の必要性ということをうたって、そしてこの1月の大会でも私は、今国会中での対案の提示ということを、国民の皆さんにある意味では約束をしてきたわけであります。
そういった意味で、経緯として何か急に他の理由で変節したとか、変わったということは、少なくとも政党についてはそういうことはありませんし、私についても、この党ができたときから最初も代表を務めさせていただきましたが、その立場でありましたので、とくに民主党という立場の中で何かが急に変わったということではないということは、客観的にも明らかだと思います。
ただこの問題は長い長い日本の議論がずっとあるわけです。その議論の仕方というのは、つまりは戦争というものを起こさないためには、戦争にかかわるものすべてに反対をすれば、それが効果があるんだ、あるいは自分は手を汚さないんだ、といった形の議論の立て方があります。
私はそれが必ずしも悪いとは言いません。よく私の極端な言葉で言えば、非武装という考え方もかつて社会党が言っておりました。しかし非武装ということを言うときには私は、それでは他の国が攻めてきたときには、見事に1億2千万死んでみせましょうと、それだけの覚悟がなければ、個人が言うことはできても、なかなか政治家や政党がそういう言い方をすることは、私はできない。
やはり1億2千万の人たちに責任を持つ以上は、それなりの最低限の備えをするというのは私の考えであり、民主党の基本的な考え方であります。ですから、そういった意味で、あくまで今回の有事法制については、そうした有事あるいは災害などのときに対する備えである。
消防署で、一生懸命消防自動車を整備して消火訓練をしたから、それによってどんどん火事が起きるということではなくて、火事が起きないことに越したことはないけれども、起きたときにはいち早く消せるような準備は必要だというのが、いわば消防の一つの整備でありますから、わが党が考えている今回の提案、あるいは修正されたものについては、そういう視点から必要だということで進めたので、説得しきれるかどうかは別として、私は多くの国民はそういう理解をきちんとしていただいていると思います。
内閣不信任案の取り扱いについて、現時点で発言するには早過ぎる
【記者】18日に会期末を迎えますが、不信任案の取り扱いについてどのようにお考えでしょうか。
【代表】総理が明日夕方、日本に帰ってこられるそうでありますが、帰ってきてからこの会期末にかけて、新たな法案を出すか出さないかを含めて、検討するということを言われています。そういった時点ですから、いま会期末、私たちは6月18日が会期末ですので、それで国会は閉じるべきだと基本的にそう考えておりますけれども、まだやや流動的な中で、確たることを申し上げるのは早過ぎるのではないか、逆に総理が帰ってきて、どういう形でこの国会について対応しようとしているのか、それをしっかり見守りたいと思っています。
不信任案という言葉も出ましたけれども、そういった意味では、現時点でまだその問題に私の口から触れるのは早過ぎると思っています。
生保の予定利率については、加入者保護に視点を置いて議論を進める
【記者】生保の予定利率の問題について、民主党の最終段階の姿勢についてお聞かせ下さい。
【代表】私が一人で、もちろん決められるわけでもありませんし、次の内閣あるいは部門会議で議論をする中で、一つの方向性はどこかの段階では決めなければなりませんが、現時点ではまだ最終的な結論が出たということは聞いていません。
論点はご存知のように、つまり加入者を最も守るのはどういうやり方がいいのか、ややもすれば政府のやり方は加入者だけに犠牲を負わせながら、いわば損害を負わせながら、経営者あるいは広い意味での会社そのものは責任をとらないで、いわば加入者との契約を事実上一方的に反故にするということを認めるような中身になりかねないところがありまして、加入者の皆さん国民を保護するためにはどういう形がいいのか、そこに中心的にいわば視点を置いて、これからの議論を進めていくと、このように私は理解しています。
ですから現時点で最終的な判断は出ていませんが、それにふさわしいものにならないのであれば、それは厳しい対応をとらざるを得ないと思っています。
編集/民主党役員室
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