2003年6月10日(火) | 戻る/ホーム/記者会見目次 |
菅 直人代表/定例記者会見要旨
○りそな問題:国民への明確な説明がなければ、公的資金の投入は認められない ○会期延長:18日で閉じるという参院での実質的約束を反故にするもので許し難い ○明日は党首討論:総理のすりかえ、はぐらかしで、かみ合っていないのは残念 ○竹中大臣不信任案:抵抗勢力に手を貸したという見方にならない道を選択する ○イラク新法:調査団の報告も含め、しっかりした議論の中で方向性を定めていく ○国会の会期延長の問題とイラク新法の問題とは、絡ませて考えていない |
■りそな問題:国民への明確な説明がなければ、公的資金の投入は認められない
【代表】今日、りそなが、先だってわが党の大塚議員や仙谷議員が取り上げた、いわゆる金融庁とりそなとの間の協議メモというのでしょうか、そういうものについて、そのメモが本物というか、現実のものであったことを改めて認めたということであります。
その内容を見れば、まず第一に、今回のりそながシステムミックリスク、つまりは金融危機に陥っているから預金保険法を適用するんだという中原参事官の、そういう発言もあります。
これは当然のことでありますが、総理は金融危機ではないんだと、危機になることを防ぐんだと言っておりますが、その認識そのものが実は全然違っていることが明らかです。
更に加えて言えば、かなりはっきりと金融庁が、いろいろな監査法人の指摘についてコメントしているわけでありまして、事実上、わが党の主張しているように債務超過であるものを、債務超過にならないように、いわば圧力をかけたということが、このメモから類推されるというか、少なくとも竹中大臣は、金融庁の役人はそういうことをしないように何度も注意したんだと言っておりますけれども、結局はもし注意したことが事実だとしても、まったくそうした大臣の指導力は効果がなかった。
その中でいろいろな形の圧力が加えられたということが、改めて明らかになりました。明日は財金の審議もおこなわれますけれども、これらの問題はいよいよ2兆円近いお金が、公的資金という言葉になっていますが、最終的には国民の税金で負担をする可能性が、従来の例からすれば大きいわけですから、そういうものを投入するにあたって、これまでの説明がまったく違っているということが明らかになったわけですから、ここは竹中大臣だけではなく、総理の責任も含めて国民に対して明確に説明をしなければ認めることができない、このことを改めて申し上げておきたいと思います。
■会期延長:18日で閉じるという参院での実質的約束を反故にするもので許し難い
【代表】会期延長については、すでに今日11時からの三野党党首の懇談会のいわば合意、つまり会期延長には反対だということを申し上げましたが、改めて大幅延長、一説には40日を越える延長ということが言われておりますが、延長にはわが党として反対である、もし何らかの理由があるというのであれば、それは改めて議会を開けばいいことであって、現段階でとくに参議院の審議の中では、6月18日に会期を閉じるということを実質的に約束に近い形で、それを前提とした日程設定をしてきたという経緯があるわけです。
そういう意味ではいわば18日には閉じることを、一方では実質的には約束をしながら、それが間近になってきて新たな法案を出すことを理由に、その実質的な約束をいわば反故にしようとするやり方は、これは許し難いと思っております。
■明日は党首討論:総理のすりかえ、はぐらかしで、かみ合っていないのは残念
【代表】明日は私にとって四度目の党首討論ということになります。これまで数えてみますと予算委員会で四回、明日の党首討論を合わせて両方合わせれば八回目ということになります。
これまで七度の総理との討論は、かみ合って、小泉総理が逆にいわば大したことはないというような思わず本音が出た場面も最初はありましたけれども、多くの場面ではわざとすりかえる、はぐらかす、その繰り返しであります。そしてまったく理由にならない切返しをおこなう。典型的には、私が総理の公約の8月15日の靖国参拝や、30兆円枠のことを言うと、すぐにじゃあ行けというのかとか、じゃあやれというのかとか、つまり国民や自民党員に約束したこと、それを含めて公約違反ではないかと言った途端に、話をすりかえて、じゃあ菅さんは行けというのかという、まあこれが二度三度繰り返されておりますけれども、そういうつまりは逃げるための切返し、あまりにもそういう発言が多すぎて、残念ながら多くの場合かみ合った議論になっていないのを残念に思っています。
明日の議論は、まだ細かいところまでは決めておりませんが、少なくとも民主党が政権を担当する場合、あるいは次の選挙に臨む場合、マニフェストを提示して、そして官僚によってコントロールされない、しっかりした与党と一体の内閣をつくって、そしてやるべき改革を迅速に進めていく、そういうわが党、私が考える一つの政権のあり方についても提示をして、それと現在の小泉政権、つまりは与党の言うことと総理の言うことがバラバラ、総理の言うことと大臣の言うことまでバラバラという、そういう今の政権のあり方について問題を提起する。
果たして正面から答えてもらえるかどうか、いささか心配というか疑問でありますけれども、少しそういった意味では、こちらの考える政権のあり方、改革が進み得る政権はどうやってつくるのか、こういった問題を正面から問いかけていきたい、このように思っております。
22分という時間ですから、あまり多くのことは盛り込めませんが、イラクにおける武力行使の理由とされた大量破壊兵器が、いまなお発見されていない。この問題は考えようによっては、大変なんと言いますか、戦争の理由そのものが、ないものがあるということを前提にやったということであれば、歴史上相手がやったことを理由に戦争を始めて、実は自分のほうがやっていたということが沢山あるわけですから、それにも匹敵する問題であります。
そういった点ではこの問題も、大量破壊兵器の存在を前提として、アメリカの武力攻撃開始を支持した小泉総理に、きちんとした一つの考え方を問い質したいと思っております。
<質疑応答>
■竹中大臣不信任案:抵抗勢力に手を貸したという見方にならない道を選択する
【記者】先ほどりそな問題に関して、竹中大臣の責任問題に言及しましたが、いま民主党内では竹中さん個人への不信任決議案提出の動きが出ているようですが、これについては代表はどのようにお考えでしょうか。
【代表】とくに金融担当大臣としての竹中大臣の、先ほど申し上げたような、つまりは金融庁に対する指導力というものが問われていることは事実であります。
ただだからといって、竹中大臣が辞めればそれで責任が終わるということではありません。もっと言えば、りそなに資金投入しなければいけなくなった背景は、株価の低迷を含めて、この2年間の小泉政権自体の経済失政に根本原因があるわけでありまして、そのように考えますと、どういう形でこの問題を更に内閣全体、とくに小泉政権そのものの責任として追及していくのか、いろいろな可能性があるわけですが、いま指摘をされた竹中大臣に対する不信任決議案を、いろいろな案の中の一つにはもちろん選択肢には入っていますが、必ずしもそれだけが選択肢ということではありません。
だからまさにあらゆる可能性を含みながら、必ずしもそれに決め打ちする形ではない形で対応していきたいと思っています。
【記者】今の竹中さんの対する不信任案に関連してお伺いします。内閣全体の責任を問うということは分かりますが、いま竹中さんの不信任案を民主党が提出した場合に、自民党の中から同調者が出て、それが成立する可能性があり、結果として竹中さんが更迭されるという結果が期待し得るという指摘もありますけれども、それについてどのように思われますか。
【代表】我々民主党は、民主党としての一つの政策の考え方をもって、小泉政権に対峙しているわけです。自民党の中のいわゆる抵抗勢力と言われる人たちが、竹中大臣に対して、辞めろ辞めろという大合唱をやっているわけでありますから、そのスタンスと我々のスタンスは必ずしも同じスタンスで問題を言っているわけではありません。
ですから、単純に民主党野党が不信任決議を出せば、そういう人達の同調が得られて効果的だ、だからやるとかやらないとか、単純にそういう判断をするつもりはありません。もちろん場合によっては、戦略的・戦術的に、そのことから小泉政権全体の責任を炙り出すということは、戦術的に選択肢としてはあり得ますが、逆にそうしたことが、何か自民党抵抗勢力に手を貸したというふうに誤解をされて国民から理解をされる、そういうことになることは決してわが党がとるべき望ましい道とは言えないわけですから、そこは間違ってもそういう見方にならないようにわが党の考え方に沿って、選択をしていくと考えています。
■イラク新法:調査団の報告も含め、しっかりした議論の中で方向性を定めていく
【記者】イラク問題についてですが、調査団の首藤さんが帰国されて、お話も伺っていらっしゃると思いますが、イラクにおける自衛隊のニーズについて代表はどのような印象を受けましたか。またそれに関連して、例えばいま民主党はイラク新法における賛否をめぐって、いろいろな議論がこれから始まると思いますが、この問題というのは賛成であろうが反対であろうが、ある種、民主党の政権交代能力を示すというようなものとは、次元がちょっと違うような印象があるのですが、それについては代表はどのようにお考えでしょうか。
【代表】まずイラクに対する調査団は、本隊は今夜帰ってくるわけでして、先行して首藤さんが帰国されて、個人的には話を聞きましたが、やはり調査団全体の話は、明日以降聞くことにしております。
ですから個別的な印象はありますけれども、全体の印象は全体の皆さんの話を聞いてから申し上げたほうが、後になって、いやちょっと違っていたなんて話になってもまずいものですから、そうしたいと思っております。
後半で言われた、この法案の賛否が有事法制の問題とはやや違うのではないかと言われましたが、私もそういう認識を持っております。有事法制、わが党で言う緊急事態法制は、何度も申し上げたように、わが党自身が5年前に党をつくった時点から、必要性を認めた上で、この1月の大会でも、今国会中にきちんとわが党案を出すという中で位置付けてきた問題であります。
また内容的にも、いわゆる日本国内の中での有事、外国の侵略とか、わが党の中で言えば大規模な災害とか、わが国自身がそういう事態に陥った時の対応として、どのようにするかという、ある意味ではきちんと理解していただければ、その必要性は私は誰の目にも明らかな一つのルールだと位置付けて、ある意味では第一弾とも言えるわけですが、先だって修正による合意で成立し、まだまだ残された課題があるわけです。
イラクの問題は、そういう日本国内の基本的な問題というものではなくて、まさに今回のイラク戦争に伴う復興支援をどうあるべきか、私はよく申し上げているのは、戦争そのものの開始には反対をしたわけですが、現実にイラク国民がいろいろな面で、ある意味での国際的な助けを必要としているということであるならば、その中で何をすべきかということは、戦争に至った経緯とはある意味で切り離して考えることも、場合によっては必要だという意味では、一切何もすべきではないという立場はとらないということを申し上げてきました。
しかしだからといって、今回出されようとしている法案が、果たして本当にイラク国民が求めるものなのか、また戦争開始に至る、あるいは今日に至る中で本当にわが国がとるべき選択なのか、そういう点においては、いろいろな意味での疑問もあり、現地状況もまだ十分に把握されていませんので、それについては、これから調査団の帰国報告も含めてしっかりと議論した中で方向性を定めていきたいと思います。
そういう意味では後半に言われたことは、私も性格を異にするテーマだと思っています。
【記者】先週の記者会見で、イラク新法について、国連中心の枠組みに立ち戻ったという形には一足飛びにはいかない、という発言をなさっていたと思うのですが、今回のイラク新法で、この決議がまさに自衛隊派遣の根拠にされているようです。そのことについて現段階でのお考えをお聞かせ下さい。
【代表】ちょっと必ずしも国連決議の詳細と、それの表現がどうなっていたかということを正確には記憶していませんが、少なくとも戦争後の国連決議というのは、ある意味で米英の占領というものをいわば追認したような内容であって、国連自体が国連PKOを組織して何らかの復興なり治安維持にあたるという形のことを盛り込んではいないと理解しております。
ですからそういう意味で、国連が中心というか、国連自身のいわばPKO活動なり国連自身の活動としての復興支援とか、治安維持とかいうことに、一足飛びにはなっていないという認識は今も変わりません。
そういう認識の中で、国連PKO活動だとしても、その中でもわが国は、わが国としての一つの原則なりがあるわけですが、国連というものが国連の仕事としてわが国に要請されてきているものという認識、認識がないというのはそういうものではないと思っていますので、そうでない形の中で果たして自衛隊を送ることが適切かどうか、先ほど申し上げたように、現地状況なり、あるいはわが国のおけるいろいろな法律の整合性を考えて、きちっと議論をして判断していきたいと思います。
■国会の会期延長の問題とイラク新法の問題とは、絡ませて考えていない
【記者】先ほどの三党首の会談で、国会の延長については反対ということを確認しましたが、一方でイラクの問題については、調査団の報告をまだ聞いていないということですが、延長に反対されたということは、イラク新法についても方向性としては反対に傾いていると考えていいのでしょうか。
【代表】わが党の姿勢としては、この問題は基本的には切り離して考えています。つまり6月18日というのは、前々から会期の終わりが決まっている中で、例えばいろいろな参議院の審議などは、イラク新法とかというものを少なくとも前提としない中で、会期がその時点で終わることを、実質的な合意の下で日程などを決めてきた経緯があるので、そういう意味では先ほど申し上げたように、当然の明示的であるかどうかは別として、実質的な合意がある中で、一応6月18日で終わるという約束なのですから、それはそれできちんとやるべきではないか。
もし本当に新たな状況の中で国会で議論すべきことがあれば、それは改めて臨時国会を開くということも当然あり得るわけであり、必ずしも今回会期の延長に反対したら中身もイコール100%反対、賛成したらイコール賛成という関係とは、まったく見ていません。事柄が事柄で、極端に言えば今日地震が起きたら、地震対策の法案を明日以降つくらなければならなくなるかもしれない。それはこれまでの経緯の中で、新たな問題としてどうしても必要になれば、それは閉会中であっても国会を開かなければいけないわけですから、その問題と会期延長の問題は絡ませては考えていません。
■半年間で、民主党の立て直しと反転攻勢の姿勢をつくるところまではできた
【記者】新執行部になって半年が経ったわけですが、有事法制ですとか、自由党との合流の件すべてについての感想と、これは改めてお聞きするのは恐縮ですが、生保の予定利率の改正について、今週中にも衆議院を通過するかもしれないというような話もありますが、その件に関してもお聞かせ下さい。
【代表】12月の、正式には12月13日に、私が改めて代表に就任をいたしました。12月10日の全国会議員による投票で決めていただいたということから言えば、確かにちょうど半年を経過したということになります。
この間私は、まずは多少ゴタゴタしていた民主党を、しっかり立て直していかなければならない、その上で私がやるべき仕事は、小泉総理とのまずしっかりした国会中心にした討論、それ以外はできるだけ全国を回るということが私の役目である。そして党務を中心に、それ以外のことは幹事長やそれぞれの皆さんにしっかりやってもらいたい、ということを当初申し上げました。
幸いにして岡田幹事長や枝野政調会長、国対委員長という若い執行部を、中堅・ベテランの皆さんがしっかり支えるというという形で、いわば全員野球ができるようになって、そういった意味ではかなり早い段階で、反転攻勢の体制がとれるようになったと思っております。
そしてそれ以降、いまご指摘になりました、わが党にとっては年来の課題でありました有事法制についても、ご承知のように逃げるのではなく、こちらからしっかりと対案を出す形で一つの結論を得て、全員一致での行動ができた。また自由党との合流問題も、多少の余韻は残っていますが、一つの区切りをつけて、更に区切りの中から、自由党・社民党との協力関係も構築を更に続けていくという形になっております。
そういう点でこの半年間、ある意味では支持率なども昨年の同時期にほぼ近い、あるいはそれに匹敵するところまで戻ってきておりますので、まさに半年間で一応の民主党の立て直しと反転攻勢の姿勢をつくるというところまではできたのではないかと思っています。
いよいよこれから半年の間に、解散・総選挙がほぼ間違いなくあると見ておりますので、これからの半年がまさに政権交代を懸けての勝負だと、その勝負にかける一つの基礎というか、その土俵までは、この半年間で何とか作り上げることができた。何といっても全国会議員が、全員野球が出来たことがそうしたことを可能にした、最大の理由、原因だと思います。
生保の予定利率について、いくつかの記者会見で、多少原理原則的なことを申し上げました。法案が出てきて、いまそれぞれの部門で検討していただいていますが、端的に言えば、加入者にとって本当にその立場がきちっと守られた法案なのか、それとも加入者の利益をどんどん削り取って、その会社というか業者の利益だけが守られるような、そういうことになっていないかどうか、そういったことを中心にいろいろと議論していただいております。
私のところに入ってきている報告では、現在の法律の内容はあまりにも酷い、一方的に利率だけ下げて、場合によっては何度も下げて、どんどん加入者の利益がいつの間にか、二段階、三段階にも損なわれてしまう。それならいっそのこと破綻処理をした方がいいという場合もあるわけですから、そういうことを考えますと、いまの内容については極めて問題が多いというふうに報告をいただいております。
最終的にはそういう方向に沿っての対応がとられることになっていると思っています。
編集/民主党役員室
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