2003年8月12日(火) 戻るホーム記者会見目次

菅 直人代表/定例記者会見要旨

○第一次公認を発表。目標の300小選挙区は可能。
公認候補はマニフェスト実現への一筆が前提
小沢党首と9月始めまでにまず全国5ヵ所を遊説
李肇星中国外交部長と北朝鮮問題、犯罪捜査協力、遺棄化学兵器などで意見交換。
埼玉知事選は上田陣営の意向を尊重して。
政策と人柄をさらに知ってもらえるようにしたい

■第一次公認を発表。目標の300小選挙区は可能。

【代表】
まず台風10号が日本列島を縦断しました。何人かの方が亡くなられる、あるいは行方不明になる、さらにはかなりの被害が出ており、関係者の皆さんにお見舞いを申し上げます。

今日民主党としての第一次公認をしました。民主党の公認としては155名でありますけれども、加えて現在の自由党の20名と1名の純粋無所属を含めて21名を推薦いたしました。合わせると176名ということになります。自由党と合併すれば、この推薦は自動的に新たな民主党の公認候補となりますので、実質的には176名の公認が今日正式に決まったということになります。

これに加えて、今回は東京と北海道はまだいろいろな世論調査とか比例の関係で外していますし、またいくつかのところで手続上の時間的な制約で、実質的には決まっているところでも発表から外されているところがあります。

そういうことを合わせますと、ほぼいろいろな数え方があるのですが、280前後までは見通しが立ってきたと選対委員長から報告をいただいております。この間、自由党との合併が決まりましてから、ある意味では候補者調整を含めて比較的というか、なかなか苦労をいただいていますが順調に物事が運んできて、先程言った中には12名の世論調査による決着をみなければいけないところも含まれてはいますが、そういったことを含めてこれまで候補者がなかなか見出すことができなかった、あるいはその展望がなかったところについてもかなり展望が出てきた。

その結果今言ったような280前後というところまで一挙に候補者の見通しが立つようになったということであります。9月末までの合併時までには社民党の推薦を含めれば、全選挙区で新たに大きくなった民主党の公認、さらには推薦候補を300の小選挙区で全部決める、この目標に達することが可能だ、こんなふうに思っているところであります。

■公認候補はマニフェスト実現への一筆が前提

【代表】
今日民主党としての公認候補を発表しましたけれども、その決定の段階でとくに私のほうから、この公認の決定は近い将来マニフェスト、政権政策が党内できちっと合意された段階で、全候補者のついて政権政策、マニフェストを実現するために頑張るという、いわば承諾書といいますか、合意書といいましょうかそういうものをしかるべき時期には出していただく、そういうことを条件といいましょうか、前提として今日の公認であるということを常任幹事会の席で予め確認をしていただきました。

ですから公認になったから民主党がどんなマニフェストをつくろうとも私は関係ありませんということを言った人には、場合によっては公認をご辞退いただくこともあり得る。ただわが党の場合、マニフェスト、政権公約というものはきちっとした手続きも含めてつくっていく段取りをしておりますので、もちろん私の最終的な責任で決めさせていただく場面もあるかもしれませんけれども、そういうこともあわせた中で全候補者にそのマニフェスト実現のために努力するという一筆をいただくことを前提としています。

これは言うまでもありませんが、マニフェストとしてのあり方として当然のことと同時に、やはり与党自民党にも同じような形できちっとしたマニフェスト、そして候補者も一致してそれを守っていくという形をとってもらいたい、とるべきだ、まずは櫂より始めるということで、我々のほうもそうしますというそういう意味合いを込めての今日の確認をとらせていただきました。

■小沢党首と9月始めまでにまず全国5ヵ所を遊説

【代表】この間、小沢党首と私のほうで全国をまわっていこうということで、第一段は仙台で街頭遊説をおこないました。それに加えて北海道、中国地方、九州を考えておりますがさらに四国においてもいずれかのそう遠くない時期に一度そろい踏みで四国での何らかの会合をやりたいと相談いたしました。

あえて言えば、東京とか名古屋、大阪など比較的大都市部では従来から大きな支持をいただいているわけですけれども、まずは比較的自民党の強いと言われる地域について5ヶ所を2人でそろい踏みをおこない、あとの4ヶ所については8月中ないしは9月の始めまでにかけておこないたいと考えております。

■李肇星中国外交部長と会談。北朝鮮問題、犯罪捜査協力、遺棄化学兵器などで意見交換。

【代表】
中国の李肇星外交部長が表敬訪問をいただきました。私も4月に中国に伺った時には、胡錦涛総書記との会談の翌日でしたか、李肇星外交部長と若干長い時間、議論させていただきました。大変気さくな人でありまして、その時も菅という字は官僚の官の上に草を書くんですねなんて言われまして、官僚の上に草というのはある意味では草莽の人というのでしょうか、民というのでしょうか、官僚の上に民を置いた政治ということで、なかなかふさわしい名前ですねと言われたことも思い出しながら、今日お話をいたしました。

内容については、すでに担当のほうから、皆さんにも披露があったと思いますけれども、ダライ・ラマ氏との問題、さらには黒竜江省における旧日本軍の残したと思われる遺棄化学兵器の被害の問題に触れられました。私もそれぞれについてお答えし、特に黒竜江省の化学兵器については私自身、現時点で詳細が判明してはいませんが、少なくともそういうことがあるとすればそれはわが国の責任であって、大変申し訳ない。謝罪とお見舞いを申し上げておきました。

私のほうからは大きく2点、ひとつは北朝鮮の問題と最近の福岡の一家4人殺害などの犯罪の問題を指摘しておきました。北朝鮮問題では、前回お会いしたときに私のほうから包括的な提案、つまりは北朝鮮に対して核兵器の開発を永久的にやらない、そして拉致についての徹底的解明といいましょうか解決を目指す、この2つを約束すれば米国は軍事力による体制転覆を願わない、日本は国交回復後の経済支援を約束する、韓国は南北交流の更なる発展を約束する、そういう一括提案するということを私の考え方を提示して、李肇星部長から当時もなかなか理にかなった意見ですねとそういう会話が4月にあったわけです。

今回の6者協議の中で、ややそれに私の意見に近い形の包括的なものが出ようとしている。そういう中で中国としても側面的といいましょうか、間をとる立場としておおいに協力して欲しいということを申し上げました。

それに対して李肇星氏は、これは他の場面でも言われているのかもしれませんが、拉致問題については日朝の2国間でやられるのが望ましいのではないかと、そういう趣旨のことを言われました。あまり多くの時間がありませんでしたので、それ以上踏み込んだ議論はいたしませんでしたが、6者会談における課題として、拉致問題については2国間の協議で、核については6者間の協議というふうに中国が考えているということが何となく見えてきたということであります。

犯罪の問題については、とくに日本国民が今回の福岡一家4人の殺害事件について大変関心をもっている、その事件にかかわったと思われる留学生については本当の黒幕的犯人は日本人である可能性が高いけれども、それを割り出すためにも捜査に協力するようにお願いしたい。場合によっては日本にもう一度連れてきて捜査することも考えて欲しい、ということも申し上げておきました。

法に照らしてしっかりやるという趣旨のことを言われましたけれども、いまの日本にとって治安の問題というのは大変重大な局面に来ているとも言えますし、とくに日中関係で私も留学生のお世話のようなことも多少年1回、私の出身校に来ている留学生をお招きするようなことをやっておりますが、一般的には大変勉強熱心な学生さんが多いわけです。一部のそういう事件によって、日中の若い人たちの交流が妨げられることになってもいけませんので、逆に言えば犯罪に対してはきちっと厳しい姿勢で臨んでもらいたい、しかし同時に日中の今後の交流については積極的に発展させていくように努力していきたいという趣旨から申し上げたところで、李肇星外交部長もそれについては私と同じような考えをもっておられる、そういう趣旨のお話がありました。

<質疑応答>

■中国としては、拉致問題は2国間協議が望ましいとの見解

【記者】今日の李肇星外相との会談で、拉致問題についての中国の北朝鮮に対しての影響力について、代表自身どのよう評価されていますか。また今回代表が提案した努力して欲しいということに関しての中国側の姿勢についてはどのように評価されていますか。

【代表】ちょっと表現が悪かったかもしれませんが、私が申し上げたのは、今年の4月に中国を訪問したときにも申し上げた一括的な提案をすることが望ましいのではないかと、一括的という意味はまさに核の問題と拉致の問題をあわせてでありますので、それを少なくとも日米韓の提案の向こうに対する要求に盛り込む。それに対して応じたときには3カ国はこういうことをする、ということをある意味で確認のために申し上げたわけです。

それに対していま申し上げたように6者協議ということの中で申し上げましたので、中国としては拉致問題については2国間の協議が望ましいのではないかという趣旨の話でした。必ずしもそれに対して中国が関心を示さなかったとか、協力しないというようなニュアンスではありません。

6者協議という場と一般的な包括的な提案ということと、短時間でありましたのでそこまで細かく詰めておりませんが、6者協議の場においては裏返して理解すれば拉致の問題は2者協議で、他の問題は6者協議でということを中国側が考えているんだなということは理解できましたが、つれなくされたとか何とかというふうにはとくに思いませんでした。

■中国は北朝鮮に影響力が大きい。拉致問題への国民感情を十分理解している。

【記者】中国の北朝鮮に対する影響力というものを、代表自身今後の政府の拉致問題に対してどのような行動を期待していますか。

【代表】まず中国の北朝鮮に対する影響力というのは、私はある意味では北朝鮮にとっては日本・韓国・アメリカというのはいわば敵対している3カ国で、中国というのは歴史的にも現実的にもどちらかというと北朝鮮をサポートしてきた歴史を持つ、あるいはサポートしている立場にある国という意味で日米韓とは別の意味で極めて大きな影響力を持っていると理解しております。

前回の3者協議が始まるひとつのきっかけにも、中国は北に供給している石油のパイプを3日間止めたことが最終的な北の決断につながったという説もあるぐらいで、北にとっては最終的に不足した食料、ギリギリで足りなくなった燃料については中国に依存している。

また北朝鮮と中国の間には、朝鮮戦争の後に結ばれた攻守同盟が現在も法律的には生きております。そういうことを考えますと、日米韓の影響力というのは先程言ったように敵対する関係の影響力であることに対して、中国というのはどちらかといえば支える側に立った立場で行使する影響力ですから、場合によっては敵対する側の影響力よりも支える側の影響力のほうが大きい場合も十分にある。つまり支える方が支えなくなったときには北朝鮮は成り立たなくなるわけですから、そのようにも受け止めております。

拉致問題に関しての中国の影響力というものについて、個別に仕分けをして聞いたわけではありませんので、必ずしもそのことを的確に皆さんに申し上げる材料はありませんけれども、一般的に言えば中国は日本の拉致に対する国民の大変大きな憤りなり、関心というものは理解している。核についても同じですが、中国は十分に理解していると私はこのように受け止めています。

■埼玉知事選は上田陣営の意向を尊重して。

【記者】14日公示の埼玉知事選のことでお伺いします。埼玉知事選にあたっては、坂東さんが民主党候補として挙がっていましたが逃げられたような形になり、上田さんが離党して出馬することになりましたが、代表としてはどういう決着が望ましかったかというお考えをお聞かせ下さい。加えて今回の知事選については、総選挙の前哨選と見る向きもありますけれども民主党としてはこの選挙をどう位置付けられているのでしょうか。

【代表】自治体選挙の折りから、いろいろな知事選について皆さんからも党としての姿勢について聞かれたことがありますが、私は当時から一貫して申し上げているのは政党にとっては国政選挙で候補者をきちんと出して、政権交代を目指すという責任がとくに野党第一党にとっては最大の責任としてある。

同時に自治体についても有権者に選択肢を提供するということは望ましいけれども、必ずしも党が主導的にたとえば公認候補を出す、あるいは主導的な推薦候補を出すということが衆議院参議院のような意味で必要ということであるかと言えば、必ずしもそうではない。逆にそれぞれの県民の選択によって知事は直接選べるわけですから、つまりはそういうのにふさわしい人であれば、逆に言えば無所属であろうが別の経緯で出てきた人であろうが、県民にとってふさわしい人であればどういう形かでも応援すればいい、という姿勢を従来から申し上げてきたつもりであります。

今回の経緯も党の本部としては、あまり直接的にはかかわっていません。埼玉県連のほうに県内のいろいろな動きを含めて扱いをお任せしてきたわけですけれども、ある段階では坂東さんに対する出馬要請というものがあり、最終的には坂東さんのほうがいろいろなものの考え方があったのでしょう、お断りになった。

そしてわが党所属の上田代議士が離党し、無所属という立場で県民党という立場で立候補したいということになりましたので、県連としては元々が民主党の仲間でもありますしそうした経緯の中で友情応援という、つまりは党としての正式な手続きをとった推薦とか支持ではなくて、大部分の人たちが自主的に応援するという姿勢をとるということを実質上決められたわけです。

この形は、私は神奈川県の松沢知事とやや共通するのではないかと受け止めております。私も同じ姿勢で上田さんから電話をいただいたときも、もし私が応援に出かけたほうが望ましいと上田さんが思われるのであれば、時間調整さえ出来れば応援に出かけますよと申し上げたら、それはしかるべき段階ではお願いしたいというような趣旨のことを言われました。

ですからこれから選挙が始まった中で、どういう形の応援になるかわかりませんが、県民党という立場と同時に私は友情応援という立場がどういう形が一番いいのか、それは主に上田陣営が判断されるであろうと思っております。

神奈川の場合もそうでしたが、当選した松沢知事ももちろん県民党的な立場でありますが、現在も民主党の仲間といろいろな意味では協力関係があるわけでありまして、上田知事が誕生したときに我々と広い意味で協力関係が維持できればありがたいなと考えております。

■政策と人柄をさらに知ってもらえるようにしたい

【記者】朝日新聞の世論調査によると、民主中心自民中心の政権を望む数字が34%と34%ということで拮抗しました。この数字をどのように評価されているのかということと、加えて小泉さんと菅さんの支持率は50対20ということでちょっと数字が開いた形になりましたが、これについてはどのように分析されているのでしょうか。

【代表】まず、自民党中心の政権と民主党中心の政権という質問に対して、ちょうど同じ率の皆さんが賛同の意を示していただいたということは、わが党にとってといいましょうかやはり多くの人が今の政権ではない、新たな政権を望んでおられる。もっと言えば自由民主党中心の政権が、かなりの人からそれを変えなければならないと見られていて、その新たな受け皿として民主党が相当認知されたと受け止めています。

まだ合併が発表されて3週間でありますので、逆に言えばその数字にあまり喜びすぎないように内実のあるものに私たち自身していかなければと思っております。

それから小泉総理と私との言わば、総理にふさわしいという個人的な支持というものがかなり小泉総理に水を開けられた結果が出ています。これは率直にそういう結果だなということを受け止めたいと思います。企業の中ではどちらかと言えば政策を重視している皆さんは、比較的私に対して支持を示されて、あまりそういうことに重視をしない皆さんはより大きな支持を小泉総理に与えられているという分析も同時にありました。

そういう点では、まず野党としては野党の党首の人柄がどうかという前に、わが党がどういう考え方をもって政治に臨もうとしているのか、わが党が中心になった政権が出来たらどういう政策を実現しようとしているのか、少なくともその部分について、より強い支持をいただいているというのは、私は大変ある意味で心強い。まずそこからきちっと踏み固めていかなければならないと思っております。

それに加えてもちろん、個人の人柄といったことも重要な要素ではあるわけですが、甲子園の見事なストライクですとかあるいは力のこもった挨拶、私は前後広島と長崎で小泉総理の挨拶を聞きましたが、広島長崎に比べると3倍の得点が出そうな挨拶を甲子園ではされていましたので、そういう効果が数字にも表れたのではないかと思っています。

このことはこれから、まだ総選挙まで若干の時間がありますので、しっかりと政策についての理解をさらに広めていくと同時に、個人の人柄とかというのはどういうふうに表現すればいいか分かりせんが私なりにいろいろな形で私の姿を、より多くの国民の皆さんに知ってもらいたい。そのための活動もあわせてしたいと思っています。

【記者】水を開けられたという小泉総理ですが、ゆっくりはできないけれどゴロ寝とか音楽を聴いたりとかすると言っていましたが、代表は明日からの夏休みはどのように過ごされるのでしょうか。

【代表】私もちょっとこの間あまり本を読む時間も十分になかったものですから、少し本を抱えてそれこそ昼寝をしたり本を読んだりということが中心になるかなと思っております。あまりあちこちに出かけるというよりは1ヶ所にあまり動かないようにじっとしていて、お盆休み明けに備えて自分の中でゆっくり考える、あるいはゆっくり頭をからっぽにする時間を持ちたいなと思っています。


編集/民主党役員室


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