2003年9月2日(火) | 戻る/ホーム/記者会見目次 |
菅 直人代表/定例記者会見要旨
■上田新知事など改革派知事とは基本的考え方が共通、さらに連携を図りたい
【代表】今日はまず、嬉しい話をさせてもらいます。埼玉県知事選挙、ご承知のように上田清司さんが圧倒的な形で当選をされました。私たちは友情支援ということで、私も小沢党首も一緒に一度応援に入りましたけれども、そういう応援をしたというだけでなくて、この新しい知事の姿勢が、私たちのいわば次の政権を目指す姿勢と、きわめて共通性が高いというところに、より大きな期待をいたしております。
つまりは、非自民党の改革派知事というのが、この東京周辺でも神奈川、千葉、そして今回埼玉と生まれたわけですが、それに加えて今回も、田中康夫長野県知事も応援に入られたわけですが、やはりこれまでの、いわば税金を政官業の癒着の中で、天下り先等をつくるためとか、土屋前知事のように政治家の関係者からピンハネするため、そういうことに使っていたことに対する反発が、上田清司さんに対する支持として非常に強く現れた。こう考えますと、こういう非自民系の改革派の知事と私たちの、個別に連携というか関係が深いというだけではなくて、基本的な考え方において共通しておりますので、そういう点ではこれからも、さらにそうした政策的な面、理念的な面での連携を含めて、図っていきたいと思っております。
なにかバスで通勤をしたというようなことも出ていますが、そういうことも含めた一つの姿勢の現れだと、こう思っております。
■道路公団総裁をお咎めなしとする扇大臣は、国交省の利益代表でしかない
【代表】もう一点、国土交通大臣が、道路公団総裁に対してお咎めなしということを言われているようであります。それだけでもかなり問題ですが、公団の債務超過を内部告発した片桐氏に対して、内部資料を持ち出すのは産業スパイだとまで発言したと伝えられているという、こんな報道も聞いております。
これは本当にこんな発言があったのかどうか、私は直接聞いたわけではありませんが、もしそういう発言を扇大臣がしているとしたら、これはきわめて重大な問題だと私は思っております。つまり大臣というのは、国土交通省の代表、つまり国土交通省の利益代表なのか、それとも国民の代表として、その大臣というポストを預かっているのか、という重大な実は認識の間違いがあるからです。
私が厚生大臣のときに、私は被告だったわけですが、場合によっては被告にマイナスになるような資料を見つけ出して公表したということは、この扇さんの論理で言えば、背任ということになりますよね。つまり厚生省にとってマイナスになることを大臣がやった、背任ということになるわけですが、しかし憲法には、大臣がその役所の利益代表とは書いてありません。憲法に書いてあるのは、国民が選んだ、国会議員が選んだ総理大臣が、国務大臣として任命し、そしてそれぞれの役所の大臣として役割を分担しているわけでありまして、決して株式会社の社長のように、その会社の株主によって選ばれたわけではない。国民によって選ばれたわけでありますから、もしこういう発言を扇さんがしているとしたら、国民によって選ばれた大臣ではなくて、これならもう国土交通省の役人によって選ばれた大臣ではないか、このことを厳しく指摘しておきたいと思っております。
■立候補表明した鳩山邦夫さんとはフェアプレーで戦いたい、大いに歓迎する
【代表】東京18区、私が立候補しています選挙区から、自民党公認で鳩山邦夫さんが出馬すると、今日記者会見をされたように聞いております。私も鳩山邦夫さんとは、民主党を共に立ち上げ、またいろいろな機会に政治行動を共にした経緯もありますので、こういう形になったということについて、若干の思いもありますが、しかし正々堂々と政策論争をしていきたい、フェアプレーでいきたい。そういう意味では、大いに歓迎をいたしたいと思っております。
私にとっても実はこの18区という所は、新たに府中市が選挙区に入って、三鷹市が外れるということで、有権者数というか人口でいうと、47%の人が新しい選挙民ということになりまして、私も半分新人になるわけでありますから、新人として鳩山邦夫さんとフェアプレーでしっかりとたたかって、有権者に支持を求めていきたいと思います。
<質疑応答>
■埼玉知事選:政策的な主張・候補者により大きな支持が得られる励みになる
【記者】上田さんの当選の件でお伺いします。今回上田さんが当選されたということで、総選挙に向けてのお話をお伺いしたいのですが、総選挙に向けて民主党自体が勢いづくと思うのですが、その辺についてどうお考えか。また出口調査で小泉支持率のうち、かなり多くの改革志向の有権者が上田さんに流れたという分析結果も出ておりますが、その点についてどういう兆しを感じとっていらっしゃいますか。
【代表】冒頭申し上げたように、上田清司さんの当選というのは、私たちにとっては大変励みになる結果だと、こう思っています。つまりは政策的な主張がきちっと有権者に伝えることができれば、そして候補者としてしっかりした候補者が立てば、十分大きな支持が得られるという、いわば実証していただいたわけですから、そういう点では大変励みになる結果だと思っています。
とくに民主党と自由党の合併ということも、ある意味では、知事の場合は一人で政権交代可能なわけですが、国政の場合は衆議院で少なくとも過半数を取らなければ政権交代はできないわけですから、この民主・自由の合併によって、そうした政権の受け皿という認知は、かなり期待感という形でいただいているわけですが、その期待感が実際に政権交代を推し進める支持、あるいは投票行動に移るということが、少なくともこの知事選では現実のものとしてあったわけですから、そういう点ではその勢いを是非、次の総選挙にも受け止められるように、我々もいろいろな面で努力したいと思っております。
もう一つは?
【記者】小泉支持者の中で、島津さんではなく、上田さんにいく層が多かったという意味で、改革志向の有権者が民主党にきたということについてどう思われますか。
【代表】ここは小泉総理という人に対する国民の見方が、ある意味ではよく表れているという感じもいたします。つまり私たちが国会で見ていると、小泉総理というのは、改革、改革と言いながら、実際には何一つ改革は進んでいないと、こう見えるわけですが、国民の皆さんの中では、まだ小泉総理に対する、改革を進めてもらえるのではないかという期待感があると。
その期待感を持った人が同じように、この上田清司知事に対して、これは私は本当にやってもらえると思っていますが、そういう期待感を持った人ほど上田清司さんに対して期待をし、支持をされたのではないか。
逆に言えば、小泉さんが自民党だから支持をしているというような人が、もしかしたら島津さんに、同じ自民党が実質的に応援しているから支持をしたと、そういう意味では小泉さんに対する逆に見方がよく表れていると、このように思います。
■総裁選を通じて、自民党・小泉総理の矛盾が国民にはっきり見えつつある
【記者】民由合併の裏で、自民党の総裁選がおこなわれているわけですが、総裁選の結果が民主党の次期衆議院選戦略へ与える影響というのをプラスと見ているのか、マイナスと見ているのか、総裁選への感想を含めてお聞かせ下さい。
【代表】どういうお答えをしていいのか、ちょっと戸惑う質問なのですが、いかなる結果になろうとも、新たに決まった総裁・総理との間で政権を争う総選挙にしなければならない、こう思っております。ある意味では小泉総理が再選される可能性が高いと私は思っておりますけれども、この間、小泉総理との国会の論争なども含め、あるいは党全体の取組みも含めて、基本的には小泉総理がそのまま総裁・総理に再選された場合においても、小泉総理に、これまでやれなかった改革を民主党がしっかりやると、先ほど申し上げたような税金の無駄遣いオバケを退治すると、それは小泉総理にはまったくできていないわけですから、それをやれるのは民主党だと、そういう形で選挙に臨んでいきたい。
小泉総理以外の人が当選した場合にどうなるかというのは、今どなたがどうなるというか、誰がどういう考え方をもっておられるかというのが、必ずしも正確に国民には伝わっていませんので、それは小泉さんでない人が決まったときには、その人に対しての対応も含めて、再検討がある程度必要になるだろうと。まあ、どちらがいいとは一概には言えないと思います。
ただ多少の感想を申し上げれば、たとえば青木自民党参議院幹事長が小泉さんを支持すると。しかし2年前に青木さん率いる橋本派の参議院議員の顔ぶれを見ていると、小泉さんと政策的にぶつかった人ばかりではないかなと。結局は政策で判断しているのではなくて、単に参議院における権力維持のためだけに判断しているのかなと。またそれに乗って小泉さんも動いているのかなと。ですからいずれにしても、この総裁選を通して、そうした自民党の、あるいは小泉総理の矛盾というものが、私は国民の皆さんにも、よりはっきりと見えてきつつあるのではないかと。あえて感想を求められれば、そんなふうに思っております。
■自由党との選挙区調整:最終的にいい答えを出してもらえると期待・確信する
【記者】今日、新たにまた選挙協力と公認が発表されました。順調に進んでいる所もありますが、自由党との間では、具体的には首藤さんと樋高さんの所など、何選挙区かでまだ調整が難航している所があります。この点について、自由党との調整をどう進めていくかということと、あといくつか、10ヶ所程度残っている空白区をどうするかということ、さらに社民党との調整についてどうするかということを、お聞かせ下さい。
【代表】自由党との選挙区調整は確かに2〜3の所でまだ懸案として残っておりますが、大きい方向としては、当然のことですが、一つの党になるという前提の下での話し合いですので、最終的にはそれぞれ政治家としてきちっと活動ができるような、そういういい答えを出してもらえると、そのように期待もしておりますし、確信もいたしております。
また社民党の推薦を含めて、さらに空白の地域が、今日の報告によれば、まだ名前も挙がっていない所が、選挙区数で言うと10前後あると聞いております。この合併の動きの中で、あるいは合併が決まった中で、かなりの所で候補者が手を挙げていただいていますので、私は今月末までには、完全空白という所は一つもない形で埋めていくことが、十分に可能だと見通しをもっております。
社民党との間では先日、党首も含めた、私も含めた会談の中で、29選挙区7道県の間でお互いに応援し合う。社民党で言えば10選挙区10人の方をわれわれは応援するということを確認いたしました。比較的、与党に対して小選挙区で勝ってきた人、あるいは小選挙区でいい戦いをしてきたそういう人たちが、10人の中にかなり入っておられます。
もちろん、まだそれ以外にも、何人かはいい戦い、あるいは小選挙区で勝った方もおられますが、多くはこの10人の中に入っておられます。そういった意味で私たちとしては、いつも申し上げているように、最終的には与党との間で、小選挙区でいくつ勝てるか、これが政権交代のまさに天王山でありますから、それを過半数、150を超えるところにもっていくための選挙協力ということで、社民党との間でも、今後もそういう所については我々も応援する、推薦するから、逆に言えば民主党のほうが小選挙区で勝てそうな所については、できればご遠慮いただきたい。このことはこれからもそういう考え方で、選挙協力について話し合いを継続していきたいと、こう思っております。
■女性からの支持は、われわれの主張を伝え切れれば、男性との差は埋まる
【記者】先だって世論調査をした結果、やはり相変わらずと言うべきか、民主党の女性の支持率が男性の半分ぐらいというのが続いています。これは他の調査でもそうだったと思います。このことはかなり深刻だと思いますが、なにか具体的に対応をお考えでしょうか。
【代表】是非皆さんにも、どうすればいいか、知恵をお借りしたいのですが、従来からそういうデータもたくさんいただいていますので、その原因がどこにあるか、いろいろ私たちなりに議論をしております。
やはり比較的、ビジネスウーマンのような、サラリーマン生活をしている女性については、男性との差が相対的にはあまりないけれども、主婦のように、どちらかと言えば多くの男性が外で働いているわけですが、そうではない人たちのところでの支持がやや低い傾向にあると、こういう認識をしております。
たぶんそれぞれのグループというのか、パターンの人たちに届くメッセージの中身と同時に、届け方、届くルートがやや違っているのかなと。端的に言えば、新聞をよく読む層と、やはり新聞よりもテレビを通しての層と、もちろん両方重なるわけですが、そういうことを考えますと、もう少しわが党もそうした主婦層に共鳴をもらえるような内容を、届く形で、つまり伝えられる形で、どのようにそれを届けるのか。いま一生懸命そのことは考えているところで、何かいい手があったら是非教えて下さい。逆に言えば、伝え切れれば、私はその差は埋まってくると思っています。
■小泉総理は、自民党をぶっ壊すのでなく、橋本派をぶっ壊すと言うのが正確
【記者】自民党の総裁選について、これまでの状況を見ると、最大派閥の橋本派は分裂選挙になるような様相になっています。こうした状況というのは、ある見方をすると小泉さんの言う自民党をぶっ壊す、自民党的なものをぶっ壊すというのではないかというふうな見方もあるわけですが、代表自身はこれについてどのようにお考えですか。
【代表】もともと小泉総理本人、あるいはある時期にはYKKと言われたグループもありましたが、そういうグループは、常に最大派閥経世会、田中派・橋本派を、いわば仮想敵国と言いましょうか、つまりはそことの争いで大抵負けてきましたから、それを仮想敵国のような形でグループを組んだり、いろいろやってこられた、そういう中の一人の中心人物が小泉さんだと、こう思っております。
ただ自民党を壊すという意味は、もし私たちが本当に自民党を壊すということに意味があるとすれば、それは派閥を壊すということではまったく不十分でありまして、まさに政官業、つまりは族議員体質を壊す、あるいは官僚依存の自民党のあり方を壊す、そういうことですから、派閥というのはその中の一つのあり方に過ぎませんから、派閥を、もし小泉さんが言うのであれば、橋本派を壊すと、自民党をぶっ壊してもではなくて、橋本派をぶっ壊してもと、そういうふうに言われるほうが正確ではないでしょうか。
自民党というものは、官僚と、いわば役割分担をした与党という存在ですから、その存在を壊すという意味には、まったく当たっていないと、私はそう思っています。
■総裁選の動向には慌てず、新たな自民党総裁としっかり戦う態勢をつくる
【記者】代表は常々、自民党内部の内輪もめにあまりマスコミがあまり関心を払うことなかれと言われていましたが、今小沢党首と全国を揃い踏みをされて回られて、今週で一区切りつくようですけれども、この自民党に注目が集まるのを、民主党のほうに関心を振り向けるための次の戦略というのを、何かお考えであれば。
【代表】今週、松山に一緒に行く予定になっておりまして、最初の計画をした全国の、いわゆる東京・大阪を除く地域の主要な地方都市五ヶ所を、これで一応回り切ることになります。いまのお話ですが、一つは、この総裁選が終わってみなければ、この総裁選が本当に国民にどういう印象を残すかというのは、ちょっと分からないと思っています。
ですからあまり慌てる必要はないと。つまりは、総裁選がたとえば2年半前の小泉さんが最初に総裁・総理になったときのような、大きな期待感で終わるということはあまり考えられないわけでありまして、どのような形で終わるのか、まだ私にも予想はつきません。ですから、そう慌てないで、最初のどなたかの質問にもありましたが、小泉さんになる可能性が高いとは思っておりますが、そうであっても、そうでなくても、十分、私たちは新たな総裁、再選された小泉さんを含めて、新たに決まった総裁・総理と、しっかりと総選挙で戦う態勢をつくりたいと。
それは従来からやっているマニフェストや、あるいは全国の人たちに、いまの経済の状況はもうめちゃくちゃですから、そういう一つの流れを変えてもらいたい。
先日も地元で久しぶりに歩いておりましたら、「私は実は自民党の党員なんだけれども、菅さん、とにかく流れを変えてもらわないことには、本当にもう自分たちは生きていけない。」本当にこういう声をいくつも聞きましたから、そういう流れを変えるためには、自民党の中の総裁のたらい回しをいくらしてみたって、首のすげ替えをしてもしなくても、流れは大きくは変わりませんから、流れを変えるためにはやはり、政権交代、民主党が政権をとることが必要なんだと。このことをいろいろな形で訴えていくというのが、それが一番オーソドックスであると同時に、それ以外にはないと、こう思っております。
■自民党公認候補の鳩山さんとは、正々堂々、フェアプレーでの戦いをしたい
【記者】鳩山さんの出馬の関連でちょっとお伺いしたいのですが、代表があれだけ都知事選で応援しながら出馬というのは、私から見ると薄情というか政治的に非常にドライだなと思うのですが、先ほど代表が触れられました若干の思いの真意というのを、もしお聞かせ願えれば、お願いします。
【代表】先ほど申し上げたように、現在の民主党といいますか、96年に立ち上げたときに、4人の代表で民主党立ち上げを、呼びかけをいたしました。一人は岡崎トミ子さん、そして鳩山由紀夫さん、そして鳩山邦夫さん、私の4人が、ある段階で呼びかけて、それに賛同いただいた方で、96年に旧民主党を立ち上げたわけであります。
それから新民主党になり、いまご指摘のあった都知事選も、最終的には民主党が推薦し、私も自分の選挙では、全国を回っておりますが、最近はあまり長い時間車に乗ることができませんが、あの選挙では、2/3ぐらいの選挙期間を一緒に車で東京都内を走り回った。そういういろいろなことはありましたし、そういうことを、あえて一つの思いということで申し上げたわけです。
しかし、自民党公認候補として出られるわけですから、それは個人的な思いは思いとして、正々堂々、政権を争う政党の、私は代表でありますが、まだ政権を持っている政党の、ある意味での幹部というのでしょうか、重要な政治家として、正々堂々のフェアプレーの戦いをしたい、こう思っております。
編集/民主党役員室
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