2003年9月9日(火) | 戻る/ホーム/記者会見目次 |
菅 直人代表/定例記者会見要旨
○若手の擁立すら封じ込めるところに、いまの自民党の体質がよく表れている ○合併大会までの1ヶ月間、マニフェストの提案、候補者擁立に全力を挙げる ○新民主党のスタート段階では現在の民主党の政策の継承が合意されている ○戦争状態のイラクに、占領軍として自衛隊が出て行くことには賛成できない ○小泉総理が表現だけわが党を真似ても、無責任な姿勢が浮き彫りになるだけ ○テロ特措法延長問題については、まずきちんと調査・検証する作業が必要 |
■若手の擁立すら封じ込めるところに、いまの自民党の体質がよく表れている
【代表】いよいよ9月に入りまして、昨日から自民党の総裁選挙が始まりました。一つの感想は、若手の皆さんが20人の推薦人を集めて、誰かを立候補させようという動きがあったわけですけれども、それが潰えたという報道があります。もちろん直接に関わっているわけではありませんけれども、何か今の自民党を象徴する出来事だな、と。
わが党の場合は、若手が大変多い党ということもありまして、昨年の代表選挙を含めて、いろいろな人たちが、30代、40代、50代の人たち、いろいろと動きがあったわけでありますが、自民党の場合は、若手と言っても、中には私とあまり年齢の変わらない人たちも含めて、しかしそれでも40代、50代の動きすら封じ込められてしまっている。そこにいまの自民党の一つの体質の一面がよく表れているなと、こんなふうに感じています。
また今回の小泉首相の推薦人を見ておりますと、やはり参議院橋本派と言いますか、青木幹事長を含む顔ぶれが非常に目立ちます。まさに守旧派政権を維持するための立候補だと感じております。つまりは、脱官僚政治ということが、いまの大きな国民の期待でありますけれども、小泉総理は、言葉はいろいろ踊っておりますが、基本的には官僚に丸投げの政治でありまして、そういう意味では、いわば小泉総理が官僚と戦っているというところはまったく見えない。
逆に言えば、官僚の天下り先を新たにつくるような、いわゆる独立行政法人などそういう政策ばかりが目立って、また青木幹事長は、いわゆる業界団体からの、あるいは官僚団体からの候補者を参議院に送り出して、それをまとめている参議院橋本派の、いわばまとめ役であるわけですけれども、そういうところに支えられた小泉政権というものが守旧派政権以外の何ものにもなり得ないということを、その推薦人の顔ぶれからも明らかにしたものだと、このように見ているところです。
併せて、他の3人の皆さんを含めて、立候補された政策の中でちょっと気になりましたのは、政治と金、政治改革、こういった問題に触れている人が、私から見るところまったくないということであります。この間、いろいろな課題がこの2年あまりでもあったわけですけれども、透明性の高い政治、あるいはわが党で18歳選挙権、あるいは定数の是正等をいま議論していますけれども、政治改革というものが10年前の大きな課題だったわけですが、政治改革に次いで行政改革という順番に、10年前進むべきだったと今でも思っていますけれども、その原点を思い出すような人が一人もいないのかと、このことも若干残念に感じたところであります。
■合併大会までの1ヶ月間、マニフェストの提案、候補者擁立に全力を挙げる
【代表】民主党として、もうすでに合併大会は10月5日ということを、両党間で決めたことは発表しておりますけれども、その10月5日の段階では、たぶん衆議院の解散について新たな総理総裁がおこなうかどうか、かなりはっきりしている時期ではないかと思っております。
そういう点で、とくに解散ということがはっきりしていればもちろんですけれども、最終的なマニフェストを提案し、そして300小選挙区を含めた候補者の擁立を、その段階で国民の皆さんにきちっと報告し提案できるように、この間の1ヶ月間、全力を挙げていきたいと考えております。
<質疑応答>
■新民主党のスタート段階では現在の民主党の政策の継承が合意されている
【記者】安全保障についてですが、自由党の研修会で小沢党首が多国籍軍への自衛隊の派遣について賛成をしていますが、その点について民主党内にも自由党の政策はいいのではないかという意見があります。今後どのように整理していくのでしょうか。
【代表】現在、直接の課題になっているイラクの問題については、ご承知のようにイラク特措法に対しては、民主党も自由党も反対をいたしました。その枠組みの中で自衛隊をイラクに送ることには、私も小沢党首も反対であることを、テレビの場面でしたけれども、明確にいたしております。現在、ブッシュ大統領が新たに国連に対して何らかの決議を求めて、国際社会に対してイラク復興に協力して欲しいという姿勢を示されております。
まだ、その求める国連決議が、どういう意味内容であるのか、もちろん報道程度は知っておりますが、まだその中身について判断を十分にできる段階にはきておりません。
フランスやドイツなどは、考慮に値しないといった厳しいコメントが首脳から出ているわけですが、わが国の姿勢もまだはっきりしておりません。常任理事国でありませんので、直接の関わりがないということかもしれませんが、いずれにしても必ずしもはっきりしておりません。そういった意味で、直接イラクの問題について、どうあるべきかということについては、またその中身を見ながらきちっと議論していきたいと思っております。
一般論で言いますと、この問題についても他の問題についてもそうですけれども、新しい民主党がスタートする時点では、今までの民主党の政策が継承される。こういうことに両党首間の合意でなっております。合併した後、また新たな議論が出ることは、これは一つの党として大いにいろいろな議論が出ていいわけですけれども、新たな民主党がスタートする段階では、現在の民主党の政策を継承するということになっておりますので、そういう基本的なスタンスでものごとを進めていきたい、こう考えています。
■戦争状態のイラクに、占領軍として自衛隊が出て行くことには賛成できない
【記者】先ほどのイラクに関するブッシュ大統領の演説について、内容ではイラクの治安を維持するための多国籍軍とつくるということと、復興に必要な資金を賄う、その二つの内容と理解したが、それについて日本はどのように行動すべきか、現時点での代表の考え方をお聞かせ下さい。
【代表】この問題は、民主党という立場で言えば、もともとこのイラクの戦争を始めること自体に、武力行使を始めること自体に反対をしてきた、そういう経緯がありますし、先ほど申し上げたように特措法についても、非戦闘地域というものが虚構であるということで反対し、自衛隊派遣に反対してきた経緯があります。
そういう中で、今回のブッシュ大統領の演説に対して、わが国としてどうすべきか、ということを考える場合に、そうした党としての立場からすれば、率直に申し上げて、もともとやるべきでない戦争をやったアメリカ・イギリスであるわけですから、そういう立場からして、本来は戦争終結・治安回復までは、アメリカ・イギリスが責任をもって、そしてある意味でそれから先の復興支援・人道支援についてはわが国も協力をすると。これがわが党の基本的な姿勢だろうと思っております。
今回の場合の提案が、先ほど申し上げたように、具体的にどういうことを意味するか、まだ形としてはっきりしておりませんが、少なくとも占領軍としての戦争状態が続いているイラクに、占領軍として、多国籍軍の一員として、自衛隊が出て行くということについては、それは賛成できない、このように思っております。
また財政的な支援についても、これも同じ姿勢ですけれども、人道支援とか復興支援という立場から日本が協力することは、それは十分にあり得ると思っております。ただ戦争そのものに対して、それを賛成していないわが党の姿勢からすれば、そのための費用の分担ということは、基本的には少し筋が違うのではないかと考えています。
■小泉総理が表現だけわが党を真似ても、無責任な姿勢が浮き彫りになるだけ
【記者】自民党総裁選にからめてですが、先ほど自民党本部で所信表明にあたる演説の中で、小泉総理が税金の無駄遣いをなくすということをおっしゃったのですが、そもそも予算編成の権限を持つ総理がそういうことをおっしゃるというのはちょっと意外だなという印象がありましたが、ある意味民主党の政策をパクるというか、追随している印象があるのですが、さらに選挙が近づいてきたときに自民党のほうが民主党をパクる場面があろうかと思いますが、その点についてはどのようにお考えでしょうか。
【代表】その場面を直接見ておりませんので、はっきりしたことはどういう表現だったか分かりませんが、少なくとも小泉総理が税金の無駄遣いのことを言うのであれば、自らの2年あまりの政権の間、いったい何をやってきたのか、私たちは次の総選挙に向けて税金の無駄遣いをなくすということを大きな柱に掲げておりますが、別にそれは選挙が始まるから言っているのではありませんで、これまでの予算委員会、党首討論を通して、幾度となくこの問題を取り上げてきました。
少なくとも現職の総理、あるいは総裁である立場の小泉総理からすれば、まず自分が総理になってから2年半の間、どれだけ税金の無駄遣いをしてきたのかを、自ら検証し、反省するところは明確に反省した上で、そのどの部分をどのようにしてなくしていくのか、そういう姿勢が必要ではないか。
なにか過去のことをごまかすかのような形で、単に表現だけ、わが党の表現を真似てみても、それは総理としてのこの2年間の無責任な姿勢を、逆に浮き掘りにするだけになるのではないかと見ております。
■テロ特措法延長問題については、まずきちんと調査・検証する作業が必要
【記者】次期臨時国会、当然解散の可能性が強いのですが、臨時国会のテーマ、テロ特措法があります。その扱いについてどのような形で対応していくのか。ぶつかる形なのかあるいは話し合いなのか、その辺をどのようにお考えでしょうか。
【代表】率直に言って、このテロ特措法についてのいろいろな議論が、いま一般的には日本の中で必ずしも十分に注目され、議論されているとはいえない状況だと思います。しかし考えてみますと、2年前の9.11、ちょうど2年が経とうとしておりますが、これからスタートしたアフガニスタンそしてイラクという、ある意味では9.11というものが世界を大きく変えてきているわけでありまして、その最初の戦争であったアフガニスタンに対するアメリカ軍などの後方支援としてのテロ特措法が、どういう成果を、もし挙げたとすれば挙げたのか、現在はどういう意味があるのか、将来に向かって本当に必要なのか。そういうことをしっかりと検証するという作業が、まず必要だと考えております。
そういった意味で、どちらかと言えばイラクに対してはいろいろ調査団などを派遣しておりますけれども、インド洋上の行動だということも含めて、しっかりした調査がまた十分にはできておりません。そういった意味では、いろいろな課題の多いこの時期ではありますけれども、テロ特措法についてそうした、まさにこの世界の状況を変えている9.11を、直接の課題としたこの法律に対して、きちっとした検証をまずおこないたいと思っております。
ですからあらかじめ、何か解散が近そうだからほどほどでやめようとか、そういうふうな発想をとるつもりは全くありません。
■小泉総理がそのまま再選されても、次の総選挙で打ち勝つことは十分に可能
【記者】自民党総裁選についてですが、代表自身は小泉総理が再選されたほうがいいのか、他の人がなったほうがいいのか、その点を率直にお願いします。
【代表】どちらがいいということを、結論めいて言うつもりはありません。ただ、小泉総理が再選される可能性が高いということを前提として、現在の活動も進めていますし、とくにこの2年間、とくに私自身でいえば、この通常国会の間に10回の直接の討論を繰り返してみて、小泉総理の、いわば言葉だけが踊って何一つ実行できていないという実態を、少なくとも私自身はイヤというほど知ったというふうに思っておりますので、相手として小泉総理がそのまま再選されても、十分次の総選挙で打ち勝つことが可能だと、こう考えています。
編集/民主党役員室
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