2003年9月16日(火) | 戻る/ホーム/記者会見目次 |
菅 直人代表/定例記者会見要旨
■名古屋の立てこもり事件:日本の社会が壊れつつある危機感を強く感じる
【代表】それでは会見を始めます。名古屋の宅配会社に立てこもった男性が、ガソリンをまいて、それが爆発をして、少なくとも2名あるいは3名という報道もありますが、亡くなったという報道をいま聞いたところであります。大変、巻き添えになって亡くなられた方、けがをされた方には、本当にお気の毒だと思いますし、心からお見舞いを申し上げたいと思います。
この事件を含めて、つい先日も比較的若い男が、中学生ですか、拉致して何日間も連れ回す、いろいろな事件が頻発をしております。一言で言えば、日本の社会が壊れつつあるという危機感を強く感じます。その壊れつつある社会に対して、何も手を的確に打てていない官僚組織、あるいは族議員というものを中心とした日本のこの間の政治が、既得権益を守るときにはものすごいエネルギーを出すわけですけれども、自分たちの既得権益に関わりのない、こうした大きな問題に関しては、何らの手も打てない、打とうとしない。こういう状況だと思っております。
このような日本の社会が壊れつつあることを放置する、いまの政治のあり方を根本的に変えなければならない。これが私たち野党としての、あるいはいま日本の社会に危機感を持つすべての国民の気持ちに対しての、やらなければならない行動だと、このように思っております。
■与党自民党的な巨人に対し、万年野党的な阪神の優勝は、大きな励み
【代表】昨日は阪神の優勝で、全国的にいわば優勝ムードが高まったわけであります。他の機会にも申し上げましたけれども、私などのイメージで言えば、万年与党であった自民党がいわば巨人とすれば、万年野党的な立場の阪神、あえて与党・野党に分ければ、巨人が与党で阪神が野党、そんなイメージをもっている、これは私だけではなくて多くの人がそうではないかと思います。
その野党が、阪神が18年ぶりに優勝したということは、これは私たちにとっては大きな励みだ、こう考えております。星野監督率いる阪神に、いわば後に続いて、新しい民主党、頑張りたいと。その優勝のテレビ放送を見ながら、そのように感じたところであります。
■松浪議員の選挙違反疑惑:事実を解明し、政治家として責任をとるべき
【代表】あと一、二点申し上げますと、松浪議員について選挙違反の疑いがいろいろと報道されております。前回も暴力団との付き合いといった形で、本来なら国会議員として失格と言われる行動があったわけですけれども、それに重ねてこういった問題が起きている。もちろん事実関係はしっかり解明しなければいけませんけれども、解明の上、政治家としてきちっと取るべき責任と取ってもらわなければならない、このように考えております。
■新内閣の対応方針について代表質問・予算委等でしっかりした議論が必要
【代表】いよいよ自民党総裁選も、あと残りわずかになりまして、小泉総理の優勢が伝えられております。総裁選が終われば、間を置かないで臨時国会についての話し合いがおこなわれる、そういう要請が来ていると、こういうふうにも報告を聞いております。そして26日の召集、10月10日の解散、11月9日の投票。こういう段取りを小泉総理、あるいは現自民党執行部が描いているということが、かなり確度の高い形で伝わってきております。
私たちは、国会でやらなければいけないこと、どなたが最終的に勝つにしろ、新しい内閣がどういう方針でいまの日本の状況に対して対応しようとしているのか、代表質問や予算委員会でしっかりした議論が必要だと、こう思っております。
またテロ特措法についても、現在のアフガニスタンの状況、あるいは自衛隊のこの間の活動がどういう効果を挙げたのか、そういった実態をしっかり調査した中で、国民の大変関心の強い課題でもありますから、国会で議論すべきだと、こう考えております。
ただそういう一方では、10月10日解散というものを、もし総理が国会状況如何にかかわらずやるという姿勢で臨んでくれば、法律的に解散を止める手立てはないわけでありますから、逆に言うとその時のことも十分考えた中で、10月10日解散、11月9日選挙になることも当然予想した中で、自由党との合併の最終の仕上げと、総選挙に向けての最終的な準備を急ぎたい、こう考えております。
<質疑応答>
■高速道路無料化はトータルの提案、基本的方向性への理解は進んでいる
【記者】マニフェストに関する議論が佳境に入っていると思いますが、現時点で言える範囲でけっこうですが、高速道路無料化についてはどのような内容を盛りこめそうな状況になっていますか。
【代表】私が高速道路の無料化について、この間も何度か触れてきましたが、その目的は、高速道路というものがせっかく全国にありながら、あるいは地域にありながら、十分に活用されていない、利用できない道路として存在している。この道路を利用することによって、地域の経済あるいは地域に住む皆さんの利便性などにおいても大変プラスになるし、広く言えば流通コストの面では低減にもなる。
もちろん建設コスト、つまりは債務の償還には負担が必要になりますけれども、一方でのいわゆる国民負担、流通コストの負担の軽減ということにも、一方ではつながってくる。こういうトータルの中で提案といいましょうか、議論を提起してきたところです。最終的な扱いは私に任せていただくことになると思いますが、基本的にはそういう方向性について、党内の理解も進んできていると、このように私自身理解をしています。
■テロ特措法延長問題:アフガンの現状等、しっかりした現実の把握が必要
【記者】テロ特措法の関連でお伺いしますが、これまでもいろいろと代表にお考えを伺っておりますけれども、テロ特措法でとくに代表が見てこだわるべき論点についてどうお考えか、また今後の国会戦略をどのようにやっていこうと見ていらっしゃるか、教えて下さい。
【代表】2年前の9.11というのは、ある意味では世界を変えたというか、世界が変わった、まさに大事件であり、そういう契機になったわけであります。その9.11のテロ事件に対するわが国の対応として、この法律がつくられ、そして一定の行動がとられているわけでありますから、それに関連するアフガニスタンの状況、あるいはその日本の支援がどういう効果を挙げ、今後そうした必要性がどの程度強いのか、どうなのか、そうした点をしっかりと踏まえて判断しなければならない、こう思っております。
ややもすれば、イラク状況の報道が大変いまなお多いわけですけれども、アフガニスタンや、いわゆるそれを含む9.11のテロに対する直接の、何と言いましょうか、問題に対する報道などもやや少なくなっておりますが、しっかりとした現実の把握が必要だと、それが最大の重要な点だと、こう思っております。
■テロ特措法延長問題:本来あるべき重要法案の審議として国会で取り組みたい
【記者】いま現実の把握が必要だとありましたが、この把握のために例えばアフガン周辺等に調査団を派遣したりするようなご予定があるのか。また与党側の一部にこの法案の取扱いについて野党側の協力を得て円満な成立をした上で、いわゆる話し合い解散を考えている向きもあるようですけれども、改めてそれについてどう思われますか。
【代表】できれば何らかの調査をおこなうためには、現地などにも調査団が派遣できればと、そう思っております。ただ大変日程的にも、また解散間近という政治状況の中でも、具体的にどういう形になれるか、今幹事長のほうに検討してもらいたいと、こういうふうに指示をすでに出しているところです。
国会の審議については、とくに直接この問題で何らかの話し合いの要請が来ているという、少なくとも私のところには来ておりませんし、そういう話し合いをしたいという要請があるということは、報告を受けておりません。私たちとしては、本来あるべき重要な法案の審議として取り組んでいきたいと、こう考えているところです。
■内閣をつくる際には、小沢党首には閣内で重要な役割を担っていただきたい
【記者】自由党との合併が正式に届けられる日が近づいていますが、改めて小沢党首など自由党幹部の方々の処遇・人事についてどうお考えでしょうか。
【代表】できれば国会が始まる以前に正式な手続きをしたいということで、合併準備委員会、両党幹事長中心に、話し合いやいろいろな手続きの準備が進んでいる、こう報告を聞いています。それと同時に国会が始まれば、それぞれの委員会所属、あるいは各委員会の理事や場合によっては委員長、さらにはそれぞれの党の中での役割分担、こういったものもありますので、その合併準備委員会のほうでも、そうしたことをいわば実務的なレベルで相談を始める、あるいはもうすでに若干の相談をしていただく。まずはわが党内を含めて、どういうふうにしようかという相談を始めて、最終的には両党間でまた、いろいろ意見交換をしなければならない、こういう段取りになるだろうと思っております。
小沢党首を含めてどういう形で、何をお願いするのかどうかということについては、現時点ではまだ具体的な形の話は、どなたともとくにはしていません。ただご承知のように、政権交代ができたときには、与党・内閣一体という考え方が基本になっておりますので、大変重要な力のある政治家である小沢党首に、ともに内閣をつくるときには、閣内で重要な役割を担っていただきたい。このことはシンポジウムなどの席を通して、同席されている中で申し上げ、また小沢党首もそういう提案に対しては前向きに対応するという趣旨のことを、皆さん方の質問にも応えられているところです。
そういったことで現在のところは、そこまでの状況で、国会が始まるまで、あるいは大会までに、さらに必要なことについては私なりに考えながら、必要に応じてまた相談をしなければいけない段階では、小沢党首とも相談したい、こう思っています。
■テロ特措法への対応は、政府・与党が審議に臨む姿勢をしっかり見てから
【記者】テロ特措法の審議について、10月10日解散ということを睨むと、かなり審議が与党側も強硬になるというか、十分なテロ特のこれまでやってきた支援内容の検証というものをやっていたら、おそらくこれは間に合わないだろうと思うのですが、与党側が強硬に出てきた場合、民主党がどれだけ抵抗するか、徹底的に抵抗するおつもりがあるのかどうか、そのあたりをお聞かせ下さい。
【代表】まずは基本的に政府・与党の側が、こういう重要な法案の扱いについてどう考えるのか。とくに解散日程というのは、何度も申し上げていますように、ある意味では総理の専権事項でありますから、逆に言えばしっかりした議論が必要だと思えば、それに対応して解散日程が考えられるでしょうし、逆に必ずしもしっかりした議論をしないでも構わないんだという、そういう姿勢で、もし政府が臨んでくるならば、私たちからすれば不十分な審議という事態が生まれる可能性もあるわけです。
ですから、まずは政府・与党がどういう姿勢でこの問題について臨んでこようとしているのか、そのことをしっかり見ておきたいと。あまりこうなったらこういうふうにする、ああなったらああいうふうにするということを、まだ政府側がきちんと言っていない段階で、こちら側が申し上げるのは、必ずしも適切ではない、こう思います。
編集/民主党役員室
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