2003年9月29日(月) | 戻る/ホーム/記者会見目次 |
菅 直人代表/定例記者会見要旨
■中央線工事の遅れ、ナフサ火災は、日本の弱さが表れている感じがする
【代表】代表質問の問題に入る前に、二点だけ触れておきたいと思います。昨日、中央線の工事でミスがあったようで、当初よりも相当長い時間、再開が遅れました。日本はこういう工事などでは、大変的確に計画どおりやる国だと、私自身思っておりました。
実はこの中央線は、私が東京に高校二年のときに来た直後に、中野から三鷹まで複々線になりまして、その時にも線路の付け替え工事があったわけですが、そのときは予定どおり進んだと記憶しております。今回は三鷹から立川の間の工事ということで、私の選挙区でもあるわけですけれども、そうした切り替え工事が半日遅れるというのは、何か日本の弱さがそういうところに表れている。これは高速道路の陸橋などにおいても見られるわけですが、そういうふうな感じがしてなりません。
また石油火災と言いますか、ナフサが、苫小牧で現在もまだ炎上が続いております。これももちろん地震の問題もあるわけですが、きちっとした会社側の対応がとれていたのだろうか、ここにも日本の弱さが感じられるところです。そういった意味で、まさに強い日本をつくるというその意味は、本当にあちらこちら弱くなった日本を立て直すという意味をもっていますし、そのことの必要性をいま一度強く感じたところであります。
■代表質問では、国民の皆さんに脱官僚政権のあり方を伝えることができた
【代表】今日の代表質問については、これは皆さん方の感想を逆にお聞かせいただきたいと思いますが、私としては原稿を読まないで、直接国民の皆さんに向かって訴える。同時に、国民の皆さんの前で、小泉総理とマニフェストを中心に公開討論をおこなう。そういう気持ちで臨んだところであります。結果としては国民の皆さんに、私たち、あるいは私の言いたい、とくに脱官僚政権のあり方について伝えることができたのではないか。
もっと言えば、皆さんの力で是非、あの場でも述べたことを、しっかりと国民の皆さんに伝えてもらいたい。この脱官僚政治、脱官僚政権というものを伝えるのが、一番ある意味で難しいんですね。国民の皆さんから見れば、官房副長官の事務がどうだとか、総理大臣の秘書官がどうだとかいったことは、ほとんど情報もありませんし、一般的な意味での関心もありません。
しかし、政治部におられる皆さんからすれば、その意味がどれだけ日本の政治にとって大きいことかというのはお分かりのはずであります。そういった意味からも、国民に実は大きな影響を与えているこの官僚主導の政権を、脱官僚政権に変えるという、このことについて、かなり今日は具体的に本会議で申し上げましたので、是非国民の皆さんにも伝えていただきたいと、このように思います。
■郵政事業の問題で総理は激しい動作も交えたが、明確な答弁はなく残念
総理の答弁は、再質問でも申し上げましたように、郵政事業の問題では何か激しく動作を交えての発言がありましたけれども、内容的には再答弁を含めて、必ずしもその郵政事業問題ですら明確な答弁がいただけなかった。残念でなりません。
つまりは、350兆円というお金は、1億、2億といったようなレベルのお金ではありません。まさに日本の1年分のGDPの7割にも相当する、あるいは日本の国の個人貯蓄の1400兆の1/4と言いましょうか、それにも相当する、非常に大きなお金であります。
その350兆円を預かっている郵貯や簡保を、どのような方向で改革することが民営化なのか。この最も国民の生活にとって関わりの深い問題を聞いたにもかかわらず、そういう細かいことは専門家でないのだから、私の知るところではない、と述べられました。
しかし小泉総理は、あの場でも申し上げたように、11年前、郵政大臣をされ、さらに前から郵政事業の民営化を一貫して唱え続けられている、そういう政治家であります。その10年以上唱え続けている民営化の中身を、しかもある意味では最も大きな問題を聞いたにもかかわらず、それをどういう方向での改革かを、答弁がなかったのは、大変残念であります。私は本会議の場でも申し上げましたように、350兆円の資金について、中小企業にそれを一部振り向けることができるような、そういう制度改革をいま検討中でありまして、そういう改革案が固まってくれば、おのずからそれに伴う郵政事業の経営形態の問題にも連動してくると思っております。そのことも申し上げておきたいと思います。
■党として北海道十勝沖地震災害対策本部を設置、鳩山前代表が現地視察
【代表】もう一点、民主党として、北海道十勝沖地震災害対策本部を設置をいたしまして、現地視察に訪れることになっております。この本部の本部長は岡田幹事長ですけれども、現地調査団の団長は鳩山由紀夫前代表・常任幹事に、地元でもありますので、お願いをいたすことになっております。明日30日、現地に出かけていただくことになっております。
<質疑応答>
■テロ特措法は部門会議で議論中:現時点で段取り等申し上げる段階にない
【記者】テロ対策特措法の対応について、明日から審議が始まりますが、賛否についてはどのような対応をするのでしょうか。また、時間が短いということで、従来の手続きではなくて、幹部等で政治的に決断される可能性はあるのかどうか、お聞かせ下さい。
【代表】今日は代表質問があって、この間準備に追われていた関係で、あまり現場の状況についての報告はまだ聞いておりません。どういう日程でどういう委員会審議がおこなわれるのか、これから確かめたいと思っております。
テロ特措法そのものについては、いま政調・NCの中で、部門会議でいろいろ議論をいただいておりまして、その議論を踏まえて、従来であれば次の内閣で決めるというのが本来の手続きであります。しかし、大変緊迫した政治状況の中で、どういう形で決めていくのか、それも含めてこれから時間的にはそう長い時間ではありませんけれども、これからこの段取りも含めて決めていきたいと思いますが、現時点でまだ私がどうするということを申し上げる段階にはありません。
【記者】昨日、岡田幹事長はテレビの討論会の中で、テロ特措法の審議にあたって、一つは徹底審議を求めると。もう一つは基本計画について国会の承認というのを、これも条件にしたいという考えを示されましたが、代表も同じ考えなのでしょうか。
【代表】大変恐縮なのですが、代表質問のことで、この数日間みずから原稿をつくった経緯もあって、テレビは拝見していましたが、どういう部分についてどういう形で議論を進めているか、幹事長そして現場の理事の皆さんからの報告はまだいただいておりませんので、また必要なときには私なりの考え方を申し上げますけれども、まず報告を受けてから、私なりの考え方を必要に応じて申し上げたいと思います。
■代表質問での総理の絶叫は、野党の党首にふさわしい
【記者】本日の代表質問で、既視感はすでにありますけれども、小泉総理が絶叫しておりました。冷静に対応しなくてはいけないというのは、総理大臣に求められると思いますが、総理の資質としては、この絶叫というのはどのように見ていらっしゃいますか。
【代表】まあ、野党の党首にふさわしい資質だと(笑)、このように思います。私も野党の党首にふさわしかったのですが、できるだけ今度は与党の党首にふさわしい、そういうふうになろうと現在努力をしているところです。
■原稿なしの演説:思うところを伝えるにはみずからの言葉で語ったほうがいい
【記者】代表質問にペーパーレスで臨まれましたが、その意図するところ、意気込みというか狙いをお聞かせ下さい。また前回ペーパーレスでおこなったのはいつ頃のことでしょうか。
【代表】原稿がありますと、どうしてもその原稿を読むような形になって、簡単に言えば目線も下に向きますし、なかなか国民の皆さんに対して訴えているという、そういう形に受け止められることが難しいところがあります。そういった意味で、私ももちろんですが、多くの政治家も街頭などでは原稿なしで遊説をおこなっているわけでありますし、公開の討論会、あるいはいろいろな会も原稿を読まないで演説をしているわけですので、そういった意味では、私の本当に思うところを伝えるには、原稿を読むよりも、みずからの中で咀嚼をして、みずからの言葉で読み上げないで語ったほうが伝わるのではないか、こう考えて、原稿を読み上げる形をとらなかったというのが最も大きな理由です。
同時に小泉総理とのいわば公開討論会、こういうふうに考えておりましたので、討論会で原稿を読み合うなんてことは通常ありませんから、私自身は原稿なしでやるので、小泉総理もできればみずからの判断で原稿なしで答弁していただければと思いましたけれども、残念ながらそちらは、大部分は原稿どおりを読まれたようであります。
原稿なしの演説というのは、私も正確にすべては覚えておりませんが、先の国会の不信任決議案の趣旨説明を、全部原稿がなかったのか、一部なかったのか、少し忘れましたが、必ずしも原稿を読み上げる形ではない形でおこないました。かつてそういう同じようなこともやったこともありますが、あまり古い話なので忘れてしまいました。
■総理との討論を通し、国民に政権選択をしていただく判断材料を示したい
【記者】臨時国会での党首対決の第一ラウンドは今日終わったわけですが、明後日の予算委員会があると思います。本日の結果をふまえた上で、予算委員会はどのような気持ちで臨まれるのでしょうか。
【代表】これも頭の切り替えをいま始めたところなので、まだ全体の進め方まではイメージが固まっておりません。しかしこの国会は、総選挙前の、ある意味では小泉総理対私の、最も国民的に聞いていただき見ていただける場の対決だと思っています。本会議と予算委員会と、その後党首討論もできるやに聞いております。
そういう意味では、この三回の党首同士の討論を通して、小泉政権がこれからさらに3年続くことを国民の皆さんは選ばれるのか、それとも思い切って、新たな民主党政権・菅政権を実現しようと、そういう選択をしていただけるのか。まさに国民の皆さんに政権選択をしていただく重要な判断材料を、その討論の中からお示ししたいと、このように考えて取り組みたいと思います。
■埼玉の参院補選は、衆院選に大きなインパクトを与えるのではないか
【記者】埼玉の参院補選についてお伺いいたします。上田知事が勝ったということもあってか、自民党のほうが、どうも前哨戦ととらえようとしていないような雰囲気もあります。ここで民主党としては、この参院補選をどのような位置付けでとらえているのか。また支援体制としてどのように組んでいくのか。いま言ったように上田知事の当選の原因には、小泉支持が必ずしも自民党の支持ではないということがあるかと思いますが、この参院補選のポイントをお聞かせ下さい。
【代表】この埼玉参議院の補欠選挙は、知事選に出た浜田卓二郎氏の後の議席を決める補欠選挙であります。10月9日告示で、26日が投票日というふうに聞いております。10月10日が解散ということになりますと、26日の投票というのは、たぶんその翌日くらいから衆議院の選挙が始まるという、まさに直前の選挙になるわけであります。
そういった意味では、全国的にも、あるいは埼玉ではもとよりですが、国民の皆さんの支持がどうなるのか、ある意味で埼玉県という大都市に近いところの、大変有権者の多い選挙区での動向ですから、私は非常に重要な影響を持っていると、このように受け止めております。
まさにいまお話もありましたが、上田知事の誕生は、必ずしも小泉総理、あるいは小泉政権を支持していても、自民党が応援する人を支持するとは限らないという結果が、しかもダブルスコアに近い形で如実に出ましたので、自民党の推薦あるいは公認する候補と、わが党公認候補の結果は、その後の衆議院選挙に、非常に大きなある意味でのインパクトを与えるのではないかと、このように見ております。
■マニフェスト配布のための公選法の改正は、与野党一致の成立が望ましい
【記者】今度の選挙でマニフェストを配布できるようにするための公選法の改正について、与党の一部から慎重な意見も出ているようですが、こうしたことについて代表はどのようにお考えでしょうか。
【代表】これは与党・野党どちらが有利ということを超えて、やはり有権者にとって判断しやすいということを重視して、対応すべきだと思っています。そういう意味で、与野党の超党派の議員連盟が生まれていて、そこでの法案提出が検討されていると聞いています。できれば、当然のことですが、与党も野党も一致をした中で法案が成立することが望ましいと思っております。
ただ民主党という単独の党として、この問題を、なにか与党からそれは認めてやるから、こちらはほどほどにしてくれと、そういういわばバーターに使われて判断をするということは考えておりません。あくまで有権者の立場で、超党派の立場で、できることが望ましいけれども、それは与野党ともに賛成する中でできるということを前提として考えたいと思っています。
編集/民主党役員室
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