2003年10月7日(火) 戻るホーム記者会見目次

菅 直人代表/定例記者会見要旨(千葉県庁)

○アクアラインは無料化による経済効果の高い典型的事例
堂本知事とマニフェストで意見交換
BSE問題については衆議院解散後は参議院でしっかりと追跡をすべきである
藤井総裁解任問題は、小泉総理に責任がある
堂本知事には高速道路無料化に賛同いただいていると認識
埼玉参議院補選は民主・自民激突の参議院選挙
今回は「マニフェスト解散」、「政権選択解散」。党首討論は不信任を明確にする
勝敗ラインは、民主党中心の政権をつくれるかどうか
自民党のネガティブキャンペーンにも基本的にマニフェストで対応

■アクアラインは無料化による経済効果の高い典型的事例

【代表】今日は定例の会見を兼ねて、千葉、とくにアクアラインから木更津、そして千葉県知事に表敬訪問をしたということを含めて、少しだけ感想を申し上げたいと思います。

アクアラインについてはご存知のように、民主党のマニフェストの中で無料化をするということを提案したものに含まれるところでありまして、その実態を視察してまいりました。その感想についてはその折に申し上げましたが、端的に言えばあれだけの東京湾横断の道路をつくりながら、結果的には非常に利用されていないというのが現実の姿であります。

つくったこと自体が果たしてよかったのか、1兆数千億という巨額の費用をかけているわけですが、それは私はその判断もいま考えれば誤っていたのではないかと思います。しかしつくってしまったものを十分に利用されない形で、いわば放置というか使えないような形で置いておくというのは二重の意味でマイナスだと思います。

そういう点ではこれは無料化されれば、とくに千葉側のとくに木更津を中心としたところが、もっと優良な住宅地に変わり、あるいは有料なビジネス都市に変わる可能性があるのではないかと思っております。そういった点ではいわば無料化による経済効果の高い典型的なひとつの事例だと、改めてその実感を強くいたしました。

とくに木更津というところは、土地の値段がアクアラインの期待もあって暴騰した中で、今日非常に厳しい状況におかれていることを市長の話からも知りました。多くの企業が撤退をして、駅前のビルがいくつも空いているという状況になっています。こういったことはバブルというものをつくり出した責任と、いわばそれに踊って処理を失敗した責任などいくつかの責任が重なっておりますが、これは今日の課題ではありませんが私からすれば当時のこともいろいろ野党の一員として国会で議論しましたけれども、バブルが発生することを止められるにも関わらず止めることができなかった、当時の大蔵省、自治省、建設省の責任はきわめて大きいというのが私の率直な感想であります。

■堂本知事とマニフェストで意見交換

【代表】また堂本知事とはさきがけ時代にもご一緒して、いろいろな折に意見交換をしておりますが、知事室に表敬訪問をさせていただいたのは今日が初めてです。アクアラインのこともお話をしましたし、また綺麗な机があって私も先日CWニコルさんと山のことを少しやってきたものですから、そういう山の問題など、それから今日は知事とのマニフェストの意見交換を含めて、堂本知事ともわが党のマニフェストについても少し説明をし、またいろいろなご意見をいただきました。

視察のほうはそういったことですが、1、2点申し上げてみたいと思います。わが党が発表したマニフェストに対して、自由民主党なり閣僚のほうからいろいろな意見なり批判が出されているのであれば、自分の党なり自分の閣僚としての見解を是非明確にしていただきたいと思っています。

文科省がいろいろとわが党の学校5日制の見直しについて言われているようですが、もともと中教審の答申の中、参議院でもゆとり教育の見直しということを提言している立場の大臣であります。その関係はどうなるのか、どこかの報道によれば、小泉総理か自民党か分かりませんが、同じようなことをマニフェストに盛り込もうとしたという報道があったわけですが、この河村大臣の批判についてはしっかりとお聞きしますので、河村大臣自身がみずからの見解を明確にしてもらわないといけないと思っております。

■BSE問題について衆議院解散後は、参議院でもしっかりと追跡をすべき

【代表】いま非常に心配なのはBSEの8頭目の問題であります。これはまだ事実関係は詳細に私も把握しておりませんが、23ヶ月の牛ということで従来のような肉骨粉が資料に紛れたのではいかと言われた時代以降に生まれた牛ということであります。感染経路が従来のものも明確になっていませんが、少なくとも肉骨粉についてはその後厳しいチェック体制をひいているわけですから、その後ということになるとそれはどういうことなのかしっかりとした原因の追跡をやってもらいたいと思っているところです。

この問題はたとえ国会が解散された後でも、とくに参議院のほうは議員がいるわけですから、国会が開かれていないのは衆議院で、たとえ国会が解散された場合でも参議院においてしっかりと事実関係の把握のために、あるいは国民の不安に対してきちっと説明ができるような形をとらないといけない、わが党としては参議院の皆さんにとくにこの点を強く取り組みようにお願いをしているところです。

<質疑応答>

■藤井総裁解任問題は小泉総裁に責任がある

【記者】藤井総裁についてですが、解任手続きに入るようですけれども、2〜3週間かかるという見通しも出ていますが、こういった事態を代表はどのようにご覧になっているかということと、こうした事態について今後国会の中でどのように対応していくのか、この2点についてお聞かせ下さい。

【代表】藤井総裁の件については、7月に終わりました通常国会の時点でわが党は多くの議員、とくに財務諸表の問題について追及し、総裁としてふさわしくないので責任をとって辞めるべきだと強く主張してまいりました。にも関わらず当時は扇大臣、そして扇大臣の任命者である小泉総理は藤井総裁をかばう形で今日まで解任をしないできたわけです。

それをわが党の合併大会の10月5日の日曜日というときに、解任の実質的な手続きをとろうとしたというのは、わざわざぶつけたとしか言いようがありません。それにご本人が応じなかったということで、私たちからすればもっと早くきちんとけじめをつけておくべきだったがそれをやらなかった前大臣と現総理大臣にまずその責任があると思っています。

また加えて言えば、この時点で辞任を要求したということは、前の扇大臣あるいは小泉総理大臣が前の段階で辞めさせなかったのが間違っていたから、いま辞めさせようとしているのか、それとも前の段階では辞めさせないことが適切だったけれども、何か新たな理由が出てきて辞めさせるべきだということになったのか、そのことを明確にしなければ解任理由がはっきりしません。

そういった意味で、いずれにしても現大臣の指導力のなさ、前大臣のやるべきことをやらなかったこと、更にはそれを任命した小泉総理のいわばこの問題を政治利用したことそのものがそうした混乱を招いている、こういった意味で基本的なところの責任が小泉総理にあると考えております。

私どもとしてはもともと辞めろと言ってきたわけですから、それ以上何かをするということはとくにありませんので、議論としていろいろなことを申し上げるかもしれませんが、これらの責任はすべて現内閣、あるいは先の内閣にあるということを申し上げていきたいと思います。

■堂本知事は高速道路無料化に賛同いただいていると認識

【記者】確認ですが、先ほどの堂本さんとの会談では、民主党の唱える高速道路の無料化あるいはアクアラインの無料化を支持されたということなのでしょうか。

【代表】直接支持とか不支持とかいうことは今日の会談ではありませんでした。ただ私はこの間意見交換をしている中では半ばそれは前提として、そうなれば千葉にとってはいろいろな可能性が出てきて好ましいということは従来から言われておりましたので、私もそれが前提として話をしたということです。

【記者】アクアラインのことだけでなく、全体の高速道路ということで・・・?

【代表】今日は半ばそれを前提として話したものですから、民主党の考え方を若干他の項目と一緒に説明した中ではアクアラインのことも申し上げました。ですから私の認識は、今日どういうことを言われたということを超えて言えば、アクアラインだけではなくてそういう全体の無料化にも賛同いただいているという認識におります。

■埼玉参議院補選は民主・自民激突の参議院選挙

【記者】総選挙を前に埼玉参議院補選がありますが、早くも前哨戦の様相だと思いますがそれについて代表の意気込み、どのような戦いをしたいかお聞かせ下さい。

【代表】この補選は、浜田卓二郎参議院議員が知事選に出て欠員になったことに伴う補欠選挙であります。埼玉という大都市部に存在する大きな自治体でありまして、そういう点ではいま言われている衆議院選挙の日程のまさに直前ということになりますので、大変その埼玉県民の判断というものは、ある意味で次の総選挙を占う判断だと見ておりまして、重視をして全力を上げて支援をしていきたいと思います。

とくに知事選ではわが党が友情支援という形をとった上田清司さんが、知事に圧勝する形で当選された。そのいろいろな分析の中で言えば、小泉政権を支持している人たちの中でも相当部分が自民党推薦の候補者ではなく、あるいは自民党が実質上応援した候補者ではなく、民主党が実質上応援した上田さんに投票したということでありますので、私はそういった意味で自民党公認候補と民主党公認候補が激突するこの埼玉の補選は、皆さんの動向を占う上からも大変重要だと考えております。

■今回は「マニフェスト解散」、「政権選択解散」。党首討論は不信任を明確にする

【記者】9日に党首討論があります。衆議院解散直前の大きな山だと思いますが、どういう問題点について討論しようとお考えかということと、解散について志位共産党委員長が「日本改革解散」と言ったり福島社民党幹事長が「改憲軸解散」といったいろいろなネーミングを付けましたが、菅代表としての今回の解散についてマニフェストとかいろいろ出てきましたがそういうネーミングをつけますか。

【代表】やはり何と言っても象徴的に言えば、「マニフェスト解散」と呼びたいと思います。あえてもうひとつ言うとすれば、「政権選択解散」。政権選択のためのひとつの判断材料としてきわめて重要なのがマニフェストということで、「マニフェスト解散」という表現が最も解散の性格をよく表していると思います。

9日の党首討論についても、まさに解散をすると総理が示唆している10日の前日でありますから、私たちとしてこれまでの小泉政権2年半について、ある意味でこれ以上小泉政権の存続を認めるわけにはいかないという姿勢での議論をしたい。いわば小泉政権に対して不信任ということを明確にする議論をしたいと思います。

そしてご本人が辞めるということは言われないでしょうから、結果的には国民の信を問う形での解散に追い込んでいくという姿勢で臨んでいきたいと思います。

■勝敗ラインは民主党中心の政権がつくれるかどうか

【記者】政権交代を目指しているのは当然のこととして、いわゆる勝敗ラインですが、単独での過半数を目指すのか、一方他の野党も含めて政権がとれればいいのか、そのあたりをお聞かせ下さい。

【代表】いろいろな選択肢を言われたようにも思いますが、結論的に言えば政権交代ができるかどうかということが、まさにこの選挙の問われていることだ、我々が目指すことも自民党中心の現在の政権を倒して、民主党中心の政権に変えていくということだと思います。

その中でどのくらい議席が伸びたら、たとえば単独過半数とかいろいろなケースがありますが、これは我々として人事を尽くしていく中でその結果の中で、いま言われたような3つの形だとすれば、いずれにおいても民主党中心の政権をつくるべく、その結果を踏まえながら努力していく、こういうことになろうかと思っております。

■自民党のネガティブキャンペーンにも基本的にマニフェストで対抗

【記者】合併大会でマニフェストの宣誓書を集められたようですが、現在の回収状況について教えて下さい。またそれは公認の条件になるのでしょうか。

【代表】回収状況を細かくは聞いておりません。これから帰ったらある程度の結果は出ているかもしれません。基本的には公認の前提です。

【記者】次の選挙でおそらく自民党は民主党に対して、たとえば民主党は消費税を上げようとしているとか、拉致問題に関して民主党は消極的だったなどネガティブキャンペーンをしてくる可能性があると思うのですが、そういったものに対して民主党はどうやって対処していこうとお考えでしょうか。

【代表】いつも申し上げておりますが、まさに次の政権を争う政権選択の選挙という意味でのマニフェスト選挙だということだと思いますので、基本的にはそのマニフェストにそれぞれ盛り込んだことを、どちらの日本の将来を有権者に選択してもらえるのか、そのある意味ではその点を中心に戦っていきたいと思います。


編集/民主党役員室


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