2003年11月19日(水) | 戻る/ホーム/記者会見目次 |
菅 直人代表/定例記者会見要旨
■所信を述べない総理は、国民から逃げていると言わざるを得ない
【代表】総選挙の間には皆さんにも大変お世話になりましたし、ご苦労さまでした。総選挙が終わりまして、今日から特別国会ということになります。ご承知のように会期については、私たちは総理の所信表明を含めてしっかりと時間をとるようにと要求していましたが、与党は9日間ということで押し切ってきましたので、会期については反対という姿勢をとりました。
この新しい小泉政権再スタートにあたって、この特別国会でも所信表明をしていない、あるいはその後の臨時国会も開かない、来年の1月の、通常ですと中旬ないし下旬の国会まで総理が何も所信を述べないというのは、私は異常なことであると同時に、総理が国民から逃げている、国民の前に立って自分のいろいろな課題に対する意見を言うことを恐れて逃げていると言わざるを得ません。
そういった意味で、所信表明をおこなわない第二次小泉政権というものは、まさに国民に背を向けた政権であるということを、最初の姿において示したものを、そういう意味では、大変小泉政権というのは国民的な政権ではなくなったということを申し上げなければなりません。
■イラクへの自衛隊派遣問題について、総理は国民に対して説明すべき
【代表】大きな課題は、言うまでもなく、一つはイラクに対しての自衛隊派遣であります。結局のところ、派遣をするのかしないのか、玉虫色の見解を通じていて、ある意味ではアメリカの中でも小泉政権に対する不信感が募っていると受け止めております。
私たちは、本来ならば国民の多くの皆さんが反対をするという姿勢を、政権交代という形で表していただきたいということを申し上げてきましたけれども、残念ながらそうはなりませんでした。しかし政権は交代しませんでしたが、国民のイラクへの自衛隊派遣に反対の声はさらに高まっていると受け止めておりまして、小泉総理はこの問題についてきちっと国民に対して説明し、ある意味ではアメリカに対しても説明する。ズルズルと玉虫色で時間を稼ぐというやり方は国民に対しても不信感を招きますし、アメリカの不信感もより強くなると考えております。
■1兆円の補助金カットをして財源移譲をしないのなら、地方分権に逆行
【代表】また、来年度の予算の編成をいろいろな理由にしていますが、まさに来年度予算の編成をどういう方針でおこなうのか、それこそが小泉政権の国民に対するメッセージでなければいけない。多くの課題で選挙中、議論をしましたけれども、小泉総理の必ず言う言葉は「予算によって政策を表すのだから、予算によってそれを示すんだ」と言われておりました。
それならいよいよ予算のシーズンになるわけですから、単にお役人が各省庁から積み上げた数字を積み重ねるのではなくて、こういう方針でいくんだ、こういう考え方でいくんだ、ということを明確に示すときがまさに今きているわけで、それを求めるのは当然だと思っております。
三位一体の改革という問題も、わが党のマニフェストの第一項目、つまりは霞ヶ関のヒモ付き補助金全廃ということに対応する、自民党の小泉政権のマニフェストだったわけですが、1兆円の補助金のカットということに指示が出たと言われております。結局は財源を移譲するのではなくて、単にカットするという意味だとすれば、地方分権を推進するのではなくて、地方の権限をより財源的に絞り上げるということですから、まったく逆行した姿になるだろうと言われています。
こういったことも含めて、まず所信表明をおこなわないで、来年の通常国会まで意見を表明しないことに対して私たちは、あらゆる手だてをとってきちっとした意見表明を求めていこうと思っております。
■首班指名で多くの支持:しっかり心に留めて頑張っていきたい
【代表】また今日の首班指名で、私に対して、衆議院で186票、参議院でも81票の支持をいただきました。大変重い1票の積み重ねの票をいただいたと思っています。残念ながら過半数にはまだかなり届きませんでしたけれども、次の総選挙になるかもしれませんが、その時には私どもの推す総理候補が過半数をとれるように、しっかりと心に留めながら頑張っていきたいと思っています。
<質疑応答>
■イラク特措法の枠の中でも、自衛隊は出せないということがポイント
【記者】イラクの問題が今国会の焦点になると思いますが、それに対してイラク特措法の廃止法案を出す予定はあるのでしょうか。
【代表】そういう議論は、先の国会の後からいろいろあるのですが、私自身はいまのイラク特措法そのものには反対してきたわけですが、法律があるからといって出さなければならないという法律になっているわけではなくて、出せるという法律になっているわけですから、そういう意味では、なくせれば出せなくなるわけですが、あるからといって出さなければならないという形ではないので、そこを争点にすることが果たしていいのかどうか、そこは政調などの皆さんの意見も、もし出てくれば聞きながら判断していきたいと思っています。
それ以上にもっと言えば、いまのイラク特措法の法律の枠の中でも出せないのではないかということが、私はいま一番ポイントにすべきところではないかと思います。つまりは現在の特措法では、非戦闘地域に出すということになっているわけですが、自衛隊のいわば大きな部隊を南部に出すけれども、一部はバグダッドに出すといった場合に、バグダッドも非戦闘地域ということが言えるのかというと、そこまで政府も言いきれないとすれば、バグダッドには一切自衛隊を送らない形の派遣が可能なのかということになりますし、南部そのものにおいても、イタリアの部隊に対する自爆テロなどを見ておりますと、そうした地域と非戦闘地域と果たして政府が言えるのかどうか。
何か最近は、もともと戦闘があるからといっても非戦闘地域はあるんだとか、よく分からないことを言っていますが、ポイントは逆にそこではないか。いまのイラク特措法という枠の中でも実は派遣できない状況に完全に現地がなっているということだと、私はそこだと思っています。
■来年の参院選は、一人区でどのように勝てるかが大きな課題となる
【記者】参議院選に向けてのポイントですが、総選挙に向けて国会の戦術では小泉首相と一騎打ちということでやっていましたが、これから参議院に向けてどのような戦略をお持ちなのか。また小野国家公安委員長が右翼関係者から献金を受け取っていたということが発覚し、政治倫理の話も出ていますが、そのへんの追及を今国会でする考えがあるのかどうかもお聞かせ下さい。
【代表】参議院選挙は来年の夏ということで、ある意味では目の前に迫っている状況です。しかし同時に衆議院選挙が終わってまだ間もない状況ですので、どういう形で参議院選挙を戦うかというのは、この衆議院選挙の結果を踏まえて、この間しっかりと議論をしていきたいと思っていまして、まだ結論的にはこういう形で戦うということを、私の考えとして申し上げるところまで煮詰めておりません。
5年前の参議院選挙が、ある意味では大変私たちにとっていい成績であり、当時の自民党にとっては、参議院選挙の結果で橋本内閣が1日で吹っ飛んだという極めて厳しい結果だったわけです。そういった点では、議席が前回と同じ程度にとれたとしても、増えるということは大変難しいわけで、そういう点では前回とれなかった議席というのがどこになるかというと、主に一人区ということになります。
一人区というのは、一般的に言って地方都市という地域になりまして、わが党の衆議院選挙においてもまだまだ弱い地域になるわけでして、そういう点では、比較的弱い地域でも一人区で勝てるような参議院の選挙をどのように実現するのか、また実現すれば弱い地区での次の衆議院における小選挙区での勝利ということも、ある意味では共通の課題として見えてくることになりますので、そこが大きな課題だということは、非常に頭の中にあります。
その課題をどのようにしてクリアにしていくかということが、冒頭申し上げたように、まだこの場で私の意見を申し上げるまでは、まとまっていません。
小野国家公安委員長の問題ですが、私も報道では聞いております。これについてはわが党の中でしっかり事実関係を報道だけでなく、必要であれば国会などでも問い質して、それでなくても現在いろいろな公安関係の不祥事が新聞紙上を賑わせているわけですが、そういうことがまさか国家公安委員長にまで及んでいることはないと信じたいですが、いろいろな問題点を抱えておりますので、そこはしっかりと国会などでも質していきたいと考えています。
■所信を述べない総理に、臨時国会召集を求めることは、十分考えられる
【記者】今後の国会対応についておうかがいします。会期が決まったということで、改めて臨時国会の開催を求めていくお考えがあるのかどうか。それから今回所信、あるいは代表質問なしということで、予算委員会で代表がお立ちになって問い質していくというお考えはあるのでしょうか。
【代表】臨時国会の召集を求めるということは、十分検討に値することだと思っております。今日スタートということですので、どの時点でどういう形をとるかはこれからの相談ですが、先ほど申し上げたように、1月半ば過ぎまで所信を述べない総理というのは、まさに国民に対する責任義務を放棄した総理ですので、そういうことがないように、臨時国会を求めるということは十分考えられることだと思っております。
この国会の中で予算委員会が予定されていますが、私も所信表明があれば、場合によってはそれに対する代表質問というのは私の仕事かなと思っておりました。しかしそれがないとなれば、予算委員会でも、何らかの私としての総選挙が終わった野党第一党党首としての国会での発言も必要なのかなと思っておりまして、まだ最終的には決めていませんが、予算委員会に立つことも、いま検討中です。
■年金改革:厚労省案は、わが党案のようにすべてを網羅していない点で不十分
【記者】年金制度改革について、先日厚生労働省案が示されましたが、それに対して代表はどのように評価されているのでしょうか。
【代表】年金問題は、総選挙でも最大の政策課題の一つだったわけです。私たちは一番抜本的な改革案を提示しております。それは国民年金、厚生年金あるいは共済年金を一本化した中での二階建てという考え方であります。今回出されている政府案は、その一本化に対する考え方はまったく入っておりません。
そうすると現在、国民年金の中で約4割近い人が掛けていない、20代でいえば6割近い人が掛けていない、その問題を最近テレビで見ておりましたら、年金はちゃんともらえるのだから掛けるようにというCMを見ましたが、あれが政策課題になるのか、その問題に対して今回の厚生省案は何も答えておりません。
それに加えて、20%という数字は私たちも似たような数字を追加のマニフェストで出しましたけれども、その元になる、たとえば出生率とか基金の取り崩しとか、そういったものに対する考え方が、率直に言っていま一つ複雑な面もありますから、よく分からないところがあります。
いずれにしても、わが党が基本として出した年金改革案、つまりは国民年金、厚生年金、共済年金すべてを網羅した改革案になっていないという点で、私は不十分な改革案だと言わざるを得ません。
■比例は公明党へ、とする候補者がいた問題は、何らかの取り扱いをすることになる
【記者】先の衆議院選で、選挙区で落選して比例で当選された国会議員の中で、選挙期間中に比例は公明党へ、という文章を配布された方がいるのですが、そういった党の政策上違うことをやられたことについて、本人から事情を聞くとか、処分を検討するということはお考えでしょうか。
【代表】最近わが党でもそういう話があったということで、実は自民党ではそういうケースが多かったということで、自民党は変なことをやるなと見ていたのですが、わが党にもあったという報道があります。それについてはいろいろなところから指摘があり、東京でいえば都連からも上がってくるだろうと思っていますので、おもに幹事長のところでどういうふうに対応するかは、取り扱いはまだ具体的には聞いておりませんが、何らかの取り扱いをすることになると思っています。決して好ましいことではないと思っています。
■人事については、特別国会後に全体として示したい、現在は未定
【記者】特別国会後におこなうと言及していた人事についてですが、幹事長、政調会長、国対委員長も結果的に留任するかどうかも含めて、大規模な人事を考えているのかどうかということと、小沢さんについてですが、先ほど記者との懇談で、私自身がポストに就く必要はないという発言をされていますが、代表として小沢さんに何らかの主要ポストに就いてくれるよう要請するお考えがあるのかどうかということを、お聞かせ下さい。
【代表】人事というのはいろいろな関連がありますので、部分部分で決めていくというよりも全体を決めることになりますので、まだ全体の絵を皆さんにお示しする段階まで来ていません。そういった意味ではここは留任で、ここは変えるという、一つ一つ指摘するということは、現段階ではできません。
ただ一般的に言えば、私が代表に選ばれた昨年の12月から選挙が終わった今日まで、ほぼ11ヶ月が経ったわけですが、もちろん合併前に決めた人事でありますけれども、それぞれしっかり仕事をやってもらっているという認識は持っています。しかし同時に、その後合併ということもありましたし、総選挙もありましたので、この特別国会が終わる頃には、合併という新しい出来事を含めた上での形は提示していこうと思っておりますから、最初に申し上げたように、部分部分を発表するというのは、事の性格上できませんので、現在ではまだ未定ということです。
小沢さんについても同じことです。私としては、小沢さんとはこの問題も含めていろいろな意見交換はしております。どこかの段階で何らかの形が決まってくると思いますが、そんなに昨日こう言って今日こう言ったということまでの話ではありませんので、いま意見交換をしているその途中だということだけを申し上げておきます。
編集/民主党役員室
2003年11月19日 | 戻る/ホーム/記者会見目次 |