2003年11月25日(火) | 戻る/ホーム/記者会見目次 |
菅 直人代表/定例記者会見要旨
■二大政党の一方の柱として、次回には政権交代につなげたい
【代表】今日は、総選挙が終わって最初の国会の予算委員会ということで、1時間の質疑に立ちました。皆さんも聞いていたのであまり繰り返しませんが、わが党は議席数で言うと衆議院の定数の37%、177議席を占める野党第一党になった。もちろん政権交代には至らなかったわけですが、野党第一党として二大政党の一方の柱として頑張りたい。
とくに二大政党が定着するかどうか、この10年間、いろいろな政党が生まれ消えていったわけですが、なんとしてもこの民主党が二大政党の一方の柱としてさらに成長して、次回のチャンスには政権交代につなげていきたいという思いを、予算委員会の場を借りて国民の皆さんにも私の決意を伝えた、あるいは民主党の決意を伝えた、ということであります。
■イラク問題で総理の政治判断の間違いを指摘したが、逃げの答弁ばかり
【代表】小泉総理との議論は今年、選挙前に13回、今日は14回目になります。全体としては、相変わらず論点を、私のほうは明確にしているわけですが、総理のほうが常に論点をずらした逃げの答弁で、またある意味では逃げるために逆に切り返してくるという、いつものやり方を繰り返されたな、というのが、残念ながら率直な感想であります。
とくにイラクの自衛隊派遣については、イラクに対する先制攻撃を支持したこと自体が最初の間違いであり、また治安回復を半ば前提として、自衛隊を出すということをブッシュ大統領に約束したことが間違いではなかったか。この政策判断・政治判断の間違いを指摘したのですが、それにはまともに答えようとしないで、相変わらず、じゃあアメリカがいなくなっていいのですか、とか、アメリカとの協力はなくていいのですか、とか、日米同盟がどうなってもいいのですか、など、そんなことは言っていないわけで、フランスやドイツのようにアメリカと長年の同盟関係にある国も、アメリカの政策がおかしいときにはきちっと指摘し、場合によっては別の行動をとっているわけですから、そういう観点をきちっと持つようにという議論をしたわけですが、残念ながら総理の答弁はそうした本質的な議論を避けて、相変わらずの切り返しだったと言わざるを得ません。
岡田幹事長の質疑の中でも、基本的には同じようなスタンスで、小泉首相の外交姿勢についての指摘がありましたけれども、国民の皆さんにはある程度わかっていただけたのではないかと思っております。
■近藤新総裁の使った表現は、自民党議員が衣を変えただけのもので残念
【代表】道路公団問題について、新総裁がもともと経営者出身ということもあって、若干の期待をもって私どものマニフェストについての見解を聞きました。賛成して欲しいと思ったわけではないですが、言葉の表現まで含めて、選挙中の安倍幹事長やあるいは他の自民党議員と同じ表現、つまりはタダほど高いものはないという表現を使ったのは、多少残念な気がしました。やっぱり自民党の国会議員が単に衣を変えて総裁になっただけのこと、もう少し自民党の選挙用の少なくとも表現とは違うことで、別の考え方があるならあると言ってもらいたかったなと、少し残念な思いがしました。
■三位一体の問題も、財源の移譲か単なる補助金カットか、逃げの答弁
【代表】三位一体の1兆円の問題も、結局のところは自分は方針を出すだけだ、方針を出すのは権限と財源を地方に移譲するという方針なのか、単に地方を苛めるために補助金をカットするという意味なのか、まったく意味が違うわけでありまして、この二つの違いについてどちらの案なのか聞いても、これまた中身に入った議論にならないで、単にそれは各大臣が頑張ってくれればいいという、まさに逃げの答弁であったわけであります。
この総理大臣であと3年間続けるとすれば、いささかゾッとするというのが率直な感想であります。3年間続くかどうか分かりませんが、冒頭申し上げましたように、二大政党制でいつでも政権交代の用意がある野党が存在するということが大きな意味でありますので、民主党としてしっかりと58名の新人衆議院議員を含めて、国会の中での議論と同時に、全国の各地域で活発な活動を展開していきたい、私自身もある時期からは全国をいろいろな形でまわっていきたいと改めて思っております。
<質疑応答>
■総理の所信表明は必要、年内に臨時国会を開くことを要求していきたい
【記者】今日の予算委員会での論戦は終わりましたが、改めて臨時国会を求めていくお考えはありますでしょうか。
【代表】当初から総理の所信表明演説が必要だという立場で、私も幹事長も今日の予算委員会でも強く要求してきたところであります。この国会が終わる段階で、更なる臨時国会を次の通常国会を前に、もっと言えば年内に開くことを要求していきたいと考えています。
■米英主体の占領政策からイラク人主体の政権への移行は、大きな論点
【記者】イラク問題についておうかがいしますが、総理の二度の間違いを指摘し、逃げているという印象という意味では代表・幹事長で追及ができたのではないかという印象を受けましたが、ポイントゲッターと言いましょうか、当たった部分がどこかという点と、確かに今日の予算委員会でも民主党が中心になったという印象がありますが、そういった点についてもご感想をおうかがいします。
【代表】ポイントゲッターというか、どこがポイントか、逆に聞いておられる皆さんが判断されることだと思いますが、少なくとも会場がやや静かに聞いていたのが、そういう二つの点を指摘した上で、テロと戦争の違いをしっかりと認識しないでやっている、いまのネオコン中心の政策そのものがやはり間違っていたというのではないかという私の指摘であります。
つまり小泉さんは、アメリカが言っているからやっているのであって、そのことで自分の正当性が保たれていると、すべてはその論拠であります。つまり、アメリカの協力をしないことはいわばアメリカとの関係を悪くして、日本の安全を損なうというのがすべて論拠であります。私はいつも、今回も申し上げていることですが、アメリカという国、あるいは日米関係というものと、現在のブッシュ政権のとっている政策というものがイコールではない。
ある時はイコールの時もあるかもしれませんし、アメリカ国内でも、イラク戦争に対しては大変問題点を指摘されている。その問題点そのものの根源のところに、テロと戦争というものに対する基本的な認識の間違いがあるのではないかと、従来からこのように思っております。この点の指摘がどこまで総理に伝わっているか分かりませんが、少なくともヤジの飛び交う予算委員会の席で、その部分だけは与党の皆さんもしっかり聞いてくれた。
つまり9.11以来、テロを無くすためにおこなったアフガン、イラクの戦争が、結果においてテロを拡散しているという客観的な事実を認識した上で、とるべき態度をどうとるべきか、これについても私のほうから、少なくともいわば戦争を仕掛けた形のアメリカ、イギリス、さらにはイラクの石油というものを目的としたのではないかと疑われているアメリカ、イギリスが主体の占領政策から、国連あるいは中立的な国を責任者の中に入れた形の占領、さらには出来るだけ早い時期のイラク人による政権へ移していく。その部分について指摘ができたことことが、私にとっては一つの言いたかったところといいましょうか、大きな意味での論点だったと思っております。
また、二大政党時代の予算委員会になったのではないかという指摘ですが、公明党の議員が二大政党というもののあり方についての逆に議論もされていました。私もいろいろな小さな政党にも長く席を置いておりましたので、いろいろな政党、いろいろな会派が議論に参加されることは一般的には賛成でありますし、わが党も他の野党については出来るだけ配慮をしているつもりであります。
そのことはそのこととして、冒頭申し上げましたように、いつでも政権交代が可能な野党が存在するということは、別の意味での緊張関係に常になると思っています。今回の質疑もある意味では単に政府を批判するというのではなくて、イラク問題においても他の経済問題においても、民主党政権であればこうやれるということを結果的に示し得たのは、一つの再スタートにあたってのいいスタートではなかったかなと思っています。
■国連待機部隊・別組織論は、安全保障の議論をしていく上での叩き台
【記者】昨日、横路さんと小沢さんが安全保障政策について、国連の待機部隊を別につくるということで合意したということだったのですが、民主党のマニフェストなどとの整合性についてどのようにお考えでしょうか。また国連の待機部隊ということについて、今後党内で議論していくお考えがあるのかどうかということもお聞かせ下さい。
【代表】一般的に言いますと、いわゆる小沢さんたちと横路さんたちのグループが、安全保障の政策について意見を交換して、一定程度の合意というか共通の認識が確認されたというのは、民主党にとって大変いいことだと思っております。2年ほど前にも、まだ別々の党のときに、そうした若干の経緯があったことを私も知っておりますが、ある意味で一緒の党になって、安全保障問題では特にマスコミの皆さんがそうかもしれませんが、もっともある意味で意見が違うのではないかと見られやすいご両者というか、二つのグループの間での議論の中で、一定の共通の方向が見えるということは大変いいことだと思っております。
私自身はもともとそのことを知っておりましたので、びっくりしているわけではありませんが、いいことだと思っております。内容的にも、別組織論という考え方は、私も実はかなり古くから一つの考え方として提起をした時期もあります。民主党の中できちっと文章になっているかどうか、私も正確に記憶していませんが、民主党の中でもそういう議論が、この間も何度か出てきているわけでありまして、これから安全保障の議論をしていく上で、一つの大きな叩き台的な考え方だと考えております。
■拡散を防ぐことが大変難しくなる米国の小型核兵器の開発には反対
【記者】臨時国会の要求の具体的な手続きについて、もしイメージがあればお願いします。あと一点、アメリカが小型核兵器の開発に着手するような話がありましたが、それについてのコメントをお願いいたします。
【代表】臨時国会の手続きは議員の1/4で要求できる。その場合には開かなければならないという規定があるはずですので、幹事長、国対委員長に任せたい。私は細かい手続きまでは確認しておりません。
それから、アメリカが小型核兵器の研究を再開するというニュースが伝わってきております。その背景には、何か地下深くテロやゲリラの部隊が隠れた時に、それを破壊するといったようなことなど、あるいは地下施設を破壊するといったような場合などが理由として挙げられているようです。しかし私は、小型核兵器の研究再開には反対です。非常に大きな問題を起こす危険性・可能性があると思っております。
つまり兵器というものは、現在イラクにおいても、スティンガーミサイルでアメリカのヘリが打ち落とされたりしておりますが、一説にはアメリカの作ったものがヤミから流れているのではないかという指摘もあるくらいであります。それが小型の核ということになったときに、まだこれまでは大型だったらいいというわけではありませんが、大型であれば国単位の組織でないと簡単には開発もできないし、いわば実戦配備することもできないわけですが、小型であれば、どういう形でどういうところに流れていくか、いまアメリカがいま想定していることとまったく違う形で拡散が起こり得るというよりも、拡散を防ぐことが大変難しくなると思っております。
そういった点で、小型の核というものの開発というのは、私は核拡散につながる恐れ、もっと言えば必ず核拡散していまうのではないか、またそれが一番問題となっているテロやゲリラといった、それこそ自爆テロ的なことをおこなう人たちの手に渡ったときの恐ろしさというのは、これは誰もが止められない悲劇を招く可能性があります。
そういった点で、小型核兵器を開発するということは絶対止めさせなければならない。日本の国是ということだけではなくて、核拡散という本質的な恐れというものを考えたときには、なぜこんなことをアメリカはやろうとしているのか、これもネオコンと言われる人たちの考えかもしれませんが、今日の質疑とも関係しますけれども、戦争とテロが違うという認識がないのではないでしょうか。戦争は国の意志でやりますが、テロは国の意志が必ずしもなくてもおこなわれるわけで、そのテロが持ち得るものの中に小型核が入るとすれば、これほどの危険はないということを、重ねて申し上げておきたいと思います。
■党人事:小沢前党首の位置づけを決めた上でそれ以外のところを考えたい
【記者】民主党の党人事についておうかがいします。特別国会終了後までに人事を変えるというお話ですが、幹事長、政調会長、国対委員長を含めた大幅な変更の人事になるのかどうかということが一点。それから繰り返しになりますが、小沢一郎さんの処遇についてどういうふうにお考えなのか、以上二点についてお願いします。
【代表】今日の予算委員会の準備もありましたので、若干手間取っておりますが、そう遠くない時期には何らかの手直しになるかどうかは別として、人事を固めていきたいと思っております。まずは小沢前党首といいますか、小沢さんの位置付けというものを決めた上で、それ以外のところを考えたいと思っております。
すでにいろいろなアナウンスはしておりますので、どちらにしてもそう遠くない時期には何らかの結論が出るだろう。それ以外のことは、それから考えたいと思います。
【記者】今の話の関連ですが、その際鳩山さんは、主要閣僚名簿では文部科学大臣ということでしたが、何らかの処遇は考えていらっしゃるのでしょうか。
【代表】いま申し上げられるのはいずれにしても、参議院などで個々の委員会の人事や、衆議院での特別国会にあたっての暫定的な位置付けですが、小さい人事はありますけれども、いずれにしてもすべてはまずは小沢さんの位置付けを何らかの形で結論づけてから、それ以外のことは考えたい。ですからそれより前にいろいろなことを考えるということはしておりません。
編集/民主党役員室
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