2003年12月9日(火) | 戻る/ホーム/記者会見目次 |
菅 直人代表/定例記者会見要旨
○国連主導のイラク復興支援の枠組みをつくることに全力をあげるべき ○自衛隊派遣には大義名分もなく、イラク特措法の枠組みからも逸脱 ○自衛隊派遣断念を目指し、始まっている街頭活動を全国的に展開する ○まず国会での質疑にしっかり取り組み、他野党との協力はこれから検討 |
■国連主導のイラク復興支援の枠組みをつくることに全力をあげるべき
【代表】今日は官邸に出かけて、ぶら下がりもやりましたので、あまり重なる問題、細かい問題は申し上げません。小泉内閣として、イラクに対する自衛隊派遣の閣議決定を今日おこなうということで、その事前の話を野党三党でお聞きしました。
ぶら下がりでも申し上げましたように、期限が空欄になっていることなども含めて、まったく説明責任を果たしたとは言えません。いわば形の上での説明責任を果たしたとするアリバイづくりのための説明であったのかなと思います。
また与党との間でもそうした話し合いがおこなわれたようでありますが、公明党はいろいろと理屈をつけておりますけれども、結果的にはこの自衛隊派遣の基本計画に賛成をしているという立場でありまして、かつて平和の党と自ら言っていた公明党が、自衛隊派遣の基本計画に賛成をしたという歴史的事実は、将来にわたって大きな禍根を残す判断だったと思っております。
そういった意味で、この自衛隊派遣の基本計画の閣議決定ということは、ある意味では今後の日本の安全保障政策の大きな間違った第一歩になることがないように、私たちとしては、当面、自衛隊派遣そのものを阻止していくと同時に、もう一度このテロを抑えていくためには何をすべきなのか、原点に戻って、新たな方針を日本としても、とっていかなければならない。
わが党としては、従来から、先制攻撃に加わらなかった国々の参加を含む国連主導のイラク復興支援という、新しい枠組みをつくることにわが国は全力を挙げるべきだと、このことを申し上げてきましたが、そういった方向に向けて努力をしなければならないと思っております。
もう一点、このイラク問題に関連して、2人の外交官が亡くなられたわけであります。経緯についていろいろな報道がなされていますけれども、多くの国民がいろいろな点で、なぜティクリットでそうした会合が持たれたのだろうかとか、あるいは150キロのスピードで走っていたとされる車にどういう形で銃撃がおこなわれたのか、車は現地大使館に保管されているようですが、どういう銃弾が使われて、どういう形で襲われたのか。亡くなられたお二人の遺体は日本に戻されて警察の検死も受けたと聞いておりますので、しっかりとした事実関係を解明する必要があると考えます。
日本自身が狙われたものなのか、どういう前後のいきさつの中で、ティクリットに行こうとしていた日本人外交官の動向が、あるいは漏れたのか、あるいは私たちに知らされないもっと違う事実関係があったのか、こういったことも踏まえて、しっかりと真相を解明することが必要です。これは自衛隊を派遣するということ、しようとしている政府にとっては、ある意味では派遣したときの自衛隊の情報がどういう形でそうしたテログループに漏れるのかといったことにも繋がる問題でありますから、徹底した解明の努力が必要だと、このこともあわせて申し上げておきたいと思います。
<質疑応答>
■自衛隊派遣には大義名分もなく、イラク特措法の枠組みからも逸脱
【記者】(朝日)イラク問題についておうかがいします。今回のイラクへの派遣について、かなり無理を押しての首相の判断ではないかと思われるのですが、万一の場合に政治責任について代表としてはどのような論点で追及していこうとお考えなのか、お聞かせ下さい。
【代表】総理には申し上げたことですが、私たちは、単に危険だから自衛隊を送るべきではないと申し上げているわけではありません。例えば日本が危うくなりそうなときとか、あるいは例えば火事で子供が取り残されているときに、消防士に危ない所でも助けに行って欲しいと思う、そういうこともあるわけでして、たとえ危険な所でもやらなければならない正当な理由、大義名分がある場合には、危険な所であっても、それを覚悟で行かなければならないこともあると認識しております。
最大の問題は、そういう大義名分、正当な理由が、今回の自衛隊の派遣にあるかという、そのことについて総理に質したわけですけれども、相変わらず抽象的に、日米同盟の強化とか国際協調ということを言われるだけで、国民に納得のいく説明はありませんでした。そこが第一点です。
それからもう一つは、イラク特措法の枠組みによれば、非戦闘地域にのみ自衛隊を派遣するという枠組みになっている。この枠組みを自ら逸脱した行動ではないか。自ら法案を出し、自ら与党で強行して成立させたイラク特措法そのものに逸脱した行動を、自衛隊に命ずることにおいて、万が一のことがあった場合にどういう責任をとるのか、私はこの二つだと思っています。
そういった意味で、もちろんそういったことは起きないことが望ましいわけですが、まずは派遣そのものを断念する。派遣した場合におけるそうした二つの観点から、決定を下した内閣には当然ながらそういう国民の疑問や、あるいはイラク特措法そのものに対して矛盾していないかという、そういう観点からの責任は生じると考えております。
■自衛隊派遣断念を目指し、始まっている街頭活動を全国的に展開する
【記者】(NHK)先ほど代表がおっしゃったイラク派遣そのものを断念させるということですが、今後国会の内外でどういう運動をされていくのかということと、小泉総理大臣が10年前、郵政大臣だったときにカンボジアのPKOの犠牲者が出たときに、血を流してまでPKO派遣をすべきなのかという発言をしているわけですが、こうした発言について、代表ご自身はどのようにお考えでしょうか。
【代表】今日の閣議決定を受けて、閉会中の審査を野党として要求し、与党も応じる構えを見せております。もちろん閉会中審査という形を超えて、臨時国会を開いてしっかりした議論をすべきだという、それはそれとしてあるわけですが、当面そう遠くない時期におこなわれる閉会中審査において、今指摘のあったようなことも含めて、総理にわが党の質問者から問い質す。そういう中で明らかにしていきたい。あるいは総理の従来の姿勢との変化に対して、どういう理由なのか問い質すことになろうと思っております。
どういった活動をおこなうかといった点については、わが党の中で、いま新たな体制をつくりつつある段階ですので、そういう中における国民運動本部などを中心として、すでに始まっておりますが、街頭での遊説活動など、できれば全国的な活動に拡げていきたいと考えています。
■まず国会での質疑にしっかり取り組み、他野党との協力はこれから検討
【記者】(産経)派遣阻止に向けた国民運動という中で、共産党、社民党といった他の野党との協力というのは、どこまで可能と考えてらっしゃるかということなのですが、反対集会などを合同で開くとか、そういったことも検討されているのでしょうか。
【代表】現時点でそういう具体的な検討はおこなっておりません。まずは独自で街頭遊説を、昨日おこないましたけれども、それに加えてまず、私たちの、ある意味ではまずやらなければならない国会における質疑、そこでしっかりと取り組んでいきたい。それ以上の具体的なことについては、これから検討していきたいと思います。
編集/民主党役員室
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