2004年2月17日(火) 戻るホーム記者会見目次

菅 直人代表/定例記者会見要旨

○ 小泉内閣の北朝鮮問題への対応能力に疑問
○ 拉致問題解決にはわが党も全力を挙げて取り組みたい
必要な法整備をすることで圧力となり得るカードを持つのも一つの姿勢
党首討論では政権選択の判断材料となる議論を繰りひろげたい

■北朝鮮問題への政府の取り組みについて

【代表】北朝鮮に外務省の審議官と局長が出かけ、会談後の経過が今朝のわが党の部門会議でも説明があったようです。総合して言えることは、なんら前進はなかったということに尽きるわけであります。私もこの場でも申し上げましたが、あのような形で出かける以上は、何らかの進展があるのではないかと期待していましたが、残念な結果でありました。これは、ただ残念というよりも、果たして今の小泉内閣に、このようなことに的確に対応する能力があるのかどうかを疑わせる一つの事態ではないかと思っています。

つまり、わが党も含めてみなさんが必要だとした、例えば外為法の改正を超党派で成立させるなど、そういったことについても、タイミングなども含めて政府・与党は並行して下話をしていたわけですから、それらを総合的に組み立てることによって最も効果的な形をとろうとしていたと見るのが当然です。しかし、どうもその辺りが必ずしも統一的な戦略に基づいての交渉ではなかったのではないか。昨日もある席で申し上げましたが、総理からすれば、相変わらず丸投げの、そして政府・与党がバラバラの対応ではなかったのかと感じています。

現在自民党の中で、入港禁止ができる法案の検討が進んでいるとのことですが、そういったものが、もしわが党に正式に示された場合には、きちんと検討していきたいと思っています。当面、残念な結果に終わっているわけですが、拉致被害者の家族の帰国、さらにはまだ身元のはっきりしない拉致被害者の皆さんの事実関係をはっきりさせることに、わが党としても全力をあげて取り組んでいきたいと思っております。

■党首討論について

明日は、この国会初めての党首討論です。小泉総理とは昨年は14回、今年は代表質問に続いて2度目ですが、総理にはできるだけ真正面から答え、討論に応じてほしい。すり替えた答弁にならないことを期待しておきたいと思います。

<質疑応答>

■船舶入港禁止法案について

【記者】(NHK)北朝鮮の船舶入港規制の問題ですが、民主党としてきちんと検討したいということですが、その狙いと問題点などがあれば教えてください。

【代表】狙いとしてははっきりしておりまして、日本からお金も現実として持ち出されていて、あるいはいろいろな品物が送られている。一部は向こうからもこちらにきているのだと思いますが、物やお金のやり取りをコントロール下に置く、あるいは場合によっては日本の安全保障上、そのことが望ましくないということになれば、それを止めることができるというのが、そのような法律を作る場合の目的になろうかと思っています。

外国船籍の船は、航行については航行自由の原則というものがあって、私の知る限りでは国際海峡と認定されている津軽海峡などは、止めることは条約上できないということがあるようです。ただ寄港については、主権のある国の判断によってできるということもありうるわけで、そこは外国の事例、条約の問題、あるいは日本の法制上の問題など、もしきちんと提案があった場合は、わが党としても検討してみたいと思います。一部に、キューバとアメリカとの関係の法律が参考になるという意見もありますので、十分検討してみたいと思っています。

【記者】(毎日)北朝鮮に対する経済制裁関係の法案としては、先に成立した外為法の改正案がすでにありますが、ここであえて2枚目のカードというものを用意するということについてどのように考えますか。1枚目だけではどの点が不足で、2枚目の必要性に繋がるのかなどを教えてください。

【代表】基本的には、やや性格の似たものだと思います。お金というものは必ずしも船がなくてもいろいろな形で動くこともありますが、まずはお金の動き、そして物の動き、その二つをコントロールしようというものですから、基本的な狙いは同じだと思います。ただ対象が片方はお金、もう片方は物ということで、一部はだぶりますが、二つのカードがあるほうが徹底した形を取り得るということだと思います。

【記者】(朝日)今日の外務省からの説明で、今後の取るべき対応について、より強硬な姿勢を取るべきだという意見と、カードを使いすぎるなという慎重な意見とに分かれたようですが、党内の意見が二分されたことについて、どのようにお考えになるでしょうか。また、代表ご自身は、船舶のことについて積極的な形で検討してみたいとおっしゃっていたので、もう一段プレッシャーが必要だという立場をとられるのでしょうか。

【代表】交渉ごとというのは、やはり直接交渉の責任をもち、担当した立場でなくては、相手の反応なども直接的にはわからないわけでして、私たちが手にする情報は、藪中局長の報告などを含めてもやや間接的な形での情報です。どの場面でどういうカードをどのような順番で切るのがいいのかということは、あまり踏み込んだ判断ができる立場にはありません。

政党、国会という意味で言えば、少なくともそのようなことが可能になる法整備を行うことが、一つの姿勢を示すことになるのではないでしょうか。つまりは、「対話と圧力」という言葉で言えば、圧力をかけ得る制度をきちんと用意するというところまでは、必要に応じて準備することはあってもいいと思います。

ですから昨年の総選挙の折にも、追加のマニフェストに送金停止の法案を盛り込んだわけです。それをどのタイミングでどう扱うかについては、この場で申し上げるだけの情報なり、そのような立場にありません。特に今回の北との交渉は、これまで知る限りでは成果が上がっていませんが、同時に25日に六カ国協議が開かれることが目の前に迫っていますので、考えられることはその結果を踏まえて、そういったことについても判断する時期ではないかと、個人的には思っています。

■党改革推進委員会について

【記者】(読売)今日、党改革推進委員会のメンバーが決まったということですが、今後この中でどのようなテーマを取り上げていきたいとお考えですか。

【代表】私に聞かれるのがいいのかわからないのですが、幹事長を中心に、党の、たとえばお金で言えば透明化のことなどいろいろなことに取り組んできたわけですが、そのようなものを個別にだけでなくて、全体として取り組む場を作ろうということで、常任幹事会の中にそのようなものを作ることが決まったわけで、逆にいえばどのような問題をみんなが感じているかを含めて、これからそこで取り組むべき課題については整理がされるのではないかと思っています。挙げれば切りがないくらい話があるものですから、第一段階の参議院選挙までには、これとこれについてはある程度の結論を出そう、などの整理が必要ではないかと思っています。

■農業再生プランについて

【記者】(日本農業新聞)本日、1月の党大会で代表が挨拶で触れられた、農業再生プランの原案を作るチームが立ち上がったということですが、それについてどうお感じでしょうか。また、参院選1人区で自民党に勝つというのはなかなか難しいものがあるとも思いますが、農業再生プランに加えて、追加のアイデアなどありますでしょうか。

【代表】ありがたいことに私が大会で問題提起をしてから、いろいろな所でいろいろな動きが活発に動いています。部門会議でのPT、さらにはこの問題の対策本部も、この間どうするかという議論もありまして、私なりに整理をしなくてはいけないと思っています。

個人的にはいろいろな話はしていますが、部門会議のPTとして、どのような段取りで取り組むのかまではは細かく聞いていません。対策本部についても、これは運動的な意味で立ち上げようという幹事長からの提案もありますが、私のほうで、関係者と事前に話をしたいと思っていまして、まだ今日の常任幹事会にはかけられていません。いま、まさに取り組もうという意欲の中で、いろいろなことが前向きに動き出したというところです。

基本的には参議院選挙の前までには、何らかの形で、衆議院のときの例で言えば、マニフェストに盛り込むことのできるような、農業の再生プランというものをまとめていきたい、同時に平行して、いろいろな地域に出て行って、農業従事関係者と共同行動を取れるようにしていきたいと考えています。

■立正佼成会について

【記者】(産経)立正佼成会へ自民党の幹部が支援要請に行ったようですが、民主党は今回の選挙で立正佼成会の推薦を受けることになると思いますが、この自民党の動きについてご感想などあればお願いします。

【代表】特にありません。

■党首討論について

【記者】(共同)明日のQTを控えて、どのような意気込みで行いますか。また、テーマはどのようなものを考えていらっしゃいますか。

【代表】最初に申し上げたことが取り組む姿勢なのですが、せっかく党首討論という場があるわけですから、予算委員会や本会議ともやや違って、小泉純一郎総理大臣の物の見方、考え方というものが浮き彫りになる、逆に言えば、私の見方や考え方が浮き彫りになるような議論を、イラクの問題や構造改革の問題など、いろいろな現実の課題の中で繰りひろげられればと思っています。

それを国民の皆さんが見て、小泉総理が率いる今の政権がいいのか、あるいはそれに変わる政権を民主党中心に作ってもらいたいと思っていただけるのか、そういう判断の材料になるような議論にしていきたいと考えています。

総理は、ややもすれば私が何らかの質問を投げかけても、まともに答えないではぐらかして、違う答えしかしないという例が多いわけです。そういう議論であっては、国民の皆さんにきちんとした判断の材料を提供することにならない。そのような形にはしたくないと思っています。

■党内の勉強会について

【記者】(朝日)年明けから、党内に勉強会やグループができています。代表選を睨んでという見方もありますが、このような動きについてどう思われますか。

【代表】250人もの国会議員の集合体なので、いろいろなグループや形があることは人間社会として自然なことではないかと思っています。また同時に、一つの「民主党」というチームとして、国会や将来の政権交代へ向けて、がんばらなくてはいけないわけですから、それと矛盾しない中でいろいろな動きがあることは、自然なことではないかとこのように見ています。


編集/民主党役員室


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