2004年3月2日(火) 戻るホーム記者会見目次

菅直人代表/定例記者会見要旨

○ 鳥インフルエンザ対策本部を設置:危機管理の徹底を
北朝鮮拉致問題は政府の対応への厳しい検証が必要
政府は早急にイラクにおける外交官殺害事件の情報開示を
公明党への投票依頼をすべきでないという安倍幹事長は行動で示せ

■鳥インフルエンザ感染問題について

【代表】
鳥インフルエンザの拡大が大変心配をされておりますが、私が先に視察した山口県の例とは異なり、今回の京都の例は、初動が非常に遅れました。簡単に言えば、鳥インフルエンザに感染した鶏の存在が確認されたのが、非常に遅かったということであります。それには実際の養鶏業者の報告が、匿名の電話があるまではなかったということで、その間に多くの鶏なり卵が出荷されていたという問題であります。

現在の家畜伝染予防法には、一定の報告義務は課せられているわけですが、どのような場合に報告するのかというのは、「そういう病気であると知ったとき」ということで、怪しい段階での報告義務がはっきりしておりません。場合によっては、法律のしっかりした整備も必要になってくるのではないかと思います。

いずれにしても、この問題は重大な危機管理上の問題であると捉えておりまして、今日の常幹でもわが党の中にも、鳥インフルエンザ対策本部を立ち上げまして、私が本部長となり、今日の16時から一回目の会合をもつことにいたしております。できるだけ早いうちに京都の現場にも足を運びたいと思っております。

■北朝鮮拉致問題について

もう一点、今日、韓国から北朝鮮に拉致されて、脱北して韓国に戻っている方3人を含む関係者をわが党として招いてお話を聞きました。外務委員会の拉致小委員会でもお話を頂いたと聞いております。私も個別にお会いして、お話をいたしました。

この間、日朝間の拉致問題に関する話し合いもほとんど進展していません。先だっての平壌会談も、結局のところは次の会談を約束をしただけですし、六カ国協議も同じような結果でありまして、もちろん、北朝鮮の消極的な態度が一番問題でありますけれども、同時に今の小泉政権が、こうした拉致問題、さらには北朝鮮問題に本当に的確に対応できているのか。どうも期待をもたせては失望させることの繰返しになっております。厳しい検証が必要ではないかと思っております。

■外交官殺害事件について

もう一点、従来からわが党の議員が衆参で取り上げていた、イラクにおける外交官が殺された事件に関連して、乗っていた被害車両を、国会の答弁で川口外相は、2月中には日本に運ぶように準備していると述べているわけであります。もう3月に入ったわけですから、当然日本に戻ってきていなければならないわけであります。しかし今日時点で、わが党のスタッフが問い合わせをした中では、まだ返ってきていないようであります。明らかに国会答弁に反する状況であり、さらに厳しく問いただしていかなくてはならないと思っています。

またこの問題に関しては、車や遺体に残されていた銃弾がどういう成分によって作られている銃弾で、どういう銃から撃たれたものと考えられるかということについても、いろいろ見解を聞いているわけですが、今なおきちんとした分析が終わっていないという言い方で答弁を引き延ばしております。この件については、疑問点が多いわけでありますが、今だまともに情報を公開しようとしていないわけでありまして、一日も早く情報をきちんと開示するように、場合によっては、日本からイラクに行ってでも、車両の調査を含めて、現地の調査をしていく必要があるのではないかと、このようにも考えているところです。

■佐藤観樹代議士の公設秘書給与問題について

また、わが党の佐藤観樹代議士の公設秘書の給与をめぐるいろいろな報道があります。この点については現在、岡田幹事長が午前中に直接佐藤代議士に会って、話を聞いたという報告を幹事長から受けております。幹事長から記者の皆さんにもコメントが出されておりますので、内容は同じですので重ねて申し上げるのは省略したいと思います。きちんと事実関係を確認する中で、もし問題があるとすればきちんとした対応をとらなくてはいけません。しかしいずれにいたしましても、まずは事実関係をしっかり確認することだと思います。またご本人からも、しかるべき段階で何らかの報告が我々に対してもあるだろうと思っています。

<質疑応答>

【記者】(TV朝日)佐藤観樹議員の件に関連して、党としてもわかる範囲で事実関係を調べたりするべきではないかと思いますが、それについてはどうお考えでしょうか。

【代表】まずは幹事長、あるいは、昨日は総務局長が、こういう問題を主に取り扱う担当でもありますので、事実関係を調べる意味でご本人から話を聞いたということです。

【記者】(朝日)関連ですが、報告待ちということではなくて、党として積極的に関係者や秘書さんから話を聞くというようなお考えは今の時点ではないのでしょうか。いつも待ちの状態のような気がするのですが。

【代表】一番聞かなければいけない相手からまず事情を聞いたのではないでしょうか。一番聞かなくてはいけないのはご本人ではないでしょうか。まずは聞かなくてはいけない人に聞いたというふうに私は理解しています。ご本人が一番わかっているわけであり、岡田幹事長からの報告は、まずはそこまでやりました、ということでありました。

【記者】(公明)今国会では古賀さんの問題に続いて問題が起きて、民主党に対する有権者の期待をやや損なっているようなところもありますが、党への影響についてや、有権者に対して改めてどのようなメッセージをお伝えになりたいとお考えでしょうか。

【代表】今報道されているようなことがもし事実だとすれば、本当にわが党として国民の皆様に申し訳ないと思っております。

わが党も、かつて山本譲司議員の問題で厳しい批判も頂き、判決も頂き、当時、一定の対応・処分をしたわけであります。二度と同じようなことは起こしてはならないと言う決意の下に、党内全議員に対し、いろいろな、公設秘書の氏名の公表義務などを課して、実際にも公表してきたわけですし、再発防止に努めております。

しかし、もし報道されているようなことが事実であれば、大変申し訳ない。現時点では、そういった形のところまで申し上げ、あるいは今後事実関係がもう少し明確になった段階では、もう少し、今申し上げたようなことを明確にしていきたいと思っています。

【記者】(フジテレビ)昼過ぎの岡田幹事長の会見で、佐藤議員本人が今後会見をして、釈明をするというお話しでした。そしてそれを受けて判断すると言うようなお話しでしたが、本日予定されていた佐藤議員の会見が中止になってしまいました。この点について、代表がご存知かということと、中止になったことについてどのようにお感じになられるでしょうか。

【代表】佐藤議員がどのような細かい約束をマスコミの皆さんとして、そしてそれがどのような形で変更になったかということまでは、私は聞いておりません。ただ一般論で言えば、やはりきちんとした形で、ご本人がしっかりとした事実関係を説明されるべきだろうと思っています。今までのいろいろな例で言えば、最初の時に説明したことと、後でその説明を変えるようなことが幾つかありました。説明されるときには、そのようなことにならないように、しっかりした形での説明が必要だろうと思っています。

■鳥インフルエンザ感染問題について

【記者】(京都新聞)鳥インフルエンザの関係ですが、先ほど、業者が報告を怠ったという指摘をされましたが、刑事告発についての議論もあるのですが、今の段階の代表のご見解と、法改正についての考えがあれば少し詳しくお聞かせください。

【代表】ちょっと思い出話になりますが、O157が発生したとき私は厚生大臣でしたが、当時患者数のデータが増えたり減ったりして変動しました。一体なぜこんなに減るようなことがあるのかと聞きましたら、法定伝染病でないので、保健所に対して医者が報告する義務がない、ですから間接的にいろいろな自治体などが集めたデータを足していると、ダブってみたりバラバラになってみたりして、数字が前後するのだという話でありました。

では法定伝染病に指定すればよいと言いましたら、全部隔離しなければいけなくなるからできないのだと当時の役員が言いました。では隔離を必要としない法定伝染病の枠を作ればよいではないかと言って、最終的には私の指示に従って、法定伝染病の指定がされました。家畜伝染病予防法について、若干条文などを平野達男さんたち詳しい方に調べてもらっていますが、一定の義務規定があります。一定の義務規定が不十分であるとすれば、当然法改正も必要だと思っています。

また、告発等の問題は、現在の法律に照らして、明らかに異常があることを知りながら出荷をしていたとすれば、それは告発に値する。何千羽という鶏が死ぬ段階まできて出荷をしていた、と報道は伝えておりますので、そう考えると、何らかの異常があったということは明らかに認識できたわけですから、場合によっては告発すべき対象であると思っております。

【記者】(NHK) 鳥インフルエンザに関連して、今日亀井大臣が閣議後の記者会見で、発生した農家だけではなく、発生地域の農家の補償というものも、大きな枠組みとして考えるべきではないかという考えを示したわけですが、それについての代表のお考えをお聞かせください。

【代表】最初の件は、発生したところについては、最大5分の4、80%の補償がルールとしてなされるという枠組みができていると聞いております。ただ、いま行われている30キロ圏の出荷停止については、国の補償の制度がきちんとした形ではありません。私が山口県に視察に行ったときにも、山口県の場合は県独自でも行うということでしたが、国および県の責任できちんとした補償を行うことができるようにすべきだと申し上げてきました。自民党内でもそういった意見が出ているとすれば、我々として言ってきたことを自民党内でも気がついたということですから、そのことについては、基本的にはやるべきだと思っております。

■ 自民党の総選挙における公明党への投票依頼について

【記者】(NHK) 先週末自民党の安倍幹事長が、比例は公明へという呼びかけは望ましくないという考えを示しました。それについて代表はどう受け止められていますか。

【代表】先の衆議院選挙で、自民党公認候補が比例は公明へ投票してほしいと言ったことについて、総理は一時期は、それは選挙協力だからあってもいいのだということを言っておりましたが、最近は安倍幹事長からそうすべきではない、あるいはすべきではなかったという主旨の発言があるようです。それならば、そういう行動をとった自民党候補者に対して、きちんとした何らかの処置をすべきです。

安倍幹事長は評論家ではないわけですから、自民党の幹事長として、単に国民に対して、すべきだったというそれですむのであれば、それは評論家に首相に変えてもらえばいいわけであって、幹事長であるならば、すべきでなかったことをした人に対して、一定の処置、処分をすべきではないか。それができないで口先だけで言っているような幹事長では、とても幹事長としての職に耐えうるような人ではないと言わざるを得ません。今後の対応を見ておきたいと思います。

編集/民主党役員室


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