2004年3月9日(火) | 戻る/ホーム/記者会見目次 |
菅直人代表/定例記者会見要旨
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鳥インフルエンザ感染拡大防止のため政府は取組みを強化すべき ○ 「骨なし」道路公団民営化法案は小泉改革破綻の証明 ○ イラク外交官殺害事件では速やかに車両の調査・公開を ○ 年金改革法案先送りはマニフェスト違反 総辞職して責任を明らかに ○ 約束の基本法制定を前提として有事関連法案に対処する ○ 族議員への利益誘導型農政を改め「民主党の農政」を広め参院選に繋げたい |
■鳥インフルエンザ問題について
【代表】鳥インフルエンザへの対応の遅れから、感染が部分的にですが広がっております。当初から私は、まさに危機管理の問題だと言ってまいりましたが、これ以上、拡大させないためには、やはり内閣が一体となって取り組む姿勢をもっと強める必要があるのではないかと考えます。自衛隊も出て、いろいろ協力して頂いているようですが、全国の鶏舎、あるいは鳥そのものの状態に対しても、監視下に置けるものはすべて置くというところまでやるべきではないか。対応が生ぬるい、というのが率直な印象であります。
■道路関係4公団民営化法案について
また、閣議決定された重要法案がいくつか出ておりますが、中でも道路関係4公団の民営化法案というのは、まさに小泉改革の破綻を自ら証明した中身になっております。45年後に40兆を返すと、単にお題目だけ並べても、実際の仕組みとしては、政治が求める、あるいは族議員が求める新たな建設について、自主的に判断できる構造にはなっていない。つまり新会社の社長は、事実上国交省がOKしなくては決められないわけですから、骨抜きどころか骨がない法案になっていると言わざるを得ません。
■イラクでの外交官殺害事件について
もう一点、何度もこの定例会見でも申し上げましたが、二人の外交官が亡くなったことについてのきちんとした真相究明がされておりません。
特に、車が返ってきたわけですけれども、わざわざ覆いをして外から見えないようにして、わが党のスタッフが調べましたら、どういうわけか立川の自衛隊基地に置いてあるとのことでした。場合によっては、このまま記者に見せることもなく解体調査をするということで、証拠隠滅に入ろうとしているのではないかということさえ伝えられています。
これは敢えて言えば、マスコミの皆さんがなぜ見せないのかということを強烈に言われる必要があるのではないか。われわれはもちろん国会で取り上げますけれども、なぜ基地に運ばなくてはいけないのか。警察庁なり、警視庁なりの施設の中で鑑識が調査することは、車一台置く場所がないわけではないのですから、全く不自然な形になっております。証拠隠滅をさせないため、我われとしてもできるだけ早いうちに、明日にでも国会で取り上げるような段取りを指示したいと思っております。
■スウェーデンの年金改革について
今、スウェーデンのペーション首相が来日されております。スウェーデンはスウェーデン方式といわれる年金改革をやって、昨日の講演では、そのことが国民に安心感を与え、投資を高め、経済の成長に繋がったという講演の中身も伝わってきております。今日大使館でのレセプションでお会いすることになっていますが、そのレセプションが終わった後、わが党の数人のメンバーとペーション首相が個別に懇談する機会をセットすることができました。特に年金のことが注目されますので、そういった関係者を含めて短時間ではありますが、意見交換をしたいと考えております。
<質疑応答>
■公的年金制度改革関連法案の先送り論について
【記者】(産経)年金の関係ですが、政府・与党の間では、年金改革関連法案を今国会では採決せず、参院選後に先送りしようという動きが出ていますが、これについてどうご覧になっていますか。
【代表】昨年の「小泉改革宣言」を、小泉首相にもう一回読み上げてもらったら良いのではないでしょうか。私の記憶が間違っていなければ、確か、2004年において抜本改革をする、昨年中に案をまとめる、そして大改革、抜本改革をするのだ、と言っていたのではないでしょうか。
法案を出すか出さないか、法案を出す前から、もう先送りの道筋をつけようとしている。もちろん、今の内容について私たちは反対です。抜本改革の名に値しない。中身も反対です。しかし先送りをするのであれば、先の選挙で約束したことはできませんと、国民に謝って責任をとって辞めるべきだと思います。それくらい大きな問題です。それでなければ選挙をやった意味がないわけですからね。先送りをするのであれば総辞職する、それが私の考えです。
中身はもちろん反対です。我われは我われの考え方、案を持っています。こんないい加減な案では駄目だと思っていますが、それを含めて先送りするのですから、マニフェストに自ら反したことを、それも直後にこれだけ重要なことをするわけですから、総辞職すべきです。
公明党にとっても最大の約束ですから連帯責任です。厚生大臣を出している公明党も、先送りするのであれば、公明党としての責任の取り方をきちんと出してもらいたい。例えば、自民党は先送りする、公明党はやるということであれば閣内不一致ですから、責任をとってどうするのか、党としてのきちんとした対応を取らなくては、公明党もマニフェスト違反になると思います。
■有事関連7法案への対応について
【記者】(北海道新聞)今日の閣議で有事関連法案の決定がされましたが、民主党としてどう対処していくのか、改めてお聞かせいただけますか。
【代表】有事関連7法案については、わが党としてはまず、基本法の制定ということを、昨年与党との間で約束をしております。そのことについてきちんとした段取り、約束が守られていくということが前提になければいけないと思います。
この関連法案については、そういう前提の中で議論を進めることになると考えます。もしその前提が崩れるとすれば、基本法を置き去りにして、他の法案だけつまみ食い的にやるというのであれば、それは約束違反でありますから、そういうやり方をとろうとすれば、そのようなやり方については賛成できません。まず基本法について、政府・与党がどういう対応を取ってくるのか、そのことを見守っていかないといけないと思っています。
■参院選での一人区擁立と民主党の農林水産政策について
【記者】(日本農業新聞)6日の全国幹事長会議・選挙責任者会議で、参院選での27の一人区のうち、過半数の確保を目標とするという方針のお話があったと思うのですが、代表が農政に力を入れられているため、浸透するとの読みがあってのことでしょうか。
【代表】一人区27のうち過半数というのは幹事長の発言だと思いますが、私もそれは望ましい方向だと思いますが、まずは10を越えることを目標にしたいと、この間何度か申し上げてきました。
農業、林業、漁業の再生なくして日本の再生なしというそういう立場で、そのための本部も立ち上げましたし、またネクスト大臣の鹿野さんの下に、政策立案のPTも立ち上げていただいておりますので、参議院において、この農林水産業の再生が大きな政策的な課題、ある意味では争点になると考えています。
そのことと一人区の選挙の問題は、結果的には関連しますが、政策課題が農村地域を含めた有権者の皆さんに理解された時に、いままでの自民党の族議員に利益を回すような農政から、本当に農業・林業・水産業に携わっている人自身、さらには消費者に利益をもたらす、それが民主党の農政だと、農林水産政策だと理解していただいた時には、よりそういう地域でも、支持が広がっていくと、そのことも期待をしております。
■有事関連7法案と緊急事態基本法の関連について
【記者】(毎日)有事関連法案についてですが、国民保護法制については、もともと与党側が2年でやりたいと言ったものを民主党の提案で1年となったという経緯があります。もしも基本法の話が置き去りにされて進まなかった場合、どのようにお考えになりますか。
【代表】7法案の内容については、率直に言って私も具体的な検討をまだやっておりませんし、内容のことについて、まだ報告も受けておりません。先ほど申し上げたのは、まず全体の中で政府側、与党側としては、基本法と7法案を合わせて、場合によったらわが党との間での話し合いに持ち込もうということも伝えられたものですから、それは少し話が違うのではないですかと。
基本法については約束事でやりましょう、一緒に協議をしましょうと。しかし他の法案については、国会の審議の場でしっかりやっていきましょうということで、確かに、指摘を頂いたような法案については、内容的にはわが党も必要性を認めているものもあります。それが十分であるかないかということはこれから国会の議論だと思います。ただ先ほども言ったように、7法案だけをやれば基本法は置いてきぼりでいいということにはならないですよということを、特に強調して申し上げたわけです。
■親族の公設秘書雇用の制限について
【記者】(NHK)秘書制度のあり方についてですが、今日自民党の役員会でも秘書制度の問題が話し合われたようで、その中では配偶者以外を禁止するような措置はやりすぎではないかと言う意見が強かったようです。代表ご自身は、現段階で秘書制度のあり方についてどのようなご所感をお持ちでしょうか。
【代表】私もいろいろな意見は持っておりますが、明日にも両院議員総会・懇談会を開いて皆さんの意見を出し合って聞くという段階にありますから、私の今の立場で言えば、まず聞いた上で、その中からどういう方向性が出てくるのかを待ちたいと思います。
■田中真紀子議員の予算本会議採決欠席について
【記者】(フジTV)先日の予算の衆議院での採決の際に、同じ会派に属する田中真紀子議員が棄権されて議場を出られました。この件に関して、代表はどうお考えになりますか。
【代表】会派に入られるかどうかという時に、これは田中真紀子さんに限りませんが、何人か党所属でない方が会派にお入り頂くにあたって、一つの基準を文書でお示ししました。その中では、首班指名と予算については、党の方針に従って同調していただくと、それ以外については、できるだけ同調していただきたいが、違った行動もやむを得ないという主旨になっておりました。ですから本来は、田中真紀子さんも同じ行動をとっていただくことを期待していたのですが、欠席というのは許容範囲かなと、こう思っています。
■衆議院の統一補選について
【記者】(西日本新聞)学歴問題で党を除籍となり、進退が注目されています古賀潤一郎議員の件ですが、来週の月曜日、15日までに辞めるかどうかで、4月に補選が行われるかどうかの節目を迎えます。古賀議員の進退についてのご見解と、辞めた場合、辞めない場合の衆議院の統一補選や参院選で民主党に与える影響についてのご見解をお聞かせください。
【代表】古賀議員の問題は、ご承知のような経過の中で、わが党として除籍処分にしたところです。さらなる説明の不十分なところについては、ご本人が説明をする、あるいは理解を得ようと考えられているようですので、そこは現時点でそれ以上のことは、特に協議はいたしておりません。
それに加えて、安倍晋三自民党幹事長の疑惑も指摘をされ、場合によったら小泉総理も、わが党の達増議員の指摘に対してやや不鮮明な言い方をして、いわばそのままになっております。つまりは、留学をしたからと言って一単位もとらなくてもいいのだ、という言い方はあるのかもしれませんが、大学に行ったというのは、講義を受けて単位を取る、というのを大学に行くというのであって、単に大学の門を入ったという話であれば、それは必ずしも留学ということには値しないという見方もあるわけでありまして、そういう点では、これらの問題は、自民党の主要な政治家の説明も不十分だと考えております。
【記者】(朝日)4月の衆院補選について、民主党の擁立の状況としては、埼玉は決まっており、広島は地元ではすでに決まっているようで、鹿児島はまだ模索中ということですが、擁立の状況と、どういったことを争点として闘いたいか、また佐藤前議員の問題でのダメージについて、どのような見通しを持っていますか。
【代表】三箇所の補欠選挙につきましては、党としては三箇所とも公認候補、場合によっては推薦ということもあるかもしれませんが、基本的にわが党がきちんと推せる候補者を擁立したい。鹿児島についても、いろいろな努力は現地を含めてしているので、まず何らかの形の候補者を擁立することができると考えております。
4月25日が投票日ということでありますので、その時点における政治状況は、まだ予測を超えたことがあるかもしれませんが、少なくとも先の衆議院選挙から最初の国政選挙ですから、先の衆議院選挙で約束したことが守られているのか、それとも反故にされているのか。先ほどの年金問題、あるいは道路公団問題などそういった問題が一つの争点になると、もちろんイラクや北朝鮮の問題もいろいろな議論がありますけれども、特に私が思うのは、マニフェストに掲げたことを、この約半年間にどうなったのか、ということが一つの争点になると思っています。
■外交官殺害事件の真相究明の必要性について
【記者】(NHK)外交官殺害事件に関して、改めまして、なぜ真相究明が必要だと代表自身が考えているのか、原因究明に向けたこれまでの政府の姿勢について、どのようにお考えになるかお聞かせください。
【代表】二人の有能な外務官僚がイラクで殺害されたということは、たいへん痛ましいことですし、改めて哀悼の意を表したいと思います。
当然ながら、こういう事件がおきたわけですから、何者によって、どういう形で事件が起きたのかの真相究明と、今後の活動にとって、そのようなことが二度と起きないような努力が必要になるわけです。
当初、いわゆるゲリラ、あるいはフセイン政権の残党、あるいはテロリストによって起こされたという報道が流れたわけですが、その後の調査報告を見ても、お二人の遺体は日本に帰ってきているわけですが、その体内に残っていたはずの銃弾の分析結果を見れば、テロリストがよく使う、カラシニコフの弾なのか、それとも同じ口径であるけれども、アメリカ軍が使っている弾なのか、分析結果を見ればすぐわかるわけです。
その分析結果を出してくれと言っても、今なお出さない。さらには車についても、その車を調べればどういう角度から撃たれたのか、上のほうからなのか、水平なところで撃たれたのか、それも決して難しい解析ではないはずですが、それもはっきりさせない。そういうことも考えますと、一部に言われております、アメリカ軍による誤射ではないかという疑念が今なお消えないわけです。
わが党では、衆議院では首藤さんが中心に、参議院では若林さんが中心に、何度もこの問題を国会で取り上げているわけですが、今なおそうした疑問に対して答えるような答弁が出ておりません。何かを隠しているようにしか思えないわけでありまして、そういう点では、この車を調査するということは極めてこの事実を判断する重要な材料になる。そういった意味では、先ほど申し上げたようにこの車がいわば闇から闇へ解体されて葬り去られるようなことになるとしたら、まさに証拠隠滅そのものだと言わざるをえません。
われわれも見たいと思いますが、少なくともマスコミの皆さんも、返ってきた車を、カバーがない状態で写真一枚も取れないということは異常なことですから、写真の得意な人もこの部屋にもおられるようですから、大きな望遠鏡でも持って、ぜひ現物をたくさん写真を撮ってもらいたいなとこのように思います。
■田中真紀子議員の採決欠席と補欠選挙への対応について
【記者】(毎日)田中真紀子さんの件ですが、欠席の理由についてご本人から何か話を聞いたり、ご報告を受けていますか。
また、補選についてですが、もし古賀潤一郎さんが突然お辞めになることがあった場合補選が発生する可能性がありますが、民主党がその選挙区に候補を立てて戦われるご予定があるかどうかお聞かせください。
【代表】田中真紀子さんについては、私は直接にはこの件では話をしていませんし、投票の後特別な報告は聞いていません。幹事長や国対関係者がいろいろ話をされたとそういうふうに理解しています。
それから、福岡の古賀潤一郎議員の件ですが、特に今そのような想定の下で準備をしているかと言えば、想定そのものをしておりませんので、準備はしていません。一般的に言えば、候補者公募に対して、700人を超える応募があったと聞いておりますし、あらゆる国政選挙においてわが党は、推薦ないしは公認候補を出すということは大原則ですから、どこの選挙というわけではなくて、いつでも準備しているという状況だと思っています。
編集/民主党役員室
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