2004年4月6日(火) | 戻る/ホーム/記者会見目次 |
菅直人代表/定例記者会見要旨
○ 無年金障害者問題:控訴断念と年金改革法案との一括議論を求める ○ 山崎氏は逃げ隠れせず北朝鮮との接触について明らかにすべき ○ 外交官殺害事件:調査チームを作り正確な報告を求める ○ 総理は本会議での質問には本会議で答えるのが当然 |
■無年金障害者問題への対応について
【代表】今日、年金に関連して三つの会合に参加しました。一つは新橋における街頭遊説、一つはいわゆる無年金障害者、先日判決が出ておりますがその原告団の皆さんとの意見交換。そして、学生さんを中心にフリーターの皆さんも含めた若い人たちとの年金の意見交換会という三つの年金に関する会合に参加しました。
中でも無年金障害者の判決に対する控訴期限が明日ということになっております。私たちは、立法不作為を指摘したこの判決についてきちんと政府は従うべきで、控訴すべきではないと考えています。この間同僚議員も委員会などで主張してきているところですが、私からも控訴を断念するように、この会見を通して強く、政府にそうした意向を伝えたいと思っております。ただ報道によれば、国は控訴をするという意向を示しているようです。かつてハンセンの裁判に対する熊本地裁の判決に対する控訴の問題でも、ギリギリまで総理は腹のうちを明かさないで、最終的には控訴を断念するという行動をとったわけで、あの時も私たちは控訴断念を要求してきたわけですので、この問題でも同様に控訴断念をする勇気を小泉総理に求めたいと思っております。
その中で与党は、この問題は今の政府案が通過した後に検討すると考えているようで、わが党もまだ決まっていませんが、少なくとも政府案そのものの中にも、あるいはわが党の法案の中にもこの問題も合わせて組み込んだ形で議論すべきだと思っております。ただ、気をつけないとそうした案が政府案を通すために否決されてしまいますと、結果的にその後法案をこの問題だけで政府が出そうとしても、いったん否決したものを同じ国会では出せませんから、そういう問題も生じてくる。いずれにしても、この国会中にきちんと前向きな結論が出るように、控訴を断念して、かつ政府・与党側もこの問題を盛り込んだ形の法案に変えるべきだと、このことを指摘しておきたいと思います。
■山崎、平沢両氏の北朝鮮高官との接触について
最近、山崎前自民党幹事長と平沢自民党議員が中国に訪れて、北朝鮮高官あるいは北朝鮮関係者と接触したということを自らも認めておられるようであります。この問題では、山崎前幹事長が事前に小泉総理と何らかの打ち合わせがあったのではないか、少なくとも中国から電話を受けたといったような報道がされております。会談の事前であったか事後であったか、私にもまだ細かい報告はきておりませんが、いずれにしても相手の国は、前幹事長で小泉総理にも極めて近い人物ということで対応したと思われるわけです。いわゆる二元外交の典型的なやり方だと思います。
参議院の外交安保関係の委員会において、山崎前幹事長の参考人招致を求める方向で取り組むという話ですので、ぜひ山崎さんにはそうした委員会に出てきていただいて、その経緯を国民の前に明らかにすべきです。前幹事長、あるいは前国会議員、あるいはいろいろな立場でありながら、こそこそと逃げ隠れしているような行動をとるのは、いくら現在議員でないからといっても、半ば公人でありますから、そういう態度は認められないと思っております。
■年金改革法案に対する塩川前財務大臣と公明党神崎代表の発言について
また確か1日の講演かなにかで、前財務大臣の塩川さんが年金法案の政府案に対して、抜本改革案をそれに続いて進めるべきだという発言をして、何人かで合意したという報道も出ています。塩川さんといえば、わりと歯に衣着せず財政についても語っておられた前大臣でありますから、できればわが党の年金制度の勉強会にでもお招きをして、その塩川さんのご意見をうかがわせてもらいたいなと。まだ手続までは取っておりませんが、できれば、もしOKしてもらえるならわが党で財政・年金の問題などのご高説を拝聴したいと思っております。
またテレビの場面で、公明党の神崎代表が政府案の修正について触れられたようでありますが、どういう修正を考えているのか、これも話をお聞きしたいなと。私たちが修正を求めたことはありません。廃案は求めておりますが、修正は求めておりません。しかし修正を与党が一方的にするというのであれば、どういう修正を考えているのか、14年間の連続掛け金引き上げを1年か2年程度にしようというのか、そうでないのか。一度、場合によっては公明党代表にこの件について意見をお聞かせ頂きたいと思っております。
■外交官殺害事件に関する警察の報告について
もう一つ、昨日参議院のテロ特において、二人の外交官殺害事件について警察の報告があったようであります。その内容はいろいろと報道されていますが、少なくともわが党のこの問題に取り組んでいる関係者からは、極めて意図的な発表だということです。
つまりは、米軍の誤射説が薄まったというような表現が各社多かったようでありますが、一番のポイントのところがきちんと説明されていないわけです。いろいろあるようですが、水平に近い方向から撃たれたといわれていますが、36発の弾痕のうち10発程度がそうだと、あとの26発はどういう角度で撃たれたのか、穴が開いているわけですからわかるはずです。そういったいろんな点でわざわざ36発中10発しか言わないというところに、逆に言えば残りの26発についても合わせて言わないところに、何かをもし隠す意図があるとすれば、都合の良いところだけピックアップして発表して、都合の悪いところはまだはっきりしない、という極めて意図的な発表であるという疑いがある、というこのことだけは指摘をしておきたいと思います。
わが党の中でも、できれば超党派がよいのですが、この問題の調査チームを作って、これからも手を緩めないでしっかりと検証していきたい。さらに正確な報告を警察等に求めていきたいと思っております。
<質疑応答>
■年金改革関連法案をめぐる国会審議について
【記者】年金の法案審議についてですが、与党側は民主党が審議に応じない姿勢について、審議拒否は国民の批判を招くものであり、また総理に質問があるならば委員会で質疑をするべきだと主張しているわけですが、改めましてそうした主張についてどうお考えになりますか。
【代表】聞かれた方もおられると思いますが、今日新橋の駅頭でまさにその問題を多くの皆さんの前でお話をしました。聴衆の皆さんの反応を私なりに感じたところでは、十分に、総理が説明をすべきだということについて納得をしていただいたという感触をうけました。
つまりはこの問題は、総理自身が国民年金を含む一元化を自らテレビで言い、そして総理自身が責任をもって、現在の法案を出しているわけですから、それが矛盾しているか矛盾していないかということを総理自身が答えることは当然の責任です。さらに言えば一元化をこういう形で発言しているのは総理自身であって、坂口厚生労働大臣もそういう言い方をしていないわけです。
ですから本会議で総理に聞いたことについて、本会議で総理が答えるのは当然であって、なぜ本会議で答えないのか、少なくとも委員会になれば、役人の答弁になってみたり、厚生労働大臣の答弁になるわけです。しかも本会議で質問しているわけですから、そういう意味では、本会議で質問していることに答えていないことについて、本会議で答弁を求めることはあたりまえのことであって、なぜそんなに逃げなければいけないのか、委員会で答えられるのだったら本会議で答えればいいのであって、逃げているところに、答えられないことを自分一人の責任で言ったにもかかわらず、自分一人では答えられないから、委員会で厚生大臣や役人の答弁を交えて誤魔化そうという、そういう意図としか思えない。ですから審議拒否、答弁拒否をしているのは小泉総理だというこの主張に対して、多くの人にはきちんと内容の経緯を説明すれば理解してもらえるし、これからも理解されるものだと思っています。
■無年金障害者訴訟判決への国の控訴について
【記者】無年金障害者の話ですが、この会見の直前に、共同通信の速報で国が控訴したというニュースが流れているのですが、それを前提にまたお話を伺いたいのですが。
【代表】この問題は、内容は皆さんもご存知だと思いますが、成人学生の国民年金加入が任意だった時代に、未加入のまま障害を持った人に給付されないと、つまりは18歳、19歳までであれば認められる、学生の後はまた認められる、学生の20歳、21歳までの段階だけは、いわば制度がちょうど隙間があいて対応できていないということで、まさに立法不作為と言うに値する法案上の不備だったと思います。
それを指摘されて政府が控訴をしたということは、私は政府が自らの間違いを間違いとして認めないで、その結果をそうした被害者といいましょうか、不作為によってマイナスを受けている、不利益を受けている人たちに押し付けた行動だと強い怒りを感じます。ハンセンの時には、控訴断念をして不作為を認めたわけですが、今回は不作為を認めないという、どういう理由が控訴の理由に書かれるかわかりませんが、許されない判断だと考えます。
■今後の国民へのアピールと現時点での手ごたえについて
【記者】代表は相次いで街頭演説を行ったり、原告団の方とお会いになったり、車座集会を開いたということですが、それはこの年金問題について世論を味方につけるというのが狙いの一つとしてあると思うのですが、民主党の独自案をアピールしたり、政府案の問題点を明らかにしていく上で、国民に訴えていくための展開、キャンペーンなど考えていることがあれば教えてください。また、現時点での世論の手ごたえをどのように感じていますか。
【代表】街頭遊説は時々やっておりますが、年金に関しての車座集会や会合、一つは無年金障害者の皆さん、一番焦点となっている国民年金に本来加入しているべき世代の若い学生、フリーターの方たちと大変中身の濃い意見交換ができたと思います。まさに障害者年金の問題は、いま政府が出している法案の中でも抜け落ちていた問題であって、緊急な課題でもあると、そのことが改めて当事者の皆さんの話の中から明らかになりました。まさにそういう声を受けて、少なくともそういうものを盛り込んだ法案をこの国会で通す必要がある。これが一点です。
二つ目については、国民年金に多くが未加入、あるいは未払いの多い世代の皆さんに話を聞いてみて、いろんな話がありました。一言で言えば、いったんアルバイトやあるいはフリーターの方は個人の賃金という形でもらったものから支払うというのは、一つには負担の問題もありますが、手続き上の問題が大変厄介でよくわからないと、そういう点では、今のような形の保険料の徴収それ自体、負担上の問題と手続き上の問題で、好ましくないという人が圧倒的でありました。中には源泉徴収とか、あるいは消費税を含む税で捉えるならば、ある程度の負担は仕方がないけれども、今のようなやり方では反対だと言われた方もありました。これらの問題はすべて、国民年金のあり方、一元化のあり方と、議論の中で最も国民的な理解が必要な問題でありますから、こうした会合や車座集会などが、私たちの提案しようとしている年金制度の理解を広げていくことに大きくつながっていくと、自信を深めております。
■特定船舶入港禁止法案への取り組みと対応について
【記者】特定船舶の入港禁止法案ですが、民主党は衆議院に提出しておりますけれども、先ほど与党も案を出しまして、一方で政府・与党は民主党に対して修正協議を求める考えのようです。これについてどのように対応するお考えでしょうか。
【代表】近いうちに出すだろうということは聞いておりましたが、与党が法案を出したということを今始めて聞きましたので、呼びかけがあった場合にどう対応するか、超党派の議連もありますから、全く違うような中身ではないと思いますので、何らかの対応はすることになるだろうと思います。ただ、いま環境があまりにも悪いですから、この問題そのものではなくて、国会の状況がこんな状況ですから、当面は様子を見ることになるだろうと思っています。
■民主党案の中での無年金障害者問題への取り組みについて
【記者】無年金障害者の話ですが、民主党案であれば、無年金障害者の問題はどのように解決できるのかということをわかりやすくご説明していただけますか。
【代表】そういう質問があるなら先ほどの資料を持ってくれば良かったのですが。私もあまり細かい制度設計については知りません。ただ少なくともそういう部分についてフォローできるような立法措置、つまりいま無年金者になっている人たちが、他の、例えば19歳で同じように障害を受けたときに受け取っているのと平等、公平に年金を受け取れるような制度に過去についても変えていく、将来についてはもちろんそういうものは生じないような設計になると思います。具体的な細かい点については、私もまだ聞いていません。ただ、できているようです。
■公明党神崎代表の発言について
【記者】年金法案の審議の件ですが、先ほど代表もおっしゃった、公明党の神崎代表の修正協議に応じてもいいという発言ですが、その真意は、伝えられているところによると、法案の付則に一元化を検討するというような一文を盛り込むというようなことを検討しているようなのですが、そのような提案について、現段階ではどのようにお考えでしょうか。
【代表】一元化に応じるというようなことをもし意味しているとすれば、14年間連続して掛け金を引き上げるということを合わせて修正するということなのか、その辺りの真意がわかりません。14年経ったあとに一元化をしましょうという、そういう付則をつけるということでもないのでしょうし、もしそういう意味だとしたら、ほとんど無責任としか言いようがないですから。この付則を付けて一元化を進めるということと、14年間連続して引き上げると言うことが、どういう関係になるのか、もしそういう修正を与党自らがしようということであるならば、こちらが要求したわけではありませんから、そういうことであるならば、その関係もちゃんとお聞きしたいということです。
編集/民主党役員室
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