2004年4月15日(木) | 戻る/ホーム/記者会見目次 |
菅直人代表/定例記者会見要旨
○ 日歯連疑惑解明には不退転の決意で取り組む ○ 5月の欧米訪問では日本の外交・安全保障のあり方を議論したい |
■イラク邦人拘束事件について
【代表】また新たに2人の日本人のジャーナリストが拘束されたのではないかというニュースが飛び込んでおります。まだ報道を通しても、どこまでどういうグループがどうしたのかということが、必ずしも明確ではありませんが、大変心配な状況が重ねて起きたと思っております。何とか、最初の3人に加えて、今回のお2人も無事に戻ってこられることを本当に祈る気持ちで、心配をしております。
■日本歯科医師連盟をめぐる疑惑追及について
昨日、日本歯科医師会の会長、さらには中医協の委員であった元社会保険庁長官始め、数名が逮捕されました。直接の容疑は、歯科医師会寄りの発言を中医協で要請したことであります。
いずれにしても、現在、この社会保険庁の資金の流用問題を含め、社会保障のあり方をめぐって、年金制度を始め重大な課題を国会で審議しております。しかもこの歯科医師会は、自民党の極めて有力な支援団体であり、特に多くの議員や自民党自体が、多額の献金を受け取っている団体であります。その中には、表に出ているだけでも安倍幹事長を始め、有力な皆さんがたくさん入っております。そういった意味で、もしもこうした中医協のような場で、政策が歪められるような働きかけが医師会からあり、それに応じていたとしたら、これは重大なことでありまして、少なくともそうしたことについて、しっかりとした国会での解明、議論が必要だと思っております。
いま厚生労働委員会で、そうした逮捕された人はすぐには参考人ということにはなりませんけれども、少なくとも政治家でこの日本歯科医師会との関係を相当程度取り沙汰されている現職議員も多いわけです。そういう中で影響力の大きい何人かの皆さんにも参考人として出てきてもらって、この問題での集中的な審議が必要だと思っております。そうしたことなくして、ただ年金の掛け金を14年間連続して引き上げるといったような法案を国民の皆さんにこれでどうですかと言えるはずがないわけであります。この点について、不退転の決意で取り組んでいきたいと思っております。
私からは以上です。
<質疑応答>
■日歯連疑惑の国会審議への影響について
【記者】(NHK)日本歯科医師会の話ですが、与党側は集中審議に応じる姿勢は示しているものの、年金審議と切り離す形で審議をしたいと、少なくとも年金審議の前提として、今回の事件の審議とは考えたくないということのようですが、それについてどのようにお考えでしょうか。
【代表】昨日、中医協の主要なメンバーが逮捕され、歯科医師会という、有力な団体の長が逮捕されたわけです。ですから、こういった問題へのしっかりした取り組みは、国会の厚生労働委員会がやるべき緊急な課題であることは誰の目からも明らかです。これまでもいろいろな事件がありましたけれども、自民党の場合は往々にして結局先延ばしにしてあやふやにしていくというやり方をとります。
もし必要だというのであれば、まず明日はこの問題をやって、明日以降の審議の中でどういう段取りでやっていくのか。それをまず明日はやらないでという自民党の主張からして、この問題を覆い隠そうとする姿勢が明らかだと思います。そういう重大な事件が捜査当局の手で摘発されたわけですから、これまでのようにいろいろな噂があるとか報道があるという段階ではもうありません。そういった意味では、まずこのことをやった上で、その後の他の法案や課題の審議についてどうあるかを相談していくのが筋だ。そのことをやらないということは、結局はすべてを覆い隠すためにいろいろなことを言っているというふうにしかとられません。私たちとしてはまず明日の審議において、この問題を集中的に審議をすることは譲れない一線だと考えております。
■連休中の外遊日程について
【記者】(読売)29日から5月まで代表が外遊に行かれるようですが、その狙いと期待するところについてお聞かせください。
【代表】大きくいえば2つの課題だと思っております。1つは、日本の外交、さらには安全保障のあり方について、いろいろな関係者と意見交換をしていきたい。1つは、年金制度について、スウェーデン方式、わが党は日本型スウェーデン方式と呼ぶべき提案をしているわけですが、そのスウェーデンでは年金についての調査と、現状を見てきたいということであります。
第1点目の問題は、国連、さらにはイタリアではバチカン、あるいはそれぞれの国の、イラクにかかわりのある国、ない国とありますけれども、そういう国の関係者とイラク情勢を含む今のテロの横行という世界の情勢について話し合いたい。いかにすればそれを本当の意味で抑えることができるのか、今のようなアメリカの武力による押さえ込みが結果的にうまくいっていないわけですから、どういうやり方が長い歴史の中で望ましいのか、いろいろな方と話をしてみたいと思っております。
■イラク邦人拘束事件について
【記者】(ビデオニュース)今日の午前の会見で福田官房長官が、2人の新たな人質が取られたことに関して、どれだけの人に迷惑を掛けたか考えてほしい、迷惑であるというような発言があったのですが、それについて何かご感想や反論などありましたらお願いします。
【代表】私は、こういう時期にイラクに出掛ける、あるいは滞在するということがどういうリスクを負うのかということについて、それぞれが自覚して行動しなくてはいけないということは、それはその通りだと思います。しかしそのことと、拉致あるいは人質といった事態に遭ったことについて、それを政府としてあるいは、政治という立場でどのようにして解決を目指すかということは、政府の責任、日本の国の責任としてあると思います。ですから、当事者であるそれぞれの人がリスクをきちんと理解して行くことももちろん必要ですが、たとえそれが第三者から見て、この時期になぜ出掛けたのかなというような思いがある場合もあるかもしれませんが、だからといって政府がそうした事態に対して傍観者的な立場であっていいとは思いません。やはり、それに対しても適切な最大限の努力をすることは、国民から政権を預かる、あるいは納税を受けて政府を運営していく立場としては当然のことだと考えています。
【記者】(朝日)イラクの人質事件やイラク戦争の大義については、民主党として主張していくときに世論の支持が欠かせないと思うのですが、特に人質事件に関しては、ご家族への非難、中傷を含めた批判めいたものもあるようで、このイラクの問題についての世論はどのように傾いているとお思いですか。
また、日歯の問題ですが、今回の補選で年金やイラクの問題に加えての争点と位置づけていくお考えはありますか。
【代表】イラクの人質事件をめぐる世論の動きについて、私はそういう道の専門家や評論家ではありませんので評論めいたことを言うつもりはありません。ただこれは北朝鮮の拉致問題などでもそうですが、その事件の直後と、若干時間が経ったときと、いろいろな状況の中で多くの国民の皆さんからすると、最初は戸惑いがある中で判断するわけです。少し時間が経ってみて、いろいろな要素がそれに加わった中での判断になっていくわけです。これはこの問題に限りませんが、やや最近の論調は、悪いのは誰々だ、という言い方でどこかに押し付けてしまう傾向があるように思います。
一人一人の国民の皆さんがどう考えるかというのは、もちろんそれぞれの国民の考え、まさに自由社会ですから、それはそれでいいのですが、少なくとも政治の責任を分担している政党や政治家という立場からすれば、しっかり足を踏ん張って、冷静な中に国民に対する責任を感じた言動が必要ではないか。今の問題でも、人質の家族の皆さんに同情が集まるのは当然だと感じていますが、それが、メディアではないのだと思いますが、一部に激しい過剰な批判があるとすれば、そこはもう少し寛容な気持ちをもって、こういう事件の当事者、家族に対応すべきではないかと感じております。
また、日歯の補選に対する位置づけということですが、イラク問題、あるいは年金問題が、いずれも渦中でありますので、重要な課題と位置づけてきました。この日歯の問題も、年金問題に決して無関係ではない、社会保障、年金と健康保険のまさに2つの柱ですから、そういった関連もありますし、また政治とカネという意味では、埼玉では悪質な現金買収によって資格を失った人の後ですから、こういう体質が、どの党に主にこれが汚染されているのか、こういったことについても大きな課題として国民の皆さんに判断してもらいたい。言うまでもないことですが、自民党に対する政治献金の極めて大きな団体であり、調査、捜査によっては、正規の献金以外の闇献金も相当程度あるのではないかという指摘もあるわけです。そうすると、違法な政治とカネの問題に直結する可能性が高い問題であります。補選における3つ目の大きな判断すべき材料と位置付けて取り組んでいきたいと考えています。
■国連アナン事務総長との会談について
【記者】(NHK)外遊についてですが、国連ではアナン事務総長との会談は実現しそうでしょうか。また、実現した場合イラク情勢をめぐって、国連が早くイラクに戻るように要請するおつもりはありますか。
また、スペインで首相にお会いする予定があれば、そこでどのようなことをお話になるおつもりなのかお聞かせください。
【代表】国連については、先だって事務総長が日本に来られたときに、わが党単独でお会いしまして、直接30〜40分アナン事務総長と意見交換ができました。その席でも、近く国連にお邪魔したいと申し上げた時にも、来られたらぜひお会いしましょうというお話しは頂いていて、その後日程上の問題などで、この連休中ということになったわけです。まだ100パーセントとは言えませんが、事務総長に会う可能性も含めて、国連がいよいよ本格的にイラクの復興に再度関わりを持つ、あるいは持ち始めた時期でありますので、一番良い時期ではないか。お会いできれば一番いいと思いますが、少なくともイラクに関わっている責任ある人との意見交換をしたいと思っています。
その場合に、国連にイラクに早く戻るようにと要請するかということですが、これはあまり単純には言えないと思います。現在のイラク情勢、つまりは前回イラクに国連が入ったときに、イラクの国連本部が爆破されて、責任者が亡くなるという大変痛ましい事件がありました。やはり国連が活動する上で、それが可能な治安の確保というもの、少なくとも生命の安全の確保がしっかり責任の持てる体制が作れるのか。私は、アメリカ軍はそういうことにこそ最大限の力を割くべきではないかと思っております。しかしイラク情勢が大変厳しい状況でありますから、一般的には国連により積極的な関与を求めたいと思いますが、物理的にイラクにどの時期からどのくらいの要員をどう送るかという判断は国連自身がしていただくしかないと考えています。
スペインは、まだ詳細を聞いていませんが、ご承知のようにスペインは先だって選挙がありまして、政権が交代するという流れになりました。その1つの要素が、イラクへの軍隊の派遣と同時にスペイン国内の、200人余りの死傷者を出したテロであります。幸い日本は国内のテロは起きていませんが、置かれた状況は日本と共通する部分があります。ぜひ新たな政権を担う人たちと意見交換をしたい。首相あるいは首相予定者とお会いできれば良いと思っています。
編集/民主党役員室
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