2003年9月26日(金) >>菅直人代表の記者会見録 戻るホーム記者会見目次

岡田克也幹事長 定例記者会見要旨

○総理の所信表明演説は2級・3級の大臣並み、「極めてがっかり」の一言
臨時国会では十分な審議時間を取って総選挙での判断材料を提供していく
小泉自民党が政権公約を出さないなら、従来型の古い政治と何も変わらない
安倍幹事長にはエールを送るが、古い自民党政治を変えて初めて意味がある
総選挙の目標は小選挙区で151以上取ること、そうすれば過半数を取れる
テロ特措法:延長の場合に自衛隊派遣の国会承認が要らないのは納得できぬ
顔ぶれが変わったから自民党が変わるというほど生易しいものではない

■小泉総理の所信表明演説に対する感想

【幹事長】まず、先ほど行われた総理の所信表明演説に対する感想を若干申し上げたいと思います。

 私は、「極めてがっかりした」という一言に尽きると思います。今度の所信表明演説は、単なる臨時国会の所信表明演説ではありません。小泉さんが自民党総裁に選ばれて、そして、もちろん我々としては政権交代を実現するという考えで挑んでいますが、小泉さん自身の任期は3年あるわけですから、場合によってはあと3年、総理を続けるかもしれない。そのスタートにあたって国民に何を訴えるのか。その前提として、今の日本を取り巻く環境・状況をどういうふうに認識しているのか。そのことをまず危機感を持って語り、そして国民に対して自らこういう形で改革をしてこの国を変えていく、だから協力をしてくれと、そういうふうに訴えるべきだったと思います。

 しかし、現実に小泉さんが言われたことは、極めて抽象的な今までやってきたこと、あるいはこれから「やりたい」ことの羅列に過ぎず、そこに具体的な中身はなし。そして、先ほど言ったような、日本をどうするのかという大きな観点から自らの理念を語ることもなかったわけで、私に言わせれば、総理が行う演説では全くないなという感じがしました。せいぜい、どこかの2級・3級の大臣がやるような演説だったのではないかと思います。

 2年半前の、初めての総理の演説はそれなりにワクワクさせるところがあったと思いますが、それから比べても、明らかに総理自身、自分が総理として何をやったらいいのか、本来であれば具体的メニューを持って、「3年間でこれをやるんだ」というのがあるはずですが、総理は続けるんだけど何やったらいいか分かんないと、そういった総理自身のお考えが垣間見えるような演説だったと思います。大変残念なことです。

 こうであれば、やはり政権交代をして、そして具体的な政策、改革の志を持つ民主党政権をつくって、この国を変えていくしかないんだと、改めてそのことを申し上げておきたいと思います。

■臨時国会に臨む姿勢

【幹事長】あとは、これで国会がスタートしたわけですから、この国会、いつまで続くか、ここは最終的には内閣総理大臣が解散をするまで続く国会だと認識しています。

 しかし、その中で我々としては可能な限り時間を取って、国民の皆さんに選挙で選択するための材料を提供していく。本会議での菅代表の質問に始まって、予算委員会あるいはテロ特措法の審議など、時間を十分に取ってやっていく。そのことを是非求めておきたい、要望しておきたいと思います。

 ここで生煮えのまま解散をするということになりますと、これは小泉さんとしても極めて不本意だろうと思います。新しい内閣が登場して、その意図するところ、これからやろうとすることがはっきりしないまま解散ということになれば、これは国民は選べないわけですから、そこはしっかり時間を取ることを求めておきたいと思います。

■自民党マニフェスト

【幹事長】それから、マニフェスト(政権公約)の話は、私はいくらなんでも自民党から何も出てこないということはないだろうと思っていますが、今日の演説を聞いても具体的なことは何もありませんし、今度の選挙に向けて、自由民主党としてマニフェスト、つまり具体的な数字の入った公約をきちんと出してくるのかどうか。

 もし出してこないとすれば、これは語るに落ちたと言いますか、従来型の霞ヶ関に丸投げをして作らせた政策の束を公約と称して、そして選挙が終わったらまた、それに全くとらわれずに勝手にやるという、従来型の古い政治が行われるわけで、もし小泉さんが新しい政治だと、今までの自民党とは違うと言うのであれば、きちっとしたマニフェストを出していただきたい。

 出さなければ、これはもう従来と何も変わらない。顔ぶれがいろいろ内閣も党も変わっても、従来と同じということになってしまうと思います。 ここは是非、期待をしておきたいと思います。

<質疑応答>

■自民党・安倍幹事長の抜擢

【記者】先ほどの自民党役員人事についてですが、幹事長に安倍さんが抜擢されました。次の衆議院選挙は、この臨時国会の途中でしょうが、民主党としては政策を軸に論戦をしていくとおっしゃっていますが、新しい幹事長に安倍さんがなったことで幹事長同士がどういう発言をしていくかというところも注目されると思いますが、安倍さんに対してはどのように臨んでいきたいと思いますか。

【幹事長】安倍さんは同世代ですから、若い安倍さんが幹事長になられたことは、私としてもそのことに対してエールを送っておきたいと思います。

 ただ、幹事長に若手が登用されること自身がいいことというわけではなくて、登用された若い幹事長が、安倍さんご自身もおっしゃっているような党改革とか、今までの自民党の古いところをしっかり変えていくということがあって初めて、若い幹事長が登用された意味があるわけで、そういう意味でしっかり頑張っていただきたいと思っています。

 これからいろいろな場面で政策とか、あるいは幹事長としての本来の役割である選挙や党運営、党改革などについて意見交換をする機会が増えると思います。大いに楽しみにしています。

■対小泉内閣戦略

【記者】今日から臨時国会が始まりました。24日に調印式を行って自由党と一緒になって初めての臨時国会になりますが、小泉内閣をこれから責めていくにあたってどういう戦略で新しい体制でやっていこうと思っておられるのかお聞かせください。

【幹事長】国会は恐らくそう長くないと思いますが、そういう中で本会議、予算委員会、そして場合によっては党首討論やテロ特措法の審議、それぞれに全力でぶつかっていくということに尽きると思います。

 小泉さんのほうも閣僚が代わったわけですから、閣僚の顔ぶれは代わったけれども自民党は何も変わっていないということを国民の皆さんの目にしっかり焼き付けていくということが、国会審議を通じての我々仕事だと思っています。

■旧自由党議員の民主党執行部入り

【記者】今の質問に関連するかと思いますが、自由党と合併して、民主党の役員会および常任幹事会のメンバーに自由党執行部の方が入られるかと思います。もし入られるようでしたらそれがどなたになるのか、そしてその体制になる理由などお聞かせください。

【幹事長】今、相談中ですので具体的名前とか、そうなるかどうかということはお答えできません。決まり次第ご報告したいと思います。

 一般論として言えば、2つの党が1つになったわけですから、今までは2つの党がありましたのでいろいろな物事を決めていく際に執行部同士が相談をして、例えば私と藤井さんがそれぞれの党の幹事長として相談をして決めていましたが、1つの党になった以上、党の意思決定機関の中で決めていくことになりますので、そこに旧自由党の方にお入りいただくのはそれがベターだと私は思っていますが、自由党さんのお考えもありますのでまだ決まっていません。近々決まると思います。

■総選挙での獲得議席数

【記者】民主党と自由党の合併によって総選挙に臨むわけですが、幹事長は具体的な議席の獲得についてどのようなプラス効果を見込んでいらっしゃるのでしょうか。弊社のシミュレーションでは、少なくとも比例区では大政党に有利に働くドント方式によって、自民党を凌駕するであろうというシミュレーションを出しているんですが……。

【幹事長】それは心強いですねぇ(笑)。

【記者】それについての見解でもいいんですが、ご自身としてどのような期待、もし具体的な数字を持っていらっしゃったら教えてください。

【幹事長】私の目標は過半数を取るということです。したがって、300の小選挙区がありますので、ここで151以上取る。そうすれば比例もそれについてきますので、結果的に全体で過半数が取れるということになります。

 300の小選挙区はこれから時間をかけて観察をして、その中でメリハリをつけて151を取るための対策を考えていきたいと思います。

■空白区の候補者擁立作業/社民党との関係

【記者】今の関連で、今後自由党との合併で空白区を埋めていく作業になると思いますが、その作業の進め方と社民党との関係についてどう調整を進めていくのかお聞かせください。

【幹事長】完全な空白区は、率直に言って10〜20の間ぐらいなんですね。ここについては先ほど赤松選対委員長とお会いをして、具体的にどうするのか話をしました。

 かなり散々やった結果、地元から候補者が上がってこない選挙区ですので、そういう意味では党本部主導でやらなければならない段階に来ているのではないかと思いますが、そこについて改めて来週の半ば頃を目途に、それぞれ1つずつどうするかということを提示してくださいと選対委員長に指示を出したところです。

 社民党との関係は今、ギブ・アンド・テイクの原則で話が進んでいる都道府県もなおありますので、その作業を急いでいきたいと思います。この場で前も申し上げましたが、社民党さんにとって自らが生き残ることが目的なのか、それともこの大きなチャンスで野党が協力をして自民党政権をつぶして、そして新しい政権をつくっていくのか、そこのところの意思決定というのは必要だと思います。

 今見ているとどちらかというと、自らが少しでも数を残したいというふうにも伺えますので、それでは政治は変わらないと思います。

■テロ対策特措法と国会承認

 それから、ちょっと先ほど言い忘れましたが、これから審議していく中で、例のテロ特措法について、今、党内でも具体的な議論をしつつあります。今までの検証、そしてこれから2年間延長するときのニーズなどについても議論してもらっていますが、政府の説明で私はどうしても納得できない点があります。

 今の法律では対応措置(特措法に基づく自衛隊派遣)について事後承認を国会が行うことになっています。ところが、2年間延長をすると事後承認は必要がないと。2年前に承認しているから必要ないというのが政府の説明のようです。

 これは全くおかしな話であって、つまり2年前に民主党も対応措置には賛成して承認したわけですが、それは2年間の措置として承認をしているわけです。法律は2年間の法律ですから、その法律がさらに2年延長されたから前の措置と同じなので改めて国会の承認を得る必要はないというのは成り立たない話、シビリアン・コントロールという視点から言ってもあり得ない話だと私は思っています。

 もし政府がそういう主張で来るということになると、これはこの法律の本来の趣旨を大きく逸脱する、シビリアン・コントロールの視点から言っても極めて大きな問題だと受け止めています。私の常識から言うと、法律が2年延長されたと、2年というのは本来この11月1日に切れる法律ですからそれが2年延長されたということは新たな法律を作るということと一緒ですから、仮に措置の内容が同じだったとしてもそれについては国会の承認が改めて必要だと考えています。

■「自民党が変わる」という幻想

【記者】自民党の顔ぶれは変わったが中身は変わっていないということを焼き付けることが仕事だとおっしゃいましたが、自由党と合併した民主党がどのように変わったのか、その辺りはどのように印象付けていくお考えでしょうか。

【幹事長】ちょっと意味が違うと思うんですね。つまり、古い従来の自由民主党という党があって、その党や内閣の顔ぶれが変わって、それに対して自民党は変わるんじゃないかという期待の声も一部あるし、マスコミの中にもそういったことを盛んにPRされるところもあるわけですが、顔ぶれが変わったからといって自民党そのものが変わるなどという生易しいことではないんだと、政官業の癒着の中で古い体質にある自民党の党運営とか政策とかそういうものが、単に表紙を変えたからといって簡単に変わるものではないんだということを私は申し上げたわけです。

 もちろん変わることを期待してはいますが現実は無理だと思いますし、小泉さんが総理になったときに田中真紀子さんを正面に出して変わるというメッセージを出したけれども、それで何か変わったかというと何も変わらなかった。同じことを国民の皆さんが期待するということはないだろうと思っています。

 そういう意味では一瞬の期待に終わってしまうと思いますが、そういったことを我々としてもしっかり示していく必要があるということを申し上げたわけです。

 民主党と自由党の合併というのは、野党が1本になることで選択肢が明確になったと。「自民党が駄目なのは分かっている、だけど野党もまとまっていない」という人々に対して、野党はまとまっている、そして自由党と民主党が1つになって政権を担っていくんだという姿を示したことに大きな意味があるわけです。それ以上、私が申し上げることはないのですが。

■事前承認の必要性と民主党の態度

【記者】先ほどのテロ特措法を延長した場合に、事後承認でいいという政府の見解に対して異議を唱えていらっしゃいましたが……

【幹事長】「事後承認でいい」ということに異議を唱えているわけではないんです。
「事後承認が要らない」ということに異議を唱えているんです。

【記者】民主党は一貫してこれまで事前承認ということを求めてきましたが、今回の延長にあたってはそれについてはどのようにお考えでしょうか。

【幹事長】基本的には事前承認が必要だと思います。ただ、事後の承認すら要らないということになると、事前承認の議論の余地がなくなるわけです。

 そういうこともあって事後の承認は要らないという強弁をしているのではないかと思いますが、一旦廃止になる法律を延長するということであれば、計画をきちんと見直して、そしてそれに対応する措置、それに対する国会の承認を求めるというのは当然のことだと思っています。

 もしそれがないのなら、2年ごとに延長していけばずっと国会承認は要らないということですよね。それはあまりにも国会を軽んじているのではないか、ひいては国民に対して説明責任を果たしていないのではないかと言わざるを得ないと思います。


編集/民主党役員室


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