2003年10月22日(水) >>菅直人代表の記者会見録 戻るホーム記者会見目次

岡田克也幹事長 定例記者会見要旨

○藤井問題について調査しない国交相や総理は道路族と同じ穴のムジナ
イラン核開発問題:日本の首脳は英仏独の爪の垢でも煎じて飲んだらどうか
マニフェストビラを550万部増刷し800万部に、マニフェスト浸透の証左
大きな方向性としてオープンな競争ある農業を目指すべきだが過渡的対策も
田中前外相:離党届の提出は1つの区切りだが、対自民のスタンスが不明
自民定年制:礼を尽くして辞めてもらうのがスジ、小泉総裁の人間性を疑う

■道路公団総裁問題に関する申し入れ

【幹事長】私から3点申し上げたいと思います。まず、例の道路公団・藤井総裁の問題ですが、先般、私から石原国交大臣宛てに申し入れを行ったわけですが、結局そのことについて調査しないというのが石原大臣のお答えで、極めて遺憾なことだと思っています。

 申入書にも書いていますが、あれだけテレビの前で国交大臣はイニシャルを示して、例えば国有地の払い下げの問題などについて、いろいろな疑惑があるということを臭わせたわけですから、そうであれば、そのことを国民の前に示して、そういった疑惑について解決していくのが国交大臣の本来の責任業務ですから、それを全て覆いかくしてフタをしてしてしまうというのは一体どういうことなのか、国交大臣および小泉総理の姿勢を大いに疑うところです。

 考えてみれば、道路族のドンと言われる人たちの応援をもらって総裁に選ばれた小泉さんですから、非常にわかりやすい構図かもしれませんが、まさしく国民を愚弄した対応であると厳しく抗議したいと思いますし、国交大臣も若い大臣として、そういった問題について従来のいろいろなしがらみ、族議員、そういったもの圧力を跳ね返して、スジを通してもらいたいと思ってます。

 このままでは、石原大臣も小泉さんも、今までいろいろと道路公団に圧力をかけてきた道路族と同じ穴のムジナだと言われても仕方がないと思います。

■イラン核開発問題とAPEC

【幹事長】それから、イランが核開発についてIAEAの要求を受け入れたということを聞いて、世界にとって非常に重要なステップ、一歩だったと考えています。

 そういうことをイギリス、フランス、ドイツの外相が成し遂げたということは、これは外交というものが持つ力、意味を感じさせるわけで、いきなりボカンと武力行使をして解決するのではなくて、粘り強い外交努力の中で物事を前進させていく良い例を示したと思います。

 それにつけても、イランといえば、本来は日本も長年いい関係を続けてきたわけですが、そういったことに蚊帳の外で、イランの石油開発についても、いろんな意味で戦略的に関与しようとしたにもかかわらず、アメリカからストップがかかればたちまち尻尾を巻いてしまうという、そういうアメリカ・ブッシュ大統領に追随するだけの小泉外交というものが明らかになったと思います。

 少しは、イギリス、フランス、ドイツの首脳・外務大臣の爪の垢でも煎じて飲んだらどうかと、小泉さんにはそうお勧めしておきたいと思います。

 同時に、APECでの議論もありましたが、拉致の問題について十分な取り扱いがなされなかったことは残念なことだと思っています。

 ただ、いろんな北朝鮮との関係を考えたときに、やはり中国との関係が極めて重要であるということを改めて感じさせるわけで、総裁選で再選されたときに、もう言わないかと思っていたら、また靖国に行くということを強調されて、結局中国との首脳外交が本格的にできないということですが、中国に行ってしっかり議論するということがなかなかできない小泉さんの姿を見ると、結局大変な国益を損なっていると言わざるを得ないと思います。

 いろんな個人的な心情があるということを、そこは百歩譲って認めたとしても、そのことによって国益を大きく損なう、つまり中国との関係について、総理としてどう考えておられるのか、是非一度伺ってみたいと思います。

■参院埼玉補選とマニフェスト選挙

【幹事長】それから今日、私は埼玉に行ってきましたが、我が党の候補は非常に頑張っている。1週間くらい前と比べると横一線まで来ましたので、大変期待を持っています。残された数日間、私も土曜日にはまた行きますが、党として当選に向けて頑張りたいと考えています。

 衆議院選挙も間もなく公示されますが、選挙戦全般といいますか、私も全国を回る中で非常に手応えを感じていまして、特に政権選択の選挙、マニフェストを前面に掲げた政策選挙に対して、国民の皆さんの期待を強く感じているところです。

 我々、ビラなどいろいろ作っていますが、例えば皆さんにも以前配布したと思いますが、マニフェストについても2枚紙の簡単なビラですね、これ当初、250万部刷りまして、各総支部・選挙区に配布しましたが、我が党の刷り物にしては珍しくと言うと選対に怒られるかもしれませんが、非常に需要があって、550万部増刷して、今800万部各地域に出て行っています。

 250万部のつもりが800万部ということで、それだけ需要があるからそれだけ出ているわけで、各地域においてマニフェストあるいはマニフェスト選挙というものが非常に受け入れられている、まさしくそういうマニフェスト選挙になっている結果だと思っています。

 その他にも冊子が150万部、これはあまり増刷するとお金が足らなくなりますので増刷していませんが、是非完全版を下さいと取りに来る方も多いという話も聞きます。

 是非、我々のマニフェストが国民の皆さんにしっかり浸透するように頑張っていきたいと思いますし、今までとは違う新しい選挙ということになりつつあるということを実感しています。

 それから、民主党インターネット放送局「D Vision」につきましても、9月に開始して以来、今まで33万件のアクセスがありました。1日平均1万5000件ということですから、これもこの手のこととしては記録的なことで、選挙に対していろんな世代・年齢層で関心が高まっているということを表しているのではないかと思っています。そんな調子でしっかりこれからも頑張っていきたいと考えています。

<質疑応答>

■自由貿易協定と農業問題

【記者】昨日のAPECで小泉総理がFTA(自由貿易協定)に絡んで、「農業鎖国はできない」という発言をされました。農業に競争力をつけなければいけないということを言いたかったようですが、「鎖国はできない」という言い方をされたことについてどのように評価されますか。

【幹事長】今まで鎖国だと思っていたんですかね、日本が世界最大の農産物輸入国であるということを、小泉さんはご存知ないのでしょうか。

 もちろん、現状でいいと我々が思っているわけではありません。別にFTAがあるからということだけではなくて、やはり日本の農業についても競争力はあるし、これからそれをさらに高めていくことはできるわけで、日本国内だけのマーケットではなくて、世界を相手に日本の優れた品質の農産物を輸出していくということも、当然これからしていかなければならないと思います。

 同時に日本は自由貿易で成り立っている国ですから、貿易をやたら制限して、そして内向きになってしまうことは日本の国益に反するわけで、農業についても今までのどちらかというと内向きの保護政策から、この保護政策にも何といいますか自民党の族議員の利権も相当絡んでいると思いますが、オープンな競争の中で競争力を高めていくという方向性を、大きくは目指していかなくてはいけない。

 もちろん、その過程、過程で農業従事者に影響が及ぶということは当然あるわけで、そこについての手当て、つまり経過的な対策、大きな方向性としてのオープンにしていくという方向性、そこの兼ね合いをしっかりやっていくのが政治だと考えています。

■田中前外相への対応

【記者】田中真紀子前外相が自民党離党届を出されたようですが、今後民主党がどのようにこの問題に対して対応されていくのか、菅代表は割と連携に前向きな発言をされていますがその点と、それから白川さんの推薦について、幹事長のお考えをお聞かせください。

【幹事長】代表と私の意見は基本的に方向性は全く同じです。まず田中さんが離党届を出されたということは1つの区切りにはなっていると思います。

 今まではそこすらはっきりせずに、自民党との関係が全く不明確でした。その上で、彼女自身が離党をした上で、自民党に対してどんなスタンスを取っていくのかということはまだ不明です。

 今の小泉自民党政権に対して批判的な立場で行くのか。批判的な立場になるということは当然あり得ると思います。「スカートを踏んでいるのは誰かと思って振り向いたら、小泉さんそのものだった。小泉さんそのものが抵抗勢力だった」と、そこまで言った人ですから、そういった小泉自民党政権に対して批判的になるということは、私は今までの流れからいえば不自然なことではないと思いますが、そこがはっきり方向性が見えてくれば、私たちとしての関係というものも自然にでき上がってくると考えています。

 白川さんについては、県連が推薦依頼を本部に上げてきているという現状はあります。そのことは承知しています。ただ、昨日の新潟でも申し上げましたが、結局は今の田中問題も含めて総合判断ですので、まだそちらの問題がはっきり見えてこない段階で、白川さんの推薦問題について結論を出すのはやや早過ぎると考えています。

【記者】今の質問に関連して、田中真紀子さんにはすごい破壊力がある方だと思うんですが、扱いようによっては劇薬にも毒薬にもなる方だと思うのですが、幹事長から見たその辺の印象をお聞かせください。

【幹事長】(笑)私も幹事長ですからあまり個人的な意見を言うわけにもいきません。ただ、真紀子さんが小泉自民党政権に対して批判的なスタンスを取るかどうかも分からない段階ですから、あまり仮定の話をすべきではないと思いますが、同じように今の小泉自民党政権に対して批判する立場であるということと、お互いが協力していくということは必ずしも一致するわけではありませんので、そういったことも含めてこれからの田中さんの取られる態度を見ながら総合判断していくということだと思います。

 我々は政党ですから、田中さんの行動、判断それをある程度前提にしながらでないと、我々が積極的にどうこうということではないと。そういう意味で昨日申し上げたわけです。

■外相時代の資質、秘書給与問題

【記者】今の問題に関連してですが、外相時代の資質問題とか秘書の給与問題などこの2つの問題について考慮の対象にはならないのでしょうか。

【幹事長】ですから連携するとは私は全く言っていないわけで、連携をするかどうかも含めて総合判断ですから、連携しないから全然関係ないかと言えば、小泉自民党政権に対して批判をするという意味で、連携はしないけれども同じ方向で政権批判をしていくということもあるかもしれませんし、そういうことも含めて総合判断です。

【記者】資質問題は?

【幹事長】外務大臣としての資質ですか? いろいろな議論があるのは事実で、我々もその点について批判したこともありますし、あるいはNGOの問題などでは協力をある意味しながら進めたこともあります。

 今はもう彼女は外務大臣ではありませんから、外務大臣としての資質の問題というのは今回のこと直接には関係ないことだと思います。まだ仮定の段階ですから、あまり議論してみても仕方ないと思いますけどね。

■自民党の比例区定年制問題

【記者】公示まで1週間を切りましたが、民主党としての比例名簿の決定はいつ頃になるかということと、自民党が中曽根さんと宮沢さんに73歳定年制の適用がなかなかうまく進んでいないようですが、そのことについてのご感想をお聞かせください。

【幹事長】我が党は多分、公示の前日ぐらいと思っています。最終的には代表と幹事長に一任されていますので、代表とよくご相談することになると思います。

 宮沢さん、中曽根さんのことは他党のことですから、あまり私がとやかく言うのもどうかと思いますが、私の個人的意見を言わせていただくと、批判すべき部分があるとともに総理として実績も残され、見識のある方だと私は一面で非常に尊敬している部分もあるんですが、そこまでやられたのであれば自ら退かれるべきだと思いますね。もう十分ではないでしょうか。

 そしてご見識をお持ちであれば、別にバッジを外しても本当にご見識があれば世の中が放っておかないわけで、まだまだご活躍いただける場面があると思うんですね。

 ただ、今回のことを見ていて私が引っかかるのは、「残りたいと思います」と言われた二人も私から言わせると情けないなという感じがするのですが、同時に小泉さんがどうされるのか。これから幹事長と相談するという話のようですが、もし選挙に利用して直前になってバッサリということになれば、これはやっぱり違うのではないか。

 「違うのではないか」というのはやり方ですね、総理までやられた方であればそれは手順を尽くして礼を尽くして退いていただくのが当然で、もしバッサリと直前になって切ってしまうということになればこれはちょっと私は総理というより以前に、人間として小泉さんのやり方、見識を疑うことになりますね。

 これからどうなるか分かりませんから、仮定の話としてちょっと申し上げました。もっと早く礼を尽くして退くようにに持っていくのが本当ではないでしょうか。

■比例区候補者名簿

【記者】比例名簿についてですが、比例の単独と上位搭載者が何人くらいになるのか、もしお答えできるのであれば教えて下さい。それからこれも確認ですが、地方の都道府県連レベルでは新人候補者が鞍替えした場合、事情を考慮して比例の上位登載を認めて欲しいという、北海道の12区がそうですが、そういう声が党本部に要望があるようなんですが、そういう可能性はあるのでしょうか。

【幹事長】まず、党本部にはそういう要請はまだ上がってきていません。道連レベルでそういう議論があるのかもしれません。

 それから、単純比例と比例優位ですが、常幹でお認めいただいた基準の中では、単純比例と比例順位を区別させていません。両方「原則としてはない」という言い方ですから、そういう意味では常幹のルールに基づけば単純比例はあるということです。

 ただ、常幹でいろいろな議論が出ました。そのことも踏まえながら判断しなければならないと考えています。私の見通しでは、今回は単純比例はないと考えています。

 比例優遇がどのくらいなのかということについては、これは最終的な場面で決めなければいけませんが、前回20名の方がいらっしゃいました。お一人おひとりに説得をしたりして今まで進めてまいりまして、私としては幹事長としてやってきた仕事の中で一番辛い仕事でした。まだご本人としてはできればもう1期と思いながら、引退表明された方が何人もいらっしゃいます。

 大変申し訳ない気持ちと、しかしやっぱり若い新しい人たちが少しでも惜敗率で上がってくるなかで、党の若返り、活力、そういったことを図っていかなければならない。そういう使命感でやってきたつもりです。できるだけ比例優遇という枠は小さくしたいというのが私の思いです。いろんな経緯もありますから、そのことも含めながら判断をしていく必要があると思っています。

■白川候補への推薦

【記者】道路公団の話ですが、申し入れというより、民主党独自で調査をするという考えはないのかというのが1つと、話は別ですが先ほどの田中真紀子さんの件で白川さんへの推薦を出すか出さないかについて、いつぐらいまでにしなければいけないと思っていらっしゃいますか。

【幹事長】まず道路公団の問題で、イニシャルは石原さんしか知らないですよね。もちろんあの場にお二人だけじゃなくて事務方も入っていたと聞いておりますので、議事録を全部公開してもらえば分かるんですけどね。そういったことを是非やってもらいたいと思います。

 我が党で調査をすることは必要ですから、そのためにも国会で議論しないと難しいです。そのためにも私どもは閉会中審査、そして藤井さんも国会に呼んで道路公団総裁の立場にあるその期間中に呼んで証言を得るということも考えているわけです。

 白川さんの推薦については、常識的にはやはり来週の火曜日(28日、公示日)までには決めなければいけないと思いますね。


編集/民主党役員室


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