2003年11月28日(金) >>菅直人代表の記者会見録 戻るホーム記者会見目次

岡田克也幹事長 定例記者会見要旨

○2年半前の国民への発信力を思えば小泉総理は様変わり、あと1年と持たない
憲法9条をゆるがせにするイラクへの自衛隊派遣に対する「ノー」を行動で示す
小沢代表代行からは有益なアドバイスをいただけると期待
都築代議士の秘書逮捕は遺憾なことだが、今できるのは推移を見守ること
足利銀:債務超過なり過小資本なり、実態に基づいて適切な法的対応をすべき
経済団体も55年体制ではない、是々非々でお付き合いしていけばよい
党人事は派閥や旧党派に囚われず実力本位で適材適所の登用をしていきたい

■特別国会を終えて

【幹事長】特別国会もあっけなく終わってしまいまして、我々は臨時国会の開催を求めているわけですが、何度も申し上げますが、戦後解散・総選挙が行われたあと通常国会まで所信の表明がなされなかったということはありません。

 そういう意味では小泉総理が初めて、解散・総選挙で、つまり国会の院の構成が変わるわけですから、新しいメンバーも当選してきますし、そういう国会において、自らの総理としてこれから3年間何をなすべきかということを述べないまま、通常国会までの間空白の期間を過ごしてしまう初めての総理であるということです。

 1つだけの例外として言われる、解散ではなくて任期満了で選挙を行った三木内閣、これは確かに三木さんは所信表明を行いませんでしたが、それは行わないまま福田内閣に代わってしまったために行われなかったわけで、そういう意味で、解散・総選挙が行われ、そして所信の表明を行うというのが今までの慣例でしたが、それを行わない、国民に対して責任を果たさない初めての総理であるということです。

 予算委員会でもいろいろ追及したんですが、「いや、そういう国会もある、こういう国会もある」ということで、私の意図を意図的に取り違えて、解散・総選挙ということではなくて、一般の臨時国会で所信の表明を行わなかったことがあるということを時間をたくさん使って長々と述べられて、「いや、それはそうじゃないんだ」ということを申し上げると、最後は「どうして1カ月待てないのか」ということで開き直られたわけですが、2年半前を思い出しますと、あれだけ本会議において発信力を持って国民に対して語りかけた、自らこれから総理として何をしたいかということを述べられた小泉さんですから、それと比べるとあまりの落差に、2年半という時間がこうまで人を変えてしまうのかということを改めて唖然として見ています。

 それだけ党内がまとまっていないとか、自信がないということの表れだろうと思いますが、私は質問をしていて、「小泉さん、あと1年持たないだろうな」ということを肌で感じました。

■イラクへの自衛隊派遣反対運動

【幹事長】その臨時国会の召集を求めながら、一方でイラクへの自衛隊の派遣の問題について、一部に基本計画を閣議決定するのではないかという報道があります。それは確たる情報がありませんので分かりませんが、もちろんそういうことになれば、これは閉会中審査を求めて国会でしっかり議論をするということが必要になります。

 同時に、そういう形でいよいよイラクに自衛隊を派遣することが本格化してくるということであれば、これは大々的な国民運動を展開し、自衛隊のイラク派遣阻止に向けて、民主党として働きかけをしていかなければいけない。国民に対して、共にそういった憲法9条をゆるがせにするような行動についてはっきり「ノー」と言うことを行動で示していかなければならない。そういうふうに考えています。

 昨日も党務委員長会議を行っているなかで、これから年末から年始、あるいは来年春にかけての党のポスターを毎年作る時期ですが、そういったイラクへの自衛隊派遣反対ということをメインテーマにしたポスターを是非作るべきだという意見が出されまして、今検討を進めているところです。

■小沢前自由党党首の代表代行就任

【幹事長】昨日、小沢一郎代表代行、そのときはまだ「代表代行」ではなかったんですが、小沢前自由党党首と菅代表との間で話し合いが行われて、小沢先生が代表代行、そして「次の内閣」副総理ということで話がまとまりましたので、それを前提にしてこれから党内の人事、そして今回は人事だけではなくて、党の機構も少し変える必要があるのではないかと思っていますので、そういったことも含めて作業に取りかかるということです。

 あまり時間がかかりすぎますと、次の通常国会に向けての対応が遅れますので、そう長い時間をかけることなく、と言っても1週間以上はかかると思いますが、具体的な人選も含めて、代表と相談しながら作業に入っていきたいと考えています。

 若い記者の方はご存じないかもしれませんが、私にとって小沢先生は政治の世界における父親にあたる存在だということを前から申し上げています。もちろん、すでに独立して家は出ているわけですが、これからもいろんな意味でご指導いただきながら、しっかり党を運営、切り盛りしていきたいと。大先輩ですから、いろんな有益なアドバイスをいただけると思っていますので、そういう形でしっかり次なる参議院選挙そして総選挙、政権をこの民主党が取れるように、一致団結して党の中が頑張れるように、幹事長として責任を果たしていきたいと思います。

 先ほどたまたま、議員会館の地下の床屋さんに行きましたら、隣に横になってひげを剃ってもらっている人がいて、よく見たら小沢さんだったものですから、お互い頭を刈ってもらっている最中ですので一言二言だけ挨拶を交わしましたが、また一緒にやれるという期待感も込めて、頑張っていきたいと思っています。

<質疑応答>

■小沢代表代行に対する不安感の払拭

【記者】小沢代表代行のことですが、今「政治の世界の父親」とおっしゃいましたが、それだけではなくてやはり新進党時代のことが脳裏によぎってなかなか不安が消えないという一部の議員の方がいらっしゃるようですが、これに対して幹事長自身のご見解はともかく、そういう懸念が党内から消えないことに対して、何か払拭するような手立てといいますか、そういうムードがあること自体、幹事長はどうお考えでしょうか。

【幹事長】それはこれからの党の運営の実績でもって示していくということだと思います。小沢代表代行とのコミュニケーションをよくしながら、もちろん代表を中心にしっかりと執行部がまとまっていくという姿を見せることが、そういったいろいろな心配を持っている人がいるとすれば、それを解消していくことになるのではないでしょうか。説明する前にそういう姿を示せばいいわけですから。

■小沢代表代行に期待する役割/都築代議士公設秘書の逮捕

【記者】昨日、小沢さんが代表代行になったわけですが、もう一度改めて小沢代表代行にはどういう役割を期待したいとお考えなのか、改めていただけますか。それから、都築代議士の公設秘書の方が公選法違反で逮捕されましたけれども、これについて現時点で幹事長としてどう受け止めていらっしゃるのか、2点お願いします。

【幹事長】小沢代表代行にどういう役割を果たしていただくかということは、これは私が言うよりは代表が述べられるお話だと思います。

 ただ、規約上「代表を補佐する」ということになっていますので、党運営についてまさしく代表を補佐していろんな意味でアドバイスもいただき、意思決定にも参加していただくということを期待しているところです。

 それから、都築さんの件は公設秘書の逮捕ということ、それから選挙責任者の方の自殺というのがその前にありまして、大変痛ましいことだし、こういう逮捕者まで出したことは残念なことだ、遺憾なことだと考えております。

 都築さんは今日記者会見をされて、そして「自らはそういったことがないようにと口を酸っぱくして言ってきた」と会見をされたと聞いていますが、党本部としては事態の推移を見守るということが、今できる唯一のことだと思っています。

■足利銀行への公的資金投入

【記者】政府が足利銀行に対して公的資金の投入を検討していると伝えられていますが、今年5月にりそな銀行に対して資本注入をした際、民主党としては株主責任を問わない形での処理を随分批判されていたと記憶しています。現時点で足利銀行に対する公的資金投入に対して、まだ決定はされていませんが、どのように見ていらっしゃるかお考えをお聞かせください。

【幹事長】1つは私たちは具体的なデータを持っていせんので、あまりこういった民間企業のことについて確たるデータを持たずに語ることは注意深くしたいと思います。そのことがいろんな憶測を呼び、思わぬことにつながるということがあるかもしれませんので慎重でありたいと思っています。

 そういう意味で一般論として申し上げたいと思いますが、報道では今おっしゃったようなことが報道され、あるいは債務超過ではないかという話もあります。りそな銀行の場合に我々は、株主責任を問わなかったことについて批判をしたわけですが、今の時点で言えばそれ以上に、結局新しい経営陣が決まって適正な引き当てをした結果、自己資本率がさらに下がってしまったということがあります。もし新しい経営陣が採用した基準でやっていれば、りそな銀行は債務超過だったという疑いが濃厚でありまして、債務超過であれば資本注入ではなくて国有化というのが法律上の取るべき結果です。

 そういう意味では本来すべき国有化を行わずに、政府が債務超過である銀行に対して資本注入という間違ったやり方で対応したということは非常に大きな問題だと考えています。私は竹中大臣はそのことだけでも辞任に値すると考えています。

 今回の足利銀行の場合はデータがありませんので、申し上げることは困難ですが、もし債務超過であれば債務超過に沿った対応をなされるべきですし、債務超過ではなくて自己資本が不足しているということであればそういった対応がなされるべきだと考えています。しかし、今の段階で我々がそれ以上のことを申し上げるべき状況にはないということです。

■小沢代表代行の就任時期と常幹への出席

【記者】2点あります。1つは小沢さんの関係で細かい確認なんですが、今後の小沢代表代行をいつどういう手続きで決定するのか、他の人事との絡みもあると思いますのでその段取りと、常任幹事会への出席はいつなのか、その見通しを教えてください。

【幹事長】まず、「いつなのか」という話については、その他の人事も含めて両院議員総会を開いて承認を得るという手続きが必要なものがあります。

 ですから両院議員総会をいつ開くのかということになると思いますが、再来週の前半ぐらいを目指したいと思いますが、それはこれからの作業の進み具合ですので、何とも申し上げられません。なるべく早くというふうに思います。ただ、先ほど言いましたように、かなり大がかりな異動になりますので来週中というのはちょっと厳しいのかなと思っています。

 それから、代表代行の常幹へのご出席は、そういった手続きを経て正式に代表代行に決定されたときに常幹が開かれるのであれば、代表代行というのは副代表の中で代表代行になられたということですので、当然副代表も含めて常幹メンバーですから、常幹に来ていただくようご通知申し上げることになると思います。

■参院選の候補者擁立状況と議席増に向けた戦略

【記者】2点目は参院選への対応ですが、今までも繰り返しお述べになっていますが、改めて現時点での候補者擁立・調整の状況と、今回の改選を迎える35人の方々、その35議席をどう維持あるいは拡大していくのか、その辺りの見通し・戦略も併せてお聞かせください。

【幹事長】まだ全体の見通しについては述べる時期ではないと思います。今、各都道府県連の代表者を呼んで順次話を聞いているところで、来週にもその作業の残された部分について行う予定にしています。

 今週は複数区を中心に1人区のところも少し含めて、お話を聞かせていただいて実情把握と候補者が定まっていないところについては早く決めるようにと、年内に作業を終えて欲しいということを個々にお願いしています。

 5年前は非常にいい結果を得ていますので、なかなかそれ以上に積み上げていくことは大変だと思いますが、やはりポイントは1人区でどれだけ取れるかということだと思います。複数区で1人取るのは当たり前で、もっと言えば複数区で特に3人区、4人区のところで2人取れるところがあるのかどうか、それからもう1つは1人区でどれだけ取れるのかということが非常に重要だと思っています。

 比例区の部分も前回の参院選は非常に結果が悪かったんですが、衆院選では2200万票を得ているわけで、それだけの数字が出ればかなり比例区でも増えますから、そのことも頑張らないといけないと思っています。今の段階では、そういう一般論に留めておきたいと思います。

■労組依存の解消

【記者】今の参院選に絡むんですが、これまで組合出身の方とか労組依存の傾向が強いという言われ方をしたと思うのですが、今後どのように幅広い人材の発掘を進めていくんでしょうか。

【幹事長】連合も産別労組も選挙における非常に重要な担い手であると、衆院選も含めて考えてますが、依存度がそんなに高いとは考えていません。

 たまたま発表の仕方が比例区について先に決まった人を発表した結果、産別代表が名を連ねたということであって、これからブロックの代表としての比例区の候補者、あるいはそれ以外の知名度の高い比例区の候補者といった方々が出てきますので、労組の依存度が高いという印象は薄まっていくと考えています。

 ちょっと固定観念じゃない? 今度の民主党の新しく当選した58人を見ても、いろんな多様な顔があることは一目瞭然だと思いますね。

■経済団体との関係

【記者】労組のお話がありましたが、逆に経団連など経済界との付き合い方についてお伺いしたいのですが。

【幹事長】経団連というか経済団体も55年体制ではありませんので、是々非々でやっていけばいいと思います。

 例えば、商工会議所とか商工会、あるいは中小企業家同友会などは地域経済に非常に根を張っていますよね。そういった地域経済の中での中小企業の皆さんというのは民主党にとっても非常に大事なサポーターになり得る存在だと思います。

 それから経団連や同友会など大企業と言われるところの経営者の皆さんも、感覚的にはマニフェストなんかを読むと自民党よりも民主党のマニフェストのほうがピッタリくるところが結構あるという声も聞くんですよね。

 それは政策ごとに一致するものは推していただきたいし、イデオロギーも基づいてノーと言う必要はないと思いますね。是々非々で行きたいと思っています。

 そうは言っても自民党さんとの関係が濃いというのは事実ですね。

■党人事改造の基本理念

【記者】党人事のことですが、先ほど大幅なものになるということをおっしゃいましたが、個別の人事はともかく、基本理念としてこういう人事改造をしたいというかそういうのはありますか。例えば、旧自由党の方々をもっと取り込めるような形にしたいとかですね……

【幹事長】そういうのは基本理念とは言わないんだよね(笑)。

 もちろん、2つの党が1つになったわけですから、完全に融合した形を示したいと思います。だからといってバランス人事とかそういうふうには考えません。

 私は従来から党の中に派閥を作るべきではないという意見を持っていますし、自分としてはそういうふうに行動してきたつもりですので、あまり旧党派とか、どんどん新しい人が入ってきていますからそういうことは民主党においては過去の話になりつつありますが、どうしてもそういうのでやりたい人も中にはいらっしゃいますが、そういうことに囚われずに、実力本位・実績本位で適材適所登用していきたいと考えています。

■自身の幹事長続投

【記者】幹事長自身の人事ですが、一部報道で小沢さんの人事に呼応するように、幹事長続投も決まったというような報道もありますけれども、これは幹事長自身の理解としては菅さんとのお話で……

【幹事長】どうなんでしょうね?(笑)

【記者】お尋ねしてるんですけど……

【幹事長】そういう前提のような話がずっと続いていますので何となくそうではないかと思いますが……確認するのもおかしいですから確認はしていませんが。

 私も昨日までは、その先の話はなるべくしないようにしてきたつもりですが、今日は代表とお話しするタイミングはありませんが、月曜日から少し具体的な話をお互い持ち寄ってしなければいけないとは思っています。

 そこに私は幹事長を違う人に当てるという案は持っていきませんが、代表からそういうのが出てくれば、そのときには「分かりました」と言うだけのことですから。幹事長は代表が選ぶということになっていますので。私はどちらでも構いません、はい。


編集/民主党役員室


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