2003年12月26日(金) >>菅直人代表の記者会見録 戻るホーム記者会見目次

岡田克也幹事長 定例記者会見要旨

○波乱万丈の1年:政権交代の足場固め、国民の信頼回復を果たし感慨深い
外国での日本政治家の発言、国会での野党政治家の発言も報道してもらいたい
外国の要人に靖国批判をしたことはない、現地で日本人記者の質問に答えただけ
通常国会の議事に入る前に、まずイラクへの自衛隊派遣の国会承認を諮るべき
米中韓関係、北朝鮮問題などで積極的な党外交を展開していきたい
国幹会議:十分な議論をすべき、形式だけなら政治家を入れる必要はない
西村議員が退院すれば、詳細を確認するよう総務局長に指示
北朝鮮のサインをしっかり見極め、チャンスがあれば見逃さず対応すべき
年金改革:与野党協議の前に、まず政府・与党案をしっかり議論するのが先決

■この1年を振り返って

【幹事長】先ほども党職員の皆さんの前で簡単に申し上げたんですが、今年1年は去年の今頃から見れば波乱万丈、いろんなことのあった1年でした。

 もちろん、総選挙もありましたし、合併もありました。去年の12月の段階で、党に対する信頼感が非常に落ちていたなかで、そういった合併や選挙を経て、次の総選挙で政権交代ができる、その足場を確実に作ることができたこと、国民の皆さんに一定の支持を得ていること、そのことは、ここまで来られたことについて非常に感慨深いものがあります。

 先ほどの場でも申し上げましたが、職員の皆さん、あるいは党所属の国会議員、そして支持者の皆さんの力を合わせたご尽力の賜物だと思っています。

 来年は、次の総選挙で政権を取るための第一歩の大事な年です。ここでさらに求心力を高めながら、もっともっと国民全体との連帯感を高める。

 今日は経済界との協力が強調されている記事もありましたが、別に経済界だけではなくて、従来からしっかり民主党を支えていただいている労働界や、あるいは幅広い国民各層との連帯を強め、理解していく努力、そして国会の中でのしっかりとした、メリハリの利いた戦い。もちろん、常に反対するわけではありません。モノによってはもちろん賛成する、あるいは与党を引っ張ることもあると思います。

 そして、私自身の固有の仕事としては党改革。これは、そのための組織を党の中に作って、そしてしっかり議論していきたいと思いますが、だいぶ民主党もいろんな改革を進めるなかで、透明性とか説明責任という意味では、相当この1年大きな一歩だったと思いますが、民主党もできて時間も経ちますので、長年の宿題であるような大きなテーマについても、党改革という視点で取り組む必要があるのではないかと思っていまして、そういったことについて、これからしっかり議論をし、そして夏頃までのその成果を出していきたいと思っています。

■野党政治家発言の報道

【幹事長】次に、中国に行ってきたことについては、中国でも記者会見をしましたし、特に付け加えることはありませんが、いろんな報道を見ていまして1つ残念なのは、中国で私が何を述べたかということはあまり報道されない。そのとき相手が何を言ったかということは報道されるということですが、ここはお願いになりますが、日本の政治家が中国相手にどういった主張をしてきたのかということも、やはり報道していただく、その責任があるんではないかと思います。

 これは国会の議論なんかでも、野党が自らの見解を述べて、相手に見解を質しているときに、そのことはほとんど記述されずに、総理がどう答えたかということのみが記載される傾向があると思います。

 政権交代が可能な時代の報道というのはそうではなくて、やはり野党がどういう考え方でいるかということもきちんと報道するということが大事で、それで国民の皆さんはどちらがいいかということを判断できるんだと思います。

 海外に行ったときも同じで、もちろん海外の要人がどう答えたかということも大事ですが、そういう要人の前で日本の政治家が何を述べたかということも報道していただくと、大変ありがたいと思います。

■産経新聞記事への抗議

【幹事長】その関連で、何を述べたか報道してもらうのはありがたいと言ったうえで、産経新聞が2日前に「産経抄」の中で、私の訪中における発言を取り上げました。これには正式に抗議をしておきます。

 何を抗議するかと言いますと、記者会見で私が小泉総理の靖国参拝を批判したということを取り上げて、「外国で自国を批判することで相手の機嫌を伺う習性があるらしい」と。「これは一種の叩頭外交に他ならない」と断じているわけです。

 しかし、私は外国の要人との会談で靖国神社の問題を取り上げたことはありません。そういう意味で、「自国を批判することで相手の機嫌を伺った」ということはありません。

 記者会見で、日本人記者の質問に対して私の持論を述べたまでです。もし、こういう記事を書こうとして質問したとしたら、それはマッチポンプです。そういう姿勢に対して、いかがなものかと私は思います。

 私自身の答えは、予算委員会でも総理にこの問題を質問しました。どこで聞かれても同じ答えを答えます。それは私の方針です。外国にいようが、日本にいようが、聞かれれば同じ答えをします。

 それを、日本での発言は取り上げずに、外国で、しかも日本の記者が質問したことに答えたことをもって「自国を批判することで相手の機嫌を伺う習性がある」というふうに記述することは全く見当外れです。

 こういった記事に対しては、社会の公器として、多くの国民の皆さんは新聞で書かれていることは正しいと思っておられるわけで、こういう記述に対しては極めて遺憾だと申し上げておきたいと思います。

<質疑応答>

■通常国会の対小泉戦略

【記者】来年は政権獲得に向けての第一歩ということですが、参院選に向けて通常国会の論戦の中で小泉政権をどう追及していくのか、お聞かせください。

【幹事長】私は「追及」という言葉はあまり好きではありません。国会は論議の場であって、相手を批判するだけの場ではないと考えていますので、「岡田幹事長は国会でこういうことで追及した」と書かれるのは少々心外なんですね。

 生産的で前向きな議論をすると。もちろん、その前提として相手のおかしなところは指摘をするということは当然ですが、それは議論を通じてより前向きな答えを出したいためにするのであって、追及そのものが自己目的ではないということをまず申し上げておきたいと思います。

 私も予算委員会で質問をすることに恐らくなるだろうと思いますが、1つはやはりイラクの問題。ここはこれから本会議がどういう順序立てになるかと。我が党はまずイラクへの自衛隊派遣問題についての事後承認を本会議・委員会で済ませたうえで、本来の通常国会での論議、つまり施政方針→代表質問→予算委員会に入っていくべきだと述べています。

 したがって、私が予算委員会に立つときにイラクの問題が一通り議論が終わったあとなのかどうかにもよると思いますが、常識的に考えれば、まずイラクの問題について、なお議論を、その時点では本隊の出発は恐らくまだですから、なお議論が必要だと思っています。

 それと小泉改革の遅れ、いい加減さについて、道路公団についても三位一体改革にしても年金にしても、総選挙において総理が述べたことすら実現できていませんし、抜本改革というにはほど遠いわけですから、そういうことに対して民主党の考え方をしっかりと示しながら議論したいと考えています。そういったことが中心になると思います。

■来年の党外交

【記者】(毎日)中国の話が出ましたが、来年の党外交の抱負・展望をお聞かせください。

【幹事長】今日も藤田幸久国際局長と話をしました。藤田議員のところで意欲的に構想を練ってもらっていますので、具体的なことは年明けだろうと考えています。

 アジアで言えば韓国、中国、またアメリカ、そういった国々との党外交を進めると。イラクの問題に関して言えば、国際的な協力の枠組みがもう少し具体化してきた段階で、ヨーロッパの国々に対しても党として直接働きかけるということもあるかも知れません。

 あとは、党の拉致問題対策本部ができましたが、その関連で党として何かできることはないかということも構想を温めている段階です。そういったことについて総合的に展開していきたいと思っています。

■国幹会議の対応

【記者】(朝日)昨日開かれた国幹会議(国土開発幹線自動車道建設会議)で岩国議員が反対、北沢議員と阿久津議員が賛成しました。分かれること自体を問題視されているのかどうか。また、党としてこれは反対すべきだったのか賛成すべきだったのかどちらなんでしょうか。

【幹事長】ややコミュニケーションが良くなかったなという感じはしますね。今、枝野政調会長が日本におりませんので、中川政調会長代理には事前に、国幹会議があるので、よく出席者と打ち合わせをしておいてくれとは申し上げました。

 中身について賛成すべき、反対すべきということは幹事長が申し上げることでは必ずしもありませんので、政調にお任せしましたが、その連絡がうまくいっていなかった部分もあると思います。年末で非常に忙しい時期ではありますが、残念なことだと思っています。

 民主党の考え方は岩国ネクスト国土交通大臣の談話に表れていると思いますね。つまり、もう少しきちんとした議論も必要だし、あの時点で賛否を問われることはある意味では想定外だったこともあると思いますね。やはり形式的な大会ではありませんので、きちんと大事な問題ですから議論することは必要だったと思います。

 こういういい加減なやり方をするなら、私は国会議員の出る、こういう政府の審議会的なものは必要ないんじゃないかと思います。もしやるのならきちんと国会並みに議論をすべきであって、「野党も賛成していますから」というような名目に使われるような会議なら、私はむしろないほうがいいんじゃないかと思います。

【記者】するとこれは事務連絡上の問題と解釈されているということですか。

【幹事長】党として特にきちんと方向性を示さなかったということでしょうね。各議員の判断に委ねると。もちろん各議員の判断に委ねる部分もあると思いますけれども、非常に重要な問題ですから、本来ならなるべく方向をきちんと合わせて対応した方が分かりやすかったと思います。

 しかし、それは政調・国対に基本的にお任せしている話で、私がどこまでそこを細かく言うべきなのかという感じもしましたので、指示を出しただけです。残念ですね。

■西村議員問題の現状

【記者】西村慎吾議員の件ですが、発覚した直後に鉢呂総務局長に調査するように指示を出されたということですが、1週間ほど経って現状はどのようになっているでしょうか。

【幹事長】まず、西村議員は今入院されていまして、総務局長が直接コンタクトできていません。ただ、近々退院されて記者会見をするという話もあります。退院されるということであれば党としても総務局長から、しっかりお話を聞くようにとに指示を出しているところです。

■現時点でのイラク問題への取り組み

【記者】(共同)イラクへの自衛隊派遣について伺います。今日午前中に航空自衛隊の先遣隊が成田から出発したということですが、イラクの情勢自体はそれほど大きな進展はないのかも知れませんが、現時点での取り組み等について改めて一言お願いします。

【幹事長】我々は具体的な対応は変わりません。現段階でイラクに自衛隊を出すことには反対ということです。

 理由は大きく2つ。1つは憲法との関係。非戦闘地域・戦闘地域についての説明、先般もNHKで討論しましたが石破長官の説明は全く論理的に破綻していると思います。

 もう1つは、日本の成すべきことは今自衛隊を出して占領軍の一部と見なされることではなくて、国際的な協調体制をつくることに日本の外交力を集中すべきであるということです。

 ただ、行かれる人たちに対しては、これは命令に基づいて行かれるわけですから、そういった方々の前であまり反対と声を上げるよりは、行かれる以上、安全に任務を果たされるよう、そこは彼らの立場を考えれば、そういう思いも一方でしながら、行くこと自身について問われればもちろん反対であるということになります。

■北朝鮮問題に対する党外交

【記者】(日経)党外交についてですが、北朝鮮の関係で、党としてもできることはないかということでしたが、もう少し具体的に、中国・韓国との連携についてなど、もしあれば伺えますか。

【幹事長】訪中の間にある1つの議論の中で、日中国交回復には野党が重要な役割を果たしたと。日朝についても同様に民主党の果たすべき役割があるのではないかという議論が出ました。

 私はこのことについて否定するつもりはありませんが、ただ一方で、日中外交のときにはなかなか政府が動きにくかったところ、自民党の中にも賛成・反対があって、政府としても動きにくいところを野党が補完したということだと思います。北朝鮮の問題は状況が違いますし、下手をすれば二元外交になってしまいますので、そこは慎重に考えなければならないと思っています。

 先ほど申し上げた、拉致問題対策本部ができたのでという話は、ちょっとそういうこととは次元の違うことで、具体案は今練っているところですので申し上げられませんが、民主党としてできることがあるのではないかと思っております。具体論は今申し上げられません。

 それから、平沢議員、また我が党の議員も含めて北朝鮮側と接触されたようですが、ここは情報が限られていますので、特に今コメントすることはありません。福田官房長官の言っておられるように、基本的には政府ルートでやるべきだというのは、筋論としてはその通りだと思います。

 ただ、1つのサインが示されたわけで、それを政府として受け取って、単に無視をするのではなくて、それがどういう背景に基づいてそういうサインが送られたのかということはしっかり踏まえて、もしチャンスがあるのなら、5人の皆さんのご家族が離れ離れの状態がもう1年以上続いているという極めて非人道的な状況が続いているわけですから、チャンスがあるのであれば、それは見逃すことなく掴んでいくことも必要だと思います。

 私が申し上げたのは北朝鮮に行くべきだということではありません。そういったサインを見逃すことなく対応していくことも政府の責任ではないかと思っています。

【記者】(NHK)与党側も、日本独自で送金を停止するような外為法改正案や特定船舶の検査をより行いやすくするような法案を準備しているようですが、そういったことも念頭に置いて民主党としても対応を考えていくのでしょうか。

【幹事長】私が先ほど言ったのは少し次元の違う話です。送金停止は我々もマニフェストの中で約束していますので、法案を国会に出したいと考えています。

 ただ、出すこととそれを直ちに発動することとは別の話ですので、まず出して、カードを増やすということですね。これは選挙で申し上げた通りです。

■年金改革の与野党協議

【記者】年金の問題についての与野党協議についてどう考えていらっしゃいますか。

【幹事長】今、具体的にそういう話は私は聞いていませんが、今出てくるとしたらそれは用心したほうがいいと思いますね。

 今、政府案がまとまりました。法案の形で出てきます。それに対してきちんとした議論がまず必要だと思いますね。そういったものが全て終わったあとで、つまり今回の案というのは全くの目の前にある辻褄合わせで、長い目で見た安定した年金制度というには、マスコミ各社も社説で述べておられるように、そういうものではないわけで、やはりそこは国会の中できちんとした議論が必要だと思います。

 そういった議論が終わり、国会が終わったあとで、法案がどうなるかは分かりませんが、次のステップとしての議論が出てくるというのであれば、時と場合によっては可能性があるのかも知れません。

 しかし、今それを言うことは、今度出てくる法案がいい加減なものであることを覆い隠すために、目くらましとして出てくるという部分が強いと思いますので、そういう話に簡単に乗るわけにはいかないと思っています。あるとしたら参院選の後ではないでしょうか。

【記者】どちらかというと、まったく新しい年金制度を提案していくという意味合いでしょうか。

【幹事長】基本的にはそうだと思います。まず、与党の提案をまとめていただくのが先ですよね。我々は大きな方向として持っているわけですから、その中で議論をしていくというのはあるのかも知れません。

 他になければこの辺までにします。引き続き、夏までは幹事長を一生懸命やらせていただきますのでお付き合いをいただきたいと思います。では、良いお年を。


編集/民主党役員室


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