2004年1月16日(金) | >>菅直人代表の記者会見録 | 戻る/ホーム/記者会見目次 |
岡田克也幹事長 定例記者会見要旨
○比例第一党として国民の広い意見・支持を重く受け止めながら国会に臨む ○イラク問題は米の単独行動が発端、総理の一国平和主義批判は詭弁も甚だしい ○自民党大会:党改革案は示されず、政治腐敗への反省や危機感が全くない ○陸自本隊の派遣前に国会承認となれば極めておかしい、再度承認が必要 ○国連待機部隊と憲法9条改正は矛盾しない、これから党内で議論していく ○国民投票法の制定は国会全体のスケジュールとの関係で考えること ○政府・与党の年金改革は小手先の数字合わせ、民主党案を法案化して論戦 ○民営化推進委の意見が無視されたことは委員会の崩壊状態を見れば明らか ○候補者が比例区で他党の支援を明確に訴えることは政党として健全ではない ○日本再生のカギ:女性が力を発揮できる環境づくりを民主党は提案していく |
■通常国会に臨んで
【幹事長】まず、通常国会が来週から始まります。両院議員総会も月曜日に予定をしていまして、そこで代表始め国会に挑む基本的な考え方を述べることになると思います。
私も含めてその場で発言をしたいと思っていますが、この国会は参議院選挙を控えて非常に重要な国会であると位置づけています。日程的にも非常に窮屈ですが、そういう中で十分な実のある中身のある審議をしていきたいと思います。
冒頭はやはりイラクの自衛隊派遣の問題についての国会承認が焦点になると思います。ここは繰り返しになりますが、しかし陸自の本隊はまだ命令が下っていない状況ですから、チャンスはまだあると考えています。しっかりとした議論をしていきたい。
我々がなぜ自衛隊の派遣に反対しているのか。1つは憲法上の問題、もう1つはイラクの国民の立場に立った復興をしていく中で、今、日本が果たすべき役割というのは自衛隊を出すことではない。
むしろ、国際的な国連中心の協調体制をつくっていくためにこそ日本が役割を果たしていくべきで、その役割を果たしていくためには中立的な立場が重要であると。
自衛隊を出すということは占領軍に対する、その一部になるという印象をイラクの人々あるいは中東の人々に与えることになる。我々の大きなアドバンテージを自ら降ろすことになってしまう、こういうことです。そういったことについてしっかり議論していきたいと思います。
あわせて、石破防衛庁長官を中心にいろいろな従来の考え方をかなり飛び越えたような、例えば戦闘地域についての考え方、正当防衛についての考え方、論理の飛躍がありますので、そういうことについてもきちんと議論をしていかなければいけないと思っています。
次に経済の問題は、一部に明るさが見える、政府の景気に対する認識も、意識して
「良くなった」ということを述べているように思われますが、しかし地域経済を始め実態はそう変わっているわけではないということです。
雇用の状況も引き続き厳しいわけで、そういった中で、橋本内閣のときの9兆円の負担増のような、失政によって景気回復の芽を摘んでしまうということにならないように、予算の組み替えを始め思い切った政策が必要で、そのことについて我々の予算案も提示しながら、しっかりとした議論をしていかなければならないと思っています。
3番目に、いろいろな小泉内閣の改革話です。個々に申し上げることは避けますが、道路公団の問題、地方分権や年金、そういったことについて対案を提示しながらしっかり議論をしていくことが重要だと思っています。
民主党も国民の皆さんに比例第一党としてのご支持をいただいたわけですから、2200万の国民、あるいはその背後にあるより広い国民の意見、支持、そういったものを重く受け止めながらしっかりとした議論をしていきたいと考えています。
■自民党大会
次に、今日自民党大会が行われていますが、1つは小泉さんの発言ですが、「一国平和主義になってはいかん」と、「国際協調が大事だ」と、こういうふうに言われているわけです。小泉さんに、「あなたのいう国際協調とは一体何なのだ」とお聞きしたいと思います。
イラクの問題は、我々のいう国際協調とは、国連を中心とした国際的な協調体制ということを常識では考えるわけですが、このイラク戦争はもともとそうした国際協調体制を破って、単独主義による行動、武力攻撃というのが発端になっているわけで、このイラクの問題で国際協調が大事だというのは、何を言ってんだという印象を受けます。詭弁も甚だしいというふうに思います。
私どもはあくまでも国際社会が国連を中心に一体としてイラクの復興支援ができるように日本はもっとしっかりとした役割を果たしていくべきで、それは自衛隊を派遣することではないと申し上げているわけです。
小泉さんは対米協調ということを国際協調とほぼ一体化しているんではないか、小泉さんの頭の中では国際社会というのはアメリカ社会なのではないかと、そんな印象を持って小泉さんの挨拶を受け止めました。
それから、自民党の中でいろんなことを言っていますが、私が非常にがっかりしたのは、党改革についての具体案が全く示されていないということです。
自民党運動方針の文章の中には、「これまで、われわれは議員定数と議員歳費の削減、政治資金制度改革など、率先して国民の信頼にこたえるための改革を実施してきた。しかし、いま国民が政治に求めているのは、自らに痛みを課すことでよしとするのではなく、政治に課せられた本来の使命を果たしていくことにほかならない」というくだりがありますが、昨年、例えば徹底的に腐敗していた自民党長崎県連問題、あるいは今回の選挙においても、本来の意味の買収で逮捕者が相次いでいること、そういうことに対する反省や危機感が全く見られないわけで、国民に対して自らの党を改革していくという姿勢は見られません。
わずかにあるのは、「『党改革検証・推進委員会』において来るべき参議院選挙勝利を目指し、国民に信頼される政治を実現するための党改革案をとりまとめ、実行していく」と。あくまで党改革は参議院選挙勝利のためであると自ら言われているわけで、本来の意味での改革というにはほど遠いというか中身がない。
認識自身も選挙目当ての改革はやりましょう、形はつけましょうということを言っているに過ぎないわけで、この程度の認識では改革などとてもできないし、元々やる気もないんだなと受け止めざるを得ないと思っています。大変残念なことです。
■陸自先遣隊の出発
【記者】冒頭の発言でかなりの部分おっしゃってるんですが、今日、陸上自衛隊の先遣隊がいよいよ出発することになると思います。それに当たっての改めてのご見解を伺いたいと思います。
【幹事長】先ほど述べたように、我々は自衛隊の派遣は憲法上の問題がある、そして政策論としても今、自衛隊をイラクに出すということは、イラク国民の立場に立った復興支援というものに対して決してプラスの効果はない、むしろマイナスの方が大きいと考えています。本隊の命令がこれから下るわけですから、それまでの間、国会でしっかり議論していきたいと考えています。
なお、付言しますと、本隊の命令が出るまでに国会の事後承認を求めるということになると、そこの矛盾も出てくるわけですね。彼らは一般的な命令がすでに12月に下っていると、だからそれに対する事後承認だというわけですが、まだ建前で言うと本隊が出ない可能性があるんですね。先遣隊の調査結果によっては、本隊の派遣命令が出ないという可能性があります。
もし、それまでに国会の事後承認をするということになったら、国会は承認をし、そして政府はそれと矛盾する命令をする、あるいはしないという可能性もあるわけで、極めておかしなことになると思います。
私は個々の命令に対する事後承認が必要で、そういう意味で本隊の命令が事後承認の後になるのであれば、もう1回事後承認が必要であると思います。
■国連待機部隊/憲法改正
【記者】先日の党大会で、菅代表が国連待機部隊の提起をなさいました。同時に憲法改正に臨む姿勢として、9条改正も含まれるというふうにおっしゃった。待機部隊というのは本来、9条を改正しない状態での国際貢献というところから出てきていると思うんですが、これは党として今後どのように整理していくんでしょうか。
【幹事長】9条の問題というのは国際貢献だけではないかも知れませんので、そこは一般論として9条も対象になると言われたのだと思います。ですから、2つの発言は矛盾しないと私は思います。
国連待機部隊については、代表が問題提起をされましたので、これからしっかり党の中で、具体的な内容も含めて議論をしていくということだと思います。
【記者】代表は党大会で、憲法改正の党内論議を始めるようにという考えを示されましたけれども、党の意思決定として、それを受けた手続きは取っていないように理解していますが違いますか。
【幹事長】そんなことはないと思います。党の中には憲法調査会がすでに設けられていますので、議論する体制はもうできているわけです。
したがって私の理解では、憲法調査会は政策調査会の中にあるわけですが、そこですでにまとめた中間報告もありますので、それをたたき台にしながらさらに議論して、議論の材料を作ってもらって、そして全党で議論していけばいいんだろうと思います。
【記者】そうしますと2006年までに民主党の改正案を創るということも党の目標になったと理解していいんですか。
【幹事長】代表がそういう問題提起をされましたので、私としてはそういうふうに受け止めています。その前提でこれから作業していくということですね。その改正の中身がどの程度の中身かということはこれからの議論、状況によって決まってくると思います。
■国民投票法案
【記者】代表が大会後の記者会見で、国民投票法案の対応について、緊急性は冷静に判断したいとおっしゃっているんですが、政局的な見方を除けば、あれだけ改憲姿勢を鮮明にした以上、今度の国会に通すことについて何もためらいはないのではないかと思うんですが、その辺幹事長はどのようにお考えですか。
【幹事長】これは政局抜きには語れない部分がありますから、また逆に言うと自民党も含めて、ここ1年間くらい改正案が出てくることはないということになっていますので、そういう中で慌てて手続法だけ成立させるという具体的な必要性はないですね。じゃあ駄目かというとその理由もないんですね。そういったことだと思います。
あとはこの国会の全体のスケジュールとの関係で考えていけばいい問題ではないかと私は思っています。かなり盛りだくさんですから、そう簡単に議論できる状況はないのかなという気もします。私個人的には、時間があればやったらいいじゃないかとは思いますけどね。
■通常国会の焦点
【記者】今度の国会での争点、あるいは一番注目されているところについてコメントをいただけますか。
【幹事長】先ほども申し上げた、まずはイラクへの自衛隊派遣の問題ですね。もちろんイラクの問題はそれだけではなくて、基本法の制定が2月、そして暫定議会、暫定行政機構ということで、今の予定では国会開会中にそういったことが起きてきますので、その都度これは問題になっていくということだと思います。
それから年金改革。「抜本改革をします」というのが自民党の選挙における約束だったんですが、今回の案が抜本改革だとは、さすがに自民党も言えないだろうと思います。そういった小手先の数字合わせに過ぎないわけですから、このことに対して我々としては、きちんと総選挙で約束した考え方を法案の形にして、国会の中で大いに論戦をしていきたいと考えています。
あと道路公団民営化ですね。これは我々は無料化ということを言っています。今回の政府の案は、結局、整備路線はみんな造るという前提で組み立てられていますし、民営化についても、極めて分かりにくいというか、民営化委員会の結論がほとんど無視されているわけですね。
そのことは今、民営化委員会が崩壊状態にあることからも明らかで、何のための民営化なのかということについて、あるいは今までいろいろ議論してきた過程で総理もいろいろ発言をされていますが、それをほとんど反故にしてしまっているということの政治責任も含めて議論しなければならないと思います。
あと地方分権の話、国民保護法制など、かなり大きな課題がたくさんある国会だと思います。基本姿勢は、反対のための反対ではなく具体論を示しての堂々たる議論、そして、そのうえでの批判ということを心がけていきたいと思います。
もちろん、全ての法案に反対するわけではありません。野田国対委員長も言っておられるように、今までの実績を見ても、賛成する法案もかなり出てくるわけで、いいと思うものはもちろん賛成していくというのは当然必要だと思います。
■名目成長率2%の撤回
【記者】自民党が先の衆院選で、2006年度の名目成長率2%を掲げましたが、今日の経済財政諮問会議で、名目成長率について実質的に目標を引き下げることを決めるようなんですが、それについて幹事長の考えを伺えますか。
【幹事長】ちょっと事実関係を把握していませんのでなかなか申し上げにくいんですが、公約したことについて、直ちにそれと違うということが公式に決められたとすれば、数字について明らかに違うものが決められたとすれば、それは有権者をナメてるとしか言えないと思います。本来、できないのであれば約束してはいけないわけですから。
■外為法改正案
【記者】先ほど行われた与野党国対委員長会談を踏まえて、自民党側がブリーフの中で、外為法改正案について「与野党共同でやりたい。基本的な理解は得られたと思う」という認識を示しているんですが、民主党は賛成してくれるという認識でしゃべっていたようなんですけれども、その問題は別としても、外為法改正についての対応をお聞かせください。
【幹事長】これから具体的な法案の形にして、もちろん我が党としてまとめた法案が与党の案と一緒であれば、それはいろんな提案の仕方について、別々に出して、同じものですから、どちらかに賛成するという考え方もあれば、共同提案というのもあるんだと思いますが、まだ中身が固まっていませんから、そういう意味では今の段階では何も言えないと思います。
■参院選におけるイラク問題の争点化
【記者】自民党の党大会で小泉総理が、参院選でイラク問題を争点にしたいという考えを示されましたが、それについて民主党の考えを伺えますか。
【幹事長】もちろん、イラクへの自衛隊派遣の問題は、今年前半この国会でも最大の争点と言っても過言ではないと思いますし、当然参議院選挙でもそのことは問われることになると思います。
■代表の公明批判、公明への投票依頼問題
【記者】代表が党大会でおっしゃった自公連立政権について、やや神崎さんとの間でヒートアップしている感があるんですが、民主党としても党内に公明党にある程度頼って選挙をやった人もいて、はっきり言わないまでも期待している人がいる。そういう中で菅代表がおっしゃっていることについて、選挙の責任者として幹事長としてどうお考えになっていますか。
【幹事長】まず明らかにご本人ではないんですが、後援会その他、本人の周辺の支持者が「比例は公明党」ということを述べた、残念ながら我が党にも3名いらっしゃいました。そういう人たちに対しては、文書でと書かれたこともありますが、私は口頭で注意をいたしました。
自民党の場合には、私は国会でも取り上げて、そのときは小泉さんもあやふやなことを言っていましたが、全く危機感がないですよね、小泉さんには。
例えば、党大会で多くの自民党の候補者が「比例は公明党」と言ったことについて、具体的な言及をしない、危機感を持たないというのはもう政党としては末期症状じゃないかと思いますね。もちろん同じ連立を組んでいるとしても、比例について個々の候補者が明確に他党の支援を訴えるというのは、政党として健全な姿ではないと思います。
我が党にも経緯上いろんなことがあると思いますが、私としては比例について、公明党に限らず、他党の支持を訴えていくということがあれば、これからも厳しく対応していきたいと考えています。
■女性とのネットワークづくり
【記者】参院選に向けての女性票対策についてですが、幹事長を中心に女性のネットワークづくりをされているようなんですが、その辺の話を伺えますか。
【幹事長】まず、その「女性対策」とかそういう発想自身が間違っていると。女性向けマニフェストとか、ずいぶんお叱りをいただいたりして、そう言われればそうだなと思いますが、ただ我が党は女性の支持が男性に比べて低いということは事実ですので、私は女性の力をもっともっと引き出していくということは日本再生のキーだと考えているんですね。
人口の半分以上を占める女性が十分自らの力を発揮できていないという現状は改めて、その力を発揮するという意味は別に仕事だけではなくて、いろんな環境、いろんな場面で力を発揮できる環境をつくっていくということは日本再生の本当に重要な部分ではないかと考えています。
そういったことについて、党としてもしっかりそのための政治ができることをしっかり提案をしていくということをやっていくなかで、女性の支持が高まっていくということは期待したいと思っています。
いろんな女性の方の意見を聞いていると耳の痛い話もいただきますが、そういったことも、今申し上げたようなことをやっていくなかで重要だと思います。
編集/民主党役員室
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