2004年4月9日(金) | >>菅直人代表の記者会見録 | 戻る/ホーム/記者会見目次 |
岡田克也幹事長 定例記者会見要旨
■民主党女性支援基金の拡充
【幹事長】まず、お手元に資料を配らせていただきましたが、民主党の女性支援基金というものがあります。資料のとおり、今まで国政から市町村会議員の皆さんまで、党全体含めて、162名の方がこの基金を利用され、そして93名の方が当選をされています。この女性支援基金につきまして、先般相談をして、今年の予算は1000万円を予定していましたが、3000万円に拡大して、特に国政レベルの候補者に対しては、従来の100万円を200万円に引き上げるということを、私のところで決めさせていただいたところです。
同時に、女性の政治家を志している方を積極的に支援するという観点から、女性支援基金の愛称を公募するということになりました。4月末までを期限にして、その作業を行っていきたいということを考えています。
■在イラク3邦人拘束事件
【幹事長】さて、今日は奇しくもフセイン政権崩壊後丸1年になります。そういう中で、今回の日本人の拘束が行われました。このことにつきましては、お手元に談話をお配りしています。先ほど、昨日作りました対策本部第1回目を開催しまして、その場において協議をしていただき、談話として取りまとめたものです。たまたま菅代表も、九州・種子島のほうへ行っておりましたので、羽田から国会までの車中で相談をしてまとめたものです。それを対策本部でオーソライズしたということです。
ここに書かれた通りですが、改めてかいつまんで申し上げますと、まず今回の事件に対して、こういった形で人質を取るというやり方、そして自らの条件が満たされなければ殺害を示唆するような、こういったやり方に対して、激しい怒りを禁じえないところです。先ほど、代表のところに3人のご家族の方もお見えになりましたが、その思いを、心中をお察しますと、本当に言葉もないところです。犯人グループに対しては、即時に、無条件で3人を解放するように強く求めたいと考えています。
しかしこうした事態は、ある意味十分予測できたことです。当然、自衛隊を出すことを決めたときにそのようなリスクも踏まえて、決定がなされたのです。
したがって政府は、こうした事態が不幸にも現実化したということですので、その対応に万全を期して、そしてもちろん脅しに屈することなく、人質の救出に全力を挙げてもらいたい考えています。同時に、イラクに残る他の邦人の安全についても強く政府にその安全の確保を求めたいと思っています。
党としては、もちろん従来から、アメリカやイギリスによる大義なき戦争に強く反対をしてまいりました。またイラク特措法が、いろいろ問題があると、戦闘地域と非戦闘地域の区別はできないということを申し上げてまいりました。
私自身も、予算委員会の場で、将来シーア派が、自らの意見が受け入れられないということで、アメリカに対してより敵対的な行動に出た場合には、サマワもどうなるか分からないと、そういう意味で将来に渡って戦闘地域になることがないと言われる、非戦闘地域というのはそれは言えないのではないかとうことも申し上げました。
あるいは今、自衛隊を出すことが、イラク国民の日本に対する見方を変えてしまうことになるのではないかという、そういうことも申し上げて、自衛隊の派遣に反対したところです。残念ながら、我々が考えていたことが現実のものになりつつあるということかと思います。
いずれにしても、こういった事態を招いたことに対しての小泉総理の重大な責任ということは、指摘せざるを得ないと思います。
ただ、今何をすべきかという観点で考えたときに、そういった総理や政府の責任を追及していくということよりも、今のこの時点で言えばですね、捕らえられた3名の日本人を無事に取り戻すということに、全力を傾注すべきであるということは明らかだと思いますので、いろいろ我々としては言いたいことはありますが、そのことは当面横に置いて、政府に、必要があれば、求めがあれば全面的に協力をしながら、3人の邦人の方の救出に向けて我々も協力をしていきたいと考えているところです。
<質疑応答>
■民主党側からのアクション
【記者】(共同)幹事長は今、最後に「求めがあれば」とおっしゃいましたが、民主党のほうから、例えば党首会談を申し入れるですとか、そういったこちらからのアクションというのは考えていらっしゃらないのでしょうか。
【幹事長】今のところ、具体的にそういったことはありません。求めようにも総理自身が国会にずっと出ているわけですね。我々は、本当に厚生労働委員会、国土交通委員会に総理が出続けることが、この緊急事態における一国のリーダーのあり方として適切なのか、疑問に思います。率直に言って。
しかしそれは、政府・与党がそういったことを強く主張された結果ですから、我々としては、やむを得ないものとして審議を行っているわけです。
先ほどの菅代表に対する、「これからどうするのか」という問いに対する総理の答えは全くありませんでした。相手が分からないのだと、一言で言えばですね、その一言だったと思います。当然予想されたこの事態に対して、あまりにも準備ができていない。心の準備も含めてですね。そのことが垣間見えた答弁だったと思います。しっかりとした対応をしてもらいたい。こういうときにこそ、国のリーダーとしての資質が問われるというふうに思っています。
■週末の連絡体制
【記者】(日経)犯行グループは、3日以内の自衛隊の撤退を求めているのですが、この週末にかかってくるかと思うのですが、民主党として週末の連絡体制や幹部の方の対応で、方針のようなものが決まっていれば教えてください。
【幹事長】まず、情報収集が非常に大事だと思います。したがって、党本部としては24時間態勢でこれから情報収集に当たっていきます。現地の情報も重要かと思います。したがって、藤田国際局長を今晩、確か8時だったと思いますが、アンマンに向けて出ていただきます。スタッフと合わせて2名でアンマンに常駐をして情報収集に当たってもらうということにしています。
恐らく日曜日の夜遅くに本部を開催することになるのではないかと思っています。それまでも常時、情報収集に努めていきたいと考えています。
■自衛隊撤退の是非
【記者】(NHK)今日の代議士会でも、執行部として今は、政府・与党に協力していくと、3名の救出に協力していくということは分かるけれども、やはり大義がなく、こういうことが実際起きてしまった以上、自衛隊を撤退させるべきだということを、政府に求めるべきだという意見も出されていましたけれども、それについては、どう理解を求めていくのか、幹事長としてはどう整理されていくのかという点と、これは3日間という期限がつけられていますが、どこでどうなるか分からないのですが、本来の民主党の主張に戻るタイミングというものは、現時点ではどうお考えになっておられるのでしょうか。
【幹事長】本来の主張というのは、自衛隊を派遣すること自身に反対したという意味ですか。
【記者】はい。
【幹事長】党の中に、一部ですね、おっしゃったような議論があることは確かだと思います。私は決して多くないと認識していますが、いろんな意見がある中で、直ちに自衛隊を戻すべきだという発言もあったようですから、そういうふうにあるのだと思います。
ただ、こういう緊急時においては、やはりトップダウンで物事を決めていかなくてはなりません。今、党を挙げて議論をしているだけの時間はないと思います。そういう意味で、この対策本部の中の議論として、先ほど申し上げたような基本的な考え方を決めたところであります。
もちろん、党内的な論議、これから重要になると思いますので、今日は金曜日ですから、月曜日にそういった議論の場を設けたいと考えているところです。
もともと、自衛隊派遣に反対していたのではないかということについては、それはその通りです。先ほど言いましたように、我々が懸念していたようなことが、まさしく起こっているということだと思います。同時にイラクの今の状況は、ここ数日、一段と、フェーズが変わったというかですね、そういう状況になってきているということも言えると思います。
したがって、我々としてはより強く自衛隊の派遣に反対をするという立場を再度確認し、主張していかなくてはなりませんが、しかし今このタイミングでそれを言うことが、テロリストと言いますか、誘拐犯の主張を100%そのまま受け入れたと誤解を招きかねませんので、今敢えてこのことを言うつもりはありません。
物事は、やはり順序がありますから、今はとにかく無事に戻すこと、それに全力を挙げる、そして、そのことに目途がついたところで、本来の自衛隊の扱いについての議論をしっかりしようと、こういうことだと思います。
■補選の争点
【記者】(時事)目途がついた段階で、改めて主張をしていくということでありますけれども、目途がついた段階で、今後の補選の争点としてこの問題を取り上げていくおつもりがあるのかということと、関連して、3補選の現在の状況についての認識を改めてお聞かせください。
【幹事長】状況がどういうふうに展開していくかまだわかりませんので、問題の解決が2、3日でなされるのか、それともずっと引きずった状況が続くのか分かりませんので、今の段階で補選に対する影響というのは、なかなか測りがたいものがあるというふうに思います。
それから、補選の状況ですが、3つの選挙区それぞれ、大変候補者に頑張ってもらっていると思っています。それぞれの選挙区、党として、大切にしたいと思っていますが、中でも埼玉と広島については、非常に接近した戦いになっています。
そういう意味で、ここについて勝つか負けるかという状況になっていますので、しっかりとした党を挙げての対応としていきたいと思います。私もこれから埼玉に向かいたいと思っています。
■テロリストからの最後通告時の民主党の態度表明
【記者】(朝日)そうは言っても、3日間の期限ということで日曜日の夜にタイムリミットが来るわけでして、もしテロリストがもう一度、撤退しなければ具体的に人質に危害を加えるとなった場合、民主党としての態度表明はあるのでしょうか。つまり、撤退すべきかすべきでないかということです。これは政権を取ったときにどうするかという、政権に近づけば近づくほど問われてくることではないかと思いますが、その辺りのお考えをお聞かせください。
【幹事長】頭のいい方はすぐ、頭の体操、ケーススタディをしたがるわけですが、私はこういう人の命が関わった問題について、「もし」とか、「万が一」とかそういう仮定に基づく議論をすべきではないと思います。
編集/民主党役員室
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