2004年5月7日(金) >>菅直人代表の記者会見録 戻るホーム記者会見目次

岡田克也幹事長 定例記者会見要旨

○3党合意:真面目な気持ちで考えたとき、与野党間で最低限の共通の基盤を
政府案反対は変わらず、民主案は優れているが、いつまでも対立だけでよいか
民主党の真面目さ、国民の立場に立って考えているということが必ず理解される
協議機関設置は突然出てきた話ではなく、民主党案にも書いてある
強行採決されて、民主党は反対だけしましたというよりは、国民に説明できる
出処進退は代表が決断すべきこと、ナンバー2として支えていくのが自分の務め
政府案には依然反対、大きな問題点があることを参院審議でも厳しく指摘
民主党案を取り下げたわけでない、政府案より優れているという前提で議論
3党合意を認めないということは執行部への不信任の意思表示と受け止める
またもや代表を引きずり下ろせば、政権を担うに足る政党とは見られなくなる

■年金問題に関する3党合意

【幹事長】今日は、皆さんのご関心は1点に絞られていると思いますので、先ほどの両院議員懇談会を踏まえて、現在の私なりの考え方を少し述べてみたいと思います。

 3党合意について、賛否両論出ました。私としては、それまでもご説明を申し上げましたように、迷った末での決断でした。

 1つは、年金制度という極めて難しい問題について、これは国民の皆さん1人ひとりそれぞれ、自らの老後の問題ですから関心が深いのは当たり前、そしてある意味では、年金所得というのは損得に直結する問題ですから、非常に政治的に困難な問題です。

 その困難な問題に政治が本気に取り組んで解決していくためにどうしたらいいのかという視点で考えたときに、これはやはり今まで委員会での審議を行ってきましたが、そういう中で、与党側が与党案を振りかざし、そして、それに対して野党が反対をするというだけでは、これは解決しない問題だと思っています。

 つまり共通のベースのところは、与野党で共有しながら議論しませんと、選挙もそれぞれ抱えていますから、その選挙に利用するというそういう視点が前面に出てしまいますと、いつまで経ってもまとまらないということになるわけです。

 そういう真面目な気持ちで考えた場合に、やはり与野党間で最低限の共通の基盤を持つべきだと私は考えています。

 スウェーデン方式とよく言われますが、スウェーデン方式というときに、出来上がった中身もさることながら、8割の議席を抱える与野党が一緒になって議論してつくり上げたと。そのやり方をもってスウェーデン方式と呼ぶこともあるわけで、私は困難な問題についてそういう形で議論していくということは、問題が困難なだけに、年金の問題については必要なことではないかと実はかねてから思ってきたわけです。

 そのことと、もちろん政党ですから選挙も考えなければなりません。目の前には参議院選挙があります。参議院選挙を考えたときに、どっちが有利か不利か、幹事長としてはこのこともあわせ考えていかなければなりませんが、私は国民の皆さんの良識を信じたいと思っています。

 つまり、これが談合だとか、自民党に上手くやられたとか、そういうふうに批判することは簡単ですが、同じようにずっと対立したままで本当に国民的合意が形成できるのか、私はそれはそうではないと思っています。

 もちろん、今申し上げていることは、だからと言って与党案を認めるということではありません。与党案は極めて不十分な、数字の手直しに過ぎない。これは我々が以前から主張してきたとおりです。

 そして、民主党の案の優れた点、消費税を導入することで国民すべてが年金を受けることができる、そして、その上に払った年金に応じて、一本化・一元化した制度の下で年金が受け取れると。いろいろな職業の変化、働き方の変化に対応できる制度であると。

 そういう意味では私、民主党の案が非常に優れていると確信していますが、その優れている案、与党の中にも我々の考え方に近い人はいるわけですが、そういったものを実現していくためにも、我々野党のまま「反対、反対」と、そして「我々のほうが素晴らしい」と言っても、それは限界がある。

 我々が与党になったとしても、同じように政争の具にするだけで、「反対、反対」とそのときの野党が言ったとしても、これは先に進まないのであって、そういう意味で民主党の真面目さ、国民の立場に立って考えているということが必ず理解をされるものと確信しています。

 いろいろな報道等もあって、今、国民の見方は厳しいかもしれませんが、これは私たちは、これからしっかりと説明していかなければならない。あわせて、もちろん与党の問題点、いい加減さ、そして我々の案の素晴らしさ、それを主張しながら、しかし同時に、与野党の共通の合意を持つことの必要性と、そのための今回の小委員会であり、協議の場であるということをしっかり述べていかなければならない。そういうふうに感じています。

 反対論の多くが、手続き論もありますが、多くは「参議院選挙が戦えない」、こういう話です。参議院選が戦えないのか、戦えるか、それは私は国民というものを一体どう見るのかということに関わってくると思います。私は真面目な議論というものが、時間はかかりますが、必ずや受け入れられると考えています。

 そんなことで3党合意について、私は間違った判断をしたとは思っていませんし、手続き的には若干の瑕疵はあったかもしれませんが、役員会の皆さんの賛同も得てまとめ上げたものだと、そういうふうに考えております。

 これからの国会が気の抜けたビールになるのではないか、とこういう議論も一部の方からいただきました。これは今日の役員会でも、参議院の国対委員長が「何を言ってるんだ」と。「これから政府案についての問題点を指摘し、大いに審議をしていく。自分は自信がある」と、そういうふうに参議院の国対委員長が、自ら言明されています。

 それから、参院選の影響については、参議院議員会長である藁科さんが、役員会の場でも述べられましたし、他の場でも述べられておりましたが、「参議院選挙を考えた際に、合意に至ったほうが、むしろ選挙にとってもプラスである」と、こういうことを述べられているわけで、いろいろな議論があることは分かりますが、私も同じ立場に立つ者です。

 いずれにしても、党の中いろいろな意見がありますが、これからさらに、しっかりと説得をしていかなければならないと感じています。

<質疑応答>

■代表の未納問題との関係

【記者】真面目な議論というのは大変よく分かるんですけれども、しかし国会の冒頭にそういう話はこれっぽっちもなかったと思うんですよね。そういう与野党で共通の基盤をつくろうみたいな、そういう話し合いは、やっぱり菅さんの未納問題が出てきてから急速に湧き上がってきたように思うんですが、それがやはり、先ほど談合とかいろいろ言葉を紹介されましたけど、そういう印象につながってるんではないかと思うんですけど、その点いかがですか。

【幹事長】我々の法案を見ていただくと、協議会をつくるということは法案の中に書いてあるわけですね。

 もちろん前提は、我々の考え方が受け入れられるという前提での協議会ですけれども、法案の性格上当然にそうなんですが、十分ではありませんが、議論をするための小委員会を国会の中に設ける、そして、その委員長は与党が取るけれども、副委員長を設けてそこは民主党が取るということも、内々に合意されていた話ですし、各党協議会も、これからの話し合いですけれども、カチッとしたものをつくることはできると思います。

 もし、これをいい加減にすれば与党側にも大きな責任が来るわけですから、私はそういう意味で、いろいろな最近の状況の中で出てきたことだとは思いません。

 附則での書き込みも含めて、あるいは3党の合意、そういったもの全体を判断する中で、私としてはこれでぎりぎり何もないまま強行採決されて、民主党は反対だけしましたと、しかし、最終的には参議院も強行採決の中で通ったというよりは、国民に対してきちんと説明ができると、そういうふうに考えています。

■代表の出処進退

【記者】今日の両院議員懇談会でも相当出たようですけれども、菅代表自身の未納問題と3党合意が絡まって批判されている部分があると思うんですが、相当党内はですね、ここで一旦けじめをつけるべきだとして、辞任を求める意見を持った議員のほうが多いと思うんですけれども、代表の出処進退については現時点で幹事長、どのようにお考えになっているのか。それと、党内のこれだけ厳しい声をですね、どう吸収していこうとお考えなのかお聞かせください。

【幹事長】代表の出処進退といいますか、お辞めになるかどうかという問題、今日の両院議員懇談会でも辞めろという声は出ました。

 しかし、私はそれが多数だとは必ずしも思っていません。同時にですね、これはある意味では、この党の宿命であるかもしれませんが、鳩山さんのときもそうでしたが、何かあると公開の場で辞めろという声が出てくることは、私は本当に残念なことだと思っております。

 もし意見があれば、ご本人あるいは私を通じて言っていただければいいわけで、ほぼ公開に近いような場面でそういう声が出るというのは、私はある意味で党の未熟さの表れだと思っています。

 この1年半、幹事長としてそういうことを克服しようとして努力をしてきましたが、新しい人が入ったということもありますが、それだけではなくベテランの方も含めて、そういう意見が出たことは私は大変残念に思っています。

 出処進退は、それは代表自身が決断すべきことであって、人に言われて決めるものではないと私は思います。幹事長としては、それはナンバー2ですから、代表が続けてやるとおっしゃる限りは、それを懸命に支えていくのが私の務めだと考えています。

■党内合意の見通し/参院選の争点

【記者】2つお伺いします。1つは、来週の月曜日も両院議員懇談会を開いて、恐らく『次の内閣』もでしょうか、そういう手順も含めて党内の合意を得られるかどうか、見通しについてが1つ。それから、もう1つは、参議院選挙は年金がもう争点にならないということになるんじゃないかと思うんですが、その辺の見立てを教えてください。

【幹事長】後のほうのご質問から言いますと、そういう見方をマスコミの方はされるわけですが、私は全く間違いだと思っています。

 つまり、我々は政府案に賛成するわけではありません。政府案に対しては、依然として毅然と反対するし、大きな問題点があるということは、参議院の審議においても、これから厳しく指摘をしていくことになります。同時に、我が党の案は取り下げたわけではもちろんありません。我が党の案のほうが優れているという前提で議論をしていきます。

 ですから、そこが参議院選挙において争点にならないということは全く考えられないわけであって、むしろ小委員会をつくり、あるいは各党協議の場をつくるということは、与党自身が今の政府・与党案が不十分であると認めているからこそ、そういったことに合意したわけですので、そういう場を通じて議論をしていく姿勢、それに対して国民の皆さんが責任野党として民主党のその姿勢、私は評価していただけるものだと考えています。

 最初の質問は、月曜日の午後5時から両院議員懇談会、どこかの段階で『次の内閣』も開かなければなりません。最終的に月曜日中に方針をまとめなければなりません。

 3党合意に対して、私は選択肢は2つだということを申し上げております。3党合意を認めて──今は生きているわけです、サインをしたわけですから──3党合意の中で、小委員会をつくり各党協議会をスタートしていくということにするのか、あるいは3党合意を認めないということは、これはサインをした私を含めて、今の執行部に対する不信任の意思表示と、そういうふうに受け止めざるを得ないと思います。そのどちらを選ぶかということを、党所属の国会議員の皆さん、あるいは国民の皆さんに問いかけていきたいと考えています。

【記者】先ほどの、手続き論のところで若干の瑕疵があったということで、『次の内閣』で決めるべき話だったという、ここのご説明と、今日の『次の内閣』でも、参加された方の話だと、多くの方、ほとんどの方が『次の内閣』においては3党合意に反対だという意見が多かったと聞いているんですけれども、これについて、今の話と絡みますが、月曜日の段階ですね、逆にですね、3党合意を了とすることができるのか、これについて見通しを教えてください。

【幹事長】3党合意というのは2つの中身からなるわけですね。

 政策の部分、条文を追加するというのは法案の問題ですね。そういう部分と、それから、それを超える政治的な判断の部分、例えば国会の中に小委員会をつくるということは、これは政策の問題ではありません。それから、各党協議会をつくるというのも、政策の問題ではありません。

 したがって、『次の内閣』に関わる部分と、そしてそういった政策に関わる部分、それは国対関係も含めて、それは役員会の所掌、一部常任幹事会もありますが、そういうことですので、そういった両方ひっくるめた話だと思います。

 『次の内閣』での議論もいろいろありましたが、その中で純粋に政策の問題と、そういう責任論のようなところから発したものもありますから、そこはよく整理をしてですね、冷静に議論をしていかなければならないと思っています。今日は第1回ですから、こちらも手続きの瑕疵があったわけなので、自由にものを言っていただいたわけですが。

■けじめのつけ方

【記者】今日の懇談会のほうでですね、やはり辞めろコールが非常に強かったように思うんですが、仮にですね、辞める以外のけじめのつけ方というのは何かあるのか。要は、今まで民主党は政府・与党との際立った違いというものを見せてきたと思うんですが、けじめのつけ方としては、どういうものが考えられるのでしょうか。

【幹事長】辞めろコールが多かったとは、私は認識しておりません。そういう意見もあったということです。

 代表の出処進退は、代表がお決めになることであって、私がコメントすることではないと思います。代表がおやりになるという限り、私は支えていきます。

■代表と執行部の責任

【記者】確認ですが、先ほど、もし合意を認められない場合は執行部への不信任と受け止めるとおっしゃいましたが、この場合もちろん、代表も執行部に入るという理解で当然いいんですか。

【幹事長】それは考え方の問題だと思いますが、そういう大きな意味合いを持つ問題だと思います。少なくとも私自身は大きな責任を負っていると、サインをしたわけですから、そういうふうに考えています。

 いろいろな意味で、今日も福田さんも辞めたものですから、いろいろな意見が出るのは分かりますが、私は党所属の国会議員がそれぞれ冷静に、我々は一体何のために国会議員をやっているのか、この党をいかに強くしていくか、そういう視点でお考えいただいていることと思いますが、そういう視点で是非考えていただきたいと思います。

 今日、石井先生もご発言になりましたが、鳩山さんに続いて菅さんまで、いわば引きずり下ろすような形で辞めさせられれば、それは国民に対して、民主党は政権を担うに足る政党とは見られなくなってしまう、そういう強い危機感を持っています。


編集/民主党役員室


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