「新しい政府」を実現するために/PART III
日本こそが「循環型社会」の世界モデルとなれる
環境リサイクル時代の行政と立法のあり方
Point-1 日本の文化的伝統と先端技術が「循環型社会」を可能にする
Point-2 「大量消費型ライフスタイル」から「環境重視型ライフスタイル」へ
Point-3 環境の視点が欠けている法律は徹底的に刷新する
Point-4 地球環境問題で日本は世界のリード役となり得る
Point-5 農業を新しい視点からとらえ直せば重要性が格段と増す
1.自由な市場機能を活かし、規制や介入は減らします。
二十一世紀は「環境の世紀」です。優れた技術が開発されていくことはもとより、ライフスタイルの転換を通じて、それは現実のものとなると考えます。新しい世紀に向けて、あらゆる政策の上位に「環境」を据え、政府及び民間の活動のすべてを再構築していく必要があります。
民主党は、この国の技術と長い間に蓄積されたノウハウによって、日本を世界に誇る循環型社会とすることができると考えています。
そもそも日本は、典型的な循環型社会でありました。江戸時代の三百年間は、資源を国内で賄い、リサイクルに徹して環境汚染を極力抑えていました。環境問題が私たちの生活に及ぼす影響を考えると、今こそ江戸時代の知恵に学び、資源の使用量を極力抑え、廃棄物などの排出量を徹底的に削減することが必要です。すでに、ある自治体では、「ゼロ・エミッション」社会に向けて、火力発電から太陽・風力・波力など環境負荷のない発電システムへ変換したり、電気自動車を導入したり、建設廃棄物の徹底利用をしたりと、様々な取り組みをしています。このような地域レベルでの取り組みを全国的に展開していくことを通じて、必ずや「循環型社会・日本」の姿が確立されるものと思います。
日本の省エネルギー技術は、常に世界水準のトップを占めています。また、これに加えて、太陽熱や光、バイオ、風力などを駆使した新エネルギーの開発に戦略的に取り組むならば、世界に貢献することも可能です。民主党は、科学技術研究の重点として、環境負荷の少ないエネルギーの開発と社会システムの構築を置き、二十一世紀初頭の戦略プロジェクトとして推進していきます。
しかし、文字通りの資源循環型社会を実現していくためには、政府のみならず、企業や国民一人ひとりの熱意と取り組みを欠かすことができません。私たちは、企業にも素材やパーツの再生利用が可能な製造工程の確立につとめることを求めたいと考えますし、国民の皆さんがリサイクル社会に見合ったライフスタイルを形成していくよう願っています。民主党は、経済的・物質的豊かさを持続させつつ、後世代に環境汚染や環境コストのツケを回す政策については極力これを排し、環境と調和する新しい経済社会の実現をめざします。
大気の汚染や食の安全に対する不安を解消し、国民の健康を守ることは、政府の基本的任務です。国民に新たな不安を呼び起こしているダイオキシン問題や環境ホルモン、遺伝子組み換え食品対策などに全力を挙げ、国民の健康の確保を最優先します。
2.経済が自立成長していくようにバックアップします。
民主党は、成長の限界と地球の有限性を認識し、経済効率性を環境容量内に制御する社会制度の構築をめざします。環境基本法をはじめとする各種の環境法が策定された現在においても、現場での環境破壊が後を絶ちません。これは、事業に関する諸法律の中に、「環境」の視点がほとんど組み込まれていないからであり、すべての政策・法律に対して、環境の視点を組み込み、環境優先の法体系を築くことが必要です。循環型社会の構築に向け、既存の経済社会制度体系を環境の視点から見直し、国民と共に改革していきます。
また、市場メカニズムにおいても、効率性と公平性が確保される反面、外部不経済の問題等が生じ、環境負荷を増大させている現状を改革し、環境への負荷等によって生じる外部費用を内部化し、公正な市場メカニズムを構築する必要があります。それとともに、経済成長(GDP)に代わる環境成長(グリーンGDP)の指標を確立し、社会の成長指標とするよう改善します。
国民全員の環境意識を高めるために
環境権と環境保全に対する責任を明示した環境基本法に「人間の生存に欠かせない良好な環境を享受する権利」を明確に記し、人権としての環境権を確立します。国民の責務として「将来の世代へ良好な自然環境を引き継ぐ義務」を明記します。
また、環境問題の解決のためには、「生活の質」や「豊かさの意味」を、「環境」との関係において明らかにする必要があります。そこで、いかなる行動が環境と調和しつつ豊かさを増進させ得るのかを一人ひとりが真剣に考える機会を構築いたします。大量消費・大量廃棄型ライフスタイルから環境重視型ライフスタイルに転換していくように、学習や教育を学校や地域で推進するための環境学習教育についても基本法に明記します。
ゴミゼロ社会を築き上げるために
資源利用の節約とゴミゼロ社会をめざした「資源循環・廃棄物管理法」を整備します。廃棄物発生を極力抑制し、発生した場合も素材またはエネルギーとして廃棄物を利用することを原則とし、廃棄物の利用及び処分の責任が廃棄物の発生者、保有者にあることを明確にします。特に不法投棄に対しては厳罰をもって臨み、また、産業廃棄物を対象とするマニフェスト(積荷帳票)の添付・追跡を徹底します。生産→回収→リサイクルといった循環社会を構築するために、いわば社会動脈系・静脈系のビジネスを育成し、両者の連携を推進して、「環境配慮が組み込まれた生産システム」を促進します。
化学物質による汚染をなくすために
環境ホルモンなどごく微量でも健康被害を与える物質については、その科学的知見を深めるとともに、当該物質の分布や排出源を特定し規制します。また、科学的に原因が解明されなくても、未然防止の観点から早期に対策を施す基準の整備も進めます。このため、化学物質の表示義務や市場におけるモニタリングなどを規定して環境リスクを低減させ、対策を体系的・総合的に講じる「化学物質総合対策法」を制定します。
遺伝子組み換え食品についても、表示義務やモニタリングシステムの義務化・制度化を進めます。
ダイオキシンについては、発生量に応じた課徴金制度の創設、廃棄物焼却施設の改修などを徹底します。緊急措置として清掃工場の改修・建て替えにあたっての国庫補助率を1/4から2/3へ引き上げます。
環境に関する情報を国民が共有するために
環境に関する情報の多くは、行政や企業に集中的に存在し、国民は自由に情報を引き出すことがなかなかできません。このような情報の非対称性を解消するため、「環境情報公開法」を制定します。また、開発者の挙証責任などを明確にするための法整備を行います。
環境調和型の公共事業とするために
公共事業についても、環境アセスメント法に基づく一層の環境配慮のほか、グラウンドワークやビオトープなど環境再生のための復元型公共事業を積極的に行い、循環と共生のための社会資本整備を国としても率先して推進します。また、環境負荷の大きい公共事業については、途中段階でのアセスメントの導入、見直しや中止を可能とするよう修正手続きの制度化に取り組みます。
河川の自然を守るための市民参加を保障する制度も構築します。このため、森林、河川、海岸等の各法律を、水循環という観点から環境指向的「水循環管理法」の中に統合します。その際、地域の自然的・文化的・社会的特性に応じて、住民が森林や河川の問題に真剣に取り組むことのできるシステムを法律上組み込みます。
3.常に地球環境の保全を念頭において政策を考えます。
地球温暖化やオゾン層の破壊など、今日の環境問題は、一国の努力や制度設計では解決できないものとなっています。それどころか、日本は、優れた技術や豊かな経済力を有する先進国として、これらの地球環境問題に率先して責任を果たしていくことが求められています。民主党は、地球環境問題に対する国の姿勢は、この国のかたちを問うものであり、国内の循環型社会の構築とともに、関係する企業や専門家、NPOなどとの連携を通じて、この課題にチャレンジして行きます。
地球の温暖化を防止するために
温暖化の進行を食い止めるためには、現在の世界の温暖化物質排出量を半分以下に抑えなければなりません。現在の大量生産・大量消費・大量廃棄型のライフスタイルや産業構造を、環境負荷の少ないものへと転換するために、「環境税」の導入を検討します。地球温暖化防止のために国際条約で定められた二酸化炭素やフロンガスの削減目標が達成できるよう、化石燃料多消費型の産業には、環境負荷に比例した課税がなされるよう石油関連税制を抜本的に見直します。一方で、環境保全技術開発には設備投資段階から税制・財政面での手厚い支援策をとります。ハイブリッドカーや天然ガス自動車など環境保全型技術の普及には、補助金や税制優遇措置を最優先かつ集中的に講じます。毎年の目標達成度は、白書で国民に公表します。
オゾン層を保護するために
特定フロンなどの人工の化学物質については、現在、国際的な枠組(モントリオール議定書)によって生産規制がなされています。しかし、機器中のフロンガスの回収は義務づけられておらず、回収も進んでいないのが実状です。オゾン層保護法を改正し、フロンガスの回収と破壊を義務づけるとともに、途上国のフロン対策への国際的支援を行います。また、途上国などに対して、代替物質への移行と破壊処理のための国際的技術支援を行います。
森林伐採などによる自然破壊を防止するために
今日、世界中で砂漠化が進展しています。その結果、生産に適さない土地が増大して、食糧不足など生活条件の悪化や環境難民の発生による社会的な混乱が各地で起きています。また、開発途上国の熱帯地域の森林面積が急激に減少し、各地で環境破壊が問題化しています。日本の木材輸入は、世界の四五%を占め、そのうちほぼ半分を開発途上国からの輸入に頼っており、森林伐採による自然破壊を防止することは、わが国の重大な責務です。砂漠化防止や森林保全のために、樹木医の派遣など植生の回復等の積極的支援を、その地域の住民の生活も考慮し、NPOとも協力しながら進めます。
現存する汚染物質の動向を把握するために
PRTR制度(環境汚染物質排出・移動登録)に関しては、日本が世界の環境法制をリードするべきだと考えます。そこで同制度の対象化学物質の範囲を柔軟にしながら、企業秘密に関して統一的な基準を定めて公開化すると同時に、地方自治体が排出規制などを主体的に行えるようにするなど制度を改善します。
生物と共存する地球環境保持のために
生物の多様性の確保は、人類にとっても重要な課題です。世界各地での開発行為の結果、絶滅の危機に瀕している動植物が多数あります。これらの種を保存するためには、豊かな生態系を育む自然環境を国際的に保全するための財政的支援と、生物多様性に関する国際的な調査研究をNPOと協力しながら積極的に支援します。
また、湿地を保全し、失われた湿地を回復するために、「湿地保全法」を制定します。さらに、良好な生息環境を保全し、野生生物と人間の共存をはかるために、保護より駆除が優先されてきたこれまでの「鳥獣保護法」に代えて、新たに「野生生物保護法」を制定します。
生態系の破壊が進行している瀬戸内海などにおける海洋での海砂採取規制の強化や、埋立の総量規制を導入するなどの法整備を進めます。
4.省エネルギー国家をできるだけ早く構築します。
「循環型経済社会をめざした省エネルギー国家の構築」を目標に、環境優先を基本に、経済のバランスを追求しながら総合的なエネルギー政策を推進します。資源小国であるわが国は、石油、石炭、天然ガスなど必要なエネルギーを国の責任で確保するとともに、「経済発展」「資源の確保」「環境保全」の三つの課題の同時達成(トリレンマの解決)をめざしたベスト・ミックスを追求します。
気候変動枠組条約第三回締約国会議(COP3)での約束の遵守を前提に、エネルギー多消費につながる社会慣習、生活慣習、経済活動を見直し、省エネルギー・新エネルギー関連の技術開発、研究開発の強化を推進します。環境対策、省エネ推進、原子力発電の安全性向上、再生可能なエネルギーなど、アジア諸国のエネルギー確保のための国際協力を強化します。
省エネルギー国家を樹立するために
付加価値の高い省エネルギー型産業構造への転換や省エネルギー型の生活スタイルの普及促進のための実効ある誘導政策の推進につとめます。このため、省エネを促進するグリーン税制の確立、クリーンエネルギー自動車やコジェネレーションシステムの開発、省エネ型住宅建築技術の開発など、省エネ技術の戦略推進などに取り組みます。これらの技術開発や支援税制が十分な効果をもたらすためには、大量生産・大量消費・大量廃棄のライフスタイルや企業活動を大きく変えていくことが何よりも重要です。環境優先のエネルギー教育を徹底し、意識改革を通じた新たな国民的価値観の形成にも取り組みます。
また地球温暖化防止に向け、CO2排出のエネルギー利用を見直し、国際公約の達成につとめます。
新エネルギーの研究開発のために
風力や太陽光など再生可能エネルギーの総発電量に占める割合を二〇二五年に一〇%とします。このため、必要な法整備を早急に行うとともに、新エネルギーの利用技術の研究開発と普及促進のための予算を大幅に増額します。特に、技術的ブレイクスルーが期待される新エネルギーの実用化研究開発を積極的に推進します。特に風力発電は有力な再生可能エネルギー源と位置づけて、わが国の風力事情などの徹底調査を進め、研究・普及への支援を強化します。新エネルギー・産業技術研究総合開発機構を強化・拡大するとともに、核融合などの未来エネルギーの研究開発を積極的に推進します。
石油エネルギーなどに対しては
エネルギーの安定供給確保のために、エネルギーの長期需給見通しについては国会承認とし、エネルギー資源輸入先の分散化など外交的努力につとめ、エネルギー安全保障を確立します。このため、産油国との協力関係の推進とアジア諸国との政策協調を進める一方で、輸入地域の多角化などを進めます。
特に、石油依存度を低下させるため、LNG火力発電所建設、都市ガス利用拡大など天然ガス利用の普及、LNG基地、国内パイプライン網建設など利用環境整備を促進します。さらに、ガス・コジェネレーション、ガス冷房など都市ガスの利用拡大の推進と家庭用高効率機器の開発と普及促進、天然ガス自動車の積極的導入などにつとめます。
原子力エネルギーに対しては
わが国の原子力開発は、安全性を最優先させ、万一に備えた防災体制を確立した上で、過渡的エネルギーとして位置づけながら、慎重に推進します。同時に、原子力安全規制の独立性及び安全チェック機能の強化・充実をはかるため、新たに国家行政組織法第三条による原子力安全規制委員会を創設します。原子力に関わるあらゆる産業・組織における安全意識醸成の促進などによって、原子力の安全を確保します。わかりやすい情報の提供や情報開示の徹底をはかる「原子力情報公開ガイドライン」を設定します。
原子力開発を計画しているアジア諸国での安全に関する認識の定着と技術支援のための「ASIATOM(アジア地域における原子力開発の安全技術支援のための国際組織)」の創設をはかります。
プルトニウムの再利用はMOX燃料、高速増殖炉などの研究開発用として使用計画のある分量のみを抽出し、その他の使用済燃料は中間貯蔵します。その間、安全確保を前提とした使用済燃料の国内再処理事業の確立と核燃料サイクルの研究開発を進め、廃炉技術の技術的安定性と併せて、信頼性確立のための先進国間の協力などを推進します。
5.二十一世紀を展望した、活力ある農林水産業に変えます。
農業及び農村の持つ多面的・公益的機能を考えると、これから農業の重要性はますます大きくなると思われます。特に、環境保全型農業の育成や、環境や景観の維持に貢献する農村のあり方について強い関心が寄せられています。二十一世紀の循環型社会の形成に向けて、農業・農村の新しい役割が期待されています。
にもかかわらず、今日の日本の農業は、農村地域の過疎・高齢化、後継者不足、国際化などで、将来への展望が見えないままで、結果として、食糧自給率の低下や農地の減少など、農業の衰退につながっています。民主党は、これまでの農政の画一主義や価格政策に依存した体質、不十分な農地政策などを転換して、二十一世紀を展望した農業政策を展開していきます。また、同様に多くの多面的・公益的機能を有する森林・林業、水産・漁業政策についても、農業・農村政策と有機的に結びつけながら展開していきます。
また、国民の間に健康と食の安全に関する強い関心があることを踏まえ、国内農業の基本を「安全で健康に寄与する食」の供給に据えていきます。このため、低農薬や有機農法などを取り入れた環境重視型農業の育成・確立につとめます。
WTO(世界貿易機構)次期農業交渉では、多面的・公益的機能の視点や国際協力の観点から、新たな農産物貿易ルールの確立につとめます。
食糧自給率の向上をはかるために
国内生産を基本としつつ輸入・備蓄の効果的な組み合わせで国民への安定的供給を行います。食糧自給率については、世界の食糧需給バランスのためにも重要であるとの認識に立って、その目標をカロリーベースで五〇%とし、自給率向上への具体策を検討します。
新たな土地利用秩序を構築するために
多額の費用をかけて整備した優良農地が、「農業振興地域の整備に関する法律」などによって減反の対象になり宅地化されるなど、農地の利用計画には問題が多くあり、また、都市計画法によるいわゆる「線引き」も、農業政策及び宅地政策として時代のニーズに合わなくなっています。「農業振興地域の整備に関する法律」と「都市計画法」を統合し、新たに総合的な土地利用計画を策定できる体制を整備します。その上で、各地方自治体は、ゾーニングの見直しをはかり、農地を今後三十年間にわたり農業目的に使用するという観点から確保します。
市場原理を活用し、生産体制を強化するために
今後の農産物価格決定については、市場に委ねることを原則とします。農業経営の安定対策については、不足分への所得補償などを一定基準によって行います。事実上強制となっている米の減反については、実質的な選択制とします。
市場原理に対応し得る大規模農業経営体などに関しては、その育成のため、農地流動化の促進など意欲ある農業者の農地集積を支援します。
農業生産法人の育成と担い手を確保するために
農業生産法人については、設立要件の緩和、設立への支援策の確立などを進めるとともに、一般企業並みの社会保障制度を整えます。また、新しく農業経営を希望する人への就農準備金の償還減免なども行い、新規就農を奨励します。
食品流通の合理化と安全対策の確立のために
食品流通のコスト削減に向けて、生産から加工・流通・消費に至る各段階での流通合理化を進めます。その際には、インターネットに食品市場を設けるなど、生産者・消費者相互の直接交流を促進します。また、生産者の顔が見える供給体制を促進し、使用農薬などの表示の徹底や検査・認証制度を確立します。いわゆる遺伝子組み換え食品については、表示の義務づけを徹底します。生ゴミ処理対策として、一般家庭や食品産業などから出る生ゴミの堆肥化促進支援策を確立します。
環境保全型の農業を育成・支援するために
環境保全型農業をこれからの農業政策の基本として位置づけ、有機・無農薬・低農薬農業など環境負荷の低い農業への転換に対しては、助成するなどの支援策を確立します。中山間地においては、農業・農村のもつ公益的・多面的機能(国土や資源の維持管理、自然環境保全、水源涵養、保健休養など)を重視しながら、安全な食糧を都市や地域に提供していくために、明確なルールに基づいたデカップリング(直接所得補償)制度を導入します。
森林の保護と維持管理のために
「水資源を涵養し、二酸化炭素を吸収・固定化する」などの森林が有する公益的機能を見直し、環境保全の観点から森林の維持管理を進めます。特に国有林については、木材生産の視点から公益的機能の保全へとその位置づけを明確にし、適切な国民負担を導入します。森林から受ける恩恵を将来の世代に受け継ぐためにも、また環境の視点からの森林管理と持続可能な森林経営を行えるようにするためにも、「森林交付税」の導入等によって財政的な手当を行います。
資源再生型の水産業になるために
水産資源問題に適切に対処するため、資源管理型漁業や栽培漁業・養殖業といった「つくり育てる漁業」の振興をはかります。また、資源管理に加えて、海洋環境保全、漁業経営の安定などを総合的に進めていきます。
都市住民の理解と交流を深めるために
都市と農漁山村との活発な交流を促すため、市民農園・いきがい農業や観光農業・漁業、水田や森林のオーナー制度の充実、グリーンツーリズムなどを推進します。また、公教育における「農業・農村体験教育」の充実、都市部青年の農村でのホームステイなどを通じて、農業・農村の持つ公益的機能への理解を促します。遊漁の活性化などによる漁村の振興、森林浴の促進や林間教育の充実などによる山村の振興にも取り組みます。
力強い農林水産団体の活動とするために
新たな農林水産業の展開のために、農協・土地改良区・農業委員会・森林組合・漁協など農林水産業団体の役割について再検討を行い、再編成をはかります。