平成12年8月1日 |
岡山市はいま、旧国鉄操車場跡地(旧チボリ予定地)に、「多目的ドーム」の建設を計画しています。
市民オンブズマンおかやまは、8月1日、萩原岡山市長に対して、この計画を撤回するように求める申入書を提出しました。
計画だと、ドームは両翼80M(小さすぎて硬式野球には使えない)、観客席500席という、あきれるような寸足らずなのですが、それでも操車場跡地のいいところを占領してしまっています。市議会はなぜか(今のところ)反対していません。
私たちは、岡山の街にいちばん足りないのは緑地だと考えています。だからあの跡地をコンクリートとアスファルトで塗りかためてほしくないと考えています。(たしかあの土地は、『水と緑の公園』にするとか言って払い下げてもらったのだったと思います。緑地じゃ土建会社がもうからないというわけでしょうか?)
私たちは、この計画をなんとかやめさせたいと考えています。しかし私たちの力だけではとても無理です。多くの市民の皆さんが、立場をこえて(この計画がバカげているかいないかは、常識と分別のレベルの問題であって、イデオロギーに手伝ってもらう必要は全然ないと思います)、この愚行をやめさせるために協力しあうようお願いします。
岡山市長 萩原誠司 殿
多目的ドーム建設計画の撤回を求める!!
私たちは、公費の無駄遣いを監視・制止する目的をもつ市民団体として、岡山市が旧国鉄操車場跡地に計画中の「多目的ドーム建設計画」に強く反対します。この計画を、すみやかにかつ完全に撤回されるよう申し入れます。
- 操車場跡地は、11年前に、市制100周年事業の一環として、「公園をつくる」という目的で購入された土地です。まずもって、多目的ドームはいかなる意味でも「公園」とはいえません。
操車場跡地の使用計画については、購入後11年間にわたって多種多様な構想が検討されてきました。市は従前、プロジェクトチームや「西部公園地区整備推進室」を設けてその総合的利用計画を検討していました。11年間に市が負担することになった金利も、その間の計画検討に要した人件費・調査検討費も、すでに膨大な額にのぼっています。
そうである以上なおさら、この土地の利用計画は総合的かつ合理的なものでなければなりません。でなければ、今日まで市が操車場跡地利用計画に費やしてきた巨額の費用は、ただの無駄遣いに終わってしまいます。
- 市のプロジェクトチームや整備推進室の検討の中にはドーム建設の是非も含まれており、その検討の結果「ドームは不適切」との結論が得られたと聞いております。従来の総合的検討の成果を無視して、降ってわいたように「多目的ドーム」建設が決まるとは、そもそも奇怪です。
しかも、このたびのドーム建設計画は操車場跡地の一部のみの利用計画にとどまっており、ドームに関連づけた跡地全体の総合的な利用計画は全く提示されていません。
このような不透明で刹那的な決定は、納税者市民としては、とうてい納得できるものではありません。
- 岡山市が建設を予定している「多目的ドーム」の規模は、両翼80m、観客席500席と言われています。雪国や寒冷地ならいざ知らず、日本一晴天日数が多く、冬季にも温暖な「晴れの国」岡山で、このような中途半端な規模のドームが必要とは、とうてい考えられません。
そして、ドームの規模が中途半端であることは、このドームに市場性がないことを意味します。また、岡山市の気候特性から判断して、ドームそのものに対する地元需要が少ないことは明らかです。
してみれば、完成後のドームの収益性は非常に低いと考えなければなりません。ドームの運営が市の直営になるにせよ、管理委託契約方式をとるにせよ、岡山市は年間に億単位の費用負担を強いられるであろうことが明らかです。そして、この費用負担はドームが存在し続けるかぎり絶えることがないのです。
- 操車場跡地は、取得後未利用のまま11年が経過しており、このような公有地の「塩漬け」状態が好ましくないことはいうまでもありません。しかしながら、土地が「塩漬け」状態にあるからといって、拙速に収益見通しもたたない箱物を建設することは、借金を返すために競輪場に通いつめるようなのであり、さらに明白な愚行です。
11年間分の利息や調査検討費はすでに市民の負担となっています。その負担がすでにあるからこそ、市民にとって真に有意義な方法でこの土地を利用することが求められるのです。市民は土建業者を潤すために税金を支払っているのではないのです。
- 操車場跡地は、市内中心部近くに残る最後の大規模な空地です。市民が憩える大規模な緑地となりうる最後の候補地です。ドームが建設されれば跡地の中の最良の部分がコンクリートとアスファルトで覆われることになります。そうなってからでは取り返しがつきません。
- 仄聞するところによれば、市が操車場跡地の一部を市開発公社から購入する際の起債に関連して、国から地方交付税が交付されており、それを返還せずにすませようとすることが、「多目的ドーム」建設計画決定の大きな動機になっているとも言われております。
しかし、それが理由でこのたびの性急な決定に至っているのだとすれば、それは事の本末を転倒するものです。地方交付税の返還には、このたびは加算金が付加されるわけではありません。つまらない金惜しみをして杜撰な箱物計画に走れば、かえって将来にわたって、巨大で永続的な経費負担が生じることになり、長く禍根を残すことになるでしょう。
以上の理由により、岡山市が速やかにこのたびの明白な愚行をやめ、計画を完全に撤回されるよう、強く申し入れます。
平成12年8月1日. |