2000/05/05

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17歳の反乱

17歳の少年による衝撃的な事件が続きました。豊川市の高校生による「経験のための殺人」事件と佐賀から広島までの「バスジャック殺人」事件です。さきの5000万円恐喝事件といい、やりきれない気分です。

また「少年法改正を」との声が聞こえます。しかしいずれの事件も、少年審判への検察官関与を中心とする今回の改正案では、解決の手がかりさえつかめません。かえって問題の核心から目をそらせ、解決の先送りになってしまいます。選挙目当てにこれらの事件を利用するのは、政治家の悪乗りで、認められません。

問題はどこにあるのでしょう。まだ各事件の概略しかわかっていませんが、私にはいずれも今の子どもたち自身や彼らを取りまく社会の問題をよく示している、起こるべくして起きた事件のように思えます。現代社会に対する警鐘であって、驚くにあたらない、真正面から向き合わなければならない事件です。

まず教育。「あんな成績の良い優等生が…」といわれます。しかしこれが問題。子どもたちを評価する尺度が単一で、多様な評価基準がありません。「ブロイラー」教育に違和感を感じ、これに収まりきれない子どもはどこかで切れます。学校だけでなく、社会も親も、50年かけてこんな状況を作ってしまったのです。時間がかかっても、価値観から変えていかなければなりません。

答えのない問題もあるんだ、そんな時は悩んだり、友と一緒に泣いたりするしか手はないのだといったことを、今の子どもはどこで経験するでしょう。私が「光の子学園」を始めたのは、そんなことを考えたからです。遊びのこと、友達関係のことなど、問題が多く、子どもがすくすく育ちにくい現代社会です。そもそも大人たちの社会が、悪いお手本を示しているのです。これも50年にわたって。

道に迷った、また迷いそうな子どもたちをどうするか。前にも書きましたが、家裁調査官を中心として、親、少年警察、保護観察所、学校、児童相談所など少年の育成に携わるもの全てが手をつなぐネットワークを作りましょう。

少年法改正は、そうした総合的構想の後に見えてくる課題です。


坪井節子弁護士のメッセージを紹介します
病んだ子どもへの治療的アプローチを



2000/05/05

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