(中国新聞2000年8月20日掲載)

戻るホーム2000目次前へ次へ


あっせん利得罪法どう実現しますか

 国会議員は国民の代表者だから、国民みんなのための政治活動を課せられている。特定の人や団体のため、行政にあっせん行為をして対価を受けるのは、政治を利用した金もうけだ。

 民主、自由、共産、社民の野党四党が提案したあっせん利得処罰法案は、刑法のあっせん収賄罪と違って職務権限がなくても、不正行為を伴わなくても、国会議員が地位を利用し、あっせん行為を金に換えることを禁じている。例えば、道路建設のために口利きをするのはいいとしても、金をもらうのはいけない。

 政治資金規正法による政治献金でも、あっせん行為のあった年の献金額が跳ね上がったら、対価とみなされ、罰が認定される。金を送った側も刑法の贈賄罪と同様、罰せられる。政治家にあっせんを求める際の有権者の意識も問われる。

 私自身、道路建設など様々な要望を受けて、役所へ仲立ちをすることもある。でも「お礼に」と金を持ってきた人はいない。だけど、金をもらうのも出すのも当たり前、と思う人がいるから、中尾元建設相の贈収賄事件のような不祥事が後を絶たないわけだ。

 公明党が秘書も処罰対象にする法案を検討しているし、地方議員も対象にすべきだという論議もある。与党が公明の主張を入れて三党の共同提案になっても、野党案より厳しい内容なら、受け入れる用意はある。

 問題は、本当に秋の臨時国会で成立させる気があるかという点だ。「より実効性のある内容を」と主張したり、他の政治課題を優先したりして、前の国会同様に先送りにされる恐れも感じる。中尾元建設省の事件で、国民は「いつまで国会議員はこんなことをやっている」「なぜ歯止めをかける断を下さないのか」と怒っている。とにかく早期の成立を目指すべきだ。

民主党司法担当ネクスト大臣 江田 五月


(中国新聞2000年8月20日掲載)

戻るホーム2000目次前へ次へ