2001/05/30

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インタビュー 「国会議員に聞く」(江田 五月)


■江田議員は、現在、民主党のNPO委員会の委員長として、民主党のNPO政策の立案に当たっておられます。まず、この民主党NPO委員会の党内での位置づけ、役割についてお話しください。

民主党は、3年前に結党された当初から、NPOを重視していて、この委員会を正式な機関としてつくりました。民主党には、大きく分けると政策部分を担う組織と、党務、つまり具体的な運動を担う組織がありますが、NPO委員会は党務を担う部分に入っています。といいながら、NPOの課題には政策マターも多いですから、つなげてやっています。

具体的な仕事としては、各地のNPOの方々と話し合いをしたり、政策立案で共同作業をしたり、集会を開いたりなどです。このNPO委員会の初代の委員長は岡崎トミ子議員で、私は昨年秋から委員長になった2代目です。委員長は、党の常任幹事会のメンバーです。

■民主党にはネクストキャビネット(「次の内閣」)という機関もありますが、常任幹事会とこのネクストキャビネットとの関係はどういうものでしょうか?

常任幹事会は、党の日常業務の最高意志決定機関で、大会や両院議員総会の意を受けて党務全体を扱います。ネクストキャビネットは、政策に関して党の対応を決めたり、法案を作ったりするところで、政策についての最高意志決定機関です。

■民主党のNPO委員会には、他にどんな方々が入っていらっしゃるのですか?

委員長代理は金田誠一さんです。それから、副委員長には岡崎トミ子さんと山井和則さんがいます。しかし、全員に呼びかけていますからメンバーは多いですよ。

■江田さん自身のNPOとの関わりのきっかけはどのようなものだったのでしょうか。また、NPO委員長を引き受けられた経緯とはどんなものだったのですか?

もう14、5年前になりますが、神奈川ネットの方が米国のNPOの状況を見てくるということでお手伝いをしましたが、その報告を聞いたら、米国ではGNPの確か3割くらいをNPOが担っているということで、この数字は今から考えると大きすぎますが、おもしろいなあと思いました。それから、社民連で1990年くらいに菅直人さんと私たちが目指すべき社会についての理念案を作ったのですが、その中に私的資本、公的資本、そして市民資本という考え方を入れました。この市民資本は利益追求型ではない社会構造としておもしろいなあと思いましたよ。

■では、かなり時代に先駆けて、NPO、市民社会というものと関わり合ってこられた訳ですね。

そうですね。現実にNPOと言えるような団体と関わりを持ったのは、「アムネスティ・インターナショナル日本支部」や「東チモールに自由を!全国協議会」などですが、他にもいろいろなところと接してきましたね。

■委員長に就任された経緯はどのようなものだったのですか?

昨年、鳩山さんの2期目のスタートにあたって、党内人事の入れ替えがあったのですが、それまで私はネクストキャビネットの法務部門を担っていたのですが、党務の方でも関わりを、ということで、それならNPOをとなった訳です。

■民主党NPO委員会の現在の最大課題、取り組みは何でしょうか?

只今ということで言えば、なんと言っても、NPOの経験を持った議員をたくさん作りたいということです。当面は、7月の参院選で高比良さんに当選してもらうことですね。もう少し先のことで言うと、NPO法は施行後3年以内に見直しを加えるということになっているので、この秋には、12分野の拡大や申請の簡素化に取り組みます。また支援税制については、民主党はすでに税制改正案を国会に出していますので、これを実現させたいですね。それから、全国のNPOの声を聞くネットワークをどう作るかも課題です。

■政府与党のNPO支援税制をどう評価されていますか?

これは、芽を出したという点では評価をしたいが、しかしあまりにも使えない内容なので、やっぱり0点というしかない。最大の問題は、ハードルが高すぎて越えられるNPOが少なすぎるということ。やってみなければ分からないということもあるでしょうが、NPOの方々に聞くと、認定を受けられる法人の数は限りなく0に近い、なんておっしゃる。羊頭狗肉ですね。それでも、芽を出した意味で100点満点の5、6点とも思ったが、あの要件に無理に合わせようとするNPOが出ると逆効果。やっぱり0点です。

■では、民主党としては、今後この問題に対してどのように取り組んでいかれる方針ですか?

せっかくできた支援税制が使えるものになるよう、そのことで寄附がNPOに集まるようにしたいですね。それから、事業収入に対する税率の軽減についてはすでに提案をしています。政府案はどうも、どうやって悪用を防ごうかという発想から生まれたネガティブリストだと思うんですが、私たちの法案の大部分は、NPOの皆さんの要望を聞いて作ったポジティブリストです。こういう時代はポジティブリストで行かないとだめですよ。

■では、具体的なストラテジーはどのようなものでしょうか?

政府が作った枠組みで、現実にいったいどういう弊害があるのか、どういう問題をあるのかを明確にしていって、これではだめだ、という声をひろげていく。それと、国会の中での世論を高めていくことが法案を通す上で大事なことですから、努力を積み重ねて粘り強くやっていきます。

■NPOセクターをどう育てていくべきだとお考えですか? またNPOへの期待にはどんなものがありますか?

さっきお話した社民連の時の市民資本という考え方は、先駆的だったと思っていますが、民主党でもそういう理念を持ちたいと思っています。現代の経済は、フィードバックのループの大きなお金の回り方ではどうしようもなくなってきています。税制を改めることにより、フィードバックの小さなループでお金が回って、地域に密着して、かゆいところへ手が届くような市民活動を盛んにさせる、これが重要です。行政ではどうにも対応できなくなっている分野がたくさんあるのは明らかですから、規制緩和によって、官が手を引き、民に譲れるところは譲るように迫っていく。介護、まちづくり、環境、芸術・文化、その他もろもろ、いたる分野でNPOが活躍することが、暖かく、やさしく、いきいきとした社会の実現につながることです。税金の使途を全部国が決めるのでなく、少しぐらい払う人が自分で決めても良いと思いますね。そういうことで、新しい「寄附文化」を創りたいと思います。

■最後に、全国のNPO関係者にメッセージをお願いします。

民主党は、NPOの真の友人になりたいという熱い気持ちを思っています。私たちも知らないことが多いですから、色々な声を聞きたいし、教えていただきたい。それと、NPOの方々にぜひ言いたいのは、税府の作った税制要件に自分たちの身体を合わせて、形を無理矢理に変えるのはまずいということです。そうではなくて、制度の方を変えてNPOが動きやすい社会を作るんだ、という意気込みでいて欲しいです。

■市民が民主党のNPO委員会に意見を送る時は、どのようにすれば良いでしょうか?

E-MAILアドレスがありますから、そこにどんどん意見をください。アドレスは、npo@dpj.or.jp です。

■ありがとうございました。

聞き手:松原明氏
シーズ=市民活動を支える制度をつくる会の「NPOWEB」に掲載


2001/05/30

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