2004年5月2日 | 共同通信インタビュー |
憲法論議の現状と行方
民主党憲法調査会事務局長 江田五月
― 衆参の憲法調査会の議論をどうみるか。
衆院は結構めりはりが利いた内容の報告書になるかもしれないが、参院は議論してきたことをありのまま報告する感じになるのではないか。結論を導き出すのは困難だ。
― 小泉首相の憲法改正志向の発言をどうみるか。
理念もなく憲法をもてあそんでいる感じだ。思いつきで首相公選制や一院制を言うなど言葉が軽い。
― あるべき国家像は。
地方分権を保障し、国際社会と協調し、個人の自由な自己実現を保障する国家でないといけない。日本の民族精神みたいなものがぎらつく憲法にしたら世界から袋だたきになる。
― 九条はどうするか。
九条はイラク戦争になんの歯止めにもならず、今のままでは機能不全に陥ってしまう。日本が冷戦後の国際社会で理念を実現するには今の九条では駄目だ。戦争の違法化を高らかに宣言する九条一項的なものは維持しつつ、国連が行う武力行使を伴う集団安全保障には参加すると書くべきだ。二項は書き換え、自衛について書く。
― 憲法論議の行方は。
まだいろんな議論が芽を出した段階。憲法調査会の五年の議論が終わってすぐ改正発議案を作ろうというのはつんのめりすぎだ。自民党が2005年、民主党が06年に改正草案を出し、国民的議論をしてつくりあげていくべきだ。(「与野党実務者紙上討論」から江田発言を抜粋)