2005年11月2日

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■「前原民主党 執行部に聞く!」 2005
  参議院議員会長 江田五月

 CV-MiX 配信
 


○参議院議員会長でいらっしゃいます江田五月さんにお話をお伺いします。

江田五月 どうぞよろしくお願いします。

選挙総括
大惨敗でしたね。本当に惨敗でもひどいもので、さらに大が付くという、死屍累々なんて言ってますが、本当に負けました。

この選挙は、私たちはとにかく全ての小選挙区に候補者を立てる。公認と、推薦がほんの2〜3ありますが、全部で291選挙区(300中)に立てることができているので、これからの体制はできたと思うんですね。ただ、小泉首相の、ある意味では見事という小泉劇場大作戦にしてやられたというわけでしてね。

争点設定に失敗したというふうに私たちは考えています。郵政法案、私は今でもあんなムチャクチャ法案はないと思っているのですがね、参議院で否決をしました。ここまでは、私は良かったと思うんですよ。参議院でも、自民党議員の皆さんの中でも、自分の良心に従えば反対せざるを得ないという人たちが出てくる、そういう論戦をしたわけです。で、否決になって、これは我々が勝った。

ところがどっこい、そのことを見事に逆手にとられて、郵政一本槍で…。我々の方は、もっと大切なことがあるんだと、たとえば子育てであるとか、年金であるとか、言ったんですが、小泉さんの郵政一本槍の刺客とか、ああいうものにしてやられてしまった。我々のほうは、争点を郵政と別のものにしっかり打ち立てるという、そこがうまくいかなくて…、それから、タイミングがどうもずれてしまって、というので負けました。

これは今、総括の議論をしている最中ですけれども。やはり、今のような争点を明確にする、常に常在戦場で総選挙の準備をいつ来てもいいように整えておく。そうしたことと…、やはり、テレビの方に申し訳ないのですが、どうもテレビのある意味で、悪い影響が出ていると思います。政治を面白可笑しい時代劇みたいに国民に見せてしまうという。だけど、それに国民が反応するのは事実ですから、その事実はしっかりとらえて、我々のほうも、そうした場面でも負けないように、機動的にいろんな話題をしっかり提供していくという、そうしたことが必要だという総括を今しているところです。

候補者はちゃんと揃える。これは今回できたことですから、この成果をもとにこれからもきっちり候補者を揃える。有権者の皆さんに、民主党という選択肢がある、そういう選挙を取り組まなければいけない、という気持ちでいます。

現在の意気込み
私は菅さんのほうを応援したのですけれど、わずか2票差というので…、これはもう何とも言いようがないという感じで負けました。負けましたが、党の空気が、やはりここは面目一新で若手で頑張ろうということですから。それはそういう判断が出たわけで、私も引き続き参議院の議員会長で、役員会のメンバーにもなっていますから、前原さんを先頭に、これから、民主党らしさをどんどん出していく。

前原さんの方針は「対案路線」といいましてね。反対なら何でも対案を出すという訳ではないんです。エネルギーが有り余っているわけではないんで、人数も減りましたから、これはというやつを絞って、そしてそこにはしっかりした対案を出して、さあどっちがいいんですか、と国民の皆さんにちゃんと見ていただけるようにしていこうと思っています。

特別国会、終わりましたけれど。この国会、わずか42日間ですが、それでもおそらく史上最長の特別国会です。この国会で19本、私たちは法案を出しました。民主党の政権になったら、こういう法案が法律になって、世の中がこう変わりますよと。

たとえば、政治資金の関係でいえば、迂回献金を禁止する。私たちは対案として出して、残念ながら、政治団体同士のお金のやり取りの制限という、政府の方のものが通ってしまいましたが。我々が政権を取れば、迂回献金みたいな党の隠れ蓑で政治家にどんどん大変な金が流れるという、そういう仕組みをなくするようなことが、きっちりできる。

やはり国民のみなさんに、もう一つの選択肢をちゃんと示す。しかもそれは若いエネルギーに溢れた勢力でやるんだ。こういう意気込みで今、がんばろうと…。国会は終わりましたが、政治に休みはない、という気持ちでがんばります。

最優先課題
参議院のほうは、これは今、参議院本当にピンチだと思うんですよね。郵政法案の審議で、私たちは本当に議論に議論を尽くして、そして自民党の中にも良識を発揮しなければいけない、単にポストがほしいとか、利権が大切だとかいうのじゃなくて、という人たちが出てきて否決をしたでしょう。

ところが、衆議院選挙のあおりを受けて、そして本来なら自分の良識を発揮したといって一票を反対票を投じた人たちが全部、クルックルックルッと変わってしまった。こんな参議院だったら、いらないですよね。

何のために参議院があるのか…。ですから、衆議院は政権争奪戦で、まあ郵政一本槍というような劇場型のことをやるのもいいでしょう。参議院はそうじゃなくて、どっしりと落ち着いて、長い目で見て、日本がおかしな方向に行かないように、というわけですから、参議院の良識をもう一遍取り戻すという、これは全ての面でそうです。私たちは衆議院の「シャンシャーン」という時代劇ではなくて、参議院は堂々とした院になっていかなきゃならん。

参議院の再生ということがあります。これは具体的にはと言うとなかなか難しいのですが、しっかりとした議論をする。衆議院は予算委員会が一番の表舞台ですよね。参議院は決算委員会、それからODAが本当にちゃんと役割を果たしているのか、そういうチェックの役目。全体にチェック、そしてもう一度考え直す、そういう役目を審議の中で果たす、それが一つ。

もう一つ、実は参議院に待ったなしの懸案があるのです。それが何かというと、参議院選挙の選挙区の定数です。最高裁が、かろうじてパス。だけどパスの中でも、次もこれだったら憲法違反だと言っている人がいて、その皆さんと憲法違反だという人を合わせると、最高裁15人のうちの9人でしたかね、違憲ということになるわけですから。これは直さなくてはいけません。

ですから定数是正をやるということがあって、今議論していますが、どうも参議院の中の多数の意見は四増四減、つまり二つの県で一人ずつ減らして、二つの県で一人ずつ増やという、一人ずつの一回でね、半数交代ですから。それでは格差がまだまだ5倍ほどあるのですよ。これでは人口が多いところの5人が少ないところの1人と同じだというのですから、一票の価値は同じですよという原理からすると外れ過ぎですよ。だから私たちは、せめて4倍未満にしようと、3倍台で押さえようと。そのためには、ここを増やしここを減らしというのでは、ダメなのです。

ですから合区という、今考えられているのは鳥取と島根。同じ日本海側ですから、ちょっと細長くはなるけれども、一つにして一人ずつ3年毎に出していただけないだろうかと、そういう案を軸に考えています。これをやると、4倍未満というのはすぐ達成できるのです。これは民主党としてはぜひやりたいと思っています。来年の通常国会の課題です。

民主党の再生に一番必要なこと
今の小泉内閣に対して、ここはいけません、自分たちが政権とればこうやりますという、対立軸といいますか、これをしっかり示すことだと思うのです。その上での対案路線ですよね。

今の小泉内閣は、たとえば今度の特別国会でも、郵政法案が参議院本会議で可決成立しました。その同じ本会議で、もう一つある法案が通って衆議院に送られた。それは何かというと、障害者自立支援法案といいます。もう最後に衆議院でも通ってしまいましたけれどもね。

これは今、国連でもノーマライゼーションという原則をたてて、世界中で障害のある人もない人も皆同じ仲間ではないか、みんなで平等に社会参加をして良い社会を作りましょう、こういう流れがあるわけですよ。ですから障害者の皆さんが自立することを社会で支援する、これは当たり前で、やらなきゃいけない。

そういうプラスの面もあるのですが、この法案の中に、支援を受けたことは、その障害者の利益だから、その分は応益負担で代金を払いなさい。これをやると、障害が重い人ほど自分が払う代金が増えていくのです。しかし重い人ほど、本当は支援が必要なのです。だから、これはおかしいじゃないか。応益ではなくて障害者の皆さんが、社会から支援を受けるのは自分の利益ではなく社会全体の質を高めることだから、こういう事はいけないと言ったのですが、小泉内閣はそれをやった。

つまり郵政法案のように、改革、改革と言いながら、(私たちはあれはニセモノだと思いますが、)他方でそういう弱いものいじめ、弱いもの切り捨て、地方切り捨て、そういう政治が進んでいるのです、小泉内閣では。

ですからそれに対して私たちは、もちろん改革はやります、しかし同時に、会社は従業員をリストラする事は、(良いとは言いませんが、)できる。だけど社会や国は、国民をリストラすることはできないのですから。

「ホリエモンになるのもホームレスになるのも、どうぞ自由にやってくれ。大金持てるのも良いけど、自殺するのも自己責任です。ああ良い世の中ですね…」 違う!というのですよ。

そうではなくて、ホリエモンになる人は、どんどんそれは良いですよ。社会はそういう人の足を引っ張ることはしない。だけれども、その反面、必ず経済で競争すれば負ける人は出てくる、生まれながらにいろんな不幸を背負う人も出てくる、いろんな偶然で不幸にあうものも出てくる。これについては、「ホームレスで自殺は自由」ではなくて、しっかり支えるという、そういうことが大切なのです。民主党はそういう方向を忘れないようにしながら、もし小泉さんが何もしないのなら、対案でなくて提案する。そういうことをやることが今大切だと思います。

そして、選挙に負けたときですから、どうしても議論が内向きになる。内向きになるとやはり「あいつが悪い、こいつが悪い」と言いがちになるから、それはそうじゃなくて、民主党というのは幅広い政党ですから、いろんな人がこの党に集まる。しかし共通の大きな夢を持って頑張るという結束。これが二つめの大切なことだと思いますね。

国民へのメッセージ
小泉内閣が、何かずいぶん話題をたくさん提供して、皆そっちに幻惑されているというと申し訳ないけれど、やはりそうだと思うのです。しかし、この行き着く先は、私は本当に大きな不幸が待っているような気がします。外交でもそうです、内政でもそうです。世界の平和ということを考えても、一人ひとりの暮らしを考えてもね。

ここは小泉内閣で、面白可笑しくやっているのに任せてはいけません。全部これは私たちのことですから。ぜひとも民主党がこれから提案をし、対案を出し、皆さんに見えるかたちでの選択肢をお示ししますので、民主党の方を振り向いて下さい。そして民主党にいろんな声もかけていただき、ぜひご支援をして下さい。お互いのことです、素晴らしい明日を作りましょう。どうぞ国民の皆さん、よろしくお願いいたします。


2005年11月2日

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