2006年3月24日 |
江田五月参議院議員会長インタビュー
党利党略の与党定数是正案
必ず国民の強い批判受ける
―― 参議院の選挙区定数是正協議が決裂しましたが。
5年前の参議院選挙に対して違憲訴訟が起こされ、一昨年の1月に最高裁の判決が出されました。この中で参政権は等しく与えられなくてはならない、投票の権利が重かったり、軽かったりしてはならないことが改めて確認されました。また、この時の1票の格差は、鳥取県と東京都で5・06倍であり、また、15人の判事のうち6人が違憲とするぎりぎりの合憲判決でした。しかも、多数意見中の4人も、このまま放置すれば、次回は違憲判断もありうると表明、参議院の定数是正、1票の格差是正は待ったなしの状態となりました。
そこで、参議院の与野党でつくっている改革協議会で協議を続けました。与党は、栃木県と群馬県の定数をそれぞれ2減らし、千葉県と東京都の定数をそれぞれ2増やす案を出してきました。これでは、4・76倍にしか是正されません。私たちは、これでは最高裁が求め、憲法が保障する法の下の平等を実現することにはならないとして反対しました。
参議院の選挙区の定数は現在、すべての都道府県にまず定数2を配分していますが、これを維持したままでは、14増14減案でも4・13倍もの格差ができます。我々は、一番人口の少ない鳥取県と島根県を一つの選挙区とし定数を2とする案を提案しました。最高裁判決も、都道府県単位の定数配分は憲法上の要請ではないと言っています。こうすると格差は3・88倍になります。鳥取県と島根県の一体性はかなりあり、そう違和感はないはずです。
自民党は我々の案には強硬に反対し、合意できませんでした。双方の案を国会の中の議論で争うことになります。
―― 与党の案はどこが一番問題でしょう。
自民党は4増4減案、栃木県と群馬県の改選数を1とすることで、議席を独占しようとしていることです。民主主義の根幹である選挙制度を党利党略で扱うことは許されません。これを強行するなら、手酷い有権者からの批判を受けることになります。私ごとで恐縮ですが、岡山県も5年前の選挙から改選数1となりましたが、2年前の私の選挙では現職同士の争いで、私、民主党が勝利しました。
与党案がこの国会で成立すると仮定すれば、改選数1の選挙区が29になります。この29選挙区を民主党がとるのか、自民党がとるのか激しい争奪戦となります。選挙制度、1票の格差是正の問題も国民・有権者に喚起して、1人区でも自民党に圧勝したいと思っています。
―― いま、お話の来年の選挙に向けた決意を。
民主党・新緑風会には83人の参議院議員が所属しています。この現に国会議員として活躍している人全員が選挙でも頑張らなければなりません。現職は総支部を中心に頑張ることになりますが、新人候補の戦いは県連が戦いの中心になります。戦いに勝つには、極力早く候補を決めなくてはいけませんので、5月の連休前には決めたいと思います。参議院の中に選挙対策のチームを作り議論しています。ここでの議論も踏まえ、積極的に選挙に関わっていきます。目標は参議院での与野党逆転、民主党が第1党になることです。そうなることで、抜本的な定数是正や、参議院の良識の府としての改革も進めることができます。参院選で与野党逆転へ
プレス民主144号 2006年3月24日掲載
2006年3月24日 |