2007年3月23日 | 中國新聞インタビュー |
安倍政権半年 キーマンに聞く 江田五月前参院議員会長
― 安倍政権の半年をどう評価しますか。郵政造反組復党問題や「従軍慰安婦」発言で独自色を出してきた感があります。
「初の戦後生まれの首相」という、新しい時代を感じさせる触れ込みだった。しかし、郵政造反の落選組復党問題を通して「融通むげなタカ派」という正体が現れてきた。「数の力のためなら何でもあり。タカ派の友達には寛容」だ。「仲良しクラブ」人事の問題点は閣僚の事務所費問題などでも露呈している。投票法議論を
― しかし、民主党は事務所費問題などで攻めあぐねているようですが。
事務所費問題追及については、作戦として少し時間をかけ料理していこうということだ。「民主党が攻め切れていない」などと報道しているが、実際に守勢続きなのは自民党。政権のほころびは今後さらに見えてくる。
― 統一地方選、参院選が控えています。重要法案にどう取り組み、論戦を展開しますか。
国民投票法案には徹底的に反対する。安倍首相が参院選向けにタカ派色を出す道具として法案を利用することは許されない。
― 民主党も、憲法改正の手続法制定自体には反対していません。
直接民主主義的な要素を取り入れることによって、日本の間接民主主義をみずみずしいものにすることには意義がある。法律の対象を一般的な国民投票にまで広げる、とする民主党案を与党が受け入れないからといって「共に天をいただかず」ということでもない。
しかし、なんといっても重要な法案だ。憲法改正には衆参両院議員の三分の二の賛成が必要。手続きを定めるのにも国会で三分の二の賛成を得るぐらいの議論を経るペきだ。与党が衆院の「数の力」で成立させる動きを全力で阻止する。対立軸は鮮明
― 政権交代の正念場となる参院選に、どう臨みますか。
小沢一郎代表が、例えば「政治とは生活である。政治は弱者のためにある」と国民にずばりとメッセージを送り、対立軸を鮮明にしている。統一選から参院選へ、路線にしっかり磨きをかける。政権交代の第一歩として与野党逆転が大前提。そのために野党協力でも全力を尽くす。
― 新人を擁立した岡山は注目選挙区です。
自民党の超大物に対して、こちらは年齢で二回り若く、行動的な女性。有権者に明確な対立軸を示せたと自負している。岡山をはじめ、全国の一人区の多くは地方。農業や地場産業、中小零細企業、年金生活者など、小泉政権から安倍政権にかけて三位一体改革で痛めつけられた。
「時代を変えたい」という岡山の有権者の思いに応え、画期的な結果を出せば、この勢いは全国に波及する。その意味でも参院選を全力で闘う。
「弱者のための政治を打ち出し、自民との対立軸を明確にしていく」と語る江田氏
【金崎由美】
中國新聞 2007年3月23日朝刊掲載
2007年3月23日 |