2007年9月4日

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CV-Mix:直撃インタビュー 江田五月参議院議長に聞く!

収録:2007年9月4日


まあ、あのー、今のように「おめでとうございます」と言われるのですがね、全然おめでたいかどうかわからないんですよ。

現在の意気込み・心境

たとえば大臣だと替わる時にテレビに出るでしょう、何か引き継ぎの書類をこう渡されて、農水大臣はまた返したりしてね、忙しい話ですけれども。本当に議長はね、何の引き継ぎもないのですよ。だいたい、扇さんは7月の28日にもう任期が切れて、私が議長になったのは8月7日ですから、その間は議長も副議長も参議院はいなかったんですよね。そんなことだから、引き継ぎといっても、どうも、やりようがないのだけど、本当に何もなくて。しかも、今までは議長というのはずーっと自民党が独占をしていたのです。これは野党がだらしなかったせいもあるんですけれど。

自民党の議長間で引き継ぎは

わかりません。それもわからない。だけど引き継ぎがないとしても、同じグループの中だから、それはあの時はこうだった、この時はああだったと、いろいろノウハウが蓄積されているでしょう。だけど野党の中にはその蓄積も何もないわけですから、まったく海図のない世界に今乗り出している。

しかも、衆議院は今の安倍内閣の与党が圧倒的多数ですけど、参議院は安倍内閣に対する野党、反対派が多数で、その反対派のほうから推薦をされて、もちろん私の場合は投票した人全員が、自民党の皆さんまで含めて私の名前を書いてくれているわけですから、だからそういう全員のことを考えていかなきゃいけないんだけど、しかしまあ野党の方から推薦をされて議長になっているわけでね…。だから衆議院と参議院と全くこう違うんですね。正反対、違うんですよ。

今まではね、参議院というのは衆議院のカーボンコピーと言われていて、衆議院のとおり参議院があるんだと。だから衆議院で通ったらマスコミなんかも全部、これでもう法律できあがりが決まりました、後は時間を待つだけです。だいたい衆議院の7割とか8割とか時間がたてば、参議院は一丁あがりです。こういうことで、「参議院というのは一体何だあれは」と言われることもあったのですが、これからはもう180度違うからね。だから参議院無用論なんてのはすっ飛んでしまってね。そういう中での議長ですから、これは、責任重大ですが、どういう責任があるかも、まだやってみなければわからないという、そんな状況です。

議長の役割について

だから、なるべく議長が何をやっているかというのは、国民の皆さんにオープンにしようと。こういうわけで、今日はインターネットの番組ですけれども、ぜひ私のホームページを見てください。これはね、もちろん書けないことは書きませんよ、書かないけども、できる限り毎日毎日の活動日誌の書き込み、これはできる限りというか必ず続けていきますので、どんなことをしているかというのは見ていただければと思うんですよ。

本会議の議長として采配をふるう。だけどこれもね、かなり儀式的なところが多くて、どういうふうに本会議を運営するかは、あらかじめ議院運営委員会というのがあるんですね、そこで各派が協議をして決めますから、そこで決まったことをやる。ただ、最後の最後に議長がどうするという場面がなくはないんですがね。しかし、そういう場面が来たら相当荒れますからね、そこは覚悟を決めなきゃいけないけど。

普段は本会議でやっていることというのは、だいたい段取りが全部決まっていることです。その段取りをどう決めるかっていうのは実は大変難しいですね。あの議運というのですが、これは様子が変わったというのは、要するに議院運営委員会の委員の構成が、やはり野党が多くなって与党のほうが少数になっている。その野党のほうから出ている西岡武夫さんというのが議院運営委員会の委員長になっている。これは段取りの決め方が変わるわけですよね。

議院運営委員会だけじゃないのですよ。全部の委員会が野党のほうが多数になる。委員長は本会議で選ぶことになっているのですよ。だからもし野党のほうが民主党を中心にして、もう全部委員長取るんだと、こうやれば本会議で選挙をやったら全部取れる。ただ、まあそうすると、今度は衆議院のほうは与党が多数ですから、じゃあもう衆議院は全部与党が取る、もう衆議院と参議院は大げんかだ。これも一つのやり方ですが、まあそれはあまり良いことじゃないので、けんかするのはね。そこは、お互い仲良く、仲良くというか、まあ口角泡を飛ばしながら議論をして、何か良い結論を出そうとするでしょうけどね。いずれにしてもそう変わってしまった。これは議長は予算委員会は誰それ何とか委員会は誰それと決めるわけじゃないから、私は「さあどうするのでしょうね」、と言って見ているところですけどね。

議長というのは、見えにくいと最初おっしゃったけどそういうの確かにある。というのは、「どうするのでしょうね」と見ているのが役目だというところがありますから。あまり議長が出て行ってああしろこうしろとやったら、それは皆の、参議院は242人ですから、この242人の皆さんの合意をつくることになりませんからね。だからある程度、丁々発止の議論をしているのを「しっかりやってくださいよ」と見ているっていうことも必要なんですよね。難しいんですよ。

私は昔裁判官をやったことがあるから。こないだね、余談ですけど、私は司法修習というのを終えてちょうど40年になるのですが、その40周年の式典をやって、私は代表世話人で最初の挨拶をしたのですが、その時に言ったんですね。「もう今、裁判所へいたら裁判官も定年になっているんですよ。定年を超えた今、もういっぺん裁判官をやれというようなもんで。しかし、だいたい裁判の本筋は合議ですけどね、今度は単独で裁判やれということになってしまいまして、皆さんよろしく」って言ったのですけどね。ひとりでいろんなことやるのは大変です。

副議長との関係は

副議長は与党の方から出ていて山東昭子さんですが。ちなみに私と山東さん、たいへん仲良くてね。国会コーラス愛好会というのがあって、コーラスを折にふれてやっているんですが、その司会を私と山東さんで、これまで2、3回やったことがあってね。仲は良いのですが、与党と野党と違いますから。これはあの議長、副議長、まあ議長が調子が悪い時に、たとえば病気になったとかね、その時に副議長は代役を務めていただくということになっているんですが、議長と副議長が相談して物事を決めなきゃならんということはないのです。ですから、やはり私が一人でやらなきゃいけない。

だけど時には副議長さんと相談というかアドバイスをもらったり、副議長さんにいろいろ助けてもらったり、そこは和気あいあいとやりたいと思いますけどね。

それでこれからはね、私は今は民主党の会派を離脱して、会派の拘束を受けずに独立して全ての皆さんのことをちゃんと見ながらやっていくわけですが。しかし古巣は民主党ですから、民主党の皆さんの気持ちも分かるし、思いももちろん共感する部分はある。その民主党が参議院を主戦場にして、衆議院とはこう違うぞと、国民の皆さん私たちはこうするんだ、というのをどんどんアピールしていこうというわけですから、それに私があからさまに協力したというんじゃこれは大変でね。

ですから、議長というのは少数派の意見に充分耳を傾けるという、これも大切な役目だから、自民党の皆さんの言うこともしっかり聞く。ただ自民党の皆さん衆議院でこんなに大きな力を持っているわけですから、あまり自民党の言うことばかり聞いていたんじゃ、今のねじれの意味がないので、そこはほどほどにですが。時によっては民主党のほうに、それはだめよと言わなきゃいけない時があるかもしれません。

衆議院と参議院がねじれている。これはそのとおりです。ねじれがいつ解消されるか、元へ戻る解消か、それとも衆議院も今の民主党のほうが多くなる解消か、それはわかりませんが、いずれにしても今ねじれている。ねじれは悪いことだという、そういう見方もあるのですが、私はそうは思わないんでね。ねじれているところにエネルギーがあるんですよ。だってそうでしょう、ねじだってぐいぐいっとねじって入れるから力がある。縄だってぎゅっぎゅっとねじっているから強いんですよ。ねじれている力、ねじれのエネルギー、これを上手に活かすのか、それともねじれのエネルギーが破壊力で全部ばらばらにしてしまうのか、そこがこれから見どころですよね。見どころって、他人事みたいに言っちゃいけませんがね。

任期中に是非とも実現したいこと

議長というのはこれをやるんだといってやるんじゃないから、これはぜひやっておきたいというのじゃなくて、江田議長の間に議会がこれだけ参議院も国民に身近なものになったし、そして二院制がこれだけ役目を果たすようになってきたぞと、こういうふうにぜひしたいと思いますが。

これがひとつでもうひとつはね、参議院改革というのがあるんですよ。今までも調査会をつくるとか…、そうそう、押しボタンで参議院は投票するのです、衆議院と違うんですね。押しボタンの方が合理的ですよ、それはね。こんなこともやってきたけれども、これからも参議院改革は続けていきたいし、その中でひとつ選挙制度の問題があるんですね。最高裁からこれでもまだわからないかというぐらい、「これは違憲、憲法違反のおそれが強いぞ」と言われている定数の格差、こんなものがありますから、これを何とかメス入れたいんですが…。だけどこれもいろんな皆さんに協議をしていただかなければいけないんでね。何もせずにさぼっていると、こう言われたら大変ですからしっかりした協議は、これはしていただかなきゃいけないと。議長はやはり場をつくるところから始めなければいけないんで。前の議長の時まではあったのですが、それは議長が替わることによって全部白紙に戻っていますから、もう一度、一から立ち上げる。この仕事…、まずは、そうですね、最初にやるといえばそれですかね。協議の場をつくるというのをやらなければいけません。

国民へのメッセージ

国民の皆さんのお力で、参議院が与野党逆転ということになりまして、私が、野党の方の推薦で、もちろん全員一致ですが、議長になりました。国会、参議院、なるべく国民の皆さんに、近づきやすい、わかりやすい、そういうものにしていきたいと思いますので、ぜひ皆さん、参議院、見ていてくださいね。よろしくお願いします。



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