2010年6月5日

戻るホーム2010目次前へ次へ


故江田三郎氏との出会い 原点 「参加民主主義のスタート」

 4日、新首相に選出された菅直人氏が国会議員になる道を開いたのが、岡山県建部町(現岡山市)出身の政治家・故江田三郎氏との出会いだ。この日、菅氏は国会内で三郎氏の長男である江田五月参院議長(岡山選挙区)と感慨を分かち合った。

 菅氏は首相に指名された直後、参院議長室に就任あいさつに訪れ、江田議長とがっちり握手。岡山市出身の竹崎博允最高裁長官に加え、本籍が岡山県などゆかりの深い菅氏の首相就任で、「岡山県関係者が三権の長を占めた」と江田氏が語りかけ、菅氏が笑顔で応えた。

 菅氏が三郎氏と出会ったのは1977年4月、東京都内での公開討論会だった。社会党の書記長、副委員長を務めた三郎氏は当時、路線対立により離党した直後。市民運動家の菅氏に「一緒にやろう」と呼び掛け、菅氏が応じた。三郎氏は菅氏の父親と同郷、同じ小学校の出身という縁もあった。

 翌5月に三郎氏が急死し、五月氏を代表にスタートした新政党・社会市民連合に参加。同党が社会民主連合になった後の80年に初当選を果たした。

 江田氏は「父が思いを託した菅氏が政権に就き、父の墓に報告することが一つ増えた。彼の原点である参加民主主義に向けて、今日がスタートになる」と期待を込めた。

(岡山一郎)
山陽新聞 2010年6月5日朝刊掲載


2010年6月5日

戻るホーム2010目次前へ次へ