2010年7月24日 |
両院協議会の改革を
江田五月参院議長(岡山選挙区)の議長としての任期が25日で終わる。2007年8月に民主党出身として初の議長に就任。昨年の政権交代まで衆参で第一党が異なる「ねじれ国会」でもあり、難局をしのいできた。3年間を振り返ってもらうとともに、今参院選で新たなねじれ状態となった国会の運営のあり方を聞いた。 (聞き手・岡山一郎東京支社編集部長)
明日退任 江田参院議長に聞く −ねじれ国会で迎えた08年の通常国会では、揮発油税などの暫定税率維持をめぐって混乱した。
与党が暫定税率を延長するつなぎ法案を取り下げ、「年度内に一定の結論を得る」との各党合意をいただいたが、合意は達成できなかった。与党には、法案を衆院に戻して再議決できる3分の2以上の議席があった。与党は再議決すればいいという安易な姿勢、野党もあきらめの境地があり、合意形成に汗をかかなかった。
−合意をあっせんした議長の権威が問われた。
「議長あっせん」と言われていたが、そうではない。各党による話し合いの場のあっせんはしたが、合意したのはあくまで各党の責任者だ。各党の信頼関係が途中で崩れ、どうにもならなかった。議長が持っているのは、一刀両断できる鋭い刀ではなく、切るぞと警告する竹みつだけ。実際には限界がある。
−今年6月の通常国会会期末で本会議を開かず、議長不信任決議案などの審議がないまま異例の閉幕だった。
不信任決議案をかわしたわけではない。最後はきちんと閉めたかったが、議院運営委員会で本会議開会が決まらなかった。議運で合意できないのに開会のボタンは押せない。最終的な責任が議長にあるのはもちろんだが、非常に不本意。最後まで国会の公平な運営を心掛けたつもりで、野党から不公平だと言われるのは心外だ。
−今参院選で与党が過半数割れし、再びねじれ状態となった。
前回のねじれで一番残念だったのは、再議決の前に開催することができる両院協議会の改革ができなかったことだ。かろうじて議事録の公開まではいきついたが、政策責任者を協議に加えたり、議長や閣僚を呼ぶことができるといった、実際の改革はできなかった。だが、今回のねじれは衆院で与党が3分の2以上の議席を持たず、与野党が努力しなければ国会が動かない。両院協議会改革に取り組み、新たな合意形成の仕組みをつくってほしい。
−実現には何が求められるか。
まず政権側が謙虚になり、頭を下げて、腰をかがめ、合意を探る雰囲気をつくらなくてはいけない。そこを国民も見ている。国会は闘争の場であると同時に、合意形成の場だ。合意形成に努力している姿の方が、実は闘争の場でも勝つ。そうでなければ民主主義とは言えない。国民のみなさんも、民主主義を前に進めるには何が大切かを踏まえて見てほしい。私もさまざまな場面を体験したことを生かし、改革に向けて汗をかいていきたい。【山陽新聞 2010年7月24日朝刊掲載】
2010年7月22日取材
2010年7月24日 |