2011年2月15日 |
菅再改造内閣の法相として入閣した江田五月氏(参院岡山)。大阪地検特捜部の証拠改ざん
隠蔽 事件に端を発した検察改革などの重い懸案を抱える中、14日で就任1カ月を迎えた。諸課題にどう取り組むのか、あらためて聞いた。(金島裕之)
−就任1カ月を振り返って。
法務行政は、民事、刑事から刑務所、少年院、入管、訴訟など多岐にわたっており、全体の状況を把握するだけで精いっぱいだった。もう1カ月が過ぎたのかという感じ。どうにか全体像が見えてきたので、どう対応していくかの道筋をつけようというところだ。
−最重要課題は。
懸案は山積しているが、時間的に急ぐ必要があるのは検察改革だ。検察は正義の源でなくてはいけないのに、信頼が地に落ちている。世の中の背骨が崩れているようなもので、一刻も早く具体案を示さなければいけない。
−今後の見通しは。
昨年11月に設置した法相の私的諮問機関「検察の在り方検討会議」から3月下旬をめどに一応の答えをいただく。これを基に、検察内部の改革で済むものや、立法が必要なものなどに仕分けながら具体化する。取り調べの可視化(録音、録画)は、諸外国の状況なども調べているので、省内の勉強を6月まで続け、その後の早い時期に具体案をまとめる。
−ほかの課題は。
国際結婚が増えており、(国際離婚した夫婦の一方が無断で自国に連れ帰った子どもを元の国に戻す手続きを定めた)ハーグ条約への対応も重要だ。欧米の先進国は既に加盟しているが、外国から日本に連れ帰っている子どもを戻せと言われたときなど、日本にとってはつらい事例もあるので、よく点検しながらどう対応するかを真剣に詰めていく。
−死刑制度については。
死刑にどう向き合うかは本当に悩ましい。取り返しがつかない刑だからだ。死刑を廃止しようというのが国際的な流れになっているような気もする。存廃を含めて在り方を検討する勉強会が省内に設置されているので、しっかり考えたい。
−離婚後300日以内に生まれた子を「前夫の子」と推定する民法の規定をめぐって総社市の女性が訴訟を起こしており、規定見直しの声が出ている。
戸籍事務の担当者に、実質的に誰の子か判断しろと言っても無理で、書面で判断できる限りで処理するという現状のやり方が最も法的安定性がある。その点は変えるつもりはない。ただ、これにより無戸籍の状態が続くのは子の福祉からもよくない。不満でも戸籍上の記載をしてから、親子関係不存在確認や認知などの法的手続きで訂正してほしい。山陽新聞 2011年2月15日朝刊掲載
2011年2月10日取材
2011年2月15日 |